授業評価アンケートの効果分析と教養教育の課題

全学共通教育の取組
全学共通教育センター
0. 共通教育の変革
カリキュラムの改訂(2005年度)
大学入門講座の開設
教養科目群を主題に基づく区分に再編
英語教育の構成の明確化etc
桑折ほか,2005, 「徳島大学全学共通教育新カリキュラムの概要」『大学教育研究
ジャーナル』2号.
 教育改善に向けた多様な試み
授業方法に関する中間アンケート
授業参観制度、教員表彰制度、学生表彰制度etc
桑折ほか,2006, 「全学共通教育における学生による授業評価と授業改善のシステ
ム」『大学教育研究ジャーナル』3号.
全学共通教育での取り組み
学生表彰
高年次評価
1996 新たな教養教育をめざして(学生・教員アンケート)
1998 私たちの全学共通教育
2000 外国語教育改善のためのアンケート(学生)
授業参観
共通教育賞
学生による授業方法に関する
中間アンケート
高年次調査
学生による授業評価アンケート(学期末)
授業実施報告書
旧カリキュラム
2001
2002
2003
新カリキュラム
2004
2005
2006
1 授業評価アンケート(学期末)
 学期末の「授業評価アンケート」
 2001年から継続的に実施
 「授業改善」を意識した取り組み
 全体との比較結果を担当教員にフィードバック
 「授業実施報告書」を併せて実施
 学生が「改善を実感できない」というデメリット、
教員が好き勝手な意見に「反論できない」という
デメリット
2 授業方法に関する中間アンケート
 目的
 教員が学生の意見を参考にして授業方法の改善
を直ちに行う
 学生自身にもアンケート結果のフィードバックを行
うことで学習意欲の促進を図る
→外向きの説明ではなく、実際に授業を受ける学
生への説明を
→評価義務ではなく、実質的な授業の改善を
3 授業方法に関する中間アンケート
 各学期末に「教養」「外国語」「基礎基盤」の
うち一つについて実施。
 4~5回目の授業時に授業方法についての簡易
アンケート
 翌週に評価結果および改善策を教員が学生に
フィードバック
→先の問題をある程度解消することができるので
はないか
 2004年度後期以降、毎学期実施している
[質問項目]これまでの本授業の授業方法について答えてくだ
さい。
1.シラバスや初回の授業を通して、授業の目的や主旨がよく
分かりましたか。
(1.よく分かった
2.ふつう 3.分かりにくかった)
2.声は聞き取りやすいですか。
(1.聞き取りやすい 2.ふつう 3.改善してほしい)
3.板書は読みやすいですか。
(1.読みやすい
2.ふつう 3.改善してほしい)
4.授業の資料、配布物、OHP、スライドなどは、分かりやす
いですか。
(1.分かりやすい
2.ふつう 3.改善してほしい)
5.授業開始、終了の時間は適切ですか。
(1.適切だ
2.ふつう 3.改善してほしい)
6.授業の説明は分かりやすいですか。
(1.分かりやすい
2.ふつう 3.改善してほしい)
0%
10%
20%
30%
アンケートの回答分布
(未回答を含む)
40%
50%
60%
18
1.目的
1
16
18
11
6.説明
11
18
19
5.時間
3
0
19
0
グラフ内の数字は回答数
未
アンケート結果表
回答数内訳
合計
人
2
構成比(%)
(未回答分を除く)
1
0
1
2
3
2.発声
16
15
19
0
50
32.0
30.0
38.0
評点の分布
1
1
2
3
未
1.目的
18
18
14
0
50
36.0
36.0
28.0
3.板書
23
16
11
0
50
46.0
32.0
22.0
4.資料
16
18
16
0
50
32.0
36.0
32.0
5.時間
19
18
13
0
50
38.0
36.0
26.0
0
0
13
20
2
0
0
16
16
100%
19
23
4.資料
90%
14
15
3.板書
80%
18
16
2.発声
70%
6.説明
11
20
19
0
50
22.0
40.0
38.0
【担当者記入欄】
●学生からの主な意見
説明が早口になり、聞き取りにくい部分があるとの意見があった。
配布レジュメに書き込みスペースを加えてほしいとの意見があった。
●学生への講評・説明
アンケート結果シートをコピーして配布した。
自由記述の主な意見について以下の改善点について説明を行った。
●改善する点
なるべく早口にならないように気をつける。適宜時間を取り、分からないところへの質問を受け付ける。
配布レジュメに書き込みができるよう配慮する。
中間アンケート導入は授業改善に
つながったか
改善が必要とされてきた基礎科目群で評価値が
向上。
しかも、「二極化」ではなく全体の底上げがなされて
いる。
ただし、他の科目群ではやや「頭打ち」。
今後は、「学生に対しどのような説明が効果的であ
るか」を検討する必要がある。
4 授業参観制度
 近年、多くの大学で授業参観の実施が試みられて
いるが、共通教育でも2005年度後期から共通教育
授業の充実・発展を図る目的で授業参観を実施。
 各学期に2週間の「参観期間」を設け、参観を希望
する授業担当者への連絡のみで、すべての授業を
自由に参観できるようにした。
 これまで3回実施してのべ62名の教員が授業参観
を行った。
5 共通教育賞(教員表彰)
 教員表彰についても実施する大学が増加している。
共通教育でも2005年度後期から共通教育授業の
充実・発展を図る目的で教員表彰制度を設けた。
 学生による投票結果から、受講者数に応じた得票
率を計算し、上位者を「共通教育賞」として副学長が
表彰する。なお、上位者についてはセンターのホー
ムページでも公開。
http://www.ias.tokushima-u.ac.jp/ceducom/sugureta.html
 これまで3回実施し、のべ26名を表彰。
6 学生表彰
 2006年度後期から、学生の勉学意欲向上の目的で
学生表彰を実施。
 初年度学生を対象とし、各学科・専攻の成績(GPA)
上位1名を「全学共通教育優秀学生賞」として表彰
することとした。
 第1回の表彰に向けた分析は既に終了。計17名を
選出した。表彰は大学事務局でおこない、賞状と賞
品を授与する予定。
7 共通教育アンケート
 新カリキュラムへの移行にあわせ、共通教育のさら
なる改善および自己点検・評価の目的で、2006年
度に旧カリキュラム/新カリキュラムの学生に対し、
共通教育全般についてのアンケートを実施。
 各科目群の評価、履修手続き等についての意見、
施設・設備についての意見をたずねた。
 全般に評価が向上しているが、「学習支援」のあり
方は今後、検討の余地がある。
7.1 分析結果(共通教育全般について)
4.0
新カリキュラムで改善をみている。科目配分の満足度は低い。
3.5
旧
新
3.0
2.5
2.0
すさ
すさ
すさ
足度
や
や
や
満
り
り
り
の
か
分か
分か
配分
の分
の
の
目
き
法
ス
科
方
ラバ
手引
n.s.
シ
の
履修
履修
【平均値の比較:以下同じ】
7.2 分析結果(各科目群の評価)
4.0
外国語、情報科目の有効性で評価が高まっている。
3.5
3.0
2.5
2.0
教養
科目
足
の満
n.s.
度
度
度
性
性
度
足度
満足
満足
有効
有効
満
満足
の
の
の
の
の
の
外語
科目
科目
科目
英語
健スポ
第二
基礎
基礎
情報
n.s.
n.s.
n.s.
旧
新
7.3 分析結果(施設と設備について)
3.5
教室の施設・設備について満足度が高まっている。
3.0
旧
新
2.5
2.0
教室
外国
報
語・情
科目
n.s.
健
ーツ
ポ
ス
康
n.s.
7.4 分析結果(学習支援について)
利用率(パーセント)
学習支援のあり方は再検討の必要がある。
50
4.0
40
3.5
旧
新
旧 30
新
3.0
20
2.5
10
2.0
0
足度
学
満
援の
支
習
n.s.
教
養科
受
目の
講不
満
可(不
度)
援室
支
学習
n.s.
スア ワ
ィ
フ
オ
ー
n.s.
8.H19年度の主な取組












B館改修:H19年8月~H20年3月
カリキュラムの部分改正作業:~7月
TOEIC試験の実施:7月21日(土)
中間アンケート:5月と11月
「学生による授業評価」アンケート:7月と2月
高年次学生に対する共通教育アンケート:5月
授業参観:6月と12月(各2週間)
教員表彰(共通教育賞):10月と3月
学生表彰(共通教育優秀学生賞):3月
自己点検・評価書の作成:~7月
外部評価の実施:10月25日(木)~26日(金)
防災訓練:実施するかどうか未定
9.当面の課題





障害を持つ学生への修学支援体制の確立
Placement test の確立
「教養教育以前」への対応→人間力の育成
教養科目群は教養科目らしく
英語教育の充実
*基盤は基盤、主題は主題、発信は発信らしく
*TOEICを続けるか、それにかわるもの?
*英語力をつけるための4年~6年一貫教育の確立
→医学部医学科方式、学長裁量ポストの活用など
 総合科学部との連携強化
 大学開放実践センターとの連携強化
10.2008年度からのカリキュラム(案)