通訳翻訳論第八回

通訳翻訳論
通訳の実務
コミュニティー通訳
獨協大学 国際教養学部言語文化学科
永田小絵
コミュニティー通訳
地域のなかで
外国語を母語とする住民のために
教育、福祉、行政、生活支援などの
通訳や翻訳を行う
日本の外国人人口
平成24年2月22日 法務省入国管理局発表
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00015.html

平成23年末現在における外国人登録者数は,2
07万8,480人であり,前年に比べ,5万5,
671人(2.6%)減少した。

平成20年末をピークに3年連続で微減傾向が続
いており,平成23年末は,5年前の平成18年
末(208万4,919人)をわずかに下回った。

外国人登録者の我が国総人口1億2,773万人
(総務省統計局発表の平成24年1月1日現在概
算値による。)に占める割合は,前年に比べ0.
04ポイント減少し,1.63%となった。
出身地別外国人登録者数の構成比(平成23
年)
中国
 韓国・朝鮮
 ブラジル
 フィリピン
 ペルー
 米国
 その他

32.5%
26.2%
10.1%
10.1%
2.5%
2.4%
16.2%
外国人登録者数の推移
日本におけるコミュニティー通訳
日本が多言語社会になるにつれ需要は拡大
 人口の1%強が日本語を母語としない住民
 地域社会に住む外国人のために医療・福
祉・教育・司法など公共サービスの場での
通訳を提供
 会議の通訳などよりはるかに報酬が低いた
め、ボランティアで行われる場合が多く、
通訳の質については保証されないケースが
多い

参考資料

以下にインターネットで読める主な参考論文をピックアップ
しました。

多言語対応の必要性とコミュニティー通訳の役割
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/img/pdf/zenkoku05_PD2.pdf

中国帰国者の支援制度からみるコミュニティ通訳の 現状と課
題 http://www.ritsumeihuman.com/uploads/publication/ningen_21/p075-088.pdf

ブラジル人コミュニティにおけるコミュニティ通訳
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/img/pdf/s16_sato.pdf
地方自治体の
外国人住民向けサービス
外国人相談窓口
 外国人住民向け広報紙
 通訳ボランティアの紹介・派遣・募集
◦ 埼玉県の語学ボランティア募集例
→ポスター

http://www.sia1.jp/international/volunteer/
広報誌の例
http://www.city.saitama.jp/www/contents/1311597538996/files/gazoshiry
o_B-4.pdf
コミュニティー通訳の問題点
会議通訳、法廷通訳は長年の発展のな
かで形成されてきた基準を持っている
が、今のところ雑多な業務を何でも引
き受けているコミュニティ通訳には何
らの基準もなく、世界で唯一の統一基
準があるとすれば、それは「二カ国語
を話すかどうか」の一点につきる
 このため、コミュニティ通訳に対する
訓練も達成目標の設定はかなり困難

最近の動向
この十年ほどでコミュニティ通訳の果
たす役割が重視されるようになってき
ており、その業務範囲、定義、仕事を
するための最低限の能力基準、効果的
な訓練方法などに関しても検討される
ようになってきた
 世界各国のコミュニティ通訳について
コンセンサスを作り上げることが必要
 コミュニティ通訳者の身分の保証と職
業上のアイデンティティ確立を実現

コミュニティー通訳の実際
 では、ビデオテープでコミュニ
ティー通訳者が実際にどのような
働き方をしているかを見てみま
しょう。
 「ドキュメント にっぽんの現場
マリナの赤い電話」を視聴します。
30分間の番組です。
医療現場での通訳



かつては通訳訓練を受けていないコミュ
ニティー通訳が無償で行うこともあった。
しかし医療通訳は他者の人生を左右する
可能性が高く、内容の専門性も高いため、
通訳に際しての倫理規定の制定や、通訳
者の質及び報酬を保証するための資格制
度の必要性が投げかけられている
医療通訳関するNPO法人、研究会、勉
強会などが発足しはじめ医療通訳をコ
ミュニティー通訳から切り離して考える
べきであるとの認識も広がっている。