洗剤の適切な使用量とは ーー臨界ミセル濃度を調べるーー 化学ゼミ 辻井 秀明 きっかけ • 家庭科の教科書にて 「洗剤は適量以上入れても洗浄力は 変わらない」 「適量」は一体洗剤の何によって 決まるのか? 目的 • 洗剤の「適量」を実験によって求める • その適量が洗剤の何によって決まるの かを考察する 原理 界面活性剤とは • 洗剤の主成分 • 洗浄能力を持つ物質 ・・・セッケンもそのひとつ • 親油基と親水基をもつ 親油基 親水基 ミセルとは ・・・界面活性剤の分子が水溶液中で 集まったもの さらに 溶かすと 初めは表面に並ぶ ミセル ミセルを形成 臨界ミセル濃度(cmc) ・・・界面活性剤がミセルを作り始める濃度 • 界面活性剤の種類によって違う • cmcを境に界面活性剤の性質が異なる ・・・洗浄力、表面張力、浸透圧など 表面張力の変化がわかれば 洗浄力の変化もわかる 表面張力 ・・・液体が自身の表面積を小さくしようとする力 • 水は大きく、油は小さい 表面張力 cmc 界面活性剤の水溶液の 場合、 表面張力はcmcまでは 下がり、 cmcを超えると一定 濃度 滴下法 2r T mg 液体を管から滴下させる時 r=管の半径[m] m=1滴の質量[kg] T g=重力加速度(9.8m/s2) T=表面張力[N/m] とすると、 2πrT=mg 実験方法 セッケン水の調製 • 4種類のセッケンの様々な濃度の水溶液 を作った 使用したセッケン ①ラウリン酸Na・②ミリスチン酸Na ③パルミチン酸Na・④ステアリン酸Na • 液温は約75℃とした 表面張力の測定 • 左図のような装置を組み立てた • セッケン水5mLを滴下させ、 すべてが滴下するまでの滴数 を数えた •一滴の質量を計算した •cmcを計算した 結果 ① ② ③ ④ それぞれのセッケンのcmc ラウリン酸ナトリウム・・・0.59 % ミリスチン酸ナトリウム・・・0.15 % パルミチン酸ナトリウム・・・0.082 % ステアリン酸ナトリウム・・・0.11 % 考察 • セッケンの炭素数は①,②,③,④の順に 11,13,15,17 炭素数が多くなるほどcmcは下がる 炭素数が多いと疎水性が強まり、 小さい濃度でも水を嫌い集まる • ④のみ逆転している ④のみ加熱方法が異なって しまったから? 結論 セッケンのcmcは、炭素数が多くなる ほど小さくなる 炭素数の多いセッケンほど必要量は 少ない 参考文献 • 1) 北原文雄 (1997).科学のとびら28 界面活性剤の話 東京化学同人 • 2) 野村祐次郎 辰巳敬ほか (2006).改訂版 高等学校 化学Ⅰ 数研出版 • 3) 野村祐次郎 辰巳敬ほか (2007).改訂版 高等学校 化学Ⅱ 数研出版 • 4) 広辞苑 第六版 (2008, 2009) 岩波書店 • 5) 前田史郎 (2009).物理化学実験④ 表面張力の測定 <http://acbio2.acbio.ufukui.ac.jp/phychem/maeda/kougi/Exp IV/surface2010.pdf >
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