評価の目的と評価結果の活用

地域における母子保健活動の評価に関する研修会 In 愛知
評価の目的と評価結果の活用
愛媛大学医学部附属病院医療福祉支援センター
櫃本 真聿
保健活動の評価のここがネック!
評価に慣れていない補助金地方行政
評価が楽しくない 次につながらない
評価をするのではなくさせられている
評価をしなくてもこれまでやれてきた自信!?
他の行政分野も同様に評価していない
目的があいまいであることが主因
目的が明確だと、評価はいらない!!
評価は何のためか?
チェックのため 犯人探し
勤務評定 引き算思考
反省をうながす
全て後ろ向き 面白くない やりたくない
また新たな仕事が増えた
本来の目的は?
目的の再確認 進行状況のモニタリング
継続 改善 見直しのきっかけ 根拠
エンパワメント マネジメント
地域のもつ内なる力をより引き出すため
PDCAを活性化するツール モチベーションの向上
最初からある仕事 それをしないと次につながらない
技術職の落とし穴
技術の提供自体が目的化する
目指す方向性の共有より 情報や手段の共有を重視しがち
直接的なサービスの提供に終始する
周囲の環境整備より個人への対応
傾聴より指導
責任を伴わない指導 してあげる的発想
自分にできないことには関心を持たない
連携は何のためか→自分の仕事がしやすいため
住民や患者への外からの力の提供に目が行き、内なる力を引き
出すことを軽視しがち
顧客(住民)重視の視点はどうか?
ライセンスを有する技術者のグループで構成されている部門にお
いては、
部門別の独立心が強く、互いのコミュニケーション不足になりがち。
自分の属する限られた範囲での業務に片寄り、総合的なものの見
方がうすれる傾向。
顧客重視や業務の効率性・効果性の視点が弱くなってしまいがち。
それぞれ一生懸命にやっているのに何が悪い。
評価・評価と いちいちうるさいことを言うな!!
目的があいまいになっているためのいらだちや不満足感
行政や専門家の限界
行政(教育委員会等を含む)や専門家主導の限界の認
識は?
ハイリスクアプローチへの偏りの是正
異常者への早期発見・対応の後追い作戦?
ポピュレーションアプローチの行き詰まり
普及・啓発だけでは進まない
国民運動として 環境整備を地域自らが推進
住民主役のまちづくりの観点から
専門職は タレント機能から
マネージャー機能の時代へ
技術サービスの提供から 地域資源を活用した環境づく
りへのマネジメントへ
実態把握と評価がその原動力
タレントはサービス提供する人 「指導」
(住民へのベクトル重視)
マネージャーは企画調整、評価、
エンパワーメントをする人
「連携・協働」
(住民からのベクトル重視)
みんな手段で悩んでいる
目的と手段の混同からの脱却
目的の明確化・共有化
カウンセリング
癒しの本
ブレークスルー PDCA etc.
全て手段から開放し、目的に戻すため
「計画」のねらいもそこにある
そもそもの目的は?
原点に返って考えてみよう!
原点に帰り 目的を確認する
手段に振り回され目的を見失うことが問題
健康とは?
住民主役とは?
健康づくり・まちづくりの理念が
浮き彫りになってくる
公衆衛生や
ヘルスプロモーションの理念が見えてくる
健康とは
健康の定義が不明確
WHOの定義
WHOの健康が当てはまる人はいるのか?
健康日本21 「健康寿命」の延伸
誰にでも「健康」と感じるときはある
健康にさせることではなく、
健康と感じるように支援すること
「健康」は専門家がレッテル貼るものではない
住民主役とは
住民主役は全ての政治家のキーワード
患者主役は全ての医療機関の合言葉
住民・患者主役について話し合ったことは?
「様」をつけても主役にはならない
「患者様」と呼ばせる病院の急増
住民・患者が目指す方向 FOR を互いに共有する
そのためのコミュニケーションスキルは?
そのプロセスがパートナーシップの大きな一歩
ヘルスプロモーションの理解
コミュニケーションスキルの向上
保健モデルから生活モデルの重視
公助 自助 共助の重視
地域や住民のエンパワメント
外からの力の限界
健康づくりはまちづくり
個人指導<環境整備
ヘルスプロモーションのキーワード
健康にさせるための指導→健康と感じるための支援
専門家主導の行動変容の限界
「住民に良かれ」は押し付け
同じ方向を目指して(FORの確認・共有)
「TO」→「FROM」
住民の声(本音)を聞き「形」にする
すべてのサービスはFROMのために
保健・医療モデル→生活モデル観点の重視
外からの力の限界を知る
職場の風通し
チームで取り組める体制か?
同じ方向を見ているか ビジョンの明確化・共有化
話し合いの場は確保されているか
課題解決型 → 目的達成型
自分の評価と組織の評価は一致しているか
公務員の役割 社会貢献をしているか
現状に自ら適応しようとしているか
医療費抑制に振り回されない
将来予測の元に、先取りの取り組みに関われているか
何を評価指標にするのか? 戦略が不可欠
合併は何のため?
国の手先となって 医療費(公費)削減へ
ではないはず?!
中央主導での限界から 地方自らが取り組む
地方分権 市町村合併の意義を確認すること
地方の判断力・実行力の重視
住民主役の実現 住民・地域資源とともに
地域の戦略を、住民と共に展開
地域発信型 PDCAを回すこと
マネジメント
コミュニティーエンパワメント
保健指導スキルの向上が ますます行政技術職を 本来
の役割から遠ざけることになる
技術サービスの提供が役割と思い込む 技術職の陥り
やすいミス
予防が役割 これも落とし穴
地方行政が 補助金で 技術の提供に振り回される
住民ニーズを住民とともに、地域の資源を活用して実現
することの重要性を再認識する必要がある
地域の内なる力を引き出すこと 技術を活用して 保健モ
デルではなく生活モデルとして支援する姿勢
エンパワメントと評価
好ましい生活習慣
ストレスへの対処
自信の回復(エンパワー)
自己効力感の向上
首尾一貫感覚の回復
健康状態の改善
心地よさ,周囲の評価
このサイクルを評価により,止めないこと!
評価を活用するために
評価は事業の目的を再確認し共有するチャンス
そのことを意識して評価の目的を明確にする
評価するには物差しが必要
ヘルスプロモーションの理解
地域に根付いた評価指標の抽出
モニタリング体制の構築
保健活動の評価
評価の5W1H
Why
評価の目的は?
What
何を評価するのか?
Who
誰が評価するのか?
When
いつ評価するのか?
Where
どこで評価するのか?
How
どう評価するのか?
図1 保健活動の評価指標の構造
Quality of Lifeの指標
健康指標
生活習慣や行動の指標
学習の指標
知識や態度
健康づくりの技術
生活満足度や生きがい,エンパワメント
健康寿命,死亡率や有病率,有訴率
健康的な生活習慣,健診の受診
組織・資源
環境の指標
家族や周囲のサポート
住民組織等の活動状況
社会資源へのアクセス
保健活動の質と量
普及啓発事業の回数,参加者数
関係機関との連携,住民参画
基盤整備の指標
マンパワーや施設の整備
協議会等の設置,制度づくり
評価は5年(10年)後で良いのか?
10年後の目標
健診受診者に対する
問診などで得られた
生活習慣の数値
5年後の目標
必要に応じて軌道修正を早めに行うことが
ベースライン値
目標達成のポイント
00
01
02
03
04
05
06
07
08
ルーチンワークで経年的にモニターすることが重要
09
10 年
公(官)助 自助 共助のバランスの再構築
公的責任と自己責任の区分が進む
一方的「公(官)助」の縮小にどう対応していくか?
自己責任の強調・・・自己負担「自助」を増やす方向
成人病→生活習慣病 介護保険制度の導入
保健 → 保険への対応に進む
各制度の見直し・・・応益(能)者負担という考え方
選択できる? 条件次第で選択できない
共助が見えてこない
保健関係職員はどう取り組んでいくのか?
手段に振り回されず目的に返って(原点に返る)
ヘルスプロモーションの理解
確信犯としての物差しを持つ
民間機関や住民・ボランティアと連携して
関係機関との協働(コラボレーション)
公助 自助 共助の重視
自業自得ではない 食育への環境整備
地域特性や住民ニーズに基づいた
地域戦略の展開へ
ピンチをチャンスに
事件は現場で起きている
「暗いと不平を言うよりも すすんで明かりをつけましょ
う!!」の名言
危機は 見直すチャンスでもある
自らやりがいのある仕事・職場づくり
人・金(量)がピンチ 「質」重視がチャンス
危機は見直し改善するチャンス
サービスを直接提供する(公の肩代わり)
→ まちづくりのマネージメント
地域発信型・協働型に切り替えるチャンス