機械工学基礎実験Ⅰ・Ⅱ 実験レポートの書き方

機械工学基礎実験Ⅰ
機械工学基礎実験Ⅰ・Ⅱ
実験レポートの
実験レポートの書
レポートの書き方
1. レポート作成
レポート作成の
作成の心構え
心構え
(1)技術文書作成技術の大切さを知る。
技術者の仕事は、開発・設計、研究、実験、調査などが主である。これらの仕事は、成
果を報告書(レポート)や論文にまとめて完了する。技術者の仕事の1/3は、技術文書
作成であるといわれ、作成した文書の良否で仕事を評価されることが多い。技術文書作成
技術(テクニカルライティング)の重要性を認識し、その能力向上に努めること。
(2)レポートを作成する目的と読者を考える。
レポートは、自分が伝えたい内容を相手(読者)に正確に伝える手段である。学生実験
のレポートは、実験目的を理解して正しく実験を実施したことおよび実験を通して得た自
分の考え(考察)を教員に報告するものである。教員(読者)にとって読みやすくわかりやすい
レポートを書くには、実験の目的,内容,結果、そこから得た問題点、考察を簡潔・明解
にまとめること、および事実(実験結果)と意見(考察)を区別して書くこと。
(3)自分で考え、自分の考えを相手に伝える。
考察とは自分の考えを述べることであり、レポート作成で最も重要な部分である。
他人のレポートや文献の転記ではまったく意味がない。自力で考察を書かない者は、自分
の考えが無いといえる。自分で考えることは、問題発見・解決能力向上の第一歩である。
「考察」
:物事を明らかにするためによく調べて考えること(広辞苑)
。
:物事を明らかにするためによく調べて考えること
(4)著作権を尊重する。
他人の著作の無断転用、盗作は、著作権違反(社会的には犯罪)である。安易にコピー、
や転写をしないこと。参考書や文献を参考にした場合は、本文中の引用箇所を明示し、巻
末に引用文献(出典)を参考文献として掲載すること。
技術文書作成能力向上のため教科書
技術文書作成能力向上のため教科書
中島利勝,
中島利勝,塚本真也著 「知的な科学・技術文章の書き方」 (コロナ社)
コロナ社)
実験の進め方および技術文書作成能力向上のための参考書
実験の進め方および技術文書作成能力向上のための参考書
G. L. Sqires,
Sqires, 重川秀美ほか訳 「いかにして実験をおこなうか」 (丸善)
中本高道著
「電気・電子計測入門」 (実教出版)
高橋昭男著 「ザ.
「ザ.テクニカルライティング ビジネス.
ビジネス.技術文書を書くためのツール」 (共立出版)
共立出版)
木下是雄著 「理科系の作文技術」中公新書 (中央公論新社)
中央公論新社)
三島 浩著 「技術者・学生のための テクニカル・ライティング」(
テクニカル・ライティング」(共立出版)
共立出版)
1
2. 実験レポート
実験レポート作成前
レポート作成前に
作成前に
2.1 実験をはじめる前の準備
(1) 実験指導書の目的・原理・考察課題などをよく読み、
実験指導書の目的・原理・考察課題などをよく読み、十分に理解すること。
十分に理解すること。
実験前に予習をして実験に臨むことが重要である。実験の意義、実験指導書に記述された
サンプル、式・図・表などを理解すること。不明点があれば調べておくこと。
(2) 予習をし、
予習をし、実験レポート作成に着手すること。
実験レポート作成に着手すること。
予習をし、事前課題の解答を必ず作成すること。実験レポートの前半部分は、
実験の構成図、条件、実験結果の表(フォーマット)を含めて予習段階で書ける。
(3) 実験ノートを用意して
実験ノートを用意して、
トを用意して、実験結果、
実験結果、実験中の注意事項を書きとめること
実験中の注意事項を書きとめること。
注意事項を書きとめること。
実験ノートに記録した内容をもとに、実験結果、実験条件は実験した日に整理すること。
実験はグループ単位で行うが、
実験はグループ単位で行うが、実験レポートは各自が作成すること。
実験レポートは各自が作成すること。
2.2 実験レポートの構成
(1) 表紙・用紙は指定のものを使用すること。
表紙・用紙は指定のものを使用すること。用紙はすべてA4
用紙はすべてA で統一すること。
で統一すること。
(2) 夢工房Ⅱ・Ⅲ
夢工房Ⅱ・Ⅲの
Ⅱ・Ⅲの実験レポートは手書※
実験レポートは手書※とする。
とする。鉛筆を使用しても
鉛筆を使用してもよい。
よい。
ワープロと手書きの混在は原則として不可とする。
ワープロと手書きの混在は原則として不可とする。
(3) グラフは原則として手書きとし、
グラフは原則として手書きとし、各自が作成すること。
各自が作成すること。波形図のプリント
出力等を除き、
出力等を除き、コピーは不可。
コピーは不可。
(4) 他人のレポートのコピー、
他人のレポートのコピー、指導書や文献の転写は不可である。
指導書や文献の転写は不可である。
※本書にはワープロを用いた場合の書き方についての説明が掲載されているが、夢工房Ⅲでは手書きのみでレポートを作成す
ること。(今後、ワープロを使用したレポート作成のときには参考にすること。)
実験レポートは実験終了直後に、
実験終了直後に、実験ノートを参照して作成するのが最も
実験ノートを参照して作成するのが最も能率的
最も能率的。
能率的。
実験レポートの構成を図1に示す。記載すべき項目が欠落しているレポートは、書き直
しや失効(0点)の対象となるので、注意すること。
- 表紙
1. 実験日時・天候・室温
2. 実験の目的
3. 使用機器・試料
4. 実験の概要
5. 実験内容と実験結果
考察
6. 検討課題と回答
7. 結論
- 参考文献・付録
- 再提出時に不使用になった初回レポートのページ(再提出時のみ)
図1 実験レポートの構成
2
3.わかりやすいレポートを書
わかりやすいレポートを書くための文書作成技術
くための文書作成技術
教科書「知的な科学・技術文章の書き方」もよく
教科書「知的な科学・技術文章の書き方」もよく読むこと
もよく読むこと。
読むこと
3.1
わかりやすい表現
(1)章・節・項・パラグラフ
)章・節・項・パラグラフ
(a) 章,節,項番号は、ポイントシステムにより規則正しく番号をつけること。
項番号は3桁までとし、1.1.1.1のように4桁以上は使用しないこと。
(例) 1.
(章)
1.1
(節)
1.1.1
(項)
↑
頭をそろえるとよい。
数字と数字の間のピリオドは半角とする。
各章,節,項の中で、箇条書きする場合は、章,節,項から一段下げて書く。
以下の例のほかに丸数字(①,②など)も併用してよい。
↓
章,節,項から一段下げる
(1) ((2) (3) ・・・・・・)
(a) ((b) (c) ・・・・・・)など
(b) 「実験内容」
、
「考察・検討」などの章の書き始めは、改ページするのがよい。
(c) パラグラフは、1 文字下げて書き始める(字下げ)
。
(2)
)文体,
文体,用語
(a) 文体を統一する。実験レポートは「
「である」
である」調で書くこと。
(b) 用字・用語・記号等は、レポート全体で統一する。略語は最初に使うときに説明
する。 例:ディジタルマルチメータ(以下DMMと略す)‥‥
(c) 実験概要・実験内容・検討課題などは、テキストでは指示・命令文になってい
るが、レポートにはそのまま書き写さず、報告者の立場で書くこと。
例: ・・・・・特性を測定せよ。 → ・・・・・特性を測定する。
(3)正しい日本語表現
)正しい日本語表現
自分の言いたいことを、正確に読者に伝えるには、工夫が大切である。
(a) 正確に解釈できる文、一文一意(別の意味に解釈されない)の文を書く。
(b) 主語とそれに対応する述語を明確にし、文のねじれが無いようにする。
(c) 文法的な誤り、漢字の誤り、複雑な構文、回りくどい表現は避ける。
(d) 事実と意見を明確に区別して書く。意見は考察に書く。
(e) 「・・と考えられる。」「・・と思われる。
」「・・と言える。
」「・・がわかる。」「・・を見
てわかるとおり・・」などのぼかし表現は使わず、事実は「である。」と断定的に
書く。意見は「
(自分は)・・・・と考える。
」のように書く。
(f) 「まず最初に、・・・・」
「次に、・・・・」
「ここで、・・・・」などの無意味な接続詞や接
続句、あいまい接続の「‥‥が、‥‥」を使わず、簡潔な文とすること。
詳細は教科書「知的な科学・技術文章の書き方」の第1章をよく読むこと
詳細は教科書「知的な科学・技術文章の書き方」の第1章をよく読むこと。
書「知的な科学・技術文章の書き方」の第1章をよく読むこと。
(g) ひらがな書き、漢字書きする形式名詞・助動詞・副詞
3
3.2 表,リスト,
リスト,グラフ
グラフ,波形図および図の書き方
波形図および図の書き方
1.ひらがな書きする形式名詞
変化の極大点あたりで
検討したうえで
再実験のおりには
結果を考察したかぎりは
ウイルスくらいの寸法
解明したことは
試料ごとに実験した
測定のたびに検定した
実行するつもりであった
測定条件は以下のとおり
測定したときには
調査したところ
A,B,Cなど
増大するはずである
AよりBのほうが大きい
Aが小さいほどBは大きい
(動詞)ものである
つぎのように示される
納得したわけではない
2.ひらがな書きする助動詞
~という意味である
減少していく
移動している
用意しておく
停止しかけた物体
断定しかねる
膨張しきる
理解してくる
心臓が動きだす
考えついた解決策
計算してみる
3.ひらがな書きする副詞
あえて
あらかじめ
いかにも
いずれ
いったん
いつも
おおよそ
かえって
かって
すべて
ただ
たちまち
たまに
ついでに
ついに
とっくに
とても
どのみち
どのくらい
どれほど
なお
なおかつ
なぜ
まえもって(前もって)
まことに
まず
ますます
まだしも
まっすぐに
むしろ
めったに
もしも
もちろん
もっとも(最も)
ようやく
よくも
よろしく
わざと
わざわざ
わずかに
4.漢字書きする副詞
一応
一概に
一段と
一度に
多かれ少なかれ
思いのほか
概して
必ず(しも)
偶然
早速
終始
十分
徐々に
少なからず
少し
全然
全部
早々
絶えず
確か
例えば
多分
単に
都合
当然
特に
特別に
突然
残らず
後ほど
初めて
再び
万一
見るからに
最も(もっとも)
要するに
(下線の語は特に注意)
「知的な科学・技術文章の書き方」の第5章をよく読む。
「知的な科学・技術文章の書き方」の第5章をよく読む。
4
3.2.1 表の書き方
(a) 表番、
表題は何を表すのかが一目でわかるようにつける。
表番、表題は表の上に配置し、表題
表題は表の上
表題
単位は項目欄に示す。
(b) 表の項目欄は何を示すのかが一目でわかるようにする。単位
単位
(c) 余分な罫線を省きシンプルにする(「知的な科学・技術文章の書き方」参照)
。
(d) 計算データがある場合は、その計算過程
計算過程(計算式)を例示する。
計算過程
(e) 測定データの有効桁
有効桁、計算結果データの有効数字桁数に注意する。
有効桁
(f) 条件の異なる測定結果も、測定条件欄を設けて一つの表にまとめる。
図 3 に表の書き方の例を示す。
表XX ベース電流をパラメータとしたVCE-ic 特性測定結果
Vcc(V)
0.05
Ib=20μA
のとき
0.180
Ib=40μA
のとき
0.280
Ic(mA)
Ib=60μA
のとき
0.500
Ib=80μA
のとき
0.780
表X 電流計 100mA端子の電圧、電流の読みと内部抵抗
電流(mA)
0
10
20
電圧(V)
0
0.100
0.200
内部抵抗(KΩ)
-
10.0
10.0
計算例=‥‥(算式)
平均値=‥‥
Ib=100μA
のとき
1.000
表x RSフリップフロップの真理値表
入力
S
R
0
0
0
1
1
0
1
1
次の状態
Qn+1
Qn
0
1
機能
S
0
0
1
1
図3 表の項目設定,タイトルの例
3.2.2 プログラムリストの書き方
学術論文あるいはプログラム言語関係の書籍におけるプログラムリストの記述様式は必ずし
も統一されていない。学会あるいは書籍によっては図として扱っているもの、
「リスト」として
扱い、図と区別しているものがみられる。
プログラムリストを図として扱うことを前提とするが、研究の分野によってはリスト扱いが
ふつうの場合があり、実験テーマによって「リスト」として書くように指示される場合がある。
「リスト」として書くように指示された場合は、指示に従う。
(テーマによって指示が違うので
はなく、どちらの方法もありうると理解すること)
プログラムをリストとして扱いレポートを書く場合は、レポート全体で統一し、プログラム
リストの上部にリスト番号(連番)とタイトルを書くこと。
5
3.2.3 グラフの書き方
グラフは原則として手書きとする
(1) グラフの書き方
(a) 用紙を十分に使って大きく書く。縦書きでは左側に、横書きでは上側に綴じ代の余白、
横書きでは上側に綴じ代
下側には図題を書く余白を取る。なお、
用紙の天地を考えて作成のこと
負 荷 電 流 (mA)
5
グラフ用紙周辺の余白部は使用しない。
グラフ用紙周辺の余白部は使用しない
(b) 図 4 にグラフの例を示す。縦軸、横軸
を決め、軸名称
軸名称,
単位,目盛を書く。
目盛
軸名称,単位,
縦軸は独立変数、横軸は従属変数とする。
(c) 目盛間隔は“1”
“2”“5”など最小目盛が 軸名称
目盛線
読みやすい値になるようにする。
“3”
“4”間隔は使わない。適当間隔で目盛
測定データのプロット
4
3
2
近似直線・曲線
定規(曲線定規)使用
1
目盛単位
0
10
20
40
30
抵抗値(KΩ)
値を記入する。
(d) 測定データのプロットは、明示する。
(e) 近似直線は、プロット点を単に結ぶよう
図4 グラフの例
な安易な引き方はせずに、最小二乗法で
求め定規で書く。
曲線はフリーハンドで書かずに曲線定規
(自在定規,雲形定規)を使用して書く。
図4
グラフの例
(f) 条件の異なる複数のグラフを 1 枚に描く
場合は、各グラフの条件を書く。
(g) グラフの図題
図題(タイトル)は、何のグラフ
図題
かが一目でわかるようにつける。
(h) 図5に片対数グラフ用紙への記入例を示す。
(2) 最小二乗法
実験では2つの量 x と y を測定し、グラフ
図5 片対数グラフの例
から両者の関係を求める場合がある。2つの
量が直線的な関係をもつ場合に直線の式(実
験式) y = mx + b を求めることになる。
y
実験式のパラメータ m と b を決めるために、
. . .. ..
.. . .
P2
以下に示す最小二乗法が用いられる。
図6はグラフの例である。一つの量 x の測定
値を x1 , x 2 , LL x n とし、これに対応する他の量
A
Q1
P1
y の測定値をそれぞれ y1 , y 2 , LL y n とする。
Q3
Q2
P4
Q4
Q5
B
P5
P3
( x1 , y1 ) , ( x 2 , y 2 ) ,……, ( x n , y n ) を座標に
持つ点をそれぞれ P1 , P2 , LL Pn とする。
これらの点は、ほぼ直線 AB 上にあるものと
し、直線 AB の式 y = mx + b を求める。
6
x
0
図6 測定データのグラフとの近似直線
直線式 y = mx + b の未知パラメータは m,b の2つであり、誤差がなければ直線上
の2点 P1 ( x1 , y1 ) ,P2 ( x 2 , y 2 ) を取り出して連立方程式を立てれば m,bは求められる。
しかし、測定誤差があり、測定点が一直線状にない場合には、 P1 , P2 , LL Pn のプロット
に最も近い近似直線の m,b を求める必要がある。
いま、 P1 , P2 , LL Pn を通り、 y 軸に平行な直線と近似直線 AB との交点をそれぞれ
Qn ( xn , y n ) として、次式の二乗誤差U が最小になる
Q1 ( x1 , y1 ) Q2 ( x2 , y 2 ) ……
ように、 m と b を求める。
U = P1 Q1
2
2
+ P2 Q 2
+ L L + Pn Q n
y
2
= ( y1 − y 1 ) 2 + ( y 2 − y 2 ) 2 + L L + ( y n − y n ) 2
P2
ここで、 y i = mxi + b (i = 1,2, LL , n) である。
Q2
A
と近似直線上の点の間の距離を示している。
P1
各測定点と直線間の距離の二乗の和が最小にな
∂U
=0
∂b
n
∑
i =1
i =1
n
(
∑x
xi 2 )m − (
2
i
)b = 0
i =1
n
∑
yi ) − (
∑ x )m − nb = 0
i =1
i
i =1
となる。この式を解いて m と b を求めると次のようになる。
n
n
n
n (∑ xi yi ) − (∑ xi )(∑ yi )
t =1
m=
i =1
n
i =1
n
2
n (∑ xi ) − (∑ xi ) 2
i =1
n
2
i =1
n
n
n
(∑ xi )( ∑ yi ) − (∑ xi )(∑ xi yi )
b=
i =1
t =1
n
2
i =1
n
i =1
n( ∑ xi ) − (∑ xi ) 2
i =1
i =1
このようにして求めた直線 y = mx + b
が近似直線となる。
7
)
x
n
∑
y1 − mx1 − b
図7 最小二乗法の説明図
n
xi yi ) − (
B
0
を求めれば、
(
P3
(
る近似直線を求めるので最小二乗法という。
∂U
=0
∂m
Q5
B
B B
Q4
P5
Q1
PnQn は図7に示すように各測定値のプロット点
U を m, b で偏微分して0とおいて
P4
Q3
3.2.4 波形スケッチ図の書き方
(a) 用紙を大きく使って書く。縦書きでは左側に、横書きでは上側に綴じ代
横書きでは上側に綴じ代をとり、下側に
横書きでは上側に綴じ代
は図題を書く余白を取る。グラフ用紙の余白部(罫線の無い部分)は使用しないこと。
(b) 縦軸、横軸を決め、軸名称
軸名称,
“2”
“5”など最小目
軸名称,単位,
単位,目盛を書く。目盛間隔は“1”
目盛
盛が読みやすい数値にする。
“3”
“4”間隔の目盛は使わない。
(c) オシロスコープ画面の目盛は、波形
の振幅や周期を読むためのものである。
観測波形を図にするときは、時間軸は
正の部分を書く。軸目盛には v/div,
ms/div ではなく、電圧・電流値、時間
の目盛をつける。図8に例を示す。
(d) 波形をプリント出力した場合も、軸名,
時間t(ms)
図xx
軸目盛,単位を書く。
位相差測定回路の入力と出力の関係
(e) 複数の波形を1枚に書く場合は、それ
ぞれの波形の条件を示す。
(f) スケッチ図は図として扱う。図題(タイ
トル)は、何を表しているかが一目でわ
かるようにする。
図8 波形スケッチの例
3.2.5 図の書き方
(a) 「科学・技術文書作成教科書」には、論文の図は立体図や現実感のある図とし、読者
にインパクトを与える工夫がいると書かれているが、夢工房Ⅲレポートに記載する実
験の構成図や回路図は、簡潔な線図、ブロック図でよい。
(b) 図題(タイトル)は、図の下に書く。何を表しているかが一目でわかるようにつける。
図8、図9に例を示す。
LED0
F
+5V
+5V
14
13
12
11
9
10
8
14
13
NOR(7402)
1
2
3
4
5
12
A
B
10
9
8
NAND(7400)
6
7
1
2
3
GND
SW0 SW1
11
4
5
6
7
GND
図9 実験2の回路の実態配線図
SW3
C
図,表,リスト,グラフは,現れる順に本文中で説明し,次ページなど適切な場所に挿入して,読者が
読みやすくする(図やグラフはレポート巻末に纏めて記載する事や説明と離れたページに置かない)。
8
4. レポートの各章
レポートの各章・
での注意事項
各章・節での注意事項
以下の説明では、図、表の番号は本章の中での連番となっている。
4.1 実験レポートの
実験レポートの基本様式
レポートの基本様式
(1)表紙
)表紙
レポートの表紙は、報告書用表紙(緑色)を
購入して使用する。
以下の内容が正しく記載されているかを
確認すること。
・レポート提出日付印の捺印
・科目名
・実験テーマ名(実験テキストに記載のもの)
・実験年月日(2 日あれば両日を記入)
・班番号(グループ名)
・報告者の学年,学籍番号,氏名
・共同実験者名
図1 レポートの表紙
(2)本文用紙の使い方
)本文用紙の使い方、
)本文用紙の使い方、綴じ方
レポート本文の用紙は、すべてA4版で統一すること。手書きの場合は大学指定のレポ
ート用紙を使用する。ワープロで提出する場合は、A4版の印刷用紙を使用する。
グラフはすべて手書きとする。グラフ用紙(方眼,方対数,両対数)を使用すること。
レポートの各ページは以下のように使用すること。
ページ番号
(a) 綴じ代を考え、図2に示すように左側に最低
12
20mm の余白を取る。
(b) グラフ用紙を使用する場合は、左側余白枠、
下側余白枠からに 20mm 以上内側に軸を描く。
20mm 以上
表題はグラフ用紙の中に書き、グラフ用紙の
グラフ用紙の
余白部に表題などを書かないこと。
余白部に表題などを書かな
3点をとめるか、綴り紐を使い2穴で綴じる。
綴 じ代
(c) 左側をホチキス、ガチャック(ガチャ玉)で
(d) 用紙を横に使う場合(グラフ・図など)は、
グラフ・図の上側を綴じ代側にする。
(e) ページ番号は用紙の右上部に記入する。
図2 用紙の使い方
4.2 レポートの各章・節での注意事項
レポートの構成にしたがって、レポート作成上の注意事項を以下、順に説明する。
1.実験日・実験時間、天候,室温
次の例のように書く。なお、実験が 2 週にわたった場合は対象実験番号を付記する。
9
(実験1~3)
日
時
2006年4月26日(水) 13:30 ~ 16:40
天
候
曇のち雨
室
温
18.5℃(15時現在)
2.実験の目的
実験指導書に記述している実験の目的は、実験の対象(何についての実験なのか)、実験
の意義(何のために、どんなことを学ぶのか)を列挙している。この実験の目的をよく理解
し、実験を通してどのように目的を達成するかを考え、自分の学び方を方向付けることで
実験の結論に導いていくようにすることが「実験の目的」意義である。このような意味か
らも、何を学習し、将来何に役立てる基礎とするのかを表記しており、しっかりその意味
を理解することから実験が始まっていることを理解しておくことが大事である。また、そ
のような目的とは別に、実験結果は時として予想しない結果が発生することもあり、その
要因を考察検討することも重要な要素といえる。ただ、実験は「目的を持って始め、その
目的が達成できたかどうかを検証し、その検証結果を結論として述べる」手順が重要なプ
ロセスになることから、指導書の「実験の目的」に自分の目的を付け加えられれば、その
結果を検証するプロセスを学習した意味はさらに大きいと云える。この意味で指導書の内
容は最小限であり、出来れば丸写しではなく、自分の考えを入れた形で作成することを推
奨する。
3.使用機器および実験試料
実験に使用した装置・機器の名称,型名,製造番号(シリアル番号:Ser. No.)
,メーカ名
を書く。主な仕様・定格なども併記する。使用したソフトウェア製品は、名称,版名,ベ
ンダー名などを記述する。詳細が表記されていない場合は、わかる範囲で書く。
使用機器と実験試料(実験に使用した部品等)は、以下の例のように分けて書く。電源
コード,プローブ,信号ケーブル,リード線などは機器の付属品なので表には書かない。
(a) 使用機器
例:
表 1 使用機器一覧
機器名
オシロスコープ
直流電圧計
( 0.3/1/3/10/30 V )
型名
SS-7605
205105
製造番号
52273211
74BA0126
メーカ
岩崎通信機(IWATSU)
横河電機製作所
(YOKOGAWA)
(b) 実験試料
例:炭素皮膜抵抗器 100Ω, 4.7kΩ 各 1 本、キャパシタ 100μF , 10μF 各 1
個
4.実験の概要
実験全体として、どのような内容の実験を行ったのか、この報告書で何を訴え、主張す
るのかを 300 文字程度で簡潔に書く。実験指導書の本文を転写してすまさないこと。
(原
理や装置構成、実験手順の詳細を書く必要はない。
)
実験結果をまとめて実験レポートの本文、
実験結果をまとめて実験レポートの本文、考察を書き終ってから書くのがよい。
考察を書き終ってから書くのがよい。
10
(参考)論文の要約(abstract)に相当する。論文では要約は重要であり、要約と参考文献を
見ればどのような研究かわかる。読み手に興味を起こさせ、読む気にさせるために
も重要であり、本論文を書き終わってから最後に書くのがよいといわれている。
時制:過去に行った実験行為や操作を説明する場合は過去形を用いるが、実験結果など
レポート作成時点でも変わらない内容を述べる場合は現在形で書く。
○○○の実験をおこなった。実験方法は○○を○○する方法をとった。△△の結果が得られた。
5.実験内容および実験結果
5.1 章・節の構成
例1のように実験項目ごとに節を分けて記述する。例1で(1)~(3)とするかわりに 5.1.1
~5.1.3 のようにしてもよい。複数の実験項目がグループになっている場合は、例2の構
成でもよい。 例 2 では(1)~(3)の部分を 5.1.1.1~5.1.1.3 のように 4 桁にしない。
例1 5.1 実験項目1
例2 5.1 実験グループ1
(1)実験内容
5.1.1 実験項目1
(2)実験方法
(1)実験内容
(3)実験結果
(2)実験方法
(3)実験結果
5.2 実験項目2
:
:
5.1.2 実験項目2
:
:
5.2 文体・用語
(1) 実験レポートでは、文体は「である」調に統一する。
(2) 句読点の組み合わせは「,」
「.
」または「、
」
「。
」とする。
(「,
」
「。
」は使わない)
(3) ワープロ使用時は、数値や単位には半角文字を使用する。例)50mA,0.50V
5.3 各項目の記述方法
(1) 実験方法
実験手順、実験装置、実験条件を簡潔に説明する。文章よりも図を活用すること。
実験時の構成図、回路図は必ず自分で作成する。図を作成する過程で理解を深めるこ
とができる。実験条件や使用ソフトウェアがあれば示す。
図には、図の下に図番と図題を書く。図番は通し番号をつける。図題は一目で図
の内容がわかるようにつける。また、本文で図を参照する。
実験方法の記述は、現在形で書く。
例:図1に直列共振回路実験の回路図を示す。電流計のG端子とコンデンサのE端
子は一緒にして接地する。
(実験構成と条件の説明の例)
図(内容省略)
図1 直列共振回路の実験回路(図番と図題の例)
(2) 実験結果
実験で得られたデータを表で示す。測定データの有効桁に留意する。測定データを用
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いて計算する場合にも有効桁に注意する。計算方法、計算過程を必ず書くこと。数値
には必ず単位をつける。
グラフ化したほうが理解しやすいもの、グラフ作成を指示されたものはグラフを書く。
(a) グラフは原則として
グラフは原則として必ず
原則として必ず手書きとする
必ず手書きとする。
手書きとする。
(b) 図、グラフ類
。
グラフ類は、本文中に順序良く入れる(巻末にまとめない)
(c) 表には表番(通し番号)、表の上に表番と表題を書く。図には通し番号をつけ図
の下に図番と図題を書く。グラフは図として扱う。リスト番号、題はリストの
上に書く。表,図,リストのタイトルは読んだだけで内容がわかるようにする。
プログラムリストは「図」扱いのほか、
「リスト」扱いも認める。
(d) 本文中で表,図,リストを必ず参照する。
(e) 時制:実験の途中の操作についての記述は過去形で書く。レポート作成時点の
作業は現在形で書く。
例:正弦波発信器の周波数を1MHz に固定し、可変コンデンサ C のダイヤルを変
化させた
させたところ、その目盛が
18.645 のときに、回路の電流が 168mA で最大
させた
(共振状態)となった
なった。
なった。
コンデンサCを固定し、かつ抵抗R=0[Ω]として、周波数 f を変化させた
させた場
させた
合電流Iの変化を測定した
した結果を表1および図2に示す
示す。
した
示す。
(
「示した」
示した」とはしないこと
しないこと)
こと)
表1 直列共振回路の周波数特性の測定結果(表番と表題の例)
表(内容省略)
図(内容省略)
図2 直列共振回路の周波数特性曲線(C=220PF,R=0Ωのとき)
(図番と図題、条件を表現した例)
6.検討課題・考察課題
6.1 考察の意味
実験では必ず実験内容および実験結果に対する考察を行う。学生実験では実験結果
の報告部分には大きな個人差はなく、学生個人の独自性が発揮されるの「検討・考察課
題」の部分である。学生実験では、得られた結果と得られるはずの結果と違いを検討・
考察することが主になる。したがって、考察とは実験の感想文や反省文ではない。
論文では、研究内容(結果)について述べた後、自分の行った結果を客観的に見て、従来の研究と
比べてどこが優れているか、残された課題は何かを議論する論議または考察が重要な部分である。
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以下に、考察を行う際の留意事項を示す。
(a) 実験書では、考察課題として実験に関連した考察のヒントを与えてある場合がある。
課題の意味をよく理解して、自分で考え、自分の言葉で解答すること。考察する段階
で、不明点や疑問が発生したら、テーマ担当の教員あるいは副手を訪ねて確認し、内
容を十分に理解すること(これが勉強である)
。
(b) 課題として与えられているものは最低限の考察課題であり。余力がある場合は、その
他、本実験に関する考察があれば述べよ。
(c) 参考文献、参考書を参照して学ぶことは重要であるが、実験内容との関連性を明確に
したうえで引用すること。参考にした文献類は、本文に出てくる順番に実験レポー
ト巻末の参考文献リストに番号をつけて列挙し、本文中で引用した箇所に番号をふ
って引用箇所を明示する。分権の丸写しやツマミグイ的転写は考察と認めない。
(d) 過去のレポートや他人のレポートを転記しないこと(明白な転記は失効対象)
。
(e) 誤差については、系統誤差と偶然誤差があるので、考慮して考察する。
誤差率 :
真値-測定値
真値
平均値-測定値
× 100[%] または近似的に ×100[%]
平均値
偶然誤差: 真値の周辺で正、負均等にばらついて値がふれる誤差
系統誤差: 測定値が系統的に真値からずれた周辺でばらつく。測定器の校正誤差、
測定者の癖イによる読取り誤差,温度,湿度,電界,磁界等の環境誤差
など
7.結論
2.章の「目的」に、記述したことが、最終的に達成できたかどうかを書く。
目的と結論は対応させること。
ただし、「‥‥を目的とする。」に対応して「‥‥を確認した。
」というような目的文の
オウム換えして的な結論もしくは「・・・・・を理解した。」か「・・・・・を学習した。」のような
何の意味もない抽象的で具体性がない表現は結論ではないため書かないこと。
8.参考文献
他人の研究成果を引用して報告書をまとめたことを明示し、著作権を尊重するとともに
著者に敬意を表する。引用は研究ではよく行われることで盗作とはまったく違う。
(a) 検討・考察課題で参考にした参考文献を、実験レポートの本文で引用した順番に、
一連の番号をつけて記載する。その文献の番号を実験レポート本文で引用した箇所に
○○○(1)、□□□(2)のように示すこと。
(b) 参考文献は、単行本、論文などにより以下の例のように記載する。
(1) 電大太郎、鳩山花子:
“創造工学系夢工房Ⅲ実験”
、創造工学社、pp.20-29、 2003
(2) 電大太郎:
“論文タイトル”
、○○学会論文誌、Vol. 1、No. 2、 pp.210~216、 2005
(3) “ホームページタイトル”
:http://[email protected]/jikken、
研究論文では、他の研究者の論文を参照した場合は必ず参考文献に掲載する。多く
の研究者の論文に引用される文献は学会への貢献度が高いと評価される。
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9.自己チェックシート
実験テーマごとに、自己チェックシートが用意されている。実験レポート用のチェック項
目が挙げてあるので、作成したレポートの自己レビューに活用する。なお、レポート作成
後はレポート提出時に最終ページに添付してレポートと一緒に提出すること。この自己チ
ェックシートはレポートの再提出等の見直しをかける際も自分の判断との食い違いを確認
する為にも利用することから、各項目に基づいて自分のレポートを再度見直しレポートの
質を高める作業に役立てること。
5.レポートの再提出
レポートの再提出、
再提出、書き直し時の注意
5.1 再提出時の実験レポートの修正方法
1)再提出を命じられた場合は、朱書きコメントおよび指摘事項にしたがって実験レポー
トを修正する。
2)初回レポートのページで、修正によって不要になったページは
不要になったページは、
不要になったページは、修正レポートの最終
ページの後
ページの後に綴じて提出する。
3)再提出を命じられたレポートのページ再利用
レポートのページ再利用について
レポートのページ再利用
・軽微な修正
軽微な修正については初回レポートのページの再利用を認める。
軽微な修正
軽微な修正とは、章・節番号の振り直し、誤字・脱字の修正、用語の修正、単位の
修正・追加、ページ番号の修正、図番・表番の修正、図題・表題の修正、文の一部
修正などであり、修正後のページが読みにくくならない場合をいう。
再提出レポートの返却時に副手に確認すること。
・ページを再利用して軽微な修正を行う場合、原文を書いた筆記用具、教員が朱書き
コメントした筆記用具とは異なる色(例えば青)の筆記用具で修正内容を記述する。
ページの狭い余白や欄外の余白に小さな字で修正内容を書かないこと。
・ページにかなりの修正を要する部分がある場合、例えば文章のかなりの部分を修正
する場合や節などを挿入する場合は、新しいページを追加挿入こと。ページの増減
があった場合はページ番号を振りなおすこと。
3)コメントされた箇所だけを修正するのではなく、他のページの同一内容の不具合につ
いても、すべてを修正すること。指摘しているコメントは例であると考えること。
5.2 書き直しを命じられた場合の実験レポートの
書き直しを命じられた場合の実験レポートの再提出
の実験レポートの再提出
1)書き直しを命じられた場合は、朱書きコメントおよび先生の指摘事項にしたがって、
書き直しが必要なページを新規に書き直すこと。実験レポートの全ページを新規に書
き直す場合もある。
2)初回のレポートで不要になったページは、書き直しレポートの最終ページの後に綴じ
て提出すること。
3)再提出指示は提出レポートに再提出印で再提出日を捺印して表示する。提出期限は遵
守すること。
レポートの修正は原則一回だけである。
レポートの修正は原則一回だけである。十分に検討を行
い、完成度を高めること
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