脳性麻痺をもつ子どもの教育

Ⅱ 動作法について
「訓練キャンプ」(4歳夏)
動作法は、もともと脳性ま
ひ児者の肢体不自由を改善
する訓練法として、成瀬悟策
先生(現九州大学名誉教授)
が開発されたものです。
「脳性まひで動かないはずの腕が
催眠中に挙がった!」という事実に端
を発する動作法は、脳性まひによる
強烈な緊張を 心理的な活動により
自ら弛めるという「自己弛緩」、力の
入れ方抜き方を正しく学習し 自らの
意図どおりにからだを動かすという
「動作の獲得」を目指すものです。
動作法は、現在、肢体不自由のみ
ならず、自閉症や多動症、さらには
精神的疾患といった多岐にわたる
治療や訓練場面においても効果が
得られることが分かり、「臨床動作
法」「動作療法」として知られるよう
になりました。
また、一般に見られる猫背や側
湾、腰痛や肩凝りに対する健康法
として中高年の方の健康維持やリ
ハビリに用いられ、さらには、近年
「ストレスマネジメント教育」として、
児童・生徒のストレスへの対処法と
してもはば広く取り入れられるよう
になってきました。
動作法の基本的スタンスとして、
「不当な緊張やそれに伴う身体上
の問題は、たとえ意識せずとも
誤った動作を繰り返し学習した
結果起こるものであり、その動作
を正しく学習しなおすことにより、
改善をはかる」
という点にあるように思われます。
また動作法では、ストレスをはじ
めとする精神的な問題に対し、体
の側面に働きかけ、その改善をは
かるというアプローチをとります。
「心の問題は体にあらわれる」
と言われるように、私たちの心と体
は密接な関係にあり、互いに影響
しあっていることを、改めて実感す
るものです。