第2章 機械の強度と材料 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う ★荷重が加わっても壊れない形状・寸法にする 2.1 材料強度の基礎知識 1. 2. 3. 4. 5. 6. 荷重の形式 材料の引張り強さ 許容応力と安全率 機械の破損と設計 静的荷重を受ける部材の構造 機械の運動とトルク 2.1.1 荷重の形式 どの部材に,どのような形式の荷重が加わるかを 適切に判断することが重要! 教科書p.7-8 2.1.2 材料の引張り強さ 破断するときの強さ 引張り強さ 強度を表す 重要な指標 ただし,炭素鋼の場 合は降伏点(耐力) が重要! 教科書p.9 ★伸びる材料と伸びない材料 アルミ合金や鋳鉄 は,伸びずに破断 引張り強さが重 要! 教科書p.9 2.1.3 許容応力と安全率 設計上,許容できる 最大応力 許容応力 許容応力=基準の強さ/安全率 重要! 教科書p.23 ★ワイヤロープの安全率 安全率は,材料強度のばらつきや荷重の見積もり誤差などの 不確定な要因を考慮 2.1.4 機械の破損と強度 どの部材(部品)が壊れやすいかを判断することが重 要! (1) 応力集中 部品に溝,穴,段違 いなどがある場合 局部的に高い応力 →応力集中 教科書p.18-21 ★応力集中を小さくする形状 急激な形状変化を与えないこと! (2) 繰り返し荷重 荷重の有無や強弱が 繰り返される場合 小さい荷重でも破損 することがある 材料の強度や性質につ いての検討が必要 教科書p.11 (3) クリープ 高温・長時間の荷重 永久ひずみの増大 教科書p.13 ★高温環境下での引張り強さ 温度上昇による急激な強度低下に注意! (4) 座屈 細長い棒の圧縮荷重 横方向にたわむ 教科書p.14 ★座屈を考えた機械構造 細い棒には,圧縮より引張り荷重がよい! 2.1.5 静的荷重を受ける部材の構造 板材を組み合 わせて台を作る ★強度的に優れた構造 (b)が強度的に優れている。 ★強度計算について •極限状態で使う機械 •最適化 •危険を伴う機械 •軽負荷 •簡単な構造 適切な構造を考えること が重要? 2.1.6 機械の運動とトルク 機械 「動力によって一定の運動を行い,ある仕事をする複 雑なしかけをもった器具」 (1) 回転運動と往復運動 回転運動 往復運動 一定速度=扱いやすい 速度変動=慣性力の増大=設計困難 (2) 回転運動とトルク(Nm) 回転運動では,荷重の代わりに,トルクを使う。 Tq F R トルク=力×回転半径 重要! ● おもりを持ち上げる仕事(J) 回転軸が1回転する場合,持ち上げる距離は2πR W 2R F 仕事=力×移動距離 単位は同じ(J=Nm)でもトルク と仕事は違う! ●出力(仕事率) 回転軸(モータ)の回転数をN(rpm)とすると, N N N L W 2R F 2 Tq 60 60 60 出力=仕事/時間 出力= 2π×トルク×回転数 重要! ●トルクの増減 回転軸Aのトルク<回転軸Bのトルク 回転軸Bは,回転軸Aよりも高い強度が必要 【雑談】強度設計の失敗例 【雑談】強度設計の失敗例 【雑談】強度設計の失敗例 破損した軸受 破損したシャフト(回転軸) 明らかな強度不足! 見習ってはいけない 【雑談】強度設計の失敗例 Movie (MPEG1, 0.9 MB) 2.2 機械材料 1. 2. 3. 4. 金属材料の種類 材料の形状 非金属材料 材料の特徴を活かした設計 2.2.1 金属材料の種類 ●鉄鋼(炭素鋼) •安価 •溶接性に優れる •熱処理が可能 覚えておきたい材料記号 鉄鋼(S45C) •SS400:数値は引張り強さ(N/mm2)を表して いる。 •S45C:数値は炭素の含有量(0.45%)を表して いる。 •FC200:鋳造品に使用する炭素鋼。数値は引張り強さ。 ★SS材とS-C材の違い SS材は強度を基準とした炭素鋼である。例えば,SS400は引 張り強さが400 N/mm2以上の炭素鋼である。 できる限り安く作りたい場合 S-C材は材料成分を基準とした材料である。例えば,S45Cは, 0.45%の炭素が含まれている材料である。 熱処理などの加工が重要になる場合 使い分けることはかなり難しい! ●アルミニウム合金 •軽い(密度約2700 kg/m3) •柔らかい •加工性がよい アルミニウム合金(A2017) ●アルミニウム合金(続き) 覚えておきたい材料記号 •A1100:純アルミニウム(99.00%以上) •A2011:快削合金,切削性がよい •A2017:ジュラルミン,強度が高い。 •A2024:超ジュラルミン,強度が高い(せん断)。 •A7075:超々ジュラルミン,強度が強い(引張り強さ585 N/mm2)。 種類と特徴 •1000系:純アルミニウム系,展延性がよい。溶接性がよい。切削 加工には不適切。 •2000系:強度が高い。溶接不適。曲げ加工不適。 ●ステンレス鋼 •強度が高い •熱に強い •さびない 覚えておきたい材料記号 •SUS304:最も代表的なステンレス鋼。 ステンレス鋼(SUS304) ●銅合金 •導電性に優れる •高価 •切削が容易(黄銅) 覚えておきたい材料記号 黄銅(C2801) •「C」はじまり,4桁の数字がつく。 •C1100:銅(99.90%以上)。 •C2801: 60/40黄銅(60%が銅,40%が亜鉛)。 •C3604: 快削黄銅(60%が銅,40%が亜鉛)。 ●その他の金属材料 チタン合金: •強度が高く,軽量 •加工性が悪い •高価 •高級スポーツ用品 •深海調査船 •特殊用途に使われる チタン合金製ゴルフクラブ 2.2.2 材料の形状 •これらを組み合わせて「機械」にする。 •規格化された材料をうまく利用する(c~e)。 ★切削加工と丸棒の寸法 通常,丸棒は直径30mm,40mm,50mm・・・(キリがよい) 直径50mmよりも直径48mmの方がよい。 2.2.3 非金属材料 ●ゴム材料 •柔らかい •シール部品に使われる ●樹脂材料 •ナイロン,テフロン,塩化 ビニル,エポキシ・・・ •大量生産に適する 樹脂製歯車 ●FRP材料 •ガラス繊維を樹脂で固め た材料 •強度が高い(一般の樹脂 と比べて) •型を作れば,曲面も可能。 FRR製魚ロボット胴体 講義内で説明したFRPの製作例は, http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/metalwork/others/frp/index_j.html を参照のこと。 2.2.4 材料の特徴を活かした設計 本日の課題 ①機械を壊れにくくするための方法を10項目あ げ,それらについて簡単に説明しなさい。 ②本日の講義で印象に残ったことを書きなさい。
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