スルツキー方程式 • 財i価格の変化の効果を所得効果と代替効果に 分解 x j pi x j pi I pi xi U x j I 所得を一定として pi が変化したときの効果 I x j pi x j U 効用を一定として pi が変化したときの効果 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved スルツキー方程式 • • x j pi :代替効果 U xi x j I :所得効果。最初の部分に xi が かかっていることと、シェパードの 補題との関連に注意。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要曲線と通常の需要曲線 • 補償需要曲線は、効用を一定にしている需要 曲線(ヒックスの需要曲線とも呼ばれる) • 通常の需要曲線は、所得を一定にしている需 要曲線(マーシャルの需要曲線とも呼ばれ る) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要曲線と所得一定の需要曲線 P1 補償需要曲線1 (U=u1) p10 p11 代替効果 所得効果 所得一定の需要曲線 補償需要曲線0 (U=u0) x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰 P1 p10 補償需要曲線1 (U=u1) p11 所得一定の需要曲線 補償需要曲線0 (U=u0) x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰 • 以前の説明では、需要曲線と価格水準の水 平線で囲まれた部分の面積を定義。 • この説明をするときには、「部分均衡」で説明 した(1つの財のみを考えるケース)。しかし、 部分均衡の考え方は、所得効果の大きな財 については、正しいとはいえない。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰(続き) • 価格が低下したときの消費者余剰の増加分 は、通常の需要曲線の内側と、価格水準に 対応する水平線で囲まれた部分の面積。 • 以下の関係から、補償需要曲線の内側と価 格水準に対応する水平線で囲まれた部分の 面積は、支出関数に対応していることに注意。 E E ( p1, p2 ; u ) x ( p1, p2 ; u ) pi pi C i © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償変分 • そもそも、価格の変化に応じた効用の変化を 金銭価値するとは、効用が変化をそれに対 応する支出の変化で評価することになる。た 1 0 ( p , p とえば効用の変化を 1 2 ) という価格での 支出で評価すると; CV E( p11, p20 , u1 ) E( p11, p20 , u0 ) • しかし、所得が一定で p2 が変化しないことか 1 0 1 0 0 0 E ( p , p , u ) I E ( p , p , u ). ら 1 2 1 2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償変分 • こうすると、以下のように変形が可能: CV E( p10 , p20 , u0 ) E( p11, p20 , u0 ) • 上記の表現は、支出関数をp1で微分して補 償需要関数を導出していたのと類似。 • 以下のようにして、異なる価格での評価もで きる: EV E( p10 , p20 , u1 ) E( p10 , p20 , u0 ) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償変分 P1 p10 補償需要曲線1 (U=u1) p11 所得一定の需要曲線 補償需要曲線0 (U=u0) x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等価変分 • 以下のようにして、異なる価格での評価もで きる: EV E ( p10 , p20 , u1 ) E ( p10 , p20 , u 0 ) E ( p10 , p20 , u1 ) E ( p11 , p20 , u1 ) • 補償変分と等価変分の違いは、定義としては、 どの価格水準で評価しているか、ということ。 効用の変化を金銭評価するのが目的だが、 実際には上記の変形により、それは価格で 積分することで求めることができる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等価変分 P1 p10 補償需要曲線1 (U=u1) p11 所得一定の需要曲線 補償需要曲線0 (U=u0) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved x1 補償変分と補償需要関数 • 補償変分の数学的表現 CV E ( p10 , p20 , u 0 ) E ( p11 , p20 , u 0 ) p10 = p11 E ( p1, p2 ; u ) 0 p1 dp1 p10 x1C ( p1, p2 ; u 0 )dp1 p11 • 上記から、補償需要関数を価格で積分したも の(「横方向に」積分したもの)が補償変分で あることがわかる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等価変分と補償需要関数 • 等価変分の数学的表現 EV E ( p10 , p20 , u1 ) E ( p11 , p20 , u1 ) p10 = p11 E ( p1, p2 ; u ) 1 p1 dp1 p10 x1C ( p1, p2 ; u1 )dp1 p11 • 補償変分の場合と同様、補償需要関数を価 格で積分したもの(「横方向に」積分したもの) が等価変分であることがわかる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰との関連 • 補償需要関数と価格が一定の水平線で囲ま れた部分は、価格変化による効用の変化を 金銭評価したものと一致する(これらを、等価 変分・補償変分とよぶ)。 • 消費者余剰は、等価変分・補償変分の中間 になる。 • 所得効果がゼロならば、消費者余剰=等価 変分=補償変分となる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰 • そのため、消費者余剰は、厚生の変化を表 す適切な指標にならない。厳密には、貨幣の 限界効用が一定という状況のときにのみ、消 費者余剰が適切な厚生変化の指標となる。 • 効用の変化を金銭価値で表そうというのがこ のような指標の考え方であって、補償変分・ 等価変分はそれを、特定の価格体系のもとで それを測っている。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者余剰 • しかし消費者余剰は、一般的には、補償変分 とも等価変分とも異なる。 • 上記のことを例を用いて説明したよい例が、 『ミクロ経済学 : 戦略的アプローチ』 梶井厚志, 松井彰彦著 2002年、Chapter 9 消費者理論 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved スルツキー方程式と支出関数 • 以下の等式が成立することに着目: xi ( p1, p2 ; E( p1, p2 , u)) xiC ( p1, p2 ; u) • 上記を p1 で微分し、所得効果の項を移項す ると、スルツキー方程式を得る: x j C xi ( p1, p2 ; I ) xi ( p1, p2 ; u ) x1 p1 p1 I © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 授業中の書く課題 • (1)談合に関する分析について、そこで示されている 事実(データに基づくもの)のうち、重要と考えられる 点の要点をまとめなさい。複数にわたる場合には、列 挙して説明すること。 • (2)(1)に挙げた事実を、複数企業が共謀して高い価 格を維持する行動として理解するとしよう。その場合、 何社程度の企業が、それぞれどのような個別のイン センティブに基づいて行動していると考えられるかを、 具体的に例示して説明しなさい。 • (3)談合の社会的コストとは何かについて、具体的に 説明しなさい。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 参考図書 • シェパードの補題、支出関数、については、 以下の本に明快な説明がある: • Dixit, Avinash Optimization in Economic Theory, 2nd Edition, Oxford University Press, 1990, Chapter 5 (邦語訳もあり) • 等価変分・補償変分については:西村和雄『ミ クロ経済学』東洋経済 1990年 第3章、第4 章 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
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