10章第4節 • 法人の形態をとる企業は、その課税所得に対して 法人税、住民税、事業税という3種類の税金が課され る。 • 課税所得の金額は損益計算書の当期純利益を基礎 とし、税法特有の調整項目を加算・減算したもの。 • 決算日から2カ月以内に課税所得と税額の計算を 記載した確定申告書を税務署長あてに提出し、税額 を納付しなければならない。 • 事業年度が1年の企業は確定申告の前に、半年が 経過したところで中間申告をすることが要求されてい る。 • 中間申告 (1) 前年度の税額の半分を納付する方法 (2) 経過した半年間について仮決算を行 い、その結果に基づいて算定した税額 を納付する方法 →企業は有利な方を選択すれば良い。 • 会計上の当期利益と税務上の課税所得は異なった 基準で計算される • 会計上の費用として計上されていても、税法の限度 以上にその費用を計上している場合には、税務上の 損金算入が認められない 税務上の課税所得=会計上の当期利益+申告調整 項目の加算または減算 • 差異には永久差異と一時差異がある。 • 永久差異 →当期に生じた不一致が将来にわたり永久に解消さ れないタイプの差異(受取配当金や交際費等の損金 不算入額) • 一時差異 →当期に生じた不一致が将来の会計期間において解 消すると予想されるタイプの差異(税務上の限度を 超えた貸倒引当金の繰入等) • • 法人税率44% 貸倒損失800、減価償却費200は税務上の要件を満たさない ため損金にならないものとする 税効果適用前損益計算書 税効果適用後損益計算書 売上高 10,000 売上高 10,000 売上原価 6,000 売上原価 6,000 販管費 1,000 販管費 1,000 経常利益 3,000 経常利益 3,000 貸倒損失 800 貸倒損失 800 減価償却費 200 減価償却費 200 税引前当期純利益 2,000 税引前当期純利益 2,000 法人税住民税事業税 1,320 法人税住民税事業税 1,320 (2000+800+200)×税率44% (2000+800+200)×税率44% 税引後当期純利益 680 法人税等調整額 △498 税引後当期純利益 1,178 • 一時差異は将来加算一時差異と将来減算一時差 異に分けられる。 • 将来加算一時差異 →解消時に課税所得を増額する効果を持つタイプの 差額(純資産の部に直接計上した資産の評価益等) • 一時差異が発生した当期において差額の額に税率 を乗じて算定した将来の税金の増加分を当期の税 金費用に追加計上する。 • 将来の税金の増加分は繰延税金負債という名称で 負債にも追加計上する。 • 将来減算一時差異 →差異の解消時に課税所得を減額する効果をもつタ イプの差異(貸倒引当金・退職給付引当金への繰入 等) • 将来減算一時差異の発生は当期の取引や事象の 結果として、将来の納税額の減少をもたらすが、こ れは当期に前払した税金が将来年度の納税時に減 額されると解釈できる。 • 当期に費用計上した法人税等から減額調整すると 共に繰延税金資産という名称で資産を認識する必 要がある。
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