113 ABI ・脈波検査時に急性動脈閉塞症を疑い発見に至った一例 ◎田中 伊都子 1)、安達 知子 1)、畠 伸策 1)、山下 祐一 1)、西浦 明彦 1) 独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 1) 【はじめに】急性動脈閉塞症とは、血栓症や塞栓症により のみだが、中枢側の腋窩動脈レベルまではカラードプラ上 急に動脈が閉塞し、血流が途絶える病態である.早急に治 血流を検出できなかった.血栓閉塞部位の末梢側に微弱な 療をしないと肢切断を余儀なくされることもあり、早期の collateral flow の流入を認めるものの、左前腕部の橈骨動脈、 診断・治療は非常に重要である.今回 ABI、脈波検査を施 尺骨動脈にはエコー上明らかな血流は検出できなかった. 行した際に急性動脈閉塞症を疑い、上肢エコーを追加検査 【CT】左上腕動脈近位部に約 88mm にわたる閉塞認める. することで、早期診断・治療ができた症例を経験したので 報告する.【症例】88 歳女性【主訴】20XX 年 4 月 28 日朝、 【ECG】HR67 NSR NAD ST-T change 【経過】同日緊急入院となり動脈血栓摘除術がされた。術 突然の左上肢の冷感、疼痛を自覚.近医を受診し左上肢の 後は橈骨動脈触知可能となり、本人の疼痛も軽減され、末 血流障害が疑われ、同日当院血管外科に紹介受診となる. 梢冷感も改善された. 【既往歴】左下顎歯肉癌、高血圧、左膝骨折、左手首骨折、 【結語】患者の主訴、状態などを直接確認できる事は、私 境界型糖尿病【理学所見】左手指触覚低下、左上腕動脈・ たち生理検査担当技師の強みである.検査時に患者の状況 橈骨動脈・尺骨動脈で拍動触知不良 を聞き取ることは、緊急性や検査結果の妥当性を確認する 【ABI 検査】上肢血圧 右 165mmHg 左 158mmHg 足関節圧 右 169mmHg、ABI 1.02 上で重要であり、今回のように患者の QOL に関わってくる 場合もある.時に患者待ち時間の解消のため、検査時間の 左 153mmHg、ABI 0.93 短縮が叫ばれることもあるが、検査を急ぐあまり、重要な 【手脈波検査】左 5 指ともに平坦波を認めた. 患者のサインを見逃さないよう注意することが必要である. 【上肢動脈エコー検査】上腕中間部において上腕動脈に可 動性を有する新鮮血栓を認めた.明らかな血栓は上腕動脈
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