2014/12/8 フランス学概説 12月8日 授業概要 デカルト デカルト デカルト 「私は考える、ゆえに私はある」 1.デカルトについて 2.『哲学の原理』 デカルト 1.デカルトについて René Descartes 1596-1650 フランスの哲学者。近代哲学の父と呼ばれる。あらゆる 知識の絶対確実な基礎を求めて一切を方法的に疑っ たのち、疑いえぬ確実な真理として「私は考える、ゆえ に私は在る」を見出し、そこから神の存在を基礎づけ、 外界の存在を証明し、「思惟する精神」と「延長ある物 体」とを相互に独立な実体とする二元論の哲学体系を 樹立。主要著作として、『方法序説』、『省察』、『哲学の 原理』、『情念論』など。 デカルト 方法的に疑うこと(「方法的懐疑」) 疑うことが目的ではなく、あくまでも手段としての懐 疑である、ということ。つまり、ただ単に疑うために 疑うのではなく、絶対に疑い得ない確実な真理を見 つけ出すために、少しでも疑いうるものを拒絶しよう とするやり方。 デカルト デカルト 「私は考える、ゆえに私は在るCogito ergo sum」 「二元論」 「方法的懐疑」の末にデカルトが到達した真理。私 は考えている、したがって、その考えているものとし ての私は存在する、ということだけは、どんなに疑 おうとしても疑うことはできない、ということ。 観念(精神)と物質(身体)を、二つの全く別のものと して区別する考え方。 参考: 「唯物論」:根本的なのは物質であり、観念はそこからいわば二次的 に生じるものとする考え方。 「観念論」:根本的なのは観念であり、物質は観念の対象としてしか 存在しないとする考え方。 1 2014/12/8 デカルト デカルト 2.『哲学の原理』 哲学の原理 Principia philosophiae (1644) 1) 概要 仏訳タイトル:Les principes de la philosophie 第一部「人間的認識の原理について」 1) 概要 第二部「物質的事物の原理について」 2) テクスト 第三部「可視的世界について」 第四部「地球について」 デカルト 2) テクスト(第一部の冒頭) 真理の認識を手に入れるためには、少しでも疑うこ とのできるものをすべて疑い、それを偽であるとして 斥ける必要がある。そしてそうした「方法的懐疑」の 後に、絶対に疑いえないものとして、「私は考える、 ゆえに私はあるJe pense, donc je suis」という真理 に到達することができる。 デカルト 哲学の原理 Ⅰー1 懐疑の必要性 Que pour examiner la vérité il est besoin, une fois en sa vie, de mettre toutes choses en doute autant qu’il se peut. 真理を探究するには、すべてのものについて、一生 に一度は、できる限り疑うべきである、ということ。 デカルト デカルト 哲学の原理 哲学の原理 Ⅰー2 懐疑を行う際の心構え Ⅰー4 感覚を疑う Qu’il est utile aussi de considérer comme fausses toutes les choses dont on peut douter. Pourquoi on peut douter de la vérité des choses sensibles. 疑わしいものは偽であるとさえみなすべきである、と いうこと。 なにゆえわれわれは感覚的事物について疑うこと ができるか、ということ。 2 2014/12/8 デカルト 哲学の原理 Ⅰー5 数学的真理を疑う Pourquoi on peut aussi douter des démonstrations de mathématique. なにゆえ数学の証明についても疑うことができるか 、ということ。 デカルト 哲学の原理 Ⅰー7 疑うことのできないもの Que nous ne saurions douter sans être, et que cela est la première connaissance certaine qu’on peut acquérir. われわれが疑っている間われわれは存在している 、ということは、疑うことができないこと。これが、順 序正しく哲学するときにわれわれの認識する最初 のものである、ということ。 デカルト 哲学の原理 Ⅰー8 二元論の主張 Qu’on connaît aussi ensuite la distinction qui est entre l’âme et le corps. このことから、精神と物体との区別、すなわち、思惟 するものと物体的なものとの区別が知られる、とい うこと。 3
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