第3回 電荷と電流(2)

第3回:電荷と電流(2)
・電位
・物質の電気的性質
・コンデンサー
今日の目標
1.電場から電位を求める。
2.静電ポテンシャルから電場を求める。
3.電場から受けた運動エネルギーを計算できる。
4.等電位やシールドの意味を理解する。
5.導体の性質が分かる。
6.誘電体の性質を理解し、誘電率を比較できる。
7.コンデンサーについて説明できる。
8.コンデンサーの静電エネルギーが計算できる。
電位
点B
電場 E
dr
θ
F = qE
点A
電荷qが電界Eでdr移動した時の仕事
dW=F・dr=qE・dr=qEcosθdr
r
点Aから点Bまで電場がする仕事
単位電荷当たりの仕事
:基準点Bに対する点Aの電位
積分経路によらない
:静電ポテンシャル
保存力
孤立した点電荷
電場
 
  E  dr
無限遠方を基準にしたときの電荷Qによる電位
+
1C

    
r
Q
4 0


r
1
dr'
2
r'

Q  1
Q  1 1

  
  

4 0  r '  r 4 0   r 
Q 1

4 0 r
実用的な基準:アース、グランド
等電位面
電気力線
V2
電位差:V =V2 -V1
V1
等電位面
等電位面では電気力線は法線方向
等電位面で移動する電荷は仕事をしない
電荷qを持った質量mの粒子が電場から電位差Vによってなされた
仕事が運動エネルギーになると
1
qV= 2 mv2
電子(eクーロン(C)が電位差Vボルトによって受ける運動エネルギー
eVエレクトロンボルト(eV)
1eV=1.602177×10-19C×1J/C=1.602177×10-19J
物質の電気的性質
導体
帯電体
-
-
+ + ++ -
-
-
自由電子
静電誘導
電場中に置かれた導体
-
-
- 導体
-
- E=0
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
等電位
静電遮蔽
シールドルーム
(銅線の網の中)
等電位
接地(アース)
誘電体
絶縁体(不導体):自由電子を持たない
原子
核
e非極性分子
分子の誘電分極
- +
電気双極子
Cl- Na+ Cl- Na+
- +
+ -
- +
Na+ Cl- Na+ Cl-
- +
Cl- Na+ Cl- Na+
イオン
l
有極性分子
+q
双極子モーメント
μ=ql
-q
[C・m]
- +
e-
e-
- +
Na+ Cl- Na+ Cl-
e-
分極:P 単位体積当たりの双極子モーメント[C・m-2]
電荷密度:ρ[C・m-3]
P=ρl
ガウスの法則
∫ +∫
+∫
表面
側面
E=0
E=0
ε0ES=σS-ρlS
内面
ES
正負同じ
-q - +
+
+ - +
+
+ - +
+
+ - +
+ - +
+
-
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
-
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
-
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
-
ズレ
l
- + +q
+ - +
- +
+ - +
- +
+ - +
- +
+ - +
- +
+ - +
極板の電荷 分極電荷:ρl
σ[C・m-2]
単位面積当たりの電荷
-
E=
σ-ρl
ε0
σ-P
=
ε0
σ=ε0 E +P
D=ε0 E +P
分極は電場に比例する:P=χeε0E
D =ε0 E +P =ε0 E +χeε0E =(1+χe)ε0E
D=εE
ε
ε0
=κ=1+χe
:比誘電率
ε=(1+χe)ε0
雲母(20℃)
NaCl (20℃)
ダイヤモンド(20℃)
ソーダガラス(20℃)
エタノール(25℃)
水(0℃)
7.0
5.9
5.69
7.5
24.3
88.15
蓄電器(コンデンサー)
+++++++ ++
V[V]
電
d 界
- - - +- +- +- ++- +- +- +-
+-
誘
電
体
ε
S
εS
静電容量 C= d
--------- ε:誘電率
極板面積S
++ + + + +
負帯電体を基準にしたときの正帯電体の電位;V
Q∝V
Q = CV
電気容量[C(クーロン)/V(ボルト)]
[F:farad(ファラッド)]
μF=10-6F:マイクロファラッド
pF=10-12F:ピコファラッド
d
コンデンサの接続
並
列
接
続
V
C1 +Q1 C2 +Q2
-Q1
-Q2
Q1 = C1V
Q2 = C2V
Cn +Qn
-Qn
Q2 = C2V
Q = Q1 + Q2 + ・・・+ Qn = (C1+ C2 + ・・・+ Cn )V
∴合成容量
直
列
接 V
続
C1
C2
Cn
+Q
-Q
+Q
-Q
+Q
-Q
C = C1+ C2 + ・・・+ Cn
V1 Q = C1V1
V2 Q = C2V2
Vn Q = CnVn
V = V1 + V2 ・・・+ Vn
Q + Q
Q
+
+・・・
=
C1
C2
C2
∴合成容量C
1
1 + 1
1
+
+・・・
=
C
C1
C2
Cn
静電エネルギー
V + + + + + + + + + +Q
V
E=
d dq
d
F=dqE
0 --------- -Q
q
dw  Fd  dqEd  Vdq  dq
C
1 Q
1 Q2 1
2
w   qdq 
 CV
0
C
2 C 2
演習
1.点(-a,0,0)に-q[C]、点(a,0,0)にq[C]が固定してある、
点(a,a,0)の電界と無限遠方を基準にした電位を計算しなさい。
2. 1000Vの電位差で加速された電子の運動エネルギーと
速さを計算しなさい。
3.10cm四方の金属板を1mmの間隔で向かい合わせた時の
電気容量を計算しなさい。
4.3のコンデンサーに比誘電率80の誘電体を挟むと電気容量は
いくらになるか。
今日の用語
電位、静電ポテンシャル、点電荷の周りの電位、接地(アース)、
等電位面、導体、静電誘導、静電遮蔽(シールド)、誘電体、誘電率、
誘電分極、非極性分子、有極性分子、電気双極子、分極、
双極子モーメント、分極電荷、比誘電率、コンデンサー、電気容量、
ファラッド、平行平板コンデンサー、並列接続、直列接続、合成容量、
静電エネルギー
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和田義親
[email protected]
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