中央学院大学 商学部 野村證券株式会社提供講座「資本市場の役割と証券投資」 経済成長と金融資本市場 2005年 4月 27日 野村資本市場研究所 野村 亜紀子 1.金融・資本市場とは • 資金に余裕のある主体(資金 の出し手)と、資金が不足して いる主体(資金の受け手)とが、 資金のやり取りをする場 • やり取りの方法:金融機関経由 (間接金融)、資本市場経由(直 接金融) • 資金の受け手の返済能力等に ついて、情報収集・分析が行わ れる • 資金の出し手は、出した資金が 戻らないリスクを負担する 金融・資本市場の分類 貸付市場 株式市場 長期 証券市場 公社債市場 貸付市場 短期 インターバンク市場 オープン市場 2 2.金融・資本市場と経済成長 金融・資本市場 家計 預金 銀行 貸付 企業・政府 設備投資等 「間接金融」 「直接金融」 有価証券の 取得 証券市場 付加価値 果実 3 経済成長 2.金融・資本市場と経済成長 間接金融、直接金融の特色 間接金融 直接金融 リスク負担 モニタリング 変成機能 銀行が、資金の 出し手に代わっ て、リスクを負 担 銀行が、専門性 を活かし、資金の 受け手の審査・ 監視をする 銀行は、短期・ 小口の預金を、 長期・多額の貸 付に変換する 資金の受け手 の返済不能リス クは、出し手自 身が負担 引受業務を行う 証券会社による 審査・監視 市場によるモニタ リング 流通市場を通じ た取引により、 投資家は証券 を換金できる 発行市場と流通市場の関係 • 発行市場では、投資家の資 金が発行体に払い込まれる • 流通市場では、発行済みの 有価証券が、投資家間で取 り引きされる • 流通市場で、有価証券の価 格が発見される。この価格 に基づき、証券発行価格が 決定される 4 2.金融・資本市場と経済成長 部門別資金過不足(対GDP比) 資金需要と資金供給の推移 15% 10% 5% 1999 1997 1995 1993 1991 1989 1987 1985 1983 1981 1979 1977 1975 1973 1971 1969 1967 -5% 1965 0% -10% -15% 非金融法人 (出所)日本銀行「金融経済統計月報」 家計 政府 金融 海外 5 3.金融・資本市場のこれまで 日本の実質GDP成長率 16.0% 14.0% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 高度成長期 第 一 次 石 油 シ ョ ッ ク バ ブ ル 崩 壊 低成長時代 4.0% 2.0% 0.0% -2.0%56 59 62 65 68 71 74 77 80 83 86 89 92 95 98 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 -4.0% (注)旧形式(68 SNA )、1990暦年基準 (出所)経済企画庁「国民経済計算年報」 6 3.金融・資本市場のこれまで 間接金融中心の金融・資本市場 株式の保有構造(金額ベース) • • • 高度成長期は、過少な資金を銀行 が配分 銀行は、企業のメインバンクとなる =債権者のみならず、株主となる 企業も、互いの株式を持ち合い、安 定株主となる 50% 45% 40% 金融機関 35% 長銀・都銀・ 地銀 個人 30% 25% • 「護送船団方式」 • 金利規制など、競争制限的規制、 横並び • 金融機関破綻のリスクを抑制、間 接金融システムの安定化 20% 事業法人 15% 外国人 10% 5% (年度末) 0% 70 73 76 79 82 85 88 91 94 97 00 03 (注)長銀・都銀・地銀は、金融機関の内数 (出所)東京証券取引所資料より野村資本市場研究所作成 7 3.金融・資本市場のこれまで バブルの発生と崩壊 公示地価 日経平均 450 600 400 500 350 300 400 250 住宅地 商用地 200 150 300 200 100 100 50 0 96 94 92 90 88 86 84 98 20 00 20 02 20 04 (注)1980年の価格を100とした場合 (出所)国土交通省土地鑑定委員会「地価公示の実施状況及び地価の状況」 82 80 19 80 19 82 19 84 19 86 19 88 19 90 19 92 19 94 19 96 19 98 20 00 20 02 20 04 0 (注)1980年の価格を100とした場合 (出所)日本経済新聞社 バブルの発生 • 銀行による土地担保融資 • 企業による財テク、土地投資 バブルの崩壊 • 土地担保融資の不良債権化 • 不動産、建築、流通などでの企業倒産 • 銀行の保有株式の含み益の減少 8 3.金融・資本市場のこれまで 不良債権(リスク管理債権)の残高推移 ( 兆円) 45.0 80.0% 40.0 70.0% 35.0 30.0 60.0% 25.0 20.0 50.0% 15.0 10.0 その他 都銀・ 長信銀・ 信託銀 都銀・ 長信銀・ 信託銀の割合 40.0% 5.0 0.0 30.0% 95 96 97 98 99 2000 2001 2002 2003 (注)年度 (出所)金融庁「16年3月期における不良債権の状況等(ポイント)」2004年7月30日 不良債権=銀行による元利金の回収が困難な債権(貸付等)。 リスク管理債権は、銀行法に基づく不良債権。このほかに、金融再生法に基づく開示債権、早期是正措置における自己査 定の債務者区分・債権分類がある。 9 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 1)業務規制の緩和・撤廃 銀行と証券業務の分離 48年 80年 83、84年 • • • • • • 証券取引法により銀行の証券業務の禁止(公共債を除く) 米国のグラス・スティーガル法がベース 中期国債投資信託(中国ファンド)の発売開始 実質的に、証券会社による普通預金の提供 国債の銀行窓販、ディーリング開始 国債大量発行に伴う措置 子会社方式による相互参入 93年 • 金融制度改革法により銀行、証券の相互参入が業態別子会社 方式で可能に • 銀行の証券子会社の業務規制(株式関連業務は不可) • 証券の信託銀行子会社の業務規制(貸付信託、年金信託等は 不可) • ファイヤー・ウォールの強化 さらなる規制緩和 97年 • • • • • 98年 99年 持株会社の設立禁止の解除 証券総合口座の導入 金融持株会社の設立も可能に 銀行の投信窓販開始 業態別子会社の業務範囲制限の完全撤廃 10 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 2)日本版・金融ビッグバン • 従来の緩やかな規制緩和では不十分と いう認識 • 日本の金融・資本市場活性化の必要性 • 1200兆円の個人金融資産の有効活用 の必要性 • 高齢化社会の到来を控え、金融資産の 運用の場を作ることの必要性 • 金融のグローバル化に取り残される危 険性 「2001年までに東京市場をニューヨーク、ロンド ンと並ぶ国際金融市場に復権することを目標に、 フリー、フェア、グローバル、すなわち市場原理 が働き自由であること、透明で信頼できること、 国際的で時代を先取りすることを三原則に掲げ、 規制の撤廃・緩和、ディスクロージャーの充実・ 徹底、会計制度の見直しや法制度の整備など に関係省庁が一体となって取り組みます」 (第139回国会の橋本総理大臣所信表明演説、 1996年11月29日) 96年11月、「日本版ビッグ・バン」の表明。 11 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 3)証券市場制度改革 ●証券会社の登録制への移行(98.12) 元々登録制だったものが、証券恐慌の後、1965年の証券取引法改正で、免許制になっていた ●株式売買委託手数料の自由化(99.10) オンライン証券会社による手数料引き下げ ●取引所集中義務の撤廃、私設取引システム(PTS)の導入(98.12) 取引所集中義務は戦後の「証取三原則」の一つだった。欧米ではPTSが発達 ●店頭市場改革、新興企業向け市場 Jasdaq市場、東京証券取引所のマザーズ、大阪証券取引所のヘラクレス ●企業会計基準の見直し(2001.3) 連結財務諸表、税効果会計、金融商品の時価会計、年金会計 ●証券税制改正(2003) 株式譲渡益・配当・株式投信収益分配金の税率統一、配当税制簡素化、株式譲渡損繰り越し ●証券仲介業(2004.4、2004.12) 証券会社の委託を受けてブローカレッジ取引の媒介などを行うことができる、証券仲介業の導入 12 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 4)投資サービス法の制定に向けて: 外国為替証拠金取引問題への対応 外国為替証拠金取引をめぐる トラブルの多発 98年の外国為替業務自由化後、外 国為替証拠金取引を取り扱う業者 が増加。商品先物会社、証券会社、 専業会社が参入 執拗な勧誘、断定的判断の提供、 説明不足、無断売買等の不公正取 引、出金依頼をしても拒否 訴訟に至るケースも 金融先物取引法改正 迅速な対応が必要という認識の下、 2004年6月に金融審議会第一部会か ら報告書 2004年10月、「金融先物取引法改正法 案」を国会に提出、同年12月に成立 業者登録、外務員登録 リスク情報の開示 適合性原則、勧誘規制 自己資本規制 主要株主規制 施行日:2005年7月1日 13 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 4)投資サービス法の制定に向けて 金融先物取引法改正による外国為替証 拠金取引問題への対応は、「迅速な対応 が必要」という認識に基づく 投資サービス法に関する議論の始まり 金融サービス法 投資サービス法 投資商品・投資サービス業の範囲 • • 銀行・保険を除く 機能的アプローチ 証券取引法 規制の内容 • • • 顧客の分類(プロ・アマ区分) 商品の違い 適合性原則・不招請勧誘の要不要 投資信託法 金融先 物取引 法 等々 集団投資スキーム 法執行 14 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 5)「資金の出し手」の動き 預金中心の個人金融資産 現預金 金融債 国債・ 地 社債 株式 投資信 方債・ 公 託 団債 1965 60% 2% 1% 0% 16% 3% 1970 63% 3% 2% 0% 12% 2% 1975 64% 4% 2% 1% 10% 2% 1980 64% 4% 3% 1% 7% 2% 1985 58% 3% 4% 1% 8% 3% 1990 54% 3% 2% 1% 9% 4% 1995 56% 2% 1% 1% 7% 3% 2000 53% 1% 1% 0% 5% 2% (注)2000年のデータは統計作成方法がそれ以前と異なる。 (出所)日本銀行「金融経済統計月報」 信託 保険 年金 その他 5% 6% 6% 6% 7% 7% 7% 2% 12% 13% 12% 13% 15% 21% 25% 18% 10% 7% 15 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 5)「資金の出し手」の動き 日米の個人金融資産(2004年12月) その他,6% 債券,6% 現預金, 13% 米国 投資信託,12% 株式・出資金,34% 保険・年金準備金, 29% (36.8兆ドル) 投資 信託,債券, 3% 3% 日本 その他,5% 保険・年金準備金, 26% 現預金,55% (1424兆円) 0% 20% (出所)日本銀行、FRB 40% 株式・ 出資金, 8% 60% 80% 100% 16 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 6)投資に関する知識の普及を目指す動き 金融・投資に関する教育の現状 • 貯蓄尊重から投資重視へのシフト • 個人投資家の積極的な市場参加を 促す環境整備が必要 ●公的機関等 例:金融広報中央委員会 • 中立的立場からの金融経済情報・資料の提供、学習支援 ●証券団体 例:日本証券業協会 • 一般消費者と学校教育に分け、それぞれの発達・習熟レベルに 応じた活動を展開 • 金融庁、金融広報中央委員会、証 券業協会などが、冊子、ウェブサイ トなどを通じて情報提供 • 個別証券会社なども努力 • 確定拠出年金の導入が、投資教育 の向上の契機となるか? ●個別証券会社 • 広範なプログラムを体系的に提供している会社、個別対応的な 会社、受動的な会社など ●マスコミ 例:日本経済新聞 • 幅広い読者層を対象に、証券会社等とタイアップして活動展開 ●NPO • 投資クラブの支援、カウンセラー派遣、教育講座の提供 (出所)長崎大学経済学部大学院 川村雄介教授の2003年11月21日、金融審議 会金融分科会第一部会での発表資料 17 4.適正な金融・資本市場のあり方の模索 7)ペイオフ解禁 ペイオフ解禁のスケジュール 2002年3月末 02年4月~05 まで 年3月末まで 05年4月~ 当座預金 別段預金 対 象 預 金 等 普通預金(決済用) 〃 (それ以外) その他の預金等 (定期預金、定期積金、 元本補てん契約のある 金銭信託、金融債(保 護預り専用商品)等) 対象以外の預金等 (外貨預金、譲渡性預金、 元本補てん契約のない金 銭信託、金融債(保護預か り専用商品以外)等) 全額保護 合算して元本1,000万円まで とその利息等 破綻金融機関の財産状況に 応じて支払 (一部カットされることがある) • ペイオフとは:金融機関が預金の払い戻し を停止した場合などに、預金保険機構が預 金を保護する(預金者に直接、保険金を支 払う)こと • ペイオフの一時凍結:96年から2001年3月 までの5年間、「全額保護」の導入(期限延 長で2002年3月までとなる) • ペイオフ解禁:ペイオフの凍結を解除する こと。預金保険の対象となる預金は、預金 者1人当たり元本1000万円までとその利息 等の合計額となる(「定額保護」) • 2002年12月の預金保険法改正により、当 座預金、普通預金、別段預金の全額保護 の期間を2005年3月末まで延長し、2005年 4月以降は、利息付与がないなどの条件を 満たす「決済性預金」が引き続き保護され ることに 18 5.少子高齢化時代の到来 1)着実に進む少子高齢化 • 放っておけば労働力人口は減少・高 齢化 →労働力率の引き上げ? →生産性の向上? • 財政赤字の増加、社会保障費の負 担増 →国債の大量発行 →年金制度の維持困難 →健康保険制度の維持困難 • 貯蓄率の動向、金融商品の選択(ア セット・アロケーション)の保守化? (注)中位推計 (出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成14年1月推計) 19 5.少子高齢化時代の到来 2)公的年金改革 衆参両院合同会議での議論 2004年公的年金改革 ① 現役世代の負担が過重にならないよ う、年金保険料負担に年収の18.3%と いう上限を設定する ② 給付水準を引き下げるが、下限は現 役世代の平均賃金の50.2%(モデル世 帯の場合) ③ 国民年金に対する国庫負担を現行の 3分の1から2分の1への引き上げを実 現する しかし、出生率が予想以上に低 下しており、早くも実効性に疑問 年金制度一元化 消費税など財源問題 自民 • 厚生、共済の一 元化が現実的 • 基礎年金の国庫負担を引 き上げる中で消費税など の財源手当を 公明 • まず厚生と共済 の一元化実現 • 社会保障制度全般の見直 しの中で税と保険料、負担 と給付を見直す 民主 • 全国民を対象に 一元化 • 年金目的消費税を創設し、 基礎年金部分を全額税で 賄う 共産 • 保険料の大幅引 き上げ、給付の引 き下げを懸念 • 消費税を大増税しても財 政は悪化する 社民 • 基礎年金部分の 一元化を目指す • 消費税増税には反対だが 社会保障財源の見直しは 必要 (出所)2005年4月15日付け日経新聞 20 5.少子高齢化時代の到来 3)確定拠出年金の導入 確定拠出年金の導入状況 確定拠出型年金(企業型)の概要 (2004年11月30日時点) 掛金 企 業 従 業 員 の 個 人 口 座 指ら ( 従 図が 業 )運 員 用 の自 預金 MMF 公社債投信 株式投信 など 証 券 市 場 企業型(2004年11月末時点) 規約数: 1114 実施事業主数: 3311社 従業員数: 112.2万人(10月末時点) 個人型(同年11月末時点) 加入者数: • うち自営業者: • うち企業従業員: 38,184人 17,263人 20,921人 (出所)厚生労働省年金局 21 6.まとめ • • 金融・資本市場は、資金の出し手と資金の受け手が、資金のやり取りを行う場である。 効率的な金融・資本市場の存在は、一国の経済が成長する上で、不可欠といえる。 金融・資本市場を経た資金移転には、間接金融と直接金融の2タイプがある。保険、 年金、投資信託などを介する、両者の中間型も重要な役割を担う。 • 日本の経済成長と金融・資本市場のあり方を振り返ると、間接金融中心、メインバンク の存在、株式の持ち合いといった特色が見いだされる。バブル崩壊後、これらの特色 が見直され、変化が始まった。 • 不良債権問題が深刻化する中で、金融資本市場のあり方を抜本的に見直そうとする 諸改革が進められた。間接金融偏重を解消すべく、証券市場の抜本的な改革が推進 されてきた。 • 資金の出し手である個人の預金偏重には、決定的な変化は見られないが、ペイオフ 解禁の影響が注目されている。証券税制改革など、個人の株式投資促進を目指す施 策も行われている。 • 少子高齢化が日本の経済や金融・資本市場に与える影響についても考える必要があ る。喫緊の課題としては、年金制度改革がある。 22 <補論:ケース・スタディ> 経済成長と金融・資本市場の関わり方:世界銀行 23 世界銀行とは 業務内容 国際連合の専門機関の一つ。第二次世界大戦後の経済復興を目的 に設立された機関。184ヵ国が加盟し、途上国などへの開発援助の資 金を提供している。 貸出の方針 「国際復興開発銀行(IBRD)」-世界銀行 政府または政府保証のプロジェクトのみに貸出を行う。 適格国は、一人当たりGNPが一定水準(現在では895ドル)を超えて いることが条件。 ※債務履行能力が低い国々に対する無利子(但し0.75%の手数料あ り)の超長期融資は、国際開発協会(IDA)が行っている。 24 世界銀行の活動 貸借対照表(2004年6月期) 総資産2,290億ドル 流動性資産330億ドル その他資産 900億ドル 貸出残高 1,060億ドル 負債・資本2,290億ドル 負債残高 1,080億ドル その他負債 860億ドル 自己資本350億ドル (注)「貸出残高」は貸倒引当金等を含んだ純額 「その他資産」は通貨・金利スワップに関する未収金。「その他負債」は通貨・金利スワッ 25 プに関する未払金。 世界銀行の活動 ローン残高と広義の資本金 (%) (億ドル) 2,140 2,500 55.1 55 2,000 1,500 60 広義資本金に対する借入比率 53.9 53.6 50.2 50 1,070 45 40 1,000 35 500 0 30 2000 ローン及び 授権資本 保証残高 準備金 純利益 (注)2004年6月期 01 02 03 ※広義の資本金のうち授権資本は「コーラブル資本」と払 込資本から成る。コーラブル資本は世銀債投資家への 支払を行う目的のためだけに出資国に追加出資を請求 できる制度で、2004年6月末に1782億ドル。ただしこれ 26 までに発動されたことはない。 世界銀行の活動 セクター別貸出 給水・ エネル 衛生・ ギー・ 治水 教育 鉱業 産業・6% 5% 3% 貿易 6% 農業・ 漁業・ 林業 6% 金融 11% 保険そ の他社 会サー ビス 16% (注)2004年6月期 地域別貸出 法律・ 司法・ 行政 24% 欧州・ 中央ア ジア 26% 運輸 23% 南アジ ア 7% 東アジ ア・太 平洋 15% ラテン アメリ カ・カリ ブ 43% 中東・ 北アフ リカ 9% 27 世銀債の発行 債券発行実績 ・1947年に初めて発行(2.5億ドル) ・グローバル債の発行:米ドル建て (89年)、円建て(92年)ドイツマ ルク建て(93年) ・外国発行体として初めてメキシコペソ、 チリペソ建て(00年)、ブラジル・レ アル建て債を発行。 ・e-bond(2000年)の発行 史上初、発行市場から流通市場までの 手続きをインターネット上で行える債 券 ・現在では、多様な通貨・期間を用いて、 年間120~200億ドルを起債。 (但し、ユーロ統合後は、起債通貨数 は減少) (億ドル) 世銀の起債額推移 300 250 200 150 100 50 0 97 98 99 00 01 02 03 04 (年度) 起債通貨数 28 18 21 12 13 9 10 9 10 世銀債の発行 債券の種類別発行割合の推移 (注) ストラクチャー債=特定の投資家のニーズを満たす具体的な特徴を持った債券 普通債=固定利付きのエマージング諸国通貨債等 グローバル債=主要国投資家向けに同時販売される債券 29 世界銀行と日本 日本と世界銀行 ・日本は、1952年に加盟。 ・第二次世界大戦後の復興期において、日 本はインフラ再構築の為のローンを世銀 から借入れた(1953~66年の間に31 プロジェクト、総額8.6億ドル) ・90年に日本は、世銀からの借入を完済。 ・2002年6月末時点で、日本は第2位 出資国となっている。 日本における主要プロジェクト ・53年:発電設備(関西、九州、中部電力) ・60年:名神高速道路 ・61年:東海道新幹線 ・66年:東名高速道路(東京-静岡間) 日本は、世界銀行の成功例です。 30 世界銀行と日本 世界銀行と日本の資本市場 • 70年、初の世銀サムライ債を 発行 • 87年、初の大名債を発行 • 90年、初の二重通貨建て世 銀債を発行 • 94年、初のユーロ円ストラク チャー世銀債を発行 2000年以降、個人投資 家の外貨投資の活発化に 伴い、個人による世銀債 への投資も拡大 31
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