2013 現代文明論 7 近代の2つめの原理 科学革命 近代科学以前 • 17世紀の近代科学以前は、イスラーム世界 の方が科学技術は発展していた • 科学革命は思考の枠組みが変わったことに よる(パラダイムシフト) • (村上陽一郎による) • 「科学革命」Scientific Revolution • バターフィールドが言い出した • 科学と宗教が分離したわけではない 中世から近代へ (科学革命の新しさ) アリストテレス以来の運動の概念 「すべて運動するものはつねに何ものかによって運 動させられている」 近代的科学の運動の概念 「静止」←アリストテレ ス的なコスモス的世界像の否定(伊東俊太郎)、近 代力学 中世 神・人間・自然の階層的秩序 近代 自然の機械論的非人間化(デカルト、 大きさ、形、運動)と自然の操作的支配(ベイコ ン) 科学革命キーワード コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、ニュートン の科学者の系譜 デカルト、スピノザ、ホッブズ(哲学・社会理論 の系譜) 発見、革新、証明、検証、創造性、発明 17世紀の科学革命 自然的世界の本性、研究方法、分析方法、表象の方 法の変化(科学という用語は19世紀に出現、自然哲 学が普通の使い方) ○フランシス・ベイコン(1561-1626)『ノヴ ム・オルガヌム』(1620)(アリストテレスの オルガノンの置き換え) ガリレオ(1564-1642)『新科学対話』(1 638) ヨハンネス・ケプラー(1571-1630)『新天 文学』(1609) 近代科学の特徴 運動の数学化(質の量化とグラフによる幾何学的 表現) 運動量の概念(空間は均質で、場所による差異は なく、すべての運動には同一の法則が働いてい る) 慣性の原理 落体の法則 地動説 →力学、物理学、天文学 ↓(アリストテレス以来の)目的論的・生気論的自 科学研究の3つの方法 1)演繹法: 合理主義の思想を背景に持ち、仮説とモデル設定 から数学的演繹によって真理に到達する(デカル ト的な方法、デカルト1596-1650) 2)帰納法: 経験主義を基礎にし、実験と観察によって大量の データを収集して統計分析により一般法則を導く (イギリスのフランシス・ベーコン1561-16 26) 3)解釈法: 理念主義を背景とし、一回限りの事例を質的に深 く研究することで、その奥にひそむ事象の本質を 解明する ひとつではなく、3つの方法を総動員することが 理想 科学革命 ベーコン デカルト ニュートン(1642-1727)万有引力 ハーヴェイ(1578-1657)血液の循環 (1628) 物理学、数学、化学、医学 ガリレイからデカルトへ ガリレオ:機械論(力学) 哲学的な根拠付けは、デカルト 心身二元論(現代において非難されるのは通俗化さ れたデカルト主義) 脱魔術化、呪術からの解放⇒合理化 精神と物質:分けることによって神の呪縛、魔術、 錬金術から解放される デカルトの学問の方法 (合理主義) 4つの方法の規則 1 明晰判明なもの以外は真として受け入れない 2 問題を十分な数の小さな部分に分割する(分 析) 3 最も単純なものから複雑なものに至る(総 合) 4 何も見落としていないか枚挙と通覧を行なう 心身二元論 「自然を量化してとらえる、つまり物体化するに は、自然を意識から、あるいは物体(物質)を精 神から区別することが必要であった。(中村雄二 郎) 自然学の基礎 心身の実在的区別から物質的事 物の本質は延長。これによって自然現象一般を統 一的、機械論的に説明可能→機械論的自然観の成 立 コギト・エルゴ・スム わたしは考える、したがってわたしは存在する デカルトの機械論的自然観 「彼が思考を本質とする思惟実体と縦、横、高さ の拡がりを本質とする延長実体とを峻別したと き、 それによって一方では、自然界の客体化と、 それに対する数学的合理性の全面的適用が可能に なるとともに、 他方では、人間精神の主体性と自由が保証された のである。」(中村雄二郎、18ページ) 科学革命の8つの特質 (伊東俊太郎「思想史のなかの科学」による 1 2 3 4 5 6 7 8 アリストテレス的世界像の崩壊 科学的方法 科学が累積的知識となる 科学的知識の進歩の加速性 制度としての科学の成立 科学と技術の提携 科学の社会へのインパクト 実践的・合理的な知識人の登場 17世紀科学革命の新しさ 1 2 数学的、機械論的自然観 実験・観察の手法(再現性、検証可能) 3 科学者の登場(実践的、合理的な知識人、知 識の公開性、科学者同士の共同作業) →科学革命による技術革新→ヨーロッパの産業・ 軍事的優位→ヨーロッパによる世界支配
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