相続税・贈与税の調査状況 - 佐々木英子税理士事務所

平成27年12月1日発行
第37号
発行者:佐々木英子
税理士事務所
2015
12
札幌国税局は、平成26事務年度(平成26年7月~平成27年6月)に実施した、相続税の実地調査の
状況を公表しました。この事務年度期間内に行われた相続税の調査件数は381件となっており、その
うち、期限内提出の申告書に対する調査が344件、無申告による調査が37件となっています。
相続税における申告漏れ財産
右のグラフは、平成22事務年度から平成
26事務年度までに実施された相続税の実地
調査で、申告漏れ相続財産の金額の構成比
を表したものです。
これを見ると圧倒的に「現預金」の申告
100%
90%
80%
内容としては、自宅の金庫などに現金を
置くことで銀行の残高証明に記載しないよ
37.0
42.1
43.9
32.8
70%
その他
60%
現預金
50%
40%
漏れが多いことが分かります。
38.5
37.5 44.1 35.0
30%
20%
10%
0%
うにするケース、被相続人が亡くなる前に
39.6
38.1
有価証券
家屋
8.7
3.3
10.0
1.8
12.2
6.5
1.6
10.8
11.5
1.9
9.5
6.5
0.4
9.1
15.6
22
23
24
25
26
土地
まとまったお金を家族の預金口座へ移動させておくケース、または、何年も前から家族の名義で作っ
た“名義預金”口座へ被相続人の財産を預け入れしておくケースなど、様々なケースが考えられます
が、税務当局からすると、どれも調査で見つけることが容易なケースばかりです。
当事務所で相続税申告の事案を扱う際は、被相続人の現預金の流れを確認することは当然のことな
がら、必要に応じて相続人の通帳も確認させていただき、申告漏れが発生しないように細心の注意を
払っています。
贈与税における申告漏れ財産
現預金の申告漏れは、相続税だけではありません。
4.4%
右の円グラフは、平成26事務年度における贈与税申告
2.5%
1.5%
14.5%
家屋
における申告漏れ贈与財産の内訳を示したものです。
有価証券
この年度における申告漏れ贈与財産は総額5.3億円程度
現預金
とのことでしたので、その77%となると約4億円以上の現
預金が申告漏れと指摘されたということになります。
土地
77.1%
その他
「現金を受け取っても跡が残らないから税務署に見つからない」と思われている方もいらっしゃる
かもしれません。しかし、税務署の情報収集力は一般の方の考えを遥かに上回っています。
もちろん、生前贈与は相続税対策における、有効手段の一つになります。ただし、今の税制は非常
に複雑になっているため、自己判断は禁物です。生前贈与をご検討される際は、専門家である税理士
に事前にご相談ください。