NHKスペシャルとトレードオフについて

シリーズ:著者の回答
030901
質問-010(Sf社、オプト・エレクトロニクス開発、W.M氏)
トレードオフの実施は難しそうであった。理論的な説明が必要というが、「NHKスペシャル」も
その理論データとしては曖昧であるような気がしますが・・・?
回答―010
「使用目的の明確化」→「設計思想とその優先順位」で始まる「システム工学設計法」を少し
は理解していただけましたでしょうか?
「設計思想とその優先順位」という設計行為や設計プ
ロセスに慣れていない設計者にとって、「トレードオフ
の実施とその理論的証明は難しい」と感じるかもしれま
せん。
先ずは、「優先順位」の設定がなければ、何々と何々
の優先順位を入れ替える行為の「トレードオフ」という
言葉自体が成り立たないことを理解してください。
これに関しては、国語の世界なので説明を省きます。
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國井 良昌 All rights reserved.
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シリーズ:著者の回答
030901
前記の「理論的証明」をあまり深く、堅く、考えないでください。あなたが機械系設計者である
ならば、今ではもう誰にでもできるようになったCAE(FEM、有限要素法コンピュータ・シミュレ
ーション)を実行したり、機械、電気、ソフト系を問わず、実験室で簡易実験をすれば良いの
です。
問題は、この簡易なCAEや実験を省いてしまうことや、この件を設計審査で問わない、問わ
れないことが、今、設計現場で起きている大きな問題 の一つなのです。
講義中に観ていただいた、「NHKスペシャル・CTスキャナにおける設計思想の熾烈な戦い」
のような、つまり、GE工場内に病院を設置して、本物のガン患者を送り込み、最新鋭CTスキ
ャナによる1500枚の断層写真を撮影し、米国の医学会でも影響力を有するウィスコンシン医
科大学・デニスフォーリ教授らとの「ワーキング・トゥゲザー」で、CTスキャナーの設計品質で
ある「高画質」と「撮影時間の短縮」のトレードオフの成立を証明する大掛かりなプロジェクト
の発足も、たまには必要となるでしょう。
従いまして、「NHKスペシャルもその理論データとしては曖昧であるような気がしますが?」
とご質問されていますが、むしろ、我々にはなかなか真似のできない大プロジェクトを発足さ
せ、十分なデータを基に「トレード・オフの理論証明を成立させた」と、私は考えています。
いかがでしょうか?
以上
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