伸縮価格マネタリー・アプローチ 国際金融論2006 1 伸縮価格マネタリー・アプローチ と購買力平価 伸縮価格マネタリー・アプローチは、購買力平価 の発展形。 購買力平価は、自国と外国の物価水準の相対 比として為替相場が決まる。 それでは、物価水準はどのように決まるのか? ↓ この問いに答えるのが、伸縮価格マネタリー・ア プローチである。 国際金融論2006 2 商品裁定 商品裁定(安い所で買って高い所で売ることに よって利鞘を得る) Bud(東京):150円⇔Bud(NY):1ドル 円ドル相場:110円/ドル ↓ Bud(東京):150円⇔Bud(NY):110円 ↓ BudをNYから東京へ輸入 国際金融論2006 3 商品裁定による各市場での取引 NYでBudを買う⇒NYで価格上昇 東京でBudを売る⇒東京で価格低下 外国為替取引(円売りドル買い)⇒円安ド ル高 ↓ 東京とNYで価格が均等化 国際金融論2006 4 商品裁定による一物一価の法則 前提条件:①同一の商品 ②貿易可能 ③完全競争 ④取引費用=0 一物一価の法則 あらゆる所で同一の商品の価格は等しい。 国際金融論2006 5 一物一価の法則 日本の市場の価格:P円 * USの市場の価格: P ドル 円/ドル相場:S円/ドル P SP * 国際金融論2006 6 絶対的購買力平価 絶対的購買力平価 1 * P P S * 1 P P ⇒絶対的購買力平価は、外国物価に対する自国物 価の相対的比率として表される。 ⇒あるいは、自国物価の逆数(自国通貨の価値)に 対する外国物価の逆数(外国物価の価値)の相 対的比率となる。 国際金融論2006 7 相対的購買力平価 (一定の)取引費用を考慮に入れる。 絶対的購買力平価を変化率で表現すると、 一定の取引費用を除去できる。 相対的購買力平価 * S PP ⇒購買力平価の変化率は、自国のインフレ 率と外国のインフレ率の差である。 国際金融論2006 8 伸縮価格マネタリー・モデルの特徴 購買力平価が常に成立する。 物価が伸縮的である。 物価の決定は、貨幣の需給による。 為替相場決定は、貨幣の需給による。 国際金融論2006 9 購買力平価とマネタリー・アプローチ 絶対的購買力平価 P S * (1) P 貨幣市場均衡式 M L(Y , i ) P M* * * * L ( Y ,i ) * P (2) (3) 国際金融論2006 10 伸縮価格マネタリー・モデルにお ける為替相場決定式 (1)・(2)・(3)式より、 * * * M L (Y , i ) S * M L(Y , i) (4) 為替相場は、相対的貨幣供給量と相対的 貨幣需要量によって決定される。 国際金融論2006 11 貨幣の需要供給が為替相場を 決める 自国貨幣供給量の増加⇒自国物価上昇 ⇒自国通貨減価 外国貨幣供給量の増加⇒外国物価上昇 ⇒自国通貨増価 自国貨幣需要量の増加⇒自国物価低下 ⇒自国通貨増価 外国貨幣需要量の増加⇒外国物価低下 ⇒自国通貨減価 国際金融論2006 12 対数表示化したモデル (1)・(2)・(3)式の対数表示 s p p * (5) m p y i (6) m p y i * * * * (7) 但し、 :貨幣需要の所得弾力性、 :貨幣 需要の利子半弾力性(semi-elasticity) 国際金融論2006 13 対数表示化したモデルにおける 為替相場決定式 為替相場決定式(対数表示) s (m m* ) ( y y* ) (i i* ) ①自国貨幣供給成長率⇒同率の自国通貨減価 ②外国貨幣供給成長率⇒同率の自国通貨増価 ③自国所得成長率⇒倍の自国通貨増価 ④外国所得成長率⇒倍の自国通貨減価 ⑤自国利子率変化⇒倍の自国通貨減価 ⑥外国利子率変化⇒倍の自国通貨増価 国際金融論2006 (8) 14 金利差にカバーなし金利平価式を代入 カバーなし金利平価式 i i s * e (9) 但し、 s log S e e t 1,t log St 国際金融論2006 e t 1,t S St St 15 PPP成立の下での予想為替相場変化率 相対的購買力平価 s p p * (10a) 予想為替相場変化率 *e s p p e e (10b) 為替相場決定式 s (m m ) ( y y ) (p p ) (11) * * 国際金融論2006 e *e 16 マネタリスト・モデルにおける予想インフレ率 マネタリスト・モデル M kPy 予想インフレ率 p m e *e e p m (12a ) *e (12b) 国際金融論2006 17 伸縮価格マネタリー・モデルの 為替相場決定式 為替相場決定式 s (m m ) ( y y ) (m m ) (13) * * e *e ①自国の予想貨幣成長率の上昇⇒自国名 目利子率上昇⇒自国貨幣需要減少⇒自 国通貨減価 ②外国の予想貨幣成長率の上昇⇒外国名 目利子率上昇⇒外国貨幣需要減少⇒自 国通貨増価 国際金融論2006 18 国際金融論2006 19
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