第13回(平成26年度)中部科学技術センター顕彰 公益財団法人中部科学技術センター 表彰式 平成26年12月9日(火) 場所 愛知県産業労働センター13階1302室 受賞者、業績の名称 中部科学技術センター大賞 株式会社デンソー 栗山 直久 氏 今東 昇一 氏 酒井 雅晴 氏 業績の名称「COA HVAC(コア エイチバック)の開発」 業績の概要 HVACは、車室内の温度を快適にするために、風の温度、吹き出し口の風量を調 節するカーエアコンの主要部品で、通常車両のインスツルメントパネルの内部に搭載 されている。通常、車両のデザインや大きさによって要求される構造や性能が異なっ ており、それに応じて製品設計や生産工程も異なっていた。当該HVACは、どのよ うな車種にも搭載可能な小型化を達成した上で、世界TOPの高性能化を実現するこ とで、メーカー・セグメント・パワートレインを跨いで共通化できる世界初のHVA Cである。 徹底的な共通化による量産効果から、部品、生産コストや開発費低減ができ、顧客 である自動車メーカーにとっても、HVAC調達費の削減に加え、小型化による足元 スペースの拡大といった車内ユーティリティの向上、また空いたスペースへの付加機 能追加が可能となった。さらに、アイドルストップ車にはエバポレーターを蓄冷エバ ポレーターに、ハイブリッド車や電気自動車にはヒーターコアをヒートポンプエアコ ンへ、そしてブロアを内外気二層ブロアへと変更することでさまざまなパワートレイ ンに対応し車両省燃費へ大きく貢献している。 中部科学技術センター振興賞 豊田合成株式会社 前田 英登 氏 久野 浩司 氏 丸岡 洋介 氏 業績の名称「高意匠ミリ波エンブレムの開発(高意匠ミリ波透過薄膜技術)」 業績の概要 近年、レーダーやカメラを用いた予防安全システムが普及しており、交通事故の低減 への貢献が期待されている。そのシステムを主要技術として期待されているのが、自然 環境の影響を受け難く、相対速度を精度良く測定できるミリ波レーダーである。その性 能を最大限に発揮するためには、フロントグリル中央部のエンブレムの位置が最適で、 各メーカーがその搭載位置での検討を行っている。一方で、フロントグリルは自動車の 「顔」であり、その中央に位置するエンブレムは高い意匠性を求められている。 当社は高意匠ミリ波透過薄膜技術として、従来技術では不可能であったシャープなデ ザイン表現やメタリック表現のできるミリ波透過加飾技術を開発したことにより、高意 匠でかつミリ波レーダーを透過する「美しさ」と「機能」を併せ持つミリ波エンブレム を提供できるようになり、現在、国内外でカーメーカーに採用いただいている。 本開発はミリ波レーダーシステムの普及に役立つことができ、より魅力のある安全、 安心な車造りへの貢献ができたと考えます。今後もミリ波レーダーシステムの搭載は増 加していくと予測され、ミリ波レーダー単独のみならず、ステレオカメラとのフュージ ョン化など交通事故低減効果は大きく、より安全な社会づくりのために必要な技術であ ると考えます。 中部科学技術センター振興賞 株式会社FJコンポジット 見込んでいる。 津島 栄樹 氏 業績の名称「銅-モリブデン・クラッド材による半導体用ヒートシンク材の開発」 業績の概要 FJコンポジットでは、半導体パッケージに使用される高性能の放熱材料(ヒートシ ンク材)であるS-CMC( Super CMC )材を開発・製造・量産化することに成功 した。 現在、携帯電話の通信方式として高速データ通信が可能な4G通信に使用されている LTE( Long term evolution )デバイスでは、高い周波数にて高速通信を行うため にGaN(窒化ガリウム)素子が使用されているが、発熱量が多いことから、その冷却 が問題となってきた。 S-CMC材は銅箔とモリブデン箔を多層に積み重ねて、ホットプレスによる拡散接 合により製造する材料であり、従来比で1.5倍~2.5倍の熱伝導率の材料である。 これは、使用するモリブデン量を1/10~1/5に少なくしても、熱膨張率をセラミ ックスに適合させる技術を開発したことによる。 既に国内外7カ国に特許が成立し、販売に関しても昨年9月から本格的な量産が始ま った。 中部科学技術センター奨励賞 富士機械製造株式会社 山蔭 勇介 氏 石川 賢三 氏 神山 和久 氏 業績の名称「電子部品自動装着機(NXTⅢ)の開発」 業績の概要 スマートフォン等の通信端末やカーエレクトロニクス製品等の電子機器における多 機能且つ高性能化はたえず進化を続けている。これら製品の電子回路形成は、プリント 配線板に半導体、電子部品を表面実装することで実現されており、電子機器の進化に伴 い実装部品点数の増加、及び小型部品の高密度実装が急速に進んでいる。部品を搭載す る電子部品実装機(マウンター)に求められる“高い生産性” “高品質”を実現しつつ、 ユーザーフレンドリーな装置でありたいというコンセプトの下、NXTシリーズの後継 機種としてNXTⅢを開発した。 本開発では。装着ロボットを支える筐体をFEM解析に基づき高剛性化を行った上、 装着ロボットを高速駆動させるためリニアモータ、制御アルゴリズムを刷新し、新たな 画像処理手法“フライングビジョンシステム”、新型装着ヘッド「H24」と融合する ことで、35,000cph という最速条件において装着精度±25μm(3σ)を実現 している。 Cph … 1時間あたりの装着点数 中部科学技術センター奨励賞 。 太平洋工業株式会社 清水 隆弘 氏 野口 修次 氏 業績の名称「超軽量・発泡成形エンジンカバーの開発」 業績の概要 自動車部品での更なる軽量化、原価低減が求められる中、弊社は世界初のナイロン 材での化学発泡成形技術の確立により、従来の技術では困難であった高耐熱で超軽量 のエンジンカバー開発に成功した。比重は水より軽い0.81を達成、世界最軽量エ ンジンカバーを量産化した。 合わせて塗装レスでも良好な外観を金型技術により達成、大幅なコスト低減と環境 への貢献を果たした。 本技術は、12年12月にトヨタ自動車の新型クラウンHVに搭載され量産化し、 トヨタ自動車からプロジェクト表彰を受賞した。また、13年度『超』モノづくり大 賞・環境関連部品賞を受賞するなど、高い評価を得ている。 汎用設備を使用できることで、グローバルな競争力も兼ね備え、今後北米・タイ等 での生産を予定、世界標準となるべく採用が進んでいる技術である。 中部科学技術センター奨励賞 森長電子株式会社 高原 義光 氏 業績の名称「VAJ型高速回線避雷ユニットの開発」 業績の概要 高速回線避雷ユニットは、雷現象によって発生する衝撃波電圧・電流、すなわち雷サ ージを吸収・減衰させ、電気・電子機器を雷から保護する高性能避雷器であるが、従来 機種は雷の間接誘導で発生する誘導雷サージ用のものは存在したが、これよりも遥かに エネルギーが大きい直撃雷サージ用はなかった。従って近年の異常気象により発生機会 が多くなった直撃雷サージの侵入により従来の誘導雷用高速回線避雷ユニットが損傷 を受け、電気・電子機器の保護機能に影響を及ぼすことが増加するようになった。 そこで直撃雷サージにも耐え得る高性能避雷器を開発する必要に迫り、VAJ型高速 回線避雷ユニット(以下「本器」と略す)を開発した。これにより直撃雷を受けやすい 無線中継局等の山頂設備の直撃雷サージ対策が可能となった。従来、この山頂設備には 耐雷トランス(絶縁トランスと避雷器を組み合わせたもの)が使用され、一定の効果が 得られていた。しかし耐雷トランスは大きく、重く、かつ高額であるため容易に導入が できなかった。これに対し本器は小型、軽量、低額であるため、このような直撃雷対策 が望まれる設備への導入が容易になり、この方面への販売実績を伸ばしている。 なお、高速回線避雷ユニットは、複合素子で構成され、保護対象回路に対して直列に 設置する高性能避雷器であり、一般の単素子で構成され、保護対象回路に並列に設置す る避雷器とは異なる。 コーディネート賞 該当なし
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