ダ・ヴィンチ祭2005 リトル 模型でみる水処理ワールド 富山県立大学短期大学部 環境システム工学科 奥川ゼミ 生 物 処 理 微生物を付着、繁殖させた坦体に原水を接 触させ、生物による酸化を利用した処理法。 水中のアンモニア性窒素や臭気などを除去 する。 生物接触ろ過方式、浸漬ろ床方式、回転円 板方式などがある。 生物接触ろ過方式 接触槽内を粒状のろ材で満たし、 原水を通過させるもので、ろ材表面 に付着した生物膜と原水を接触さ せて浄化する方法。生物処理と同 時に、ろ材と生物膜による物理的な ろ過作用が加わった方法。 ろ材は微生物が付着しやすいセラ ミックやプラスチックで粒径2~8mm くらいが用いられる。 この方式の特徴は、必要とする面 積を小さくできること及び洗浄排水 を既存の設備の排水と一括で処理 できることである。 浸漬ろ床方式 生物が付着しやすい物質を水中に浸し、 表面に生物膜を形成させ、この働きでア ンモニア性窒素などを除去する方法。 生物が付着しやすく有効面積が大きい 物質としてハニコームがある。ハニコー ムは直径13~50mmの八角形の筒を、 蜂の巣状に集合させたものである。 曝気を使わない水平方式と、曝気を行 う垂直循環流方式がある。 構造が簡単で、接触槽内に駆動部分が ないため、維持管理が容易である。 回転円板方式 処理槽内で表面積の約40%が水 没するように設計した円板をゆっく りと回転させ、円板に付着した生物 膜の働きで原水中のアンモニア性 窒素などを除去する方法である。 生物膜は空気と水に交互に接触し、 水中では栄養を吸収し、空中では 酸素を取り入れて酸化分解する。 この方式の特徴は、駆動方式が水 面上にあり維持管理が容易である こと、機械的手段などによる酸素 補給を必要としないこと、目詰まり がなく洗浄の必要がないことなどで ある。 酸 化 処 理 酸化処理にはオゾン、塩素、過マンガン酸カ リウム、二酸化塩素、空気中の酸素などを用 いる方法がある。 この中からオゾン、塩素、二酸化塩素、空気 (酸素)について説明する。 オゾン処理 オゾンを利用して水中の無機物及び有機物などの 酸化や微生物の不活化を行う。塩素などの他の酸 化剤に比べて強力な酸化力を持つ。 異臭味及び色度の除去、消毒副生成物の前駆物質 の減少を目的としている。 この処理の特徴として、アンモニア性窒素と反応し ないことが挙げられる。 塩素処理 液化塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カル シウム、生成次亜塩素酸ナトリウムを用いる。 殺藻、殺菌、ウィルスの不活化、有機物・無機物の 酸化、異臭味の除去を目的としている。 多くの種類の副生成物ができる。また、緩速ろ過の 前処理では用いることができない。 二酸化塩素処理 二酸化塩素を使用して水中の無機物及び有 機物などを酸化する。 異臭味の除去、殺藻、殺菌、ウィルスの不活 化に使用される。 この処理の特性は、アンモニア性窒素と反応 せず、トリハロメタンなどの消毒副生成物の 生成を抑制できることである。 エ ア レ ー シ ョ ン 空気と水を常時接触させて、水中の気化し易 い汚染物質を水中から大気に放出するもの。 空気中の酸素の酸化力を利用することもでき る。酸化力は弱い。 瀑布式 5~10m程度の水頭を利用し、瀑布(滝)状ま たは階段状に水を落下させて曝気を行う。 段塔式 階段状に塔内を落下させる方式で外見的に は充填塔に似ているが、分散形式は異なる。 ノズル噴水式 固定または回転式のノズルにより霧状に噴 水させる方式。 構造は単純で建設費が比較的安く、気体の 圧力損失は少ない。 水の噴霧にかなりの動力を必要とし、水の飛 沫が空気に同伴されることが欠点。 充填塔式 塔内に充填材を入れ、原水と空気を接触させ る方式。 構造が簡単で、圧力損失が小さい。気液接触 効率も優れている。 空気吹き込み式 曝気槽の底部から散気板(管)により空気を 吹き込む方式。 回転噴射式 高速回転する羽根に対象水を衝突させ、霧 状とし、空気と強制混合撹拌し、気液接触さ せる方法。 動力は必要とするが、装置は最もコンパクト である。 活 性 炭 処 理 活性炭の吸着力を利用して、通常の浄水処理 では除去できない物質を除去するプロセス。 異臭味、色度や残留農薬などの微量有害有機 成分、界面活性剤などの化学物質の除去に極 めて有効である。 粉末活性炭処理、粒状活性炭処理、生物活性 炭処理の3つの処理方法がある。 粉末活性炭処理 着水井などに粉末状の活性炭を投入して不 純物を吸着させ、その後、凝集処理をして粉 末活性炭を懸濁質として沈殿ろ過し、吸着さ れた溶解性成分ともども除去する方法。 粒状活性炭処理 直径が0.5~2mmくらいの粒状活性炭を層状 にし、砂ろ過池と同様に水を通して吸着を行 う方法。 生物活性炭処理 活性炭の吸着力に加え、その上に成長した 微生物による有機物分解作用により、活性炭 の吸着能力を維持させ、再生までの期間を長 くする処理方法。 イ オ ン 交 換 イオン交換能を有する物質(イオン交換体)の イオンと水中のイオンとを交換することにより、 目的イオンを除去する方法。 イオン交換樹脂(イオン交換前) 原水 NO3通 NO3水 NO3 Cl- NO3- Cl- ClR Cl- イオン交換樹脂(イオン交換後) Cl- Cl- NO3NO3- R ClCl- NO3- NO3- R NO3 R NO NO3- NO3- 処理水 3 - Cl- Cl- Cl- Cl- 膜 ろ 過 化学反応も相変化も伴わず圧力差よって、膜 に水を通し、懸濁物質やコロイド、分子などを 物理的に分離するプロセス。 分離対象物の大きさから分類され、大きいも のから精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜 に分類される。 精 密 ろ 過 (MF,micro-filtration) 膜には、0.01~10μm程度の孔径を用いる。 浄水処理では0.1~0.3μm程度。 懸濁粒子、菌体の除去を目的として使用され る。 限 外 ろ 過 (UF,ultra-filtration) コロイド、蛋白などの大きさのものを除去する ことが目的であり、これよりも小さい分子量の 物質やイオンなどは分離できない。 ナ ノ ろ 過 (NF,nano-filtration) 限外ろ過膜と逆浸透膜の中間に位置する浸 透膜を用いる。 分子量が最大数百程度までの低分子物質を 対象としている。 逆 浸 透 水を通し、溶質を通さない半透膜の片側の被 処理水に圧力を加えることにより、反対側に 純水を得る方法。 緩 速 ろ 過 ろ過池に敷き詰めた砂層と、その砂層表面に 増殖した微生物群(生物膜)によって水中の浮 遊物質を捕捉し、溶解性物質を酸化分解す ることを利用したプロセス。 濁度やアンモニア性窒素、鉄、マンガン、臭 気等の溶解性物質もある程度除去される。 緩速ろ過のフロー図 砂上水深 原 水 生物膜 砂層 砂利層 ろ 過 水
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