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平成20年度私化連シンポジウム
いかにしてモチベーションの高い
学生を育てるか
平成20年度私化連当番校
日本大学生産工学部応用分子化学科
日秋 俊彦
平成20年10月25日 日本大学生産工学部
アンケートの趣旨と内容
「理科離れ」,「ゆとり教育」,「大学全入時代」といった大学を取り巻く変
化に対して,大学が適切に対応することが求められています。
私化連での取り組み・・・
“理科離れの中で魅力ある化学系学科を構築するには”
2005年 法政大学
2006年 明治大学
2007年 千葉工業大学
↓
“いかにしてモチベーションの高い学生を育てるか”
◎現役卒業率の向上
◎卒業生の質の保証(学士力の保証)
⇒入試,教養科目および初年次教育に対する設問
キャリア教育に関する設問
現役卒業率と卒業生の質の向上に対する設問
アンケートの集計結果の前に
中央教育審議会大学分科会(中教審)(平成20年3月25日)
「学士課程教育の構築に向けて」(審議のまとめ)
大学に求められていること
~社会からの信頼に応え、国際通用性を備えた学士課程教育の構築を~
① 幅広い学び等を保証し、「21世紀型市民」に相応しい「学習成果」の
達成
② 学生が本気で学び、社会で通用する力を身に付けるよう、きめ細か
な指導と厳格な成績評価
③ 入学者受入れ方針を明確にし、高等学校段階の学習成果の適切な
把握・評価
⇒全入時代を向かえ,多様な学生を多数受け入れる私立大学にとって,
『現役卒業率』と『卒業生の質』の向上は最重要課題と考え,
両者を並び立たせる方策を探り,参加大学間で情報を共有すること
を目的にシンポジウムを企画いたしました。
学ぶことに対する目的意識
全入時代を迎え,
学生が,教員が,社会が満足できる質の高い教育を
効果的に行なうためには・・・
モチベーションの高い学生を育てる工夫が必要
学ぶことに対する目的意識の低下
[アンケート3-2 ]・・・・86%
授業の理解力の低下
[アンケート4-1(d) ]・・ 45%
コミュニケーション能力の不足
[アンケート4-1(c) ]・・・ 52%
基礎学力の不足
[アンケート4-1(b) ]・・ 62%
感じられない
14%
感じられる
21%
一部感じら
れる
65%
学生の目的意識の低下
学生を負のスパイラルから救う
講義の内容が理解できない
講義が面白くない
負のスパイラルの発生
勉学意欲の低下
興味の消失
負のスパイラルを断ち切り,スパイラルアップさせるには・・・
高校から大学への移行をサポート
学ぶことの意味を伝える
将来の自分像をイメージさせる
:初年次教育
:動機付け科目
:キャリア発達支援
教養教育科目のスキル重視傾向
教養教育科目のうち
特に英語(13校)においてスキル重視の
傾向が大きい。
各大学における
教養教育科目の設置意義
傾向に
ある
34%
傾向に
はない
66%
○洞察力や知力の養成を促す科目分野
○学問による人間形成
○地球的視点から多面的に物事を考える素養
○英語などのコミュニケーション能力を育成する。
○リベラルアーツ教育の一環として位置づけている
○総合的な視野で物事を考える能力を養う
幅広い教養を身につけ,豊かな人間性を育成
○能力別学習指導の徹底や就職意識の高揚
教養教育科目のスキル重視傾向
教養教育科目の能力別クラス分け
寄与してい
ない
15%
寄与してい
る
25%
どちらかと
いえば寄
与している
60% 能力別クラス分けの寄与(勉学意欲)
寄与してい
ない
15%
どちらかと
いえば寄
与している
55%
寄与してい
る
30%
能力別クラス分けの寄与(学力)
教養教育科目の能力別クラス分け・・・
『学習意欲』と『学力の向上』に寄与している
少人数の学生を対象に,学生の能力に合った講義
⇒勉学に対するモチベーション向上の効果?
初年次教育の実施状況と目的
83%の大学で設置されている,もしくは設置に向けて検討を行っている。
⇒ 高校から大学,教養教育から専門教育への移行が要注意
設置さ
れてい その他
7%
ない
10%
中退の
抑止
15%
その他
4%
高校教
育の補
習
30%
設置に
向けて
検討中
10%
設置さ
れてい
る
初年次教育プログラムの設置 73%
専門教
教養教
育への
育の一
移行支
環
援
15%
36%
初年次教育プログラムの設置目的
円滑な移行をサポートすることで,中退の抑止効果を期待する側面も・・・
⇒ 初年次教育の実施効果の実例は資料を参照
動機付け科目の設置状況
74%の大学で設置されている,もしくは設置に向けて検討を行っている。
設置され
ていない
26%
設置に向
けて検討
中
7%
設置され
ている
67%
動機付け科目の設置
【講義概要の抜粋】
キャリア教育,卒業生の講演,科目間のつながり,グループ討論,
トピックス紹介,専門科目の概論,課題解決型のグループ学習
高校化学の復習と専門教育への動機付け,研究紹介,安全教育 など
⇒ 大学によっては動機付けにおいて一定の成果を確認
偏差値基準でのアンケート結果
『偏差値』 50 を基準にグループ分け
50≦偏差値
: 15校
偏差値<50 : 14校
多少の差異が認められた項目
○ 教養教育科目のクラス分け
○ 初年次教育の設置目的
○ 学ぶことへの目的意識
○ 学習意欲
○ 基礎学力
○ コミュニケーション能力
○ 授業の理解力
偏差値・・・・・大学における入口での管理の指標
Y予備校の“2009年度用学科別入試難易ランキング表”より抽出
教養教育科目の能力別クラス分け
教養教育科目の能力別クラス分け
10
9
8
7
回答数
6
50≦
<50
5
4
3
2
1
0
実施している
一部実施している
実施していない
偏差値が50より低い大学では・・・
受け入れ学生の多様化が一層進み,入学生の基礎学力に大きなバラツキが
生じている?
初年次教育の実施と目的
14
12
12
50≦
<50
8
回答数
8
6
6
教
分からないことが勉学意欲を衰退させる・・・
中退抑止も初年次教育の目的となりうる。
⇒初年次教育の実施効果として実績は?
止
退
抑
育
へ
教
専
門
初年次教育プログラムの設置
中
援
行
支
育
の
補
習
高
校
教
育
て
設
置
さ
れ
け
て
に
向
設
置
の
い
な
討
中
検
て
さ
れ
置
設
移
0
の
0
い
2
い
る
2
一
環
4
4
教
養
回答数
10
50≦
<50
10
初年次教育の目的
学ぶことへの目的意識の低下
学ぶことへの目的意識
12
10
回答数
8
50≦
<50
6
4
2
0
感じられる
一部感じられる
感じられない
学ぶことへの目的意識の低下は入学時の学力に依存?
基礎学力の低下 → 何が面白いのかが分からない
↑ 負のスパイラル
↓
講義が面白くない ← 自分がやりたいことがわからない
学習意欲,基礎学力,
コミュニケーション能力,授業の理解力
基礎学力
12
10
10
8
8
い
る
て
い
る
し
足
足
少
し
不
充
不
に
あ
る
分
し
少
し
不
不
足
足
し
て
て
い
る
通
普
分
て
0
し
0
通
2
普
2
い
る
4
あ
る
4
充
50≦
<50
6
あ
る
50≦
<50
6
回答数
12
に
あ
る
回答数
学習意欲
コミュニケーション能力
授業の理解力
10
12
9
10
8
50≦
<50
5
4
回答数
8
6
50≦
<50
6
4
3
2
2
1
い
る
し
足
足
不
不
し
て
て
い
る
通
普
少
し
充
分
あ
る
に
あ
る
い
る
し
足
足
不
少
し
不
し
て
て
い
る
通
普
分
あ
る
0
に
あ
る
0
充
回答数
7
偏差値と現役卒研着手率
100
90
パーセンテージ
80
70
60
50
40
30
20
10
0
40
45
50
55
60
65
70
偏差値
偏差値と現役卒研着手率
各大学で卒研着手条件が異なるため,一概に評価できないが,
現役での卒業研究着手率に入学時の偏差値はそれほど顕著に影響しない。
⇒キメ細やかな指導の賜物?
初年次教育や導入科目の実施状況と卒研着手率の間には相関なし・・・
⇒導入開始からそれほど時間がたっていない?
アンケートにご協力頂きまして
誠に有難うございました
私立大学のさらなる発展に寄与
することを切に願っています
多様な入学生に対応するために
高等学校 ⇒ 大学教養教育
教養教育 ⇒ 専門教育
大学入学から卒業までの間に存在する2つの移行を
スムーズかつストレスなく進行させる!
⇒個人を対象としたキメ細やかな対応
教員-学生間でコミュニケーションが取り易い環境の構築
日大生産工応化での最近の取り組み
入学時に学外オリエンテーション→グループミーティング(10名/教員)
履修相談,進路相談など
○クラス担任,チューター,アカデミックアドバイザーなど ○単位取得状況の把握と個別指導を行っている。
○父母懇談会 ○定期的な個別面談 ○夏期,冬期休暇などを使用した補習授業の実施
○ゼミナールや実験における指導の充実 ○科目毎の合格率についても学科として注意を払っている。
○夏・冬の長期休暇を使い補習授業 ○日常的な学生と教員とのコミュニケーション
○出席状況を細やかにチェックし、講義への出席不良者に対し、早期指導を行う。
○1年生前期にプレゼミを設定して、少人数で親代わりとなって動機付けを図っている。
○教員間で情報を共有し,積極的に当該学生に声を掛け、自覚を促す努力をしている。