人 を知るとは何 を知ることか

人を知るとは何を知るこ
とか
McAdams, D. P. 1995. What do we
know when we know a person? Journal
of Personality 63: 365-396.
パーソナリティ
• ひとの理解・記述
• Personology観相学
• 「記述とは、観察を、コミュニケー
ション可能な形態へと翻訳すること」p.
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3つのレベル
• 特性 traits
• 個人的関心 personal concerns
• アイデンティティ;ライフストーリー
特性記述
• パーソナリティ心理学で主流
• だが、十分ではない;それだけで、あ
るひとを理解したとは言えない
傾向的特性
dispositional traits
•
•
•
•
相対的にいうと条件に依存しない
相対的にいうと文脈に依存しない
一般的には線形的(加算的)
明示的にそう言われていないが比較を
意識したもの
5大要因モデル
• 外向ー内向 Extraversion
• 情緒安定性 Neuroticism
• 経験へのオープンさ Openness to
Experience
• 誠実性 Conscientiousness
• 愛想の良さ Agreeableness
単なる構成概念
という批判
• 「特性」は構成概念(説明のために構
成されたもの)」であり、ひととその
行動の理解には無効
• 300年まえの魔女と同じ
反証1
• 特性は単なる言語上の便宜物ではない。
• 「特性は、観察者の心の中にあるにす
ぎず、観察対象の人びとの行動にある
のではない」という批判があったが、
研究の結果、人びとの行動やパーソナ
リティの違いを反映していると判明。
反証2
• 特性の多くは、長期的な一貫性を示す
が、それは顕著である。
• 外向性や情緒安定性は、長期にわたっ
て安定しているという調査結果。
反証3
• 集約すると、特性は、行動をかなりよ
く予測する。
• パーソナリティ特性の個人差は、その
特性と関係すると理論的に考えられて
いる行動と強い相関を示す。
反証4
• 状況の効果が特性の効果より強いこと
は少ない。
• 状況要因が行動を予測する力を再吟味
したところ、パーソナリティ特性によ
る予測ほどではなかった。
反証5
• 5大要因モデル Big Five model
• 多くの研究の結果が、特性の5大要因
へと収斂している。
特性モデルへの批判
• 表面的;還元的;非理論的;帝国主義
的
• 特性は単なるラベルにすぎない
• 特性は環境を無視する
• 特性があてはまるのは、集団内の得点
分布に関してのみで、個々人ではない。
著者の評価
• これらの批判にもある種の妥当性はあ
るが、にもかかわらず、特性はひとに
ついて重要な情報をもたらしている。
• 批判者は、特性に多くを求めすぎてい
る。たほう、パーソナリティと特性を
等値している人びとも同じ。
特性とは
• 社会的な重要性が証明されている、一
般的で線形的な次元の制限された一連
において、あるひとの相対的な位置に
ついての推定値を提供するもの。
• 比較上のものであり、相対的に条件に
依存していないからこそ有用。
特性評定
• 評定するときに、評定者は対象者を、
ほかの人と比較する。
• 条件的な評定は無意味:「わたしの能
力がおびやかされたときに、私の支配
性が現れる」
見知らぬひとの心理学
• その人を知れば知るほど、不十分とな
る。
• 特性カテゴリーに合わない情報、条件
依存的、文脈依存的な情報に通じる必
要が生じる。
レベル2
個人的関心
• 動機;価値;防衛機制;適応スタイ
ル;発達上の問題と関心;個人的がん
ばり;個人的プロジェクト;現在の関
心;ライフタスク;アタッチメントス
タイル;条件依存的パタン;中核的な
葛藤関係テーマ;自己ー他者パタン;
領域特有のスキルと才能;戦略と戦術、
など
特性との違い
•
•
•
•
以下の点で文脈依存的
時間:発達
場所:教会;野球場;教室;パーティ
役割
アイデンティティ
レベル3
•
•
•
•
西欧社会の中流階級の大人
過去200年の民主主義の発展
「わたしは何者か」
各人は、自己を「発見・確立」する必
要がある。
• それを確立するまでは、L1と2の束
統合と目的の感覚
• 構築プロセスが必要:ストーリー
• 一貫していて、ほかの人がそれについ
ていくことができる、生き生きした語
りにおいて、自己を語ることができる
ように、大人はアイデンティティを創
出する。この語りによって、
ライフストーリー
としてのアイデンティ
ティ
• ひとは、社会へと生産的なやり方で統
合される。また、昨日の自己がどのよ
うにして今日の自己となり、明日の予
期される自己となるかを説明する、目
的に満ちた自己ストーリーも提供して
くれる。
• 本人と親しくなることが必要。
L3への誤解1
• ストーリーは、方法とも構成概念とも
なるが、両者は同じではない。
• たとえば、TATで成功のストーリーが
話されたとしても、それは、達成動機
そのものではない。達成動機という構
成概念の1つの測度。
L3への誤解2
• アイデンティティは自己の1つの性質
であり、自己そのものではない。
• 自己のうちの、統一と目的という性質。
L3への誤解3
• アイデンティティがストーリーである
としたら、ストーリーの用語で理解さ
れる必要がある。
• 特性などの用語で、分類したり評価し
たりすべきではない。
L3への誤解4
• パーソナリティ記述の3つのレベルは、
概念的にも、認識論上も独立である。
• 特性から個人的関心が派生しているな
どと考えるのは時期尚早。
残されたもの
なぜ?
• 第4の概念:遺伝;経験
• 自覚と無意識
• 意識主体としての「われ」
南のポイント
• 認知体系として<−>内部に
• 「行動」の説明・理解
• ライフストーリーとしてのアイデン
ティティ