公衆衛生レクチャーシリーズ 3.センサスと人口動態 (社)地域医療振興協会 柳川洋 主な内容 1.人口動態統計 (1) 概要 (2) 出生 (3) 死亡 (4) 人口の増減 (5) 死産 (6) 周産期死亡 2.死亡原因の決め方 3.国勢調査(人口静態) 6a-2 人口動態統計 調査方法 全数調査 (日本人、外国人、国外の日本人) 種類 人口動態調査票 (出生、死亡、死産、婚姻、離婚の5種類) 流れ 市区町村長へ届出→保健所長 →都道府県知事→厚生労働大臣 (厚生労働省統計情報部) 実施状況 1899年(明32)以降毎年実施 (1944年~46年を除く) 報告書刊行 1年分まとめて毎年発行 出生の概要(2006年) 出生数 109万人 過去10年来減少傾向、2006年に増加 (前年より3万人増加) 男/女=1.05 出生率 人口千対8.7 (前年8.4) 第1次ベビーブームのとき34(1947年) その後減少傾向を続け、第2次べビーブーム (1970年代前半)にやや増加、その後減少 1990年代以降は10以下 合計特殊出生率 1.32 一人の女性が一生の間に生む子供の数 第1次ベビーブームの時は4.54 死亡の概要(2006年) 死亡数108.4万人 前年より650人増加 1979年まで減少、その後増加 (1947年114万人、1979年69万人) 死亡率 人口千対8.6 (前年と同率) 戦後1970年代後半まで減少、その後増加に転 じた(1947年14.6、1979年6.0、2005年8.6) 最近の増加の原因は、全人口中高齢者の割合 が増えたため 死亡の概要(2006年) 死因順位(全死亡中58%が3大死因による) 第1位 悪性新生物 人口10万対 261(全死亡中30%) 第2位 心疾患 137(16%) 第3位 脳血管疾患 102(12%) 第4位 肺炎 85 第5位 不慮の事故 30 第6位 自殺 24 第7位 老衰 22 第8位 腎不全 17 第9位 肝疾患 13 第10位 慢性閉塞性肺疾患 11 人口の増減(2006年) 人口の自然増加(減少) 2005年 -21300人 2006年 8200人 (1899年以来史上初めて自然減、統計のない 1944年~1946年を除く) 2005年→2006年 29500人増 出生と死亡のバランス 出生>死亡 埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、 滋賀、大阪、兵庫、福岡、沖縄 死亡>出生 残りの36道府県 死産の概要(2006年) 死産数 31000胎 前年より900胎減少 1950年以降減少の一途 (1950年22万胎、1977年10万胎を切る) 死産率 出産(出生+死産)千対27.5 (前年29.1を下 回る) 死産率の内訳 自然死産率 11.9 人工死産率 15.6 多いときは、自然死産率54.3(1961)、人工死産率 51.3(1955, 57)であった 周産期死亡率 4.7 (5100件) 婚姻・離婚(2006年) 婚姻件数 731000組 前年より17000組増加 婚姻率 人口千対5.8 平均初婚年齢は上昇傾向 (夫30.0歳、妻28.2歳) 離婚件数 25万7千組 前年より4千組減少 離婚率 人口千対2.04 死亡原因の決め方 死因分類 疾病および関連保健問題の国際統計分類 (WHO)を使用 原死因 一連の病的事象の始まりとなった疾病・損傷、 致命傷となった災害・暴力 1995年より第10回修正版 ICD-10と略 Ⅰ欄 (ア)死亡の直接の原因 (イ)(ア)欄の原因となる傷病名 (ウ)(イ)欄の原因となる傷病名 (エ)欄が不足する場合は、医学的因果関係の順 Ⅱ欄 死因に関係ないが、Ⅰ欄の傷病の経過に影響を及ぼ した傷病名 死因選択の例 Ⅰ (イ)肝不全 (ロ)胆管閉塞 (ハ)膵臓がん Ⅱ 貧血 膵臓がん→胆管閉塞→肝不全→死亡 死因 膵臓がん Ⅰ (イ)気管支肺炎 (ロ)脳血栓および高血圧性心疾患 脳血栓→気管支肺炎 死因 脳血栓 高血圧性心疾患→気管支肺炎 Ⅰ (イ)肺水腫 Ⅱ 続発性貧血および慢性リンパ性白血病 続発性貧血→肺水腫 慢性リンパ性白血病→肺水腫 慢性リンパ性白血病→続発性貧血 死因 慢性リンパ性白血病 第10回修正国際疾病傷害死因分類(1) ICD10 全身性疾患 Ⅰ 感染症および寄生虫症(A00-B09) 結核(A00-A09) Ⅱ 新生物(C00-D48) 悪性新生物(C00-C97) Ⅲ 血液および造血器の疾患ならびに免疫機構の障 害(D50-D89) Ⅳ 内分泌、栄養および代謝疾患(E00-E90) 糖尿病(E10-E14) 第10回修正国際疾病傷害死因分類(2) 解剖学的系統別の疾患 Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ 精神および行動の障害(F00-F99) 神経系の疾患(G00-G99) 眼および付属器の疾患(H00-H59) 耳および乳様突起の疾患(H60-H95) 循環器系の疾患(I00-I99) 高血圧性疾患(I10-I15) 心疾患(I05-I52) 脳血管疾患(I60-I69) Ⅹ 呼吸器系の疾患(J00-J99) 肺炎(J12-J18) ⅩⅠ 消化器系の疾患(K00-K93) 肝疾患(K70-K77) ⅩⅡ 皮膚および皮下組織の疾患(L00-L99) ⅩⅢ 筋骨格系および結合組織の疾患(M00-M99) ⅩⅣ 尿路性器系の疾患(N00-N99) 腎不全(N17-N19) 第10回修正国際疾病傷害死因分類(3) 分娩・奇形・新生児疾患 ⅩⅤ 妊娠、分娩および産褥(O00-O99) ⅩⅥ 周産期に発生した病態(P00-P96) ⅩⅦ 先天奇形、変形および染色体異常(Q00-Q99) 症状、徴候、異常所見等 ⅩⅧ 症状、徴候および異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないも の(R00-R99) 老衰(R54) 損傷および中毒 ⅩⅨ 損傷、中毒およびその他の外因の影響(S00-T98) ⅩⅩ 傷病および死亡の外因(V01-V98) 不慮の事故(V01-X59) 自殺(X60-X84) 保健サービス利用等 ⅩⅩⅠ 健康状態に影響を及ぼす要因および保健サービスの利用(Z00-Z99) 6a-17 国勢調査 内容 常住人口(外国人を含むが外交官・軍隊は除外) 個人調査 性、年齢、地域、配偶関係、就業、従業地など 世帯調査 人員、種類、住居など 対象 全数 現在までの実施状況 1920年以来5年ごと 10年ごとの大規模調査と中間年次(5年め)の簡易調査 1945年は戦争のために1947年に繰り延べ 調査の枠組 平均50世帯の国勢調査区を設定して、調査 区ごとに調査員が調査票の配布、回収 人口静態(2006年) 総人口 1億2800万人 2005年に戦後初めての人口減少、2006年はほぼ横 ばい 年齢3区分別人口 2006 1990 年少人口(0-14歳) 13.6% 18.2% 生産年齢人口(15-64歳) 65.5% 69.5% 老年人口(65歳以上) 20.8% 12.0% 人口指数 年少人口指数 20.8 26.2 老年人口指数 31.8 17.3 従属人口指数 52.6 43.5 老年化指数 152.6 66.2 人口指数の定義 年少人口 年少人口指数= 生産年齢人口 ×100 年少人口+老年人口 従属人口指数= 生産年齢人口 ×100 老年人口 老年人口指数= 生産年齢人口 ×100 老年人口 老年化指数 = 年少人口 ×100
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