第1章 貨幣と決済の仕組み(2)

第1章 貨幣と決済の仕組み(2)
前回の確認:
● (序章)金融の意義:2つの視点
● 貨幣(money)=決済手段
● 発行主体としての政府と日銀
● 通貨(currency)=現金通貨+預金通貨
先週分の続き
Q5) 通貨には何が含まれるか
Q6) クレジット・カードや電子マネーは貨幣か
※確認 「フロー」と「ストック」
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Q5) 通貨(currency)には何が含まれるか
●(狭義の)通貨=現金通貨(紙幣,硬貨)+預金通貨
(※ テキストp.9 図1-1)
● 要求払い預金(普通預金や当座預金)
● 通貨流通量はこれまで「マネーサプライ」とよばれ、
いくつかの範囲に区分されてきた
● 2008年6月より、定義を変更し、「マネーストック」と
改称(2008年以前の教科書には注意しましょう)
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補足)より厳密な通貨流通量の区分
● マネーストックの区分(2008年~)
M1:現金通貨+預金通貨[普通預金・当座預金などの要求払
預金から金融機関の保有小切手・手形を差引いたもの]
M2:現金通貨+国内銀行等に預けられた預金
M3:M1+準通貨[解約すると現金通貨や預金通貨になる定期
預金等]+CD[譲渡性預金]
広義流動性:M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行
発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債
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(参考)現在の通貨流通量(2009年、平均残高)
M3
M2
M1
現金通貨
預金通貨
準通貨
CD
金銭の信託
投資信託
金融債
銀行発行普通社債
金融機関発行CP
国債
外債
広義流動性
1053兆3627.4億円
754兆4619.7億円
482兆9741.6億円
72兆7745.8億円
410兆1995.8億円
545兆9153億円
24兆4732.7億円
173兆9435.5億円
75兆9979.5億円
6兆7310.7億円
1兆4822.3億円
5927.5億円
72兆4884.1億円
49兆3314.9億円
1433兆8963.4億円
出所:日本銀行「金融経済統計」,日銀HPより作成
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Q6) クレジット・カードや電子マネーは貨幣か
● 支払い完了性(finality)がある決済手段
・ 現金通貨
・ 預金通貨
● クレジット・カードや電子マネーは、それによる支
払い(商品との交換)の時点では支払いが完了して
いない、つまりfinalityをもたないので、(あくまでそ
の意味においてであるが)貨幣とはいえない
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その他のキーワード(~p.13)
● 振り替えと振り込み(p.7~8)
振り替え:同一銀行における口座間の預金決済
振り込み:異なる銀行の口座間の預金決済、または
現金による振込先口座との預金決済
● 銀行取り付け(bunk run)
※ p.29~32でも扱います
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(§2[p.13~17])
Q1) 現金通貨と預金通貨の残高を確認しよう
→ 解説済みなので省略
Q2) 日本銀行当座預金とは何か
Q3) 「振り替え」と「振り込み」の仕組み
→ テキストで確認
Q4) 「振り替え」以外の日銀当預の役割は
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Q2)銀行と決済制度
● finalityをもつ通貨として、預金通貨の方が現金
通貨よりはるかに流通量が多い
● 預金を通じた(つまり銀行間における)決済には通
常、日本銀行当座預金(「日銀当預」)が用いられる
● 日銀当預による決済のためのオンラインシステム
は日銀ネットとよばれる
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● 為替取引:現金以外の金融資産(おもに預金な
ど)を介した遠隔地の取引
● 内国為替制度:国内の為替取引の制度
外国為替制度:国際的な為替取引の制度
Q3)日銀ネットを通じた振り込み(日銀当預内での
振り替え)の仕組み
※ ~p.17
Q4) 銀行間での決済以外の日銀当預の役割
→ 銀行間の決済以外に、日銀当預は日銀の金融機
関に対する預金供給の口座としても使用される
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§3 Q1) 欲望の二重の一致とは
● 初期の交換形態:物々交換(barter)
● 直接交換が成立する条件:
「欲望の二重の(偶然の)一致」
(double coincidence of wants [Jevons])
「財Aを財Bと交換したい欲望」+「BをAと交換したい欲望」
● 上の条件が満たされないときの手段
・・・ 間接交換(A←→Bの間にXを介在させる)
※ 交換レートを設定する煩雑さ
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貨幣の登場
● 物々交換のその他の問題
・ 保管や運搬にコストが発生
・ 質の評価が容易でない
ニュメレール
● 特定の商品を「価値基準財」(numeraire)として使
用することで、物々交換にともなうコストを可能な
限り小さくしようという工夫がなされた
● このような価値基準財が貨幣(money)である。
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Q2)貨幣の形態の歴史的推移
● 商品貨幣の例:稲,布帛(ふはく),貝など
● その後、金属貨幣が普及
秤量貨幣・・・砂金や金塊など
cf.計数貨幣(金貨,小判など)
● 鋳造貨幣(鋳貨)
※ 権力者の顔などを打刻
BC7世紀、ギリシャのエレクトロン貨
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エレクトロン貨:
・ 紀元前670年頃に存在したリディア王国の
世界最古の鋳造貨幣
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・ 日本最古の貨幣?富本銭
開元通宝
和同開珎
(621年・中国)
(708年)
富本銭
(683年ごろ)
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おまけ:独断と偏見で推薦する伝記シリーズ①
井上篤夫
『 志高く
-孫正義正伝- 』
実業之日本社(2004/05)
ISBN-13: 978-4408395548
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