Oligopoly Theory 11. R&D Competition in Oligopoly 今日の講義の目的 (1)Strategic Commitment Game の勘をつかむ (2)R&D競争と経済厚生効果の勘をつかむ OT:Mixed Oligopoly 1 Outline of the 11th Lecture 11-1 Strategic R&D Investment 11-2 Other Strategic Commitment Games 11-3 Patent Race 11-4 Licensing Contract 11-5 Licensing in Hotelling Model OT:Mixed Oligopoly 2 Cournot Model Y2 企業1の反応曲線 企業2の反応曲線 Y2* 0 OT:Mixed Oligopoly Y1* Y1 3 Y2 反応曲線のシフト 企業1の新しい反応曲線 企業2の反応曲線 ライバルの生産量を減らす Y2* 0 OT:Mixed Oligopoly →自社の利潤を増やす Y1* Y1 4 反応曲線をシフトさせるストーリー (1) 費用削減投資 (2) 報酬契約 (3) 分社化、フランチャイズ (4) 資本構成 (5) 在庫投資→第6講、第9講、第11講 (6) 生産能力投資→第9講 (7) 長期契約→第9講 (8) 耐久性→第13講 (9) 差別化→第8講 OT:Mixed Oligopoly 5 Cost-Reducing Investments Brander and Spencer (1983) Model Duopoly, homogeneous goods market First stage: Each firm i independently chooses Ii (R&D investment level), which affect its production costs. Second stage: After observing firms' production costs, firms face Cournot competition. Payoff: Π1=P(Y1+Y2)-C1(I1)Y1-I1 OT:Mixed Oligopoly 6 backward induction 第2段階 Cournot競争 Y1 C (I1,I2), Y2C(I2,I1) 自社の生産量は自社の投資の増加関数でライバルの 投資の減少関数 第1段階 1階条件 P'Y1 (∂Y1C/∂I1 + ∂Y2C/∂I1)+P ∂Y1C/∂I1 -C1'(I1)Y1- C1 ∂Y1C/∂I1 -1=0 OT:Mixed Oligopoly 7 First stage 第1段階 1階条件 P'Y1 (∂Y1C/∂I1 + ∂Y2C/∂I1)+P∂Y1C/∂I1 -C1'(I1)Y1- C1 ∂Y1C/∂I1 -1=0 P'Y1∂Y2C/∂I1 -C1'(I1)Y1-1=0 (envelope theorem) Cost-Minimizing Level -C1'(I1)Y1-1=0 Investment level exceeds cost minimizing level under strategic substitutes~ strategic effect 自社の限界費用が下がる→ライバルの生産量が減る →価格が上昇→additionalなgain OT:Mixed Oligopoly 8 反応曲線のシフト Y2 企業1の新しい反応曲線 企業2の反応曲線 ライバルの生産量を減らす Y2* →自社の利潤を増やす 0 Y1* OT:Mixed Oligopoly Y1 9 反応曲線のシフト 企業1の新しい反応曲線 Y2 企業2の新しい反応曲線 両企業の利潤が 減ってしまう Y2* 0 Y1* OT:Mixed Oligopoly Y1 10 Welfare Implication 投資水準は利潤最大化の観点からは過大 一方消費者余剰は増えている。 投資水準は総余剰最大化の観点からは過大か過小 か? →線形の需要関数、対称な企業の対称均衡の場合に は、たまたま均衡投資水準が効率的になっている。 Brander and Spencer (1981) OT:Mixed Oligopoly 11 Welfare Implication ∂W/ ∂I1 = ∂Π1/ ∂I1+∂Π2/ ∂I1 +∂CS/ ∂I1 投左辺の第一項は均衡に置いてゼロ。第2項の方が 大きければ投資水準は過大、第3項が大きければ 過小 →線形の需要関数の場合にはたまたま両者が一致す る OT:Mixed Oligopoly 12 投資に不確実性があったら? Matsumura (2003) 線形の需要関数。限界費用は生産量によらず一定。成 功確率は外生でq(0<q<1)。成功したときどれだけ費 用が下がるのかは投資額に依存。 投資費用が無駄になる例 ・重油をたくボイラーの燃費を改善する投資をしたが、 環境規制のためにガスボイラーへの切り替えを強い られた。 ・ガソリンから水素を取り出す技術に投資したがこの 方式が普及しなかった。 ・暖房の投資をしたが使い捨てカイロを支給する方が 安いことに気が付いた。 OT:Mixed Oligopoly 13 投資に不確実性があったら? q=1 投資水準は効率的 問題:0<q<1なら? OT:Mixed Oligopoly 14 Welfare-improving production substitution 企 業 2 の 生 企業1の 産 量 反応曲線 0 OT:Mixed Oligopoly 変化後の 企業1の 反応曲線 企業2の 反応曲線 企業1の生産量 15 Welfare-reducing production substitution 企業1の 反応曲線 企 業 2 の 生 産 量 変化前の 企業2の 反応曲線 変化後の 企業2の 反応曲線 0 OT:Mixed Oligopoly 企業1の生産量 16 投資に不確実性があったら? q=1 投資水準は効率的 問題:0<q<1なら? OT:Mixed Oligopoly 17 投資に不確実性があったら? q=1 投資水準は効率的 問題:0<q<1なら? 解答:投資は過小に 理由(1)相手が成功したとき投資の誘因は適正 (Brander and Spencer, 1981) (2)相手が失敗したとき投資の誘因は過小 (welfare-improving production substitutionの効果を 考えないから) →2つの効果の足し算~過小投資 Matsumura (2003), Kitahara and Matsumura (2006) OT:Mixed Oligopoly 18 投資に不確実性があったら? 線形の需要関数。限界費用は生産量によらず一定。 成功確率は内生でq。投資するほどこの確率が上が る。成功したときどれだけ費用が下がるのかは外生。 均衡におけるライバルのq<1/2→過小投資 均衡におけるライバルのq>1/2→過大投資 ~成功確率が低いような困難な投資は過小投資 比較的やさしい投資は過大投資 OT:Mixed Oligopoly 19 問題:企業2の目的が利潤最大化 ではなく売上高も考慮したら? Y2 0 OT:Mixed Oligopoly Y1 20 企業2の目的が利潤最大化ではな く売上高も考慮したら? Y2 0 OT:Mixed Oligopoly Y1 21 企業2の目的とCournot均衡 Y2 0 OT:Mixed Oligopoly ポイント:利潤を最大化する企業 1の利潤が利潤を最大化しない 企業2の利潤よりも結果的に小さ くなることがある。 Y1 22 managerial incentive 経営者の誘因をわざと利潤最大化らゆがめてより aggressiveに行動させる。 →戦略的な相互依存関係を通して結果的に利潤が増え る。 Delegation Game (Fershtman and Judd (1987)) OT:Mixed Oligopoly 23 他の文脈での応用例 (1)強気の弁護士を雇って交渉させる (2)自国の利益から見ると偏った利益を代表する 者を全権代表として国際会議に送り出す。 OT:Mixed Oligopoly 24 両企業が売上を重視したら? 競争が激しくなって結果的 に両企業の利潤が減る Y2 0 OT:Mixed Oligopoly Y1 25 Delegation and Cooperation お互いaggressiveな行動をさせたら悲惨な結果に。 →もう少しうまくmanagerial incentiveを使えないか? Fershtman, Judd and Kalai (1991) Delegation Gameの枠組でカルテルをつくれないか? 必要なメカニズム (1)相手が協調する時協調する誘因 (2)相手が協調しない時こちらも協調しない誘因 ~Repeated Gameと同じ構造 OT:Mixed Oligopoly 26 Delegation and Cooperation joint-profitを最大化する利潤をターゲットとし、これ 以上利潤が増えても報酬が増えないようにする こんな単純な報酬契約でカルテルをサポートできる。 ・相手が同じ契約を出さない→相手は協調しない →こちらも協調する誘因を失う ・相手が同じ契約を出す→相手は協調する誘因を持つ →こちらも協調する誘因を持つ OT:Mixed Oligopoly 27 問題点 契約にcommitするのが難しい。 ・相手に契約を見せた後、密かに自分の経営者と報 酬契約を再交渉して切り替えれば自社の利潤が増え る→secret recontractingしないことを相手に信じさ せることが困難。 ・はじめから報酬契約に関して2企業でカルテルを 結ぶのは競争法違反の可能性も OT:Mixed Oligopoly 28 相対利潤 各企業が自社の利潤ではなくライバルとの相対利潤 を最大化したら?(利潤の差を最大化) →よりaggressiveに生産する OT:Mixed Oligopoly 29 均衡 最大化の一階条件 P+P'Y1-C1' -P'Y2 →symmetricな均衡では価格=限界費用となる ⇒数量競争の文脈で寡占市場でも激しい競争になる典 型例 OT:Mixed Oligopoly 30 分社化 一つの企業を2つに分割し、それぞれが(結合利潤 ではなく)自社の利潤を最大化する →結果的によりaggressiveに生産する →ライバルの生産量が減る 2社以上に分割できたら? 分割コストが小さければ無限大に分割する →完全競争の世界(Baye et al (1996)) OT:Mixed Oligopoly 31 資本構成によるコミットメント Brander and Lewis (1983) 負債比率を上げることによって反応曲線を右方にシ フトさせる。 OT:Mixed Oligopoly 32 不確実性と最適生産量 Monopoly、線形の需要関数、限界費用一定、需 要が大きいか小さいかわからない状況で生産量 を決める。 問題 危険中立的な生産者と危険回避的な生産者 でどちらの生産量が大きくなるか? OT:Mixed Oligopoly 33 不確実性と最適生産量 Monopoly、線形の需要関数、限界費用一定、需 要が大きいか小さいかわからない状況で生産量 を決める。 問題 危険中立的な生産者と危険回避的な生産者 でどちらの生産量が大きくなるか? 解答 危険中立者の方が大きい OT:Mixed Oligopoly 34 企業価値と株主の利益 株 主 の 利 益 0 1 企業の収益 利得関数が凸関数になってしまう。→株主が危険中立 的でもあたかも危険愛好的なようになってしまう OT:Mixed Oligopoly 35 資本構成によるコミットメント Brander and Lewis (1983) 負債比率を上げることによって反応曲線を右方にシ フトさせる。 →不確実性の下で危険愛好的であるほど大きな生産 量を選ぶ OT:Mixed Oligopoly 36 strategic complementsなら? Y2 Cournot 均衡 企業 1の 反応曲線 企業 2の 反応曲線 Y2* 0 OT:Mixed Oligopoly Y1* Y1 37 strategic complementsなら? 企業 1の 反応曲線 Y2 企業 2の 反応曲線 Y2* 0 OT:Mixed Oligopoly Y1* Y1 38 Competition and R&D Does competition promote innovation? (a) Monopoly View: Monopoly power accelerates R&D. Monopoly profits ← incomplete financial markets Economies of the scale (b) Competition view: Arrow effect~replacement effect (c) Inverse U-shaped relationship Both monopoly and aggressive competition is harmful for R&D (d) U-shaped relationship Both monopoly and aggressive competition stimulate R&D ←relative performance approach OT:Mixed Oligopoly 39 Licensing 企業1の限界費用0(基準化) 企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) q=0→Fixed Fee F=0→royality qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) OT:Mixed Oligopoly 40 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Cournot Competition, 通常の仮定(戦略的代替等) 問題:企業1がtake or leave it の契約をofferできると してどんな契約をofferするか? OT:Mixed Oligopoly 41 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Cournot Competition, 通常の仮定(戦略的代替等) 問題:企業1がtake or leave it の契約をofferできると してどんな契約をofferするか? 解答:q=cのroyaltyタイプ←競争を激化させず最大限技 術移転の利益を得る。 OT:Mixed Oligopoly 42 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Hotelling Line上のLocation-Price Model, shopping 問題:最大差別化の立地を所与とする。企業1がtake or leave it の契約をofferできるとしてどんな契約を offerするか? OT:Mixed Oligopoly 43 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Hotelling Line上のLocation-Price Model, shopping 問題:立地を所与とする。企業1がtake or leave it の 契約をofferできるとしてどんな契約をofferするか? 解答:q=cのroyaltyタイプ←競争を激化させず技術移転 の利益を得る。~競争の形態にあまり依存しない結 果。但しinside inventorという仮定には強く依存。 OT:Mixed Oligopoly 44 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Hotelling Line上のLocation-Price Model, shopping 問題:最大差別化の立地を所与とする。ライセンス契 約を所与として、企業1の均衡価格は企業2のそれ と比べて(高い、低い、同じ)? OT:Mixed Oligopoly 45 Licensing 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Hotelling Line上のLocation-Price Model, shopping (1)ライセンス交渉(2)立地(3)価格競争 問題:均衡立地は? OT:Mixed Oligopoly 46 Matsumura and Matsushima (unpublished) 企業1の限界費用0、企業2の限界費用c>0 技術は特許で保護されているがライセンス供与可能 契約:企業2の払う特許使用料 F+qY(Y生産量) qの上限=c(cを超えるとこの技術を使わなくなる) Hotelling Line上のLocation-Price Model, shopping (1)立地(2)ライセンス交渉(3)価格競争 均衡立地は企業1の交渉力に依存 交渉力が強い→最大差別化 交渉力が弱い→企業1は真ん中による(threat pointを改 善するため) OT:Mixed Oligopoly 47
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