件 名: 大 臣 会 見 概 要 日 時 平成 28 年 9 月 13 日 1103~1127 担 当 大臣官房広報課 場 所 記者会見室 備 考 1 発表事項 なし。 2 質疑応答 Q:北朝鮮の核実験に関してなのですけれども、韓国の国防省がさらなる核 実験の準備を北朝鮮側がしているというふうな見解を示しております。日 本政府としての見解を教えていただいてもよろしいでしょうか。 A:そういった報道については承知いたしておりますが、個々の具体的な情 報の内容については事柄の性質上、コメントは差し控えたいと思います。 その上で申し上げれば、北朝鮮は、核ミサイル開発を今後も進めていく姿 勢を崩しておらず、引き続き、核開発を継続していくものと考えられます。 防衛省・自衛隊としては、引き続き、緊張感をもって北朝鮮の動向につい て、必要な情報の収集、さらには分析に努めてまいりたいと思います。 Q:北朝鮮が核実験をしていると、アメリカ政府から拡大抑止の提供という ものを再確認する発言が相次いでおります。他方で、オバマ大統領は核先 制不使用の宣言をするということを模索していたという報道もありますけ れども、大臣にお伺いしたいのですが、アメリカの核拡大抑止というもの が、核先制を維持しないことによって保たれうるかどうか、見解をお伺い してもよろしいでしょうか。 A:まず、米国政府が「核の先制不使用」の宣言について、いかなる決定も 行っていないというふうに承知しております。その上で、わが国は世界で 唯一の被爆国でもありますし、核兵器のない世界に向けて、核軍縮や不拡 散のための取組みに積極的・能動的な役割を果たしてきました。ただ、同 時に現実に核兵器が存在する間は、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止 は不可欠であって、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に協力し ていくことが重要だと考えています。 1 Q:アメリカの核拡大抑止を維持していくためには、先制不使用のオプショ ンというのは維持していくということが大事だというふうに考えていらっ しゃるのですか。 A:核兵器による拡大抑止と、今、「核の先制不使用」との関係についてのお 尋ねだと思いますが、米国政府がこの核の先制不使用について、いかなる 決定もしていませんので、この点についてのお答えはする立場にはありま せん。 Q:北朝鮮に関連してなのですけれども、核を搭載するミサイルができてい るかもしれないという話もありますけれども、今の防衛、迎撃システムを 今後どうしていくかという件について伺います。 A:ご指摘のように、特に今年に入ってからの北朝鮮の核実験2回、ミサイ ルの発射は21発、そのうち、先日は3発同時に、また、わが国の排他的 経済水域に着弾させたということについては緊張感をもって、取組んでい かなければならないと思います。その上で、わが国の防衛力、特に、北朝 鮮のミサイルに対しては、ミサイル防衛力というものをしっかりと体制を 整えていくということです。中期防にも入っておりますし、また、このS M-3ブロックⅡAの新規取得やPAC-3MSE弾の新規取得など、今 回、概算要求でもあげておりますけれども、しっかり防衛力を整えていく、 さらには、日米同盟の強化、これは、昨年の平和安全法制でも、かなり進 展はしておりますけれども、日米、さらには、情報という意味でも日米韓 の協力が必要だと思っています。そして、日米韓にとどまらず、関係諸国 との協力が必要であると思います。さらには価値観を共有する国々に対し て、例えば、能力構築支援でありますとか、様々な協力を通じて、わが国 の防衛環境をしっかりとしたものにしていくということだと思います。 Q:それに関連して、もちろん、そのミサイル迎撃体制を強化していくと思 うのですけれども、自民党内などでは、敵基地攻撃能力を持つべきだとい う意見も出ていると思いますが、それについてご見解をお願いします。 A:私も政調会長時代、自民党の部会の中で、そういった議論がなされてい ることは承知いたしております。さらに憲法との関係でいいますと、敵基 地攻撃に関しては政府は従来から法理上の問題として、他に手段がないと 認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地を叩くことも憲法が認める、 自衛の範囲に含まれるという、そういう考え方を示してきたところでござ います。ただし、現在、敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有はしてお らず、敵基地を攻撃するということを、現時点において、想定はしていな 2 いということです。 Q:今の質問に関連して、前に中谷大臣はTHAADとかイージス・アショ アの導入を、検討を加速させるとか、ミサイル防衛能力の向上の手段の一 つとして、そういうふうにおっしゃっているのですけれども、現在はどう お考えなのかということと、訪米につきまして、アメリカの方で大臣の講 演とか、火曜日に予定されていたものが木曜日に移っているのですけれど、 その辺をお聞かせいただきたいのですけれど、よろしくお願いします。 A:まず、今のわが国を取り巻く状況や、北朝鮮の状況を見れば、しっかり としたミサイル防衛の体制を整えていくことは、重要だというふうに考え ます。その上で、今回、概算要求の中でも、新たな装備品を含む将来の弾 道ミサイル体制の調査研究というのをあげております。6千万円ですけれ ども、これはまさしく、今、御指摘になったTHAAD、それからイージ ス・アショアを含めたミサイル防衛能力の向上策を、しっかりと調査して いくということでございます。さらに、私のアメリカ訪問ですが、非常に、 このタイミングでアメリカを訪問することは重要だと思っております。ま だ正式には決まっておらず、その講演の予定を、今、変える状況にあるの は、明日、国会での質疑が予定されております。参議院での委員会が予定 されておりますので、できれば、それが終わって、アメリカに行き、でき るだけいろいろ予定をこなしたいというふうに思っていますが、まだ正式 に決まっていないということです。 Q:アメリカ側では、長官との会見が木曜日とかに行なわれるとかいうこと も言われているのですけれども、CSISの講演もまだわからないという ことですか。 A:今、非常に皆、努力をしてくれておりますし、何とかその方向でいける ようやっていますけれども、まだ正式に決定がでていないということです。 Q:変更の可能性もあるということですね。 A:正式な決定がでていないということです。 Q:「もんじゅ」の廃炉の話が、今朝、出てきていますが、福井県選出の代議 士として、御所感ございましたら伺いたいという事と、それから、地元に 与える、何かしらの影響をお考えであれば、お聞かせいただけますでしょ うか。 A:これは防衛大臣としてではなく、福井選出の国会議員としてお答えしま すが、福井県は、今まで国の原子力政策に則って、その原子力、日本の中 でも最も多くの基を抱えて、貢献をしてきたところでございます。また、 3 「もんじゅ」についても、高速増殖炉技術という、たとえウランがなくな っても、ゼロから有を生み出すものを、研究炉として、ずっとそれに携わ り、そこに土地を提供してきたところでありますが、「もんじゅ」に関して は、様々な事故、そして、ずっと動いていなくて、また、動いたと思えば アームが落ちる、さらには点検漏れ等々、非常にいろいろなことが起きて おります。やはり、国民の理解、県民の理解、また、信頼を回復するとい うところまでは、私は、至っていないというふうに思っていますので、こ こは、やはりしっかりと検討していただきたいというふうに思っています。 また、地元への影響という意味では、むしろ原子力によって地域経済にプ ラスがあったことも事実です。その点は、国策にずっと沿って、この原子 力を引き受けてやってきた地元の経済の活性化ということも、しっかりと 政策として考えていくべきだというふうに思っています。 Q:代替の政策を考えてやっていくと。 A:代替というか、まだ具体的にどうということではなくて、経過というも のは重く受け止めてほしいということです。 Q:北部訓練場のヘリパッド建設についてお伺いします。今朝から自衛隊の ヘリが、トラックや重機などを運んでいますが、この自衛隊機を使うとい う判断をした理由を教えて下さい。 A:まず、この北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事については、進 入路に反対される方々が長期にわたって物件や車両を放置、また、陸路運 送に関する機材の搬入は困難であるという状況が続いておりました。この ため、工事への影響を低減・回避しつつ、安全かつ円滑な工事を実施する ため、民間ヘリコプターによる建設機材の運搬を実施しているところでは ありますが、今回、この民間ヘリコプターで運ぶことができない重量のト ラック等を空輸するために、一部の建設機材について陸上自衛隊のヘリコ プターを使うということを決断したということでございます。 Q:関連しまして、今回、自衛隊のヘリを使うにあたって、防衛省設置法第 4条19号を根拠とされていらっしゃると思うのですが、それは自衛隊の ヘリを使う根拠になるというのを、もう少し詳しく教えていただけますで しょうか。 A:防衛省設置法の、今御指摘の4条19号ですが、条約に基づいて日本国 にある外国軍隊の使用する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに駐留 軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関すること、この 中に今回の北部訓練場の移設、これは一つには沖縄の基地の負担軽減に非 4 常に役立つものであるというふうに考えておりますし、また、環境保全、 施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を着実に進めていくことが、私 は、負担軽減にも繋がっていく事だというふうに感じております。その中 で、この条文を使って、民間輸送ができないものに限り、自衛隊の航空機 を使わせていただくということにしたものでございます。 Q:関連して、自衛隊を出すときは、緊急性、公共性、非代替性というのを 検討されなければならないというのがあると思うのですが、今回はそれに 該当するというふうにお考えなのでしょうか。 A:今回、民間ヘリで運べない、しかも、必要最小限度に限って、陸上自衛 隊等の部隊に、必要な協力を行なわせる、その一環というふうに考えてお ります。 Q:自衛隊法の6章に、自衛隊の行動規定というのが書かれていると思うの ですが、それが根拠にならない理由というのは何でしょうか。 A:自衛隊法の何条ですか。 Q:6章の災害派遣時や、防衛出動、治安維持など、いろいろ項目があると 思うのですが、この中に資材搬入などは特に明記されてなく、違反に当た るのではないかという指摘も上がっていますが。 A:自衛隊法の6章に列挙されているものには当たらないというふうに思い ます。 Q:当たらない理由は何でしょうか。 A:防衛出動や、治安出動、災害出動には当たらないという意味です。 Q:私の理解不足だったら申し訳ないのですが、その中で重機を運ぶとか、 資材を運ぶとか、そういうことを米軍基地のために自衛隊が器材を運ぶと いう項目がないと思うのですが、それが今回、できる理由とは何ですか。 A:先ほど申し上げましたように、設置法4条の今回の沖縄の負担軽減にと っても有益な、そして、返還に伴うそのための措置として、民間機で運べ ない物を、更には陸路で運べる状況にはないので、この条文に基づいて、 自衛隊機で必要最小限度の物を運ぶということでございます。 Q:ゲート前に反対している住民が作っていたテントを撤去する時にも同じ 条項を使って、根拠にして排除したと思うのですが、この沖縄の負担軽減 は、返還のための措置をとるためでしたら、この条項というのはどこまで 読めるものなのでしょうか。 A:この条文で、設置法4条で、沖縄の基地返還に必要最小限で、例えば、 御指摘になった自衛隊機で民間機が運べない物、そして今の状況ですと陸 5 路でそれを運ぶことも非常に困難な物、この条文の中で、相当性が認めら れる物、これについては実施できると思います。 Q:大臣も覚えてらっしゃると思うのですけれども、かつて辺野古の問題の 時に、守屋元事務次官が、掃海母艦を投入して、強い批判を浴びて、すぐ 取りやめました。これについて大臣はどうお考えになりますか。 A:やはり、私はこの沖縄の問題、辺野古の問題も含めて、沖縄の皆様、国 民の皆様方に理解いただけるようにしっかり説明し、さらには、この条文 の中で、相当だと認められるものを個々のケースに応じて、総合的に判断 しながら、そして理解を得ながらやっていくということが重要だと思いま す。 Q:かつて守屋元事務次官が、掃海母艦を投入して強い批判を浴びてすぐ引 き上げたことについて、大臣はどうお考えなのかという質問です。 A:私は、しっかり理解が得られていないような行動、また、そういった条 文に基づいて、合理的な範囲のものであるかどうかということにかかって いるんじゃないかと思います。 Q:当時は、理解が得られていなかったという理解でいいですか。 A:当時のことは、今、ここで詳しく、全ての情報をとった上で申し上げら れませんので、具体的には言えませんが、しかし、今、私が申し上げたよ うに、この条文の想定するような、相当のものであったかどうか、さらに はきちんと理解を得られながらやったかどうかということなのではないか と思っています。 Q:今のお話で、理解を得ていきたいというようなお話もあったと思うので すけれども、今回の自衛隊のヘリでの輸送については、沖縄県民の理解と か、東村、地元の住民の理解を得られているというお考えでしょうか。 A:今、御指摘のあった地元の中で理解をいただいている自治体もあります し、また、こうして反対をされておられる方もいるということであります。 御指摘のあった国頭村や東村が返還跡地の有効活用策として、国立公園の 指定、それから世界自然遺産への登録を目指すとして、早期返還を要望さ れていますし、また、返還されることによって、沖縄県内の米軍基地の面 積が減少し、このことによって負担軽減にも資するということだと思いま す。今、御指摘のあったように様々な機会を捉えて、沖縄県民の皆様方に 理解を求めていくことは、重要だというふうに思っています。今回のヘリ コプターを使用するということに関して、沖縄県の方には事前に説明をし てきたところでありますが、しっかりと沖縄防衛局からも県の方に、さら 6 に説明していきたいというふうに思っています。 Q:県の方に説明していたというのは、環境アセスの検討図書の中で、ヘリ を使用するということだと思うのですけれども、その中には、当初、民間 のヘリで対応するということだったと思うのですけれども、自衛隊機のヘ リを使うということについては、これまで説明はなかったと思うのですけ れども、これについてはどうお考えでしょうか。 A:原則、民間機でやるということでございます。しかし、今回、民間機で 運べない重量オーバーのものについて、必要最小限、自衛隊のヘリを使わ せていただく、この点についても、しっかりと沖縄県の方にも説明してい く必要があるというふうに思っています。 Q:説明する前に、使用することは理解を得られているというお考えでしょ うか。 A:自衛隊のヘリについても事前にお話しているところです。 Q:事前に沖縄県の方にはしているということですね。 A:はい。そういうことです。 Q:北朝鮮の話に戻ってしまうのですけれども、今日、米軍が核弾頭を搭載 できる戦略爆撃機を韓国の上空で低空飛行したと思うのですが、北朝鮮の 牽制と見られるのですが、これについての受け止めをお願いします。 A:米軍の行動について、私が何かを申し上げる立場にはありません。しか しながら、世界全体というか、日米韓、さらには、多くの国々、全ての国 と言ってもいいでしょう。北朝鮮のこの行動について、非常に危機感を感 じているということは事実だと思います。 以 7 上
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