ステレオ画像を用いた距離測定

ステレオ画像を用いた距離測定
小山高専 坪田 真延
Ⅰ. 概要

平行にずらした2つのステレオ画像を用いて対
象(人)物までの距離認識を行う。
図1.1. 左から見た対象(人)物
図1.2. 右から見た対象(人)物
Ⅱ. 目的


MATLAB及びその周辺ソフトウェアの基本的な
使用方法を習得する
ステレオ画像を用いた対象物までの距離測定方
法を習得する
Ⅲ. 実験方法
1. 画像の取り込み
2. 二値化
3. フィルタ処理
4. 重心計算
5. 距離算出
1. 画像の取り込み

平行にずらした2つの位置からUSBカメラにより
画像を取り込む
図3.1. 左から見た対象物
図3.2. 右から見た対象物
2. 二値化

それぞれのステレオ画像から対象物をなしてい
る色の成分のみを抽出する。
赤を抽出
図3.3. 二値化前
図3.4. 二値化後
3. フィルタ処理

対象物周辺のノイズをフィルタ処理によって取り
除く
メディアン
フィルタ
図3.5. フィルタかける前
図3.6. フィルタかけた後
4. 重心計算

次式により、ステレオ画像のそれぞれの重心を
求める。
n m
xg 
 x f ( x , y )
y 1 x 1
n m
 f ( x , y )
(1)
y 1 x 1
重心の x 座標
xg
: 物体の x 座標の重心
f ( x, y) : 座標 ( x, y) の値 (0 or 1)
図3.7. 実際に求めた重心
5. 距離算出

距離 z を次式により求める。
※ 焦点距離 f は、あらかじめ、重心・カメラ間距離・対象物までの距離を
それぞれ実測し、逆算することで求める。
f h
z
xL  xR
h : カメラの間隔
( 2)
f : 焦点距離
xL : 左からの画像の物体の 重心
xR : 右からの画像の物体の 重心
Ⅳ. 実験結果
1. 焦点距離 f の算出
600
• 赤い袋と、赤いめがねケースについて
対象物との距離を適当に選び、それぞ
れデータをとる。
500
f [cm]
400
300
200
100
0
1
2
3
4
5
n [回]
※右図はデータの一部を抜粋したものである
図4.1. z = 120のときの焦点距離 f
Ⅳ. 実験結果
2. 対象物までの距離の測定
表.4.1. 対象物までの距離(実際の値と実測値)
実際の値 [cm]
実測値 [cm]
誤差 [cm]
対象物
1
70.0
75.3
3.7
めがねケース
2
100.0
103.7
6.0
めがねケース
3
110.0
116.0
0.4
めがねケース
4
120.0
119.6
2.2
めがねケース
5
130.0
132.2
5.3
めがねケース
6
170.0
178.1
8.1
めがねケース
7
100.0
106.1
6.1
袋
8
110.0
116.3
6.3
袋
9
120.0
124.4
1.1
袋
10
130.0
131.1
4.4
袋
Ⅳ. 実験結果
3. 作成したプログラムの実行結果
図4.2. 実行結果(実際の距離 z = 100.0 [cm])
Ⅴ. 工夫した点
求めた重心が直感的にわかるように、それぞれ
のステレオ画像に 重心の x 座標を縦線で示し
た。
 焦点距離を求める際、さまざまな距離について
実験を行い、より精度の高い焦点距離を求めら
れるようにした。

Ⅵ.考察


対象物までの距離が遠くなるほど焦点距離の誤差
が大きくなる傾向にある。
対象物が光を反射していると、二値化時のノイズ
により誤差が発生してしまう。
⇒カメラを2つ使用し、定められた位置にきちんと固定
しておけば、焦点距離の誤差を小さくでき、それに
伴って、対象物までの距離の誤差も小さくなる。
⇒光の反射で白くなる部分を除去できるような二値化
およびフィルタのアルゴリズムが必要である。
Ⅶ. まとめ
MATLABやその周辺ツールの基本的な使用方
法を学ぶことができた。
 ステレオ画像による距離の測定方法がわかった。
 このオープンハウスでは、卒業研究などにもつな
がりそうなことができて、とても有意義であったと
思う。
