ミクロ経済学Ⅰ

税の負担割合:弾力性の逆数の比 (1)
• 間接税の負担は、弾力性の逆数の比に比例
することが知られている。
• 弾力性の大きい経済主体は、税の負担を「避
ける」ことができる反面、それが小さい主体は
避けることができず、結果として税を負担する
ことになる。
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税の負担割合:弾力性の逆数の比 (2)
• 無税のとき
– 無税のときの均衡価格
– 無税のときの均衡数量
P*
X*
• 無税のところから、税を課した結果、均衡は、以
下へ変化するとする:
– 需要側の価格(消費者の支払価格): Pd 1
– 供給側の価格(企業の税引き後価格): Ps1
– 均衡数量
X1
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税の負担割合:弾力性の逆数の比 (3)
• 需要曲線上の価格の変化をΔPd とする。
• 供給曲線上の価格の変化をΔPs とする。
Pd  Ps  Pd1  Ps1  税額
Pd
Pd  
 (X )
X
Ps 
Ps
 (X )
X
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税の負担割合:弾力性の逆数の比 (4)
• 前ページの式を変形する
Pd X *
P*
1 P*
Pd  {
 * }{ * } (X )  { * }  (X )
X P
X
d X
Ps X *
P*
1 P*
Ps  {  * } { * }  (X )  { * }  (X )
X P
X
s X
Ps 1/  s

Pd 1/  d
(弾力性の逆数の比)
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負担割合(均衡付近の拡大図)
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中間試験について(テスト)
• 6月9日(月) 学籍番号が偶数の学生(下一
桁が0、2、4、6、8のいずれか)
• 6月11日(水) 学籍番号が奇数の学生(下一
桁が1、3、5、7、9のいずれか)
• 座席指定を行なう予定です。座席は当日、
W103教室周辺に掲示します。
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小テスト・試験での注意事項
• 設問のポイントに絞って解答
– 競争企業の利潤最大化の設問において、消費者行動の
ことを議論する必要は、(通常)ない。
– 費用最小化の設問において、yの決定(にかかわること)
を議論するのは、混乱のもと
• 一文を短く
• 主述泣き別れシンドローム
• この表現は、野口悠紀雄『超・文章法』中公新書(2002年)による
• 誤字・脱字の確認
• 競争、競走
• 用語を正確に使う
• 収益、収入、利潤、
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独占価格
• 完全競争の仮定が成り立たない場合の一つ
が、企業が価格支配力を持つケース
• そのいちばん簡単な例が、独占企業
• 企業が1社しかなく、企業は価格ではなく、需
要曲線を所与として生産量を決定(完全競争
モデルと異なる)。
• 企業が供給数量を決定すると、価格は需要
曲線に応じて自動的に決まる。
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独占企業の利潤最大化(1)
• 売手独占と買手独占
• 売手独占は、売手企業が1社の場合。買手独
占は、買手企業が1社の場合。
• 売手独占企業の利潤
 ( y )  P( y ) y  C ( y )
• プライステイカーの場合との違いは、Pがyに
依存すること。
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独占企業の利潤最大化(2)
 ( y )  P( y ) y  C ( y )
• 内生変数yで微分してゼロと置く
P ( y )  P '( y ) y  MC ( y )  0
限界収入
• したがって利潤最大化の条件は、限界収入
=限界費用
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独占企業の利潤最大化(3)
• yは一階条件で決定(この水準をy*とする)。
独占価格は、P(y*)によって決定。
• 独占企業による供給量(y*)は、競争均衡での
供給量(需要曲線と限界費用曲線の一致す
る数量)を下回る。価格は競争均衡のそれよ
り高い。余剰は競争均衡より低くなる。これら
が、独占の弊害である。
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独占企業の最適解
価格、限界
費用、限界
収入
限界費用
p*
需要曲線
限界収入曲線
y
y*
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独占企業の最適解での余剰
価格、限界
費用、限界
収入
消費者余剰
限界費用
p*
需要曲線
生産者余剰
限界収入曲線
y
y*
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消費者余剰 (線形のケース)
価格
余剰=三角形の面積
=a×b/2
a
b
数量
総余剰 (数量がX0のとき)
線形のケース
価格
消費者余剰
a
c
総余剰=台形の面積
=(a+c)×b/2
生産者余剰
X0
b
数量
独占企業の限界収入と弾力性(1)
P '( y ) y
P( y )  P '( y ) y  P( y ){1 
}
P
(
y
)
限界収入
(P / y ) y
1
 P( y ){1 
}  P( y ){1  }
P( y )

• 上記より、限界収入と需要の価格弾力性の
関係がわかる。
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独占企業の限界収入と弾力性(2)
• 弾力性が1より小さいと限界収入はマイナス
である→価格を上げたほうが利潤が増える
• 弾力性が1より小さいとは:
– 価格を10%下げた場合、数量は10%未満しか増
えない。
– したがって、価格と数量をかけた収入は、減少す
る。
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収入と弾力性(1)
• 収入=py
• 価格変化後の収入
価格変化後の収入  ( p  p)( y  y)  py(1  g p )(1  g y )
– ここで、
率。
gp
は価格pの上昇率、 g y は数量yの上昇
– 収入が、価格変化後にどのくらい変化するかは、
上昇率の「足し算」で評価できる。
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収入と弾力性(2)
• 成長率の掛け算
(1  g p )(1  g y )  1  g p  g y  g p g y
• ここで多くの場合、 g p g y は他の項と比較して
小さいので、無視できる。そうすると、掛け算
したものの成長率は、 g p  g y で近似できるこ
とになる。
• したがって、弾力性と収入の関係も理解でき
る。
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