遺伝子の解析 第1弾 DNAについて&PCR法 遺伝子とは? DNA(Doexyribo Nucleic Acid) • 2本の鎖がお互いに絡まりあったような構造 • 規則正しく螺旋状になっている構造 • 前に進むにつれて右巻き(時計回り)に回る構造 二重螺旋構造 double helix 1回転(ピッチ)で34Å=10base ヌクレオシド〔nucleoside〕 とヌクレオチド〔nucleotido〕 二重螺旋構造の各々の鎖はヌクレオチドという 単位の繰り返し(重合)でできています。 アデニン(A)、グアニン(G)というプリン塩基、シトシン(C)、チミン(T)という ピリミジン塩基にデオキシリボースという五単糖が結合したものをヌクレオシ ドといい、さらにリン酸が結合したものをヌクレオチドという。 A 5´ 4´ 3´ 2´ 糖Sugar 1´ + P + T G C ヌクレオシド = P リン酸 Phosphate 塩基Base ヌクレオチドNucleotide DNAの模式図 P P P P P P 3´末端 P 5´末端 水素結合 A G A A C T C T C T T G A G 5´末端 3´末端 P P P P P P P DNAについてのまとめ どこにあるの か? 何をしているのか? 細胞核(ミトコンドリアにも全DNA量の 約0.1~0.2%を含む) どのような構造か? 2本のポリヌクレオチド鎖が、A-T、G-Cの 水素結合による塩基対を形成し、10対を 一巻きとする、右巻きの2重らせん構造。 その他 遺伝情報の伝達 1、DNAのA/T比、G/C比はほぼ1。 2、(A+T)/(G+C)の比は生物種により固有。 0.35~2.70の値をとる。ヒトでは1.52、酵母では1.79、大腸菌で は0.95。 3、DNAの分子量は数百万以上。ヒトでは細胞1個 あたり約5~6pgのDNAを含む。 DNAの変化 • DNAは加熱(通常70℃以上)によりdouble helixがほど けてランダムコイルになる。これを変性(denaturation)ま たは融解(melting)という。 • 変性が進むにつれて紫外吸収(260nmの吸光度)が増 大し、完全に変性すると40~50%の吸光度変化が見ら れる。これを濃色効果(hyperchromic effect)という。 • 50%の変性が起こる温度を融点(Tm:midpoint temperature)という。水素結合が3対あるG-C結合は、2 対のA-T結合より安定なのでG-C結合が多いほどTmは 高い。 • 変性したDNA溶液を冷却すると、相補的な鎖はひとりで に結合して元の2本鎖に戻る。これをアニーリング(焼きな まし)という。 PCR(Polymerase chane reaction)法 PCR法と は? ステップ1(Denaturation:熱変性)、ステップ2( annealing:焼きなま し)、ステップ3(Extension:伸長反応)の3ステップを1つのサイクルと して1つのテンプレート(鋳型)DNAから2つの複製を作り出し、この反 応を何サイクルも行うことでDNAを指数関数的に大量に増幅させる方 法 指数増幅期 サイクル数 プライマー 5´ スタート時 0 1個=2 個 1サイクル終了時 2サイクル終了時 1 2 2個=2 個 4個=2 個 Ex) 25 25サイクル行うと2 個 ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・・ PCR産物の増幅 nサイクル終了時 n 2 個 33,554,432個 PCRの各ステップについて ステップ1(熱変性:denaturation) まず93~95℃に加熱することにより二本鎖になっている、テン プレート(鋳型)となるDNAを引き離しプライマー(DNAを酵 素的に合成する際に使われる20~30塩基対の短いDN A断片。 増やしたい部分の両端に結合する塩基配列を持 つ。)がテンプレートに結合できるような状況をつくる。 テンプレートDNA 5´ 3´ 3´ 5´ テンプレートDNA 5´ 3´ 3´ 5´ 加熱(93~9 5℃) 5´ 3´ 3´ 5´ 5´ 3´ 3´ 5´ ステップ2(アニーリング: annealing) それぞれの一本鎖の相補的な部分にプライマーが二本鎖を形成 できる(annealing)温度まで冷却し、伸長反応が起こるようにする。 3´ 5´ 5´ 3´ 3´ 3´ 5´ プライマー 5´ 冷却(50~60℃) 5´ 3´ 3´ 5´ 5´ 3´ プライマー 3´ 5´ 冷却(50~60℃) 3´ 5´ 3´ G G T G C C C A C C C G G G T C A T A ステップ3(伸長反応: Extension ) プライマーを起点として耐熱性DNAポリメラーゼ酵素により5´ から3´方向にDNA合成が起こり、DNAの2本鎖が作られる。 耐熱性DNAポリメラーゼ 完成 DNA 鎖の伸長反応 (5´→3´へ向かう) プライマー P OH P P 5´末端 3´末端 G A A C T DNAポリメラーゼにより次のTに相補的な P が選ばれ、3´末端の-OH基が 5´末端のリン酸基とホスホジエステル結 G 合する T T A 3´末端 新しくできた部分 P P テンプレートDNA P P P OH P P P 5´末端 A G A A T C T T G 3´末端 P P P P PCR法の臨床応用 • • • • 結核菌、その他の細菌検査 HCV核酸定性、定量検査 ミトコンドリア病の診断 非侵襲的出生前診断(母体血中を循環し ている胎児細胞を用いる) • 染色体異数診断 などなど・・・・・・ 参考文献など 改訂 遺伝子工学実験ノート(羊土社) 改訂第2版 生化学ガイドブック(南江堂) 遺伝子の部屋 http://web.wtez.net/n/s/ns54007/gene/gene_main.html DNAシークエンス (ABI PRISM310を用いて遺伝子の配列を読む) 原理 オートシークエンサー(ABI PRISM310)のための反応では合成さ れるDNAを蛍光物質で標識します。このDNAを電気泳動し、泳動中 にレーザー光を当て励起光を自動で検出し、コンピューターで解析し ます。 ABI PRISM310について ABI PRISM310でのシークエンス反応はサイクルシークエンス法 とよばれる方法で行っています。まず、PCR反応でA,G,C,Tそれぞ れに、励起する波長が異なる4種類の蛍光色素をddNTPにつける 方法(Dye Terminator法)を用い、その標識されたDNAフラグメント を内径50μmのキャピラリー管のなかで電気泳動を行いA,G,C,Tそ れぞれの蛍光をCCDカメラで検出し、塩基配列を読むことができる。
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