(第14週) 第5章 間接金融の仕組み §1 ① ② ③ ④ 銀行の金融仲介機能(p.91~98) 仲介機能 情報生産機能 資産転換(変換)機能 銀行貸付けにおける担保の役割 §2 貸付債権の証券化とサブプライム問題(p.99~104) §3 銀行以外の金融仲介機関(p.104~108) 1 §1① 銀行の仲介機能とは ◆ 直接金融にともなう問題 ・ 非対称情報の問題(逆選択とモラル・ハザード) ◆ 金融仲介機関の特徴 ・ 間接証券を発行する ・ 事前の「審査」や事後的な「監視」の費用を低減 (a) 規模の経済性 (b) 専門化(特化)の利益 (c) 長期継続的取引による情報の蓄積 2 §1② 銀行の情報生産機能 ◆ 銀行は費用をかけて借り手の審査や監視を行 い、金融取引にともなう問題を克服している → 銀行が借り手(債券)の返済可能性に関する情報 を生産している ◆ テキストp.94 図5-1 銀行が存在することにより、社会全体で情報費用 が節約されている(→均衡金利が低下する)。また、 資金の効率的な配分が実現している。 3 間接金融という「二重の取引」は効率的? ポイント: ◆ 情報費用が十分に低減しているか → 銀行が効率的な情報生産を行い、社会全体で 情報費用が節約されているか ◆ 間接証券自体のリスクが十分小さいか ・ 預金証券の特性(貨幣と同様に使用可) ・ 預金保険制度 ・ 銀行自身のモラル・ハザードを防ぐ工夫 4 §1② 銀行の資産転換(変換)機能 ◆ 「直接証券」と「間接証券」の違い (1) 満期が異なる (2) リスクが異なる (3) 流動性が異なる (4) 取引規模が異なる ◆ 資産変換がなぜ可能となるのか ・ プーリングの利益,分散の利益 ・ 情報生産 ・ 銀行の株主によるリスクテイク 5 §1④ 銀行はなぜ担保(collateral)を取るのか ◆ 担保を取ることの利点 ・ 逆選択による損失をカヴァーできる ・ 担保の存在がモラル・ハザードを抑制する ◆ 担保を取ることの問題点 ・ 担保の有無が融資に大きな影響を与えてしまう ・ 銀行のモラル・ハザードが生じ、情報生産能力が 低下する危険性(1980年代後半の日本) 6 §2 貸付債権の証券化 ① 資産担保証券(Asset Backed Security)とは ◆ 企業や金融機関の保有する資産(証券や不動産) を担保にして、そのキャッシュフローを原資として組 成される間接証券のこと。 ◆ 通常、企業や金融機関が特別目的会社をつくり、 そこに資産を譲渡する。特別目的会社は譲渡された 資産を担保としてあらたに証券(ABS)を発行する。 7 ABSのメリット ◆ 極端な満期のミスマッチ(例えば住宅ローンと預 金など)に対し、ローンのリスク(例えば金利リスクな ど)を切り離すことができる ◆ 貸付債権をオフ・バランス化することで、 一定の自己資本比率を維持できる [→ 銀行がリスクをとりすぎることを抑制] 8 サブプライムローン問題 ◆ サブプライムローン:低所得者向け住宅ローンの一 種。当初数年間は返済条件を緩和 ◆ 住宅金融会社が低所得者向けにローンを供給し、 その不動産を担保にRMBSを組成して投資家(ヘッジ ファンドや海外の銀行)に販売していた ◆ 住宅バブルの崩壊で一気に不良債権化 → 海外の金融機関のバランスシートが悪化 9 §3 銀行以外の金融仲介機関(p.104~108) ■ 保険会社 ・ 保険証券を発行 ※掛け捨て保険 ・ 徴収した保険料を直接証券に運用 ■ 投資信託委託会社 ・ 投資信託受益証券を公募形式で発行 ・ 集めた資金を直接証券に投資 ■ ファンド ・ 狭義のファンド:私募形式の信託 10 問題演習の解答 §1 Q1) エ §2 Q4) エ §3 Q5) イ Q2) イ Q3) ア 11 再来週の期末テストについて ・ 持ち込み不可 ・ 配布した解答用紙の裏面には書き込み可 (ただし手書きに限る) ・ 出題範囲:講義で解説した第1章~5章 ・ 形式 [1] 語句うめ (2点×15) [2] 文章の正誤選択 (4点×5) [3] 語句の説明 (5点×4) [4] 記述問題 (10点×3) ・ 小テスト得点も加点 (期末テスト得点平均が70以上の場合は50%加点) 12 図5-1 銀行の情報生産と効率化のイメージ 金利 資金供給(銀行以外) 資金供給(銀行) 借入需要 単位あたり情報費用の節約 資金額 13 (p.100)図5-2 ABSのイメージ バランスシートから切り離す (オフ・バランス化) 銀 譲渡 行 特 別 目 的 会 社 投資家 投資家 ABS の組成 投資家 投資家 保有する直接証券、 不動産など 投資家 担保 14
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