限界代替率 - 北海道大学大学院経済学研究科

限界代替率
• 無差別曲線の傾きを限界代替率と呼ぶ。
• 限界代替率は、消費者の主観的な、2財の交
換比率である:同じ効用水準を維持するため
に交換してもよい(=等価である)と考える比
率。
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限界代替率の計算(1)
• 【一般的に成り立つ性質】
– ある効用の水準
をゼロと置く:
で全微分をして、その結果
U (.)  U0
U ( X 1 , X 2 )  U0
U
U
X 1 
X 2  0
X 1
X 2
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限界代替率の計算(2)
• 全微分した式を変形して
X 2 U / X 1
MRS  

X 1 U / X 2
• 具体的な効用関数について限界代替率を計
U / と
X1
算するためには、上記の式の
U / X 2
に、具体的な効用関数から計算され
た微係数を代入する。
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【補足】 自然対数の微分
• 自然対数 ln( Xの
) に関する微係数は
X
 ln( X ) 1

X
X
である。ただし、
X .0
このことは、自然対数は指数関数の逆関数であり、
指数関数の微係数はもとの関数そのものになること
 exp( X )
から理解できる(
)。 X  exp( X )
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効用最大化問題を解くには:
• 解法1
– 限界代替率を計算し、それを価格比率と等しいと
置く。
– 予算制約を満たしていることを確認する。
例:効用関数
U ( x1, x2 )  1 ln( x1 )  2 ln( x2 )
予算制約
p1x1  p2 x2  I
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限界代替率を計算
• 前のスライドにある計算方法と、自然対数に
微分を用いて
X 2 U / X1 (1 / x1 )
MRS  


X1 U / X 2 ( 2 / x2 )
• 限界代替率と価格比率を等しくすると:
(1 / x1 ) p1

( 2 / x2 ) p2
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予算制約
• 前のスライドから、
p1 x1 1

p2 x2 2
• これと、予算制約を連立させると:
i I
xi 
,
(1  2 ) pi
i =1,2
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効用最大化:解法2
• 直接代入する
I  p1 x1
U ( x1 , x2 )  1 ln( x1 )   2 ln(
)
p2
• 上記を
x1
1
x1
で微分し、ゼロと置く:

 2 p1 / p2
( I  p1 x1 ) / p2
0
• この表現を x1 について解くと、
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x1 
1I
.
(1   2 ) p1
そのほかの解法
• (汎用性があるわけではないが)たとえば、
U ( x1, x2 )  1 ln( x1 )  2 ln( x2 )
を単調増加変換(指数をとる変換)して
U ( x1, x2 )  x11 x22
のように変形し、これをたとえば代入して解く。
• ラグランジ乗数法を用いる。
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-4
-2
0
2
4
問題解説2:自然対数(1)
0
1
3
2
4
5
x
ln(x)
line with slope=1
10
自然対数(2)
• ln(x)の差は、近似的に変化率になる
ln( x1 )  ln( x0 )  ln[1  ( x1  x0 ) / x0 ] x / x
こ の部分を 以下で説明
ただし、 x  x1  x0
• 先の公式に沿って、自然対数を微分する
 ln( x) 1

x
x
• このことは、 x  1において、微係数が1であるこ
とを意味する。
11
自然対数(3)
• このことは、先の図でいうと、 ln(x)の x  1
における傾きが、1であることを意味する。
ln(1)=0であるので、このことは、先の接線は
y  x 1
となる。
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自然対数(4)
• つまり、ln(x) の (1,0)における接線は
y  x 1
であるので、接線がln(x)を近似していることから
ln(1  x)
x
である。これから、以下が成り立つ:
ln[1  ( X1  X 0 ) / X 0 ] X / X
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問題解説3:スルツキー方程式
• 財i価格の変化の効果を所得効果と代替効果に
分解
x j
pi
x j
 pi
I
pi
 xi
U
x j
I
所得を一定として pi が変化したときの効果
I
x j
pi

x j
U
効用を一定として pi が変化したときの効果
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スルツキー方程式
•
•
x j
pi
:代替効果
U
 xi
x j
I
:所得効果
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問題解説4:費用最小化
等費用曲線
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費用最小化の条件 (1)
• 技術的限界代替率と生産要素価格比率が一致
する。
• 技術的限界代替率と生産関数の関係
K F / L w
MRS  


L F / K r
• 上記の条件は、支出1円あたりの限界生産物が
労働と資本の間で均等化することを示す。
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費用最小化の条件 (2)
• また、等費用曲線の傾きは、市場の交換比
率であり、客観的交換比率といえる。
• 限界代替率は個別企業の交換比率であるの
で、費用最小化の条件は、客観的交換比率
と個別的交換比率が等しくなるところに要素
投入量を設定することになる。
• もしこれが乖離していると、費用が最小化さ
れていない。
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最適点で技術的限界代替率と要素価格
比率が等しくなる理由(1)
• 費用最小化の条件は
K F / L w
MRS  


L F / K r
• もし先の図で MRS  w / rであると、等量曲線の傾き
が等費用曲線よりも急になる→労働を増やした
ほうが費用が最小にできる。
• 逆の不等号が成り立つ場合も、最適でないこと
を示すことができる。
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最適点で技術的限界代替率と要素価格
比率が等しくなる理由(2)
• 【別の説明の方法】
• 限界代替率と要素価格比率が乖離している
と、支出1円あたりの限界生産物が労働と資
本の間で均等化していないため、最適といえ
ない。
F / L F / K

w
r
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