NIRA 一般助成研究中間報告 「NIRA型ベンチマーク・モデルを活用した 政策評価システム及び

NIRA一般助成研究中間報告
「NIRA型ベンチマーク・モデルを活用した
政策評価システム及び
行政改善への提案に関する研究」
研究代表機関
特定非営利活動法人NPOぐんま 代表理事 熊倉浩靖
研究目的

NIRA型ベンチマーク・モデルを適用した業績評価の試算と都市間比較の実施
→ データ入手・加工・評価・比較の難易度等の検証
複数の指標群の相関関係把握などによるベンチマークの磨き上げ

市民・行政担当者等に対するグループ・ヒアリングの実施
→ 指標群についての関心度・意見、新たな指標群と形式の要望聴取
ベンチマーク・モデルの改善提案や活用のためのガイドライン試案作成

NIRA型ベンチマーク・モデルによるベスト・プラクティス比較
→ 協力都市における事務・事業、行政計画等に対する改善提案

ベンチマーク活用型の自治体経営と市民参加経験の全国規模でのOJT実施
→ 分権型公共社会形成における地方シンクタンクの新たな役割の発見
都市自治体と地方シンクタンクによる行政評価プラットフォームの準備
2003年度の研究経過

共同研究参加機関
東北開発研究センター、福島経済研究所、NPOぐんま、山梨総合研究所
地域問題研究所、計画情報研究所、地域計画建築研究所
関西情報・産業活性化センター、岡山経済研究所、よかネット

協力いただいた都市
東北・北関東の2都市、中部・北陸の2都市、関西の3都市、九州の1都市

わかったことと課題
→ NIRA型ベンチマーク・モデルは、
コスト評価・事業成果を重視した都市の「総合的な基本検診」
→ 都市間比較(ベスト・プラクティス比較)がしやすい指標群であるとともに、
市民・行政・専門家の「共通の言語」
→ 指標群によって熟度に開き
熟度の高い指標群について分析・評価・活用の検討
熟度の低い指標群について代替案等を検証
NIRA型ベンチマーク・モデルの特徴

都市自治体向け業績評価型ベンチマーク
他団体との比較によるベスト・プラクティス・アプローチが行えるよう、
極力、算定方法の共通化・簡素化

コスト情報の重視
基本指標、結果指標(アウトプット)、成果指標(アウトカム)、コスト指標からなる。
とくに、コスト指標については、活動コストの分析とそれを活用したマネジメント手
法の考え方に基づき、一定のマニュアル化を行っている。

参加・協働型ベンチマーク・モデルの原型
モデル都市の市民選好度調査などにもとづき、
さらに都市自治体の主体性や事業効果の測定可能性なども考慮して、
市民生活に関連の深い15の標準サービス分野を選定
NIRA型ベンチマーク・モデルの体系
基本政策
政 策
社会保障の充実
1
2
誰もが安心して健やかに
暮らせる社会の構築
市民文化の充実
3
快適な生活環境の確保
4
安全で安心な暮らしの確保
5
市民と行政の
パートナーシップの確立
施 策
1
介護保険制度の適正な運用
2
健康診査の推進
3
子供の健康増進
高齢者保健福祉の充実
4
高齢者の健康づくり・社会参加の推進
子育て支援
5
保育サービスの充実
6
図書館サービスの充実
7
身近なスポーツ活動の振興
芸術文化の振興
8
芸術鑑賞機会の充実
ごみの減量・リサイクルの推進
9
効率的なリサイクルシステムの整備
水環境への環境負荷の低減
10
下水道の整備
11
消防体制の強化
12
救命救助体制の充実
開かれた市政の推進
13
情報公開の推進
情報化の推進
14
デジタル情報化の推進
市民サービスの改善
15
対人サービスの向上
生涯にわたる健康づくり
生涯学習の推進
消防・救急体制の充実
基本政策1
誰もが安心して健やかに暮らせる社会の構築
政策
施策
事務・事業
基本指標
(説明指標)
結果指標
成果指標
コスト指標
介護保険対象者 1 人当たり
社会保障の
充実
介護保険制度
高齢者介護
の適正な運用
サービス
①施設介護と
在宅介護の比較
②高齢化率
要介護・要支援
認定率
①施設入所率
コスト
②居宅介護
①特別会計決算額ベース
サービス給付率
②一般会計から特別会計への
操出金ベース
生涯にわたる
健康づくり
健康診査の
成人健康診査
推進
サービス
子供の健康
増進
対象者率
基本健康診査
受診率
要精検者率
受診者 1 人当たりコスト
要精検者率
受診者 1 人当たりコスト
乳幼児健康診
査
対象者率
乳幼児健診受診率
サービス
①高齢者の
高齢者保健
福祉の充実
高齢者の
健康づくり・社
会参加の推進
高齢者
自立支援事業
社会参加プログ
自立高齢者 1 人当たりコスト
ラムへの参加率
①自立高齢者 1 人当たりの社会
高齢化率
自立高齢者率
②高齢者の
参加プログラムコスト
②自立高齢者 1 人当たりの健康
づくりプログラムコスト
健康づくりプロラ
ムへの参加率
園児 1 人当たり
子育て支援
保育サービスの
充実
①公立保育園の
保育サービス
児童受入率
②要保育児童数
保育の実施率
延長保育の
利用率
保育園運営コスト/月
①総コスト
②受益者負担分を控除した
コスト
基本政策2
市民文化の充実
政策
施策
事務・事業
基本指標
(説明指標)
結果指標
成果指標
コスト指標
図書貸し出し 1 冊当たりのコスト
図書館サービス
の充実
夜間貸し出し業務
図書館サービス
を行っている図書
館の割合
市民 1 人当たりの
1 人当たり年間
蔵書・ソフト数
図書貸し出し冊数
①施設の減価償却費を含んだ
コスト
②施設の減価償却費を
含まないコスト
施設利用者 1 人当たりコスト
生涯学習の
①施設の減価償却費を含んだ
推進
コスト
①県施設の整備
身近なスポーツ
スポーツ施設
活動の振興
管理運営事業
状況
②1 人当たりの
スポーツ施設
スポーツ施設
整備率
利用者率
公園緑地面積
②施設の減価償却費を
含まないコスト
③利用者の負担を控除した
コスト(減価償却費は含む)
④利用者の負担を控除した
コスト(減価償却費は除く)
参加者 1 人当たりコスト
芸術文化の
芸術鑑賞機会
芸術鑑賞
振興
の充実
開催事業
芸術文化施設に
おける公共施設
数の割合
自治体主催の芸術
文化活動開催数
①施設の減価償却費を含んだ
参加率
コスト
②施設の減価償却費を
含まないコスト
基本政策3
快適な生活環境の確保
政策
施策
事務・事業
基本指標
(説明指標)
結果指標
成果指標
コスト指標
リサイクル率
①資源ごみとして
ごみの減量・
効率的な
リサイクルの
リサイクルシス
推進
テムの整備
ごみ収集・
処分サービス
①週当たりの収集
回数
②民間委託率
収集されたごみの量
市民 1 人が 1 年間に
/一般廃棄物総搬入量
出すごみの量
②実 際に 資 源 化 された
ごみの量
①ごみ収集 1 トン当たりの
収集単価
②ごみ処分 1 トン当たりの
処分単価
/資源ごみとして収集さ
れたごみの量
公共下水道整備に掛かる
下水道の整備
衛生処理率
公共下水道、
水環境への
流域下水道、
環境負荷の
合併浄化槽、
低減
農漁村集落
排水処理
コスト
公共下水道、
下水道処理
サービス
公共下水道普及率
公共下水道
処理面積率
流域下水道、
①1 戸当たりコスト
合併浄化槽、
農漁村集落排水処理
②1 人当たりコスト
/総人口
③受益者負担を控除した
1 戸当たりコスト
基本政策4
安全で安心な暮らしの確保
政策
施策
事務・事業
消防・救急体制
消防体制の
防災訓練
の充実
強化
実施事業
基本指標
(説明指標)
防災組織率
結果指標
成果指標
防災訓練等
防災訓練等
実施回数
参加率
コスト指標
参加者 1 人当たりコスト
基本政策5
市民と行政のパートナーシップの確立
政策
施策
事務・事業
基本指標
(説明指標)
開かれた市政
情報公開
情報開示
①公文書公開請求件数
の推進
の推進
サービス
②手数料
デジタル情報化
ホームページ
の推進
サービス
情報化の推進
インターネット普及率
結果指標
開示率
市ホームページへ
のアクセス件数
成果指標
開示 1 件当たり
平均所要日数
千人当たりの
市ホームページ
アクセス数/人
コスト指標
開示 1 件当たりコスト
千人当たりの
情報製作コスト
①業務時間を延長
している窓口の数
市民サービス
対人サービス
住民票交付
の改善
の向上
サービス
②業務時間を延長
している窓口の割合
③自動交付機設置数
④自動交付機による
交付数/総交付数
住民票交付数
1 件当たり
住民票 1 通当たり
平均待ち時間
発行コスト
NIRA型ベンチマーク・モデル適用の反響

コスト評価・事業成果を重視した都市の「総合的な基本検診」という性格
全国規模での都市間相互比較を前提
それぞれの都市固有の行政評価:ホームドクターによる内診や精密検査

都市の特質・政策を考える上での市民・行政・専門家の「共通の言語」という性格
行政職員やシンクタンクなどの専門家の評価・分析ツールであるとともに、
地域で都市とその政策の特質・課題を話し合う「共通の言語」に育っていく可能性

定義や範囲、指標間の関係、指標群の形式、基準値のあり方を明確にすること
データ入手とグループ・ヒアリングにおいて、指標の定義やデータの範囲・枠組み、
基本指標、結果指標、成果指標、コスト指標の相関性に疑義や議論が集中。
ベンチマークと言う以上「基準値」が問題となるが、その設定はまだ熟していない。
→ 指標間の相関性に注目した「基準値」「基準範囲」モデルを提案したい。

活用のためのガイドラインの必要性
→ 都市の説明指標や類似団体比較に留意した活用ガイドラインを提案したい。
分野で分かれた指標群の熟度とその理由

熟度が高いと指摘された基本政策分野
「誰もが安心して健やかに暮らせる社会の構築」「快適な生活環境の確保」
← 事務・事業が熟していて市民側の負担も明確。データ等への疑義が少ない。
→ 都市自治体の基本業務として確立されている分野

熟度が低いと指摘された基本政策分野
「市民と行政のパートナーシップの確立」
→ ベンチマークが未成熟と言うより、対象とする事務・事業が未成熟な分野

興味深いのは「市民文化の充実」分野に対する評価
← 「市民と行政のパートナーシップの確立」を実体化している分野
→ 市民が施設を活用している状況、市主催事業と民間事業の割合、
それら視点からのコスト評価に関心が集中 → 代替ベンチマーク提案

「安全で安心な暮らしの確保」分野採用のベンチマークは設計変更要望が高い
高齢者介護サービス指標群の場合
ベンチマークの構成





基本データ
総人口、65歳以上人口、施設入所介護者数、在宅介護者数、要介護・要支援認定者数、
介護保険第1号被保険者数、介護保険第2号被保険者数、居宅介護サービス給付額、
総介護給付額、特別会計決算額、年間平均被保険者数、一般会計操出金
基本指標
①施設介護と在宅介護の比較
施設入所者率 = 施設入所者数 /(施設入所者数+在宅介護者数)
在宅介護者率 = 在宅介護者数 /(施設入所者数+在宅介護者数)
②高齢化率
結果指標
要介護・要支援認定率
要介護・要支援認定者数/介護保険費保険者数(第1号+第2号)
成果指標
①施設入所率
施設入所介護者数/要介護・要支援認定者数
②居宅介護サービス給付率
居宅介護サービス給付率/総介護給付額
コスト指標
介護保険対象者1人当たりコスト
①特別会計ベース
特別会計決算額/年間平均被保険者数
②一般会計繰出金ベース 一般会計操出金/年間被平均保険者数
高齢者介護サービス指標群の場合
介護保険対象者1人当たりコストはベンチマーク
特別会計ベース
一般会計操出金ベース
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
A
特別会計ベースで介護保険対象者1人当たりコスト
60,000~90,000円ほどが基準範囲となりうる。
B
C
D
E
F
G
H
I
J
非常にわかりやすいベンチマークと言える。
協力都市
高齢者介護サービス指標群の場合
一般会計操出金の基準範囲も見えてきた
18,000
16,000
14,000
12,000
一般会計操出金ベー
ス
10,000
操出金が多い都市群
ベンチマーキングが必要
基準値となる線形関係
8,000
6,000
4,000
2,000
特別会計に対する一般会計操出金比率
0
11~13%は基準値たりうる。
0
20,000
40,000
60,000
80,000
これも、分かりやすいベンチマークである。
特別会計ベース
100,000
120,000
高齢者介護サービス指標群の場合
施設入所率と施設介護給付率には鮮明な相関
80.0
70.0
60.0
50.0
施設給付率 40.0
30.0
施設入所率と施設介護給付率(仮称)との間には、
20.0
2本の平行する線形関係が得られた。
10.0
2本の平行する線形関係が得られたのは、
データ少ないためか、ある広がりが認められるのかは不
0.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
明だが、この直線は基準値たりうると見られる。
施設入所率
30.0
高齢者介護サービス指標群の場合
居宅介護率と居宅介護サービス給付率では?
60.0
50.0
40.0
居宅介護サービス給
30.0
付率
現在データによる限り、
20.0
居宅介護率と居宅介護サービス給付率の間には、
10.0
有意な関係、適切な基準値は得られなかった。
0.0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
居宅介護率
60.0
70.0
80.0
90.0
高齢者介護サービス指標群の場合
在宅介護率と居宅介護サービス給付率にも相関
居宅介護サービス給付率に対する対象を在宅介
60.0
護率とすると、相関範囲が絞られる。さらなるデー
タ集積が必要だが
50.0
在宅介護率と居宅サービス給付率の関係は一つ
40.0
の基準値となると見られる。
居宅介護サービ
そして、
30.0
ス給付率
①特別会計ベースでの
20.0
介護保険対象者1人当たりコスト
②特別会計に対する一般会計操出金比率
10.0
③施設入所率と施設介護サービス給付率の関係
④在宅介護率と居宅介護サービス給付率の関係
0.0
を見れば、
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
在宅介護率
高齢者介護のベスト・プラクティスが図られる
70.0
80.0
90.0
成人健康診査サービス指標群の場合
ベンチマークの構成

基本データ
総人口、基本検診対象者数、基本検診受診者数、基本検診要精検者数、
基本検診関係コスト、受益者負担を控除した基本検診関係事業費

基本指標
対象者率
対象者数(40歳以上) /総人口

結果指標
基本検診受診率
受診者数/対象者数

成果指標
要精検者率
要精検者数/受診者数

コスト指標
①受診者1人当たり検診コスト
基本検診関係コスト/受診者数
②受益者負担を控除した1人当たり検診コスト
受益者負担を控除した基本検診関係事業費/受診者数
成人健康診査サービス指標群の場合
受診率と受診者1人当たりコストの相関
18,000
16,000
14,000
12,000
受信者1人当たりコス
ト
10,000
8,000
相関関係は認められるが、
6,000
鮮明ではない。
4,000
そこで、1人当たりコストを、
2,000
受診者1人当たりから、
0
対象者1人当たりに変えて
0.0
10.0
みると……
20.0
30.0
40.0
基本検診受診率
50.0
60.0
70.0
成人健康診査サービス指標群の場合
受診率と対象者1人当たりコストの相関
10,000
9,000
対象者1人当たりコスト
8,000
基準値たりうる線形関係
現状平行する2本だが、
基準範囲とみられる。
7,000
6,000
K
5,000
4,000
コストに比べ、明らか
に
受診率の高い都市例
3,000
2,000
1,000
0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
基本検診受診率
50.0
60.0
70.0
成人健康診査サービス指標群の場合
対象者1人当たりコストと要精検者率の相関
10,000
対象者1人当たりコストと要精検
者率との間には有意な関係は見
えにくい。
9,000
対象者1人当たりコスト
8,000
7,000
ただ、平行関係ではない2本の線
形関係に、大きく分かれることか
ら、
要注意者を含むか含まないかの
違いかもしれない。
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
基本検診要精検者率
70.0
80.0
90.0
100.0
乳幼児健康診査サービス指標群の場合
見つからない妥当な相関、基準値
成人健康診査と同様の相関を
とってみたが、ご覧のようなばら
つきで基準値候補は見つからず。
ベンチマーク代替案が必要か?
30,000
25,000
20,000
対象者1人当た
15,000
りコスト
10,000
5,000
0
84.0
86.0
88.0
90.0
92.0
受診率
94.0
96.0
98.0
高齢者自立支援事業指標群の場合
市事業の実態とベンチマーク設計にズレ?






基本データ
総人口、65歳以上人口、要介護・要支援認定の高齢者数、
高齢者の社会参加プログラム参加者数、高齢者の健康づくりプログラム参加者数、
高齢者の社会参加プログラムコスト、高齢者の健康づくりプログラムコスト
基本指標
高齢化率
結果指標
①高齢者の社会参加プログラムへの参加率
社会参加プログラム参加者数/高齢者人口
②高齢者の健康づくりプログラムへの参加率
健康づくりプログラム参加者数/高齢者人口
成果指標
自立高齢者率
(高齢者人口-要介護・要支援認定者数)/高齢者人口
コスト指標
自立高齢者1人当たりコスト
➀社会参加プログラムコスト
高齢者の社会参加プログラムコスト/自立高齢者数
②健康づくりプログラムコスト
高齢者の健康づくりプログラムコスト/自立高齢者数
問題点
「2つのプログラムが分けられていない、あるいは、福祉部局と教育部局とに分かれて
プログラムが実施されており、全体的な把握に手間取る」などの意見が各市から出され
た。
このズレを解消していくことでのベンチマーク修正が必要と見られる。
保育サービス指標群の場合
ベンチマークの構成






基本データ
公立保育園児童数、私立保育園児童数、要保育児童数、延長保育利用月平均児童数、
保育園運営関係事業費、受益者負担を控除した保育園運営関係事業費
基本指標
①公立保育園の児童受入率
公立保育園児童数 /総保育児童数 (公立+私立保育園児童数)
②要保育児童数
結果指標
保育の実施率
総保育児童数/要保育児童数
成果指標
延長保育の利用率
延長保育利用月平均児童数/総保育児童数
コスト指標
園児1人当たり保育コスト
①総コスト
保育園運営関係事業費/総保育児童数
②受益者負担を控除したコスト
受益者負担を控除した保育園運営関係事業費/総保育児童数
問題点
延長保育の利用率を成果指標とすることへの反応は鈍かった。
減価償却費を出していない都市が多かった。
保育サービス指標群の場合
受益者負担控除後園児1人当たりコストと公立保育園受入率相関
基準値が明確になって初めて
2,000,000
都市の性格や政策についての
1,800,000
市民・行政・専門家の議論が
1,600,000
始まる。その一例となるケース
1,400,000
基準値と見られ
る相関関係
1,200,000
受益者負担控除後
の園児1人当たり保 1,000,000
育運営コスト
800,000
600,000
コストパフォーマンスが
400,000
低い都市例か?
コストパフォーマンスが
高い都市例か?
200,000
0
0.0
20.0
40.0
60.0
公立保育園の児童受入率
80.0
100.0
図書館サービス指標群の場合
ベンチマークの構成と改善提案







基本データ
総人口、図書館総数、蔵書・ソフト総数(ビデオ、CD等を含む)、年間図書貸出総数、
夜間貸出業務実施図書館数、施設の貸出コスト(減価償却を含むと含まない)
基本指標
夜間貸出業務実施図書館割合
夜間貸出業務実施図書館数/図書館総数
結果指標
市民1人当たり蔵書・ソフト数
蔵書・ソフト総数/総人口
成果指標
市民1人当たり年間図書貸出冊数
年間図書貸出総数/総人口
コスト指標
図書貸出1冊当たりコスト 施設の貸出コスト/年間図書貸出総数
①減価償却を含むコスト
②減価償却を含まないコスト
問題点
夜間貸出業務の基本指標化への関心は薄く、
図書館業務は貸出だけかという基本的な問いかけが多数寄せられた。
他方、施設事業費は貸出だけでなく全事業費を含んで提供されている。
新たな指標
総利用者数、年度末貸出登録者数を基本データとし指標を次のように改
善
・基本指標
利用者総数、蔵書・ソフト総数
・結果指標
市民1人当たり蔵書・ソフト数、年度末貸出登録者数
・成果指標
利用者率(利用者総数/総人口)、貸出登録者率(登録者数/総人口)
図書館サービス指標群の改善提案
総利用( 入館者)数と総事業費の相関
1,000,000,000
900,000,000
まだ数は少ないが、
基準値と言えるのでは?
800,000,000
700,000,000
600,000,000
総事業費 500,000,000
400,000,000
300,000,000
現在数値だが、利用者1人当
り900円前後が基準値候補
200,000,000
100,000,000
0
0
200,000
400,000
600,000 800,000
総利用者数
1,000,000 1,200,000
スポーツ施設管理運営事業指標群の場合
ベンチマークの構成

基本データ
総人口、県施設数、公園緑地面積、スポーツ施設総床面積、
スポーツ施設年間利用者総数、スポーツ施設コスト(減価償却を含む・含まない)
利用者負担を控除したコスト(減価償却を含む・含まない)

基本指標
①県施設の整備状況
②1人当たりの公園緑地面積

結果指標
スポーツ施設整備率
スポーツ施設総床面積/総人口

成果指標
スポーツ施設利用者率
スポーツ施設年間利用者総数/総人口

コスト指標
施設利用者1人当たりコスト スポーツ施設コスト/利用者総数
①施設の減価償却を含む場合
②施設の減価償却を含まない場合
③減価償却を含むコストから利用者負担を控除した場合
④減価償却を含まないコストから利用者負担を控除した場合
スポーツ施設管理運営事業指標群の場合
施設利用率と受益者負担控除後の利用者1人当たりコストの相関
1,400
1,200
1,000
利用者負担控 800
除後1人当たり
600
コスト
400
200
基準値とはまでは
言い切れないが、
0
相関は認められる。
0.0
200.0
400.0
600.0
スポーツ施設利用者率
800.0
スポーツ施設管理運営事業指標群の場合
図書館型ベンチマークは適合するか?
2,000,000,000
1,800,000,000
1,600,000,000
1,400,000,000
減価償却費を 1,200,000,000
含まない総コス 1,000,000,000
ト
800,000,000
600,000,000
400,000,000
200,000,000
0
これをどう見るか。なお微妙。0
図書館とスポーツ施設の性
格の違いを表すか。
500,00 1,000,0 1,500,0 2,000,0 2,500,0
0
00
00
00
00
総利用者数
芸術鑑賞開催事業指標群の場合
文化施設、芸術文化活動把握に議論集中

基本データ
総人口、全文化施設数、公共文化施設数、市主催の芸術文化活動開催数、
市主催の芸術文化活動参加者数、文化施設コスト(減価償却を含む・含まない)

基本指標
芸術文化施設における公共施設数の割合
公共文化施設数/全文化施設数

結果指標
自治体主催の芸術文化活動開催数

成果指標
参加率
市主催の芸術文化活動参加者数/総人口

コスト指標
参加者1人当たりコスト 文化施設コスト/参加者数
①施設の減価償却を含む場合
②施設の減価償却を含まない場合

問題点
委託運営になっていて減価償却が算出されていない自治体が多い。
市民主体の芸術文化活動と自治体主催活動の関係に関心は集中。
さまざまな相関をとってみたが、関係が不明。
そこで……
公民館サービス指標群の提案と検証
ベンチマークの構成
公民館だけを選び出して

基本データ
総人口、条例で設置され職員・予算が配分されている公民館数、全事業数、
市主催事業数、全館総利用者数、全館総事業費(受益者負担は控除)

基本指標
条例で設置され職員・予算が配分されている公民館数

結果指標
全館総利用者数、全事業数

成果指標
①利用率
全館総利用者数/総人口
②市主催事業の全事業に占める割合
市主催事業数/全事業数

コスト指標
利用者1人当たりコスト
全館総事業費/全館総利用者数
とりあえず事業費として減価償却の有無は問わない
として、みたところ……
公民館サービス指標群の提案と検証
全事業に占める市主催事業割合には基準値がありそう
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
市主催事業数 2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
0
20,000
データは少ないが、
非常に鮮明な線形関係。
市主催事業割合7~8%が
基準値となるか。
コスト指標ではないが、
40,000
60,000
80,000
市民参加、協働の指標と
はなる。
全事業数
公民館サービス指標群の提案と検証
図書館型ベンチマークは適すか不明
800,000,000
700,000,000
600,000,000
500,000,000
全事業数 400,000,000
300,000,000
200,000,000
データが少ないので断言できないが、
図書館型ベンチマークは適すか不明。
他の相関も求めたが、
現状鮮明な相関関係は求められず。
100,000,000
0
基本政策2 市民文化の充実ベンチマークは、
0
500,000
1,000,000 1,500,000 2,000,000
施設の性格別のベンチマーク・セットとその
総利用者数
関係評価が大切か。
ごみ収集・処分サービス指標群の場合
ベンチマークの構成

基本データ
総人口、ごみ区分別週当たり収集ごみ(可燃ごみ)、ごみ区分別月当たり収集ごみ(不燃ごみ・資源ご
み・粗大ごみ)、ごみ収集量(持込は含まない)、ごみ持込民量、民間委託業者によるごみ収集量、資
源ごみ搬入量、実際に資源化されたごみの量、ごみ総収集コスト、ごみ総処分コスト

基本指標
①週当たりの収集回数(可燃ごみ・不燃ごみ・資源ごみ・粗大ごみ)
②民間委託率
民間委託業者によるごみ収集量/一般廃棄物総搬入量(収集+持込)

結果指標
市民1人当たり年間ごみ排出量
一般廃棄物総搬入量/総人口

成果指標
リサイクル率
①一般廃棄物総搬入量に占める資源ごみの割合
資源ごみ搬入量/一般廃棄物総搬入量
②実際に資源化された率
実際に資源化されたごみの量/資源ごみ搬入量

コスト指標
①ごみ収集1トン当たりコスト
ごみ総収集コスト/一般廃棄物総搬入量
②ごみ処分1トン当たりコスト
ごみ総処分コスト/一般廃棄物総搬入量
ごみ収集・処分サービス指標群の場合
ごみ1トン当たり収集・処分単価
ごみ1トン当たり収集単価
ごみ1トン当たり処分単価
40,000
35,000
30,000
25,000
単価(円) 20,000
15,000
10,000
5,000
0
収集単価・処分単価とも
1
2
ばらばら。単価自体は
ベンチマークにならない?
3
4
5
協力都市
6
7
8
資源ごみの資源化
率もまだばらばら。
ごみ収集・処分サービス指標群改善提案
市民1人当たり年間ごみ排出量に関して
市民1人当たり年間ごみ排出量
突出した数値となっているが、
業務機能の強い中核市。
生活系と事務系を分けての
評価が必要
700.0
600.0
500.0
㎏
400.0
300.0
基準範囲とは見えるが
200.0
100.0
0.0
1
2
3
4
5
6
7
協力都市
8
9
10
11
下水道処理サービス指標群の場合
公共下水道整備偏重に議論集中

基本データ
総人口、公共下水道普及人口、公共下水道処理人口、公共下水道整備戸数、公共下水道処理面積、
公共下水道計画区域面積、流域下水道処理人口、合併浄化槽処理人口、農漁村集落排水処理人口、
公共下水道整備コスト、受益者負担を控除した公共下水道整備コスト

基本指標
公共下水道普及率
処理人口/総人口

結果指標
公共下水道処理面積
処理面積/計画区域面積

成果指標
衛生処理率
公共下水・流域下水・合併浄化槽・農漁村集落排水処理人口/総人口

コスト指標
公共下水道整備にかかるコスト
①1戸当たり
公共下水道整備コスト/公共下水道整備戸数
②市民1人当たり 公共下水道整備コスト/総人口
③受益者負担を控除した1戸当たり
公共下水道整備コスト/受益者負担を控除した公共下水道整備コスト

問題点
理)
施策を「下水道の整備(公共下水・流域下水・合併浄化槽・農漁村集落排水等処
とし、「衛生処理率」を成果指標としているのに、他の指標は全て「公共下水道」。
「公共下水道」に偏重していて、その都市の下水処理の特質とコスト評価ができない。
→ 衛生処理(率)の視点からベンチマーク・モデルを修正する必要がある。
防災訓練実施事業指標群の場合
求められる定義の明確化
防災組織率
防災訓練等実施回数
250.0
9.0
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
200.0
防災組織率・ 150.0
防災訓練等実
100.0
施回数
数値はばらばら。
50.0
協力都市の被災可
能性等により、定0.0
義、事業に大きな
差があるためか。
防災訓練参加率
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
協力都市
防災訓練参加
率
地域特性を表
す指標として
は有意だが、
さらなる検討
が必要か。
救急搬送サービス指標群の場合
救急車平均到達時間に議論集中
救急車平均到達時間
8.0
7.0
6.0
5.0
分
4.0
3.0
2.0
1.0
6分以内が基準値となるが、平均値ではなく、カバー率、
0.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
救急病院への平均搬送時間と合わせて評価すべき、
その上でコスト評価をという意見が多く、なお検討が必要
協力都市
情報公開の推進に関する代替ベンチマークの提案
広報1部当たり発行単価の提案と検証
3,500,000
データは少ないが、
広報1部当たり発行単価
20~30円は基準値候補
3,000,000
2,500,000
2,000,000
総発行部数
コスト高だが、
規模の小さい都市の傾向
ベンチマーキングが必要
1,500,000
1,000,000
500,000
0
0
20,000,000
40,000,000
発行総コスト
60,000,000
80,000,000
対人サービスの改善に関する代替ベンチマークの提案
窓口業務1件当たり処理単価の提案と検証
1,200,000,000
1,000,000,000
800,000,000
データは少ないが、
驚くほどの線形関係。
窓口業務1件当たり処
理コスト1,500円ほどは
基準値候補
窓口全業務コ
600,000,000
スト
400,000,000
手数料はおおむね
200,000,000
300~450円程度だから、
0
市民負担は、
0
処理コストの1/5から
1/4程度となっている。
200,000
400,000
600,000
窓口全業務処理数
800,000
残された課題

NIRA型ベンチマーク設計段階で見送られた道路、交通政策、教育、議会、産
業政策については、未だ明確な代替案を出せないでいる。

しかし、議会・教育については、決算レベルでの把握が容易であり、市民1人
当たり数値等での検討に入りたいと考えている。

道路については、研究会メンバーから場所を変えての提案を予定している。

市民との「共通の言語」たりうる状況やNIRA型ベンチマークを用いての市民
間の政策改善議論の様子等も、他のメンバーから発表したいと考えている。

なお残された月日において、熟度の高い指標群については、その解析・活用
方法の検証・深化を、幾つかの指標群については代替案との比較や新たな
解析・活用方法模索を進め、今回貴重なデータを提供いただいた8市に何ら
かのお返しができるよう心して中間報告に代えたい。
議会指標群の場合
予備的考察1 市民1人当り議会費の視点では
1,000,000,000
大項目の教育費レベ
ルで市民1人当り数
値を求めると、
900,000,000
800,000,000
700,000,000
600,000,000
議会費
500,000,000
人口が大きいほど、
1人当り数値は下がる形で、
このような関係が認められた。
400,000,000
300,000,000
200,000,000
100,000,000
0
0
100,000
200,000 300,000
人口
400,000
500,000
議会指標群の場合
予備的考察2 議員1人当り議会費の視点では
1,000,000,000
900,000,000
有意な相関関係
は認められない
800,000,000
700,000,000
600,000,000
議会費 500,000,000
400,000,000
300,000,000
200,000,000
100,000,000
0
0
5
10
15
20
25
議員数
30
35
40
45
議会指標群の場合
予備的考察3 市民1人当り議員数の視点では
45
40
35
30
25
非常に微妙な相関関係
議員数
20
15
10
5
0
0
100,000
200,000
300,000
人口
400,000
500,000
教育費標群の場合
予備的考察 市民1人当り教育費の視点では
35,000,000
30,000,000
25,000,000
20,000,000
教育費
15,000,000
10,000,000
5,000,000
0
0
この都市の市民1人当
り教育費が低いことは
分かるが……
50,000 100,00 150,00 200,00 250,00 300,00 350,00 400,00 450,00 500,00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
人口