総合教育センターだより 12号 - 高松市教育情報通信ネットワークシステム

高松市総合教育センター
平成 27 年 3 月発行
〒760-0060
高松市末広町 5 番地
http://www.edu-tens.net
E-mail
TEL(087)811-2161 FAX(087)811-2170
[email protected]
総合教育センターは、これからも学校サポートや情報発信を続けます!
高松市総合教育センター 所長 山 下
「春風や
闘志いだきて
丘に立つ
修
高浜虚子」
「光陰矢の如し」、本年度も残すところ後わずかとなってまいりました。学校では年度末を迎え、日々慌ただ
しくお過ごしのことと思います。現在、当センターでは、PDCA サイクルに則り、本年度事業の評価やまとめ、そ
して、それらを基に来年度事業の準備を進めています。ここでは、この一年間で学校現場にどのようなサポート
や情報発信ができたかをまとめてみました。
事
業
名
主なサポートや情報発信内容
○研究発表会の実施(参加人数 319 名 『研究紀要』第 72 号発刊)
○調査研究「特別支援教育」について
・研究協力園・校での授業実践やケース会議の実施(計 19 回)
・「UD の保育・授業 12 の視点」等作成
○43 の研修会・研修講座の開催(総合評価 3.7(4段階評価)
)
○「高松塾」の開催(9回 参加人数 386 名)
○要請訪問(訪問回数 444 回)
○初任者便り『虹』の発行(7回予定)
○「Let’s up ! 思考力」リーフレット作成(4月配布予定)
○校務支援システムでの通知表・指導要録・中学校進路関係帳票
作成の本格運用
○教育クラウドでの外部接続申請者数(2/18 現在;1,005 人)
○「家庭ではぐくむ情報モラル」啓発資料作成・配布
○不登校児童生徒や保護者の支援
・学校における「親の会」に指導者派遣(64 回)
・臨床心理士によるカウンセリング(52 回)
・ICT 活用学習支援システム登録者数(58 名)
調査研究事業
研修・指導事業
教育の情報化推進事業
不登校対策事業
当センターでは、今後も研修の質の向上、校務支援システム機能の充実等を図ることをはじめ、学校現場への
サポート範囲を広げること等を通して、より充実した支援をしていきたいと考えています。センターは、先生方
のため、ひいては子どもたちのために、全ての事業において全力で学校をサポートしてまいりますので、どうぞ
ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。1年間、本当にありがとうございました。
学習に関する指導技術紹介【第3回】
〈この板書のポイント〉
①学習内容が構造化され、
指導技術紹介 -「板書」- の3回目として今回は、「子どもの思いを生かし、
価値付ける板書」を紹介します。
特別活動「もっとなかよくなるための遊びを話し合おう」の実践(小学校1年)
子どもの
ハンカチおとし
ボ
ー
ル
を
う
け
る
は
ん
か
ち
を
お
と
す
ボ
ー
ル
を
な
げ
る
ボ
ー
ル
を
よ
け
る
ボ
ー
ル
で
あ
て
る
ハ
ン
カ
チ
を
お
と
さ
れ
る
お
に
か
ら
に
げ
る
お
い
か
け
て
タ
ッ
チ
す
る
か
い
た
こ
と
ば
を
き
く
お
も
し
ろ
い
文
に
な
る
-1-
もの表現が位置付いて
いる)
価値付け
しんぶんきしゃ
か
い
た
こ
と
ば
を
よ
む
している。
(学習の流れ
楽しいこと
わかりあう
ドッジボール
②学習の過程がすっきり
③学習の証がある。
(子ど
うれしいこと
おもいあう
の質的高まりが見える)
が具体的である)
め 「なかよくなろうかい」でなかよくなれるあそびをはなしあってきめよう
○
たすけあう
整理されている。
(学習
か
ん
が
え
た
こ
と
ば
を
か
く
子どもが考えた
遊び
子どもが考えた
遊びの
うれしいこと
楽しいこと
小学校1年生の自分中心
的な考えを、ねらいと関係
付けることによって、友達
の存在を意識した活動に高
めることをねらった。この
ことにより、どの遊びもこ
れらの価値が絡み合ってお
り、それらが「なかよし」
であることに子ども自ら気
付くことができた。
<特別支援教育に関する研究委員会>
2 年次
通常の学級におけるユニバーサルデザイン(UD)の考えを取り入れた支援の在り方
-幼小中の連携による、自立を見通す一貫した教育支援を目指して-
本テーマに基づく調査研究の第2年次として、本年度は、玉藻中学校区において移行支援体制を確立し、実践
を行う中で、障害特性に応じた支援のポイントや例、UDの保育・授業の在り方について明らかにすることがで
きました。その中で、今回は、障害特性に応じた支援のポイントや例、UDの保育・授業の在り方について、概
要をお知らせします。<移行支援体制については、「研究紀要 第 72 号」(学校に1部配布)参照>
【障害特性に応じた支援のポイント 】 特性はなくならないので、特性を変えようとしない
特性を生かした支援や、特性が目立たなくなる支援を考える
特性による子どもの様子
読むことや書くことが苦手で
ある
聞いて理解するより、見て理
解する方が得意である
2つのことを同時に処理する
のは苦手である
曖昧な言葉で説明されると、
どうすればいいか分からない
興味のあることしかしない
自分の気になるものが耳や目
に入ると、活動や学習に集中
できない
教育支援の例
遊びや興味のあるものを取り入れて、読んだり書いたりする能力をはぐくめる
機会を設ける。また、得意なことを活用して、苦手なことを補うようにする。
視覚支援を活用する。
一つずつ提示する。
具体的に指示をする。
・「きちんと片付けましょう。」⇒「この図のように片付けましょう。」
活動や学習の中に、興味のあることを折り込む。
刺激過敏に共感した上で、耳や目に入らないようにする。
・教室前面の掲示物や黒板は、すっきりとする。
・静かに考える時間と友達と話し合う時間を明確に分ける。
たくさんの視覚刺激がある 集中して見るべき場所をマーキングして示す。
と、どこを見たらいいのか分 ・板書で今見るところを、赤の丸で囲む、矢印で示す等、視覚的に示す。
からない
・教科書で今見るところを、付せん紙等でマークする。
同じ姿勢を続けにくい
動作や操作を、活動や学習の中に取り入れる。
言わずにはおれないことに共感しつつ、どうすればいいかを一緒に考える。そ
思ったことをすぐに大きな声 して、小さな成長を見逃さず褒めていく。
で言う
・声の大きさを意識させ、「ボリューム0」で言うようにさせる。
・言いたくなったことを自己抑制できたら、教師に後で知らせる約束をする。
苦手なことに共感しつつ、参加したくなる環境づくりをする。また、望ましい
コミュニケーションが苦手 参加の仕方を具体的に示し、小さな成長を見逃さず褒めていく。
で、話し合いの時間に参加し ・興味があり、話したくなる課題にする。
ようとしない
・話しやすい子どもを、ペアや同じグループにする。
・どう話せばよいか、きっかけの言葉や具体物を示す。
【UDの保育・授業の在り方 】
<詳細は、「研究紀要 第 72 号」参照>
UDの保育・授業とは、「あらゆる子どもにとって、安心して主体的に取り組め、分かりやすく充実感・達成
感の得られる保育・授業」であると本研究委員会では昨年度、定義しました。UD化のねらいは、教科のねらい
を達成することで従来の保育・授業と同じです。UDの保育・授業の特徴は、特別な支援を必要としている
子どもも目を輝かして取り組めるようにという視点を入れており、評価もその子どもがどのような姿であっ
たかで行うところです。UD化のためには、以下のような手順で、意欲を損なってしまうようなつまずきを
予防する配慮が必要です。この手順を示したシートは、「支援の例」を入れて紀要に掲載しておりますので、是
非ご活用ください。
焦点化のポイント
・付けたい力に合わせたシン
プルな流れになっています
か?
・子どもが、明確に「○○が
できた・分かった」と思える
流れになっていますか?
-2-
高松市総合教育センター研究発表会(2/12 開催)での講演内容を紹介します。
幼・小部会
講演「ユニバーサルデザインの保育づくり
― 特別支援を減らすことから ― 」
講師 香川大学教育学部
准教授 松井 剛太 先生
ユニバーサルデザインとは、一つのものに全て
の人を合わせるものではない。
増やす支援から、「減らす・埋めなおす支援」を
考え、本当に必要な支援を実践していく。
幼小と中学校では、保育・授業と教師、子どもの関係が
少し異なっていて、幼小では、教師と子どもとの生活時
間が長いので、より教師の人間性が問われ、信頼関係が
ないと授業は成立しません。一方、中学校は、正に授業
が勝負であり、分かりやすい授業をしていくことで、よ
り効果が上がるといえます。
ユニバーサルデザインの保育・授業は、誰にでも分か
る、分かりやすい授業・保育をすることですが、教師にと
っては当たり前のことで、「こういう授業がユニバーサ
ルデザイン」と考えるのではなく、子ども一人一人の学
びの構えを丁寧に読み取り授業を構想していくこと
で、結果的にみんなが学びやすい授業になっていると
いえます。ユニバーサルデザインの授業は、授業がユ
ニバーサル化していく過程そのものなのです。
ユニバーサルデザインという名の下に、過剰な支援
となっていないか検証する必要があります。特に視覚
支援において、そのような傾向が見られるので、教師
の視点ではなく、子どもの視点になってその子に合っ
た支援を考えていく必要があります。教師自身がこれ
まで普通にやっていたこと、意識されていないが大事
なことを意識化することから始め、その後、専門家の
意見をもらうなど、増やす支援から「減らす支援」「埋
め直す支援」を考え、子どもに合わせた支援をしてい
くことが大事です。
きめ細やかな支援の中
に、その子にとっては無
駄な支援があるかもしれ
ないので、「間」を大事
にした保育・授業に取り
組んでほしいと思います。
小・中部会
講演「ユニバーサルデザインの授業づくり
― 焦点化・視覚化・共有化 ― 」
焦点化:目標や活動をしぼり、内容理解から論理・
本質へ深まるようにすること
視覚化:視覚・感覚・動作を入り口にして、思考で
きるようにすること
共有化:一人の考えを他の子どもに伝え、理解や思
考を深めるようにすること
講師 日野市立日野第三小学校
校長 京極 澄子 先生
発達障害のある子にとって、参加しやすい学
校、わかりやすい授業は、他のすべての子にとっ
ても、参加しやすい学校であり、わかりやすい授
業である。
特別な支援を要する子どもたちの特性は変えられない
が、周りの状況を整えることで、子どもたちの困り感を
減らせるという考えに基づき、子どもを中心にした「包
み込むモデル」を考案しました。子どもを包み込む環境
としては、地域環境、学校環境、学級環境、そして授業
の指導方法という4つの枠組みがあります。困っている
子どもを取り巻くそれらの環境に、1つの基準を設定し
整えていくことで成果につながることが、具体的な実践
を積み上げる中で分かってきました。
また、授業づくりについては、子どものつまずきから
授業を考え、その「考えさせる」ための要件として、「焦
点化・視覚化・共有化」がポイントになります。
授業では、子どもたちが考えたくなるしかけ(課題
意識の焦点化)が必要であり、その活動が授業の目標
(ねらい)につながっていること(学習活動の焦点化)、
そのためには、教師の教材研究が必要であり、教科の
研究をしないで、ユニバーサルデザインの研究はあり
得ません。
授業のUD化を推進していく中で、つまずきのある
子どもたち(困難さを抱える子どもたちが)が「○○
な授業が一番いい授業だ
よ」と教師に教えてくれ、
そのことに真摯に向かい
合った先生方が、授業を
はじめ、学級や学校全体
を変えていったと実感し
ています。
-33-
次年度の調査研究について
研究テーマ 「主体的に学ぶ意欲の育成」
平成 25、26 年度と取り組んできた特別支援教育に関する研究を本年度で終え、平成 27 年度から2年間をかけ、より
学習指導に重点を置いた調査研究に取り組んでいきます。
研究内容としては、次期学習指導要領の内容や国・県の学習状況調査の結果等を踏まえ、本市の子どもたちの学習に
おける課題の一つである「学習意欲」に焦点を当て、授業の中でいかに意欲を引き出し、育成していくかを明らかに
していきます。
研究の進め方としては、国立教育政策研究所や香川大学の研究者をアドバイザーとして招聘し、理論や方向性をご
指導いただきながら研究を進めていきます。また、これまで同様に研究協力校を委嘱し、研究授業やアンケート等を
通して、意欲を育成するための効果的な学習活動や教師の支援の在り方を検証していく予定です。
フレンドシップ事業
フレンドシップ事業の行事として
「フレンドシップ イン ウィンタ
ー」を 12/10 に実施しました。子ど
もたちによる体験活動の成果の発表や
参加された方々と共にストラップ作り
にチャレンジした創作活動を通して、
子どもたちは、先生や保護者とのふれ
あいを深めることができました。
適応指導教室 1・2 月の取組紹介
料理活動では、日本の伝統文化を楽しみ、体育活動では、寒さに
負けない体力つくりを行いました。
<毎年1月恒例のもちつき>
「よいしょー!」のかけ声のも
と、みんなで協力して、白もち、
豆もち、えびもち、のりもちを
つきました。
トレスタ白山で
手を取り合い、アイ
ススケートを楽し
みました。
4チームに分かれ駅伝
を行い、運動場40周を目
標に、たすきをつなぎまし
た。
恵方巻き・茶碗蒸
し・菜の花と大根のす
まし汁を作りました。
情報関係のお知らせ
【平成 27 年度 校務支援システムにかかわる研修予定】
○4/2・3「TENSクラウド・グループウェア操作研修会」
【平成 26 年度に主に取り組んだこと】
○4/21 「TENS取扱責任者研修会」
○ 市内全小・中学校での通知表の作成
○5/7、6/2・3「校務支援システム操作研修会Ⅰ」(成績処理・通知表)
○ 市内全中学校での進学関係書類の作成
○5/25~29、6/10~12「校務支援システム操作研修会Ⅱ」
(公文書受付等)
○ 指導要録(1年のみ)、卒業・修了台帳の作成
○7/22~24「校務支援システム操作研修会Ⅲ」
○ タブレット端末のモデル校での運用
(通知表、名簿等 帳票の作成・修正)
○ タブレット端末の配置
○8/18~20「校務支援システム操作研修会Ⅳ」
(進路関係)
※ 希望研修もありますので、ふるってご参加ください!
○ 情報モラル教育保護者啓発資料作成・配布 等
-43-