高度成長から安定成長へ 四半期ごとの成長率 GDPの項目別寄与度 「中所得国の罠」と中国 →7%成長でもスウェーデン並みのGDPを生み出しているが →2012年の経済総量は1978年の24倍、90年の8.6倍 現在の1%の成長は78年の24%、90年の8.6%に相当 (「中国信息報」2013年7月18日) →1960年以降101カ国が中所得国に→2008年で高所得 国になったのは13カ国のみ →高度成長のうちに解決しておくべき問題山積 *「民工荒」vs大卒者・中高年層の失業 *高度成長の終焉は欧米経済の不調 vs「追いつき・追い越した後の問題」 *貿易不振、金融、マンション投機、過剰生産 *労働集約産業の国外流出 *所得格差、高度成長のときにも解決できな かった社会保障の問題 *内需拡大vs奢侈品の規制 *悪化する環境 *反腐敗運動(2013年汚職摘発5万人超) ギアチェンジ 構造調整 (釜底抽薪~根本的な問題の解決) 所得格差 *ジニ係数 0.421(世銀、2009年)~危険ライン超 (中国統計局2013年0.473)←2012年0.477 *中国都市部の貧富格差242倍 (最富裕5%と最貧困5%の差)(『日本経済新聞』 2013.8.4) *新貧困線(年収2300元) 1億2238万人(2010年)→8249万人(2013年) (「人民網」2014年3月11日) *地域格差は縮小しても、居住者の格差は縮小せず 少数民族の不満 所得格差~終-1の続き 都市住民一人当 農村住民一人当 A/B 収入A 収入B 2009 17175 5153 3.33 2010 19109 5919 3.23 2011 21810 6977 3.13 2012 24565 7917 3.10 2013 26955 8896 3.03 福利厚生を考慮すれば、格差はさらに拡大、農民収入には農業以外収入も含む 所得格差(世銀データ) ジニ係数 0.421 0.426 0.425 0.426 0.392 0.357 0.355 0.324 都市内部、農村内部での格差 • 都市:最も所得の多い10%と最低所得の 10%の比較、95年は3.2:1、2000年5.0:1、 11年8.24:1 • 農村:世帯一人当たり純収入の最高収入世 帯20%と最低収入世帯20%の比も02年4.87 倍、11年は8.39倍 • 失地農民が増える→最低限の生活の糧を得 られない 業種の所得格差 *最高所得の業種、たとえば金融業と最低の 業種、たとえば飲食業の所得の比は1990年 の1.72:1から1999年の2.63:1、2011年の 2.95:1に拡大→(平均賃金なので、実際はさ らに格差) *相対的格差が拡大するだけでなく、絶対的貧 困層が拡大 *社会保障、教育水準、識字率、平均寿命など 総合するとさらに格差拡大 拡大する格差(2014年)『中国信息報』2015年5月29日 都市の非私営企業の年収 平均5万6339元(うち国有6万2315元) 金融業10万8273元、飲食業2万8356元 (3.82:1) 都市の私営企業の年収 平均3万6390元 私営企業 情報・ソフト技術5万1044元、 金融業4万1553元 飲食業2万6862元(1.90:1) 4.03:1 幹部の腐敗問題 • アンケートにみる腐敗問題の深刻さ • 腐敗の3大傾向:「腐敗幹部の地位はますま す高くなり、所得金額はますます増加し、集 団化現象がますます増える」 • 成果を上げない腐敗への取り組み →ネット社会で地方の役人などは批判にさらさ れることも →政治闘争か、腐敗の取締か 持続的発展の可能性 • 格差は拡大しているが、絶対的な所得水準 は上昇 • 量の拡大を追求してきた発展方式の見直し • 労働者の権利保護、底辺化の抑制に政府が 乗り出す 住宅販売価格指数(新築) 民主化が必要か 選挙がない政権 所得格差拡大の不満が爆発するか →共産党自身が変貌 狭義の政治体制を変化させることなく、社会体 制の変化は可能か *経済問題~所得格差、環境、社会保障 インフレ、失業 (経済発展によって解決できる問題とできない 問題) *社会問題~官僚の腐敗、争議、抗議活動 (規制や取締りだけでは対処できない) 「励行節約」→腐敗の取締 2013年国慶節連休中の高級品消費額1億 8000万ユーロで53%減 11月「党政府機関節約励行浪費反対条例」 2014年の春節中~31省で公費接待費が 26%減少 福州で高級酒の販売量70%減 (『国際商報』2014年2月13日) 全聚徳の13年の営業収入19.02憶元(2.1% 減 湘鄂情の同上8.02億元(41.2%減) (『国際商報』2014.3.21) 中国経済の展望 8%の成長がないと新規雇用を吸収できないと いう脅迫観念「保八」 →実際は二桁成長の時代も失業者増 (失業率は4.2%、実際は14%程度か) →消費を拡大できるか 農村での消費が増加するか (20年来言われ続けているが) →家電下郷、汽車(自動車)下郷、以旧換新 第12次5カ年計画(2011~15) 経済発展方式転換の加速 ①需要構造~投資・輸出から消費へ ②産業構造~工業からサービス業へ ③生産様式~投入量の拡大(粗放型)から生 産性の上昇(集約型)へ 内需拡大のために ①所得向上(労働分配率の向上、雇用確保) ②所得再分配機能 ③社会保障体系の整備 中国といかにつきあうか • 中国の経済発展動向、景気動向が、日本を 含む世界経済の行方を左右 • 中国の持続的安定的発展には、腐敗、貧困 問題や環境問題等の解決、あるいは社会的 セーフティーネットの形成等に国際的な資金・ 技術・知的支援が不可欠。 • 民主化が少しずつにでも進展できるような国 際協調、平和的国際環境、そして知的支援も 必要。 中国といかにつきあうか • 中国“脅威”論や“警戒”論に陥ることなく、そ の発展を、問題点、限界を含めて冷静にとら えた日中関係を構築する必要 中国の夢とは~世界(平和、発展、協力、双赢) 国内(富強、民主、文明、調和) 中華 民族の偉大な復興← 「韜光養晦」 ではなくなる *既得権益 →腐敗 →市場調節がきかない(過剰生産) *粗放型を脱却できるのか(増量型改革の限 界) *「影の銀行」→救済~モラルハザードを招く 救済せず~社会不安を招く *「国進民退」のままなのか *構造調整は進むのか 新常態と中国 *7%を維持できるのか *投資を増やせという圧力に対抗できるか →林毅夫(過剰生産の業種もあるが、グ レードアップのための投資の余地あり) (「人民網」2014.7.15) *株式市場の変調など意図より悪化か *人々の不満は閾値を超えるか *日中は相互に必要としている 相手側の強硬派を勢いづかせる(口実を 与える)行動を起こさないことが重要
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