第6回資料

平成 27年 6月 3日
脳神経科学/生体システム概論
(第6回)
脳・神経・神経の興奮
次の動物のうち、脳のあるものは?
1.イヌ、ネコ
2.カラス
3.カメ
4.カエル
5.キンギョ
6.コオロギ
7.ハマグリ
8.ミミズ
9.イソギンチャク
10.アメーバー
ゾウリムシ
アメーバ
(腔腸動物)
プラナリア (扁形動物)
脳
神経節
脳
マダコ
脳
神経節
フタホシコオロギ
小脳
大脳
中脳
アオザメ
延髄
中脳
大脳
小脳
延髄
ヒキガエル
大脳
小脳
中脳
延髄
小脳
大脳
中脳
ダチョウ
ダチョウ
延髄
ウサギ
ヒグマ
マッコウクジラ
チンパンジー
脊椎動物の脳
小脳
嗅球
延髄
橋
大脳
中脳
間脳
脊椎動物の脳
脳のはたらき
1.延髄・橋
呼吸、心拍など、生命維持に直接関連する機能
反射の中枢
2. 中脳
眼球運動・目の調節、姿勢、歩行
3.小脳
運動の細かい調節、
運動の学習
4.視床
感覚神経の中継点
視覚系・・外側膝状体
聴覚系・・内側膝状体
体性感覚系・・後腹側核
5.視床下部
本能行動・自律神経・内分泌
6.大脳
(大脳皮質、大脳辺縁系)
・大脳辺縁系
(扁桃体・中隔・海馬)
本能行動の抑制
情動(怒り、恐怖・・・)の中枢
大脳皮質
大脳辺縁系
扁桃体(腹側部)の切除・・・・性行動の亢進
クリューバー・ビューシー症候群(Kluver-Bucy syndrome)
・ 口唇傾向(oral tendency)
・ 性欲亢進(hyper sexuality)
・ 情動反応の低下
・ 視覚失認
6.大脳
頭頂葉
・大脳皮質
前頭葉
後頭葉
(ブローカの領域)
側頭葉
大脳皮質の機能
感覚・運動の中枢
言語・記憶・判断・理性
(ウエルニッケの領
域)
前頭連合野
フィネアス ゲイジ
(Phineas Gage) の頭蓋骨
神経細胞 (ニューロン) と
その興奮について
・ 神経細胞(ニューロン)
・ 神経伝達物質
・ 受容体 (レセプター)
・ イオンチャンネル
・ 静止膜電位と活動電位
・ 興奮の伝導
・ グリア細胞
神経細胞
(ニューロン)
(信号を受け取る)
(活動電位の発生)
(活動電位を伝える)
神経細胞(ニューロン)
後根神経節
視床
大脳基底核
脊髄
小脳
海馬
信号
樹状突起
(信号を受け取る)
細胞体
信号
軸索
(信号を送る)
光
神経細胞
(ニューロン)
興
奮
の
伝
導
活動電位
数十ミリV・・・どんな動物でも同じ
All or none のデジタル信号
減衰しない
神経細胞
(ニューロン)
神経の興奮は、
シナプスを介して
次の神経に伝わる
受容器電位 (receptor potentials) と
活動電位 (action potentials)
電位変化の記録
刺激
閾値
閾値
刺激によって、受容器電位が発生する。
受容器電位がある大きさ(閾値)に達すると活動電位が生じる。
活動電位は神経の軸索を伝導する。
体性感覚の伝導路
大脳皮質
体性感覚野
大脳皮質
視床
視床(後腹側核)
内側毛体
後索核
延髄
延髄
後索
脊髄
振動, 圧, 接触
筋肉, 関節
温度,痛覚
脊髄
後根神経節
シナプスにおける神経伝達
活動電位
シナプスで神経伝達物質
を放出させる
神経伝達物質
シナプス前ニューロン
放出
シナプス間隙
シナプス後ニューロン
受容体
興奮性神経伝達物質
抑制神経伝達物質
イオンチャンネル
活動電位
受容体
膜電位
興奮性シナプス後電位(EPSP)
抑制性シナプス後電位(IPSP
神経伝達物質
アミノ酸系
モノアミン系
コリン系
ペプチド系
伝達物質
グルタミン酸
GABA
ドーパミン
アドレナリン
ノルアドレナリン
セロトニン
ヒスタミン
アセチルコリン
バソプレシン
オピオイド
オレキシン
受容体
NMDA型, AMPA型, カイニン酸型
GABAA, GABAB・・・
D1, D2, D3
α ,β
α ,β
5HT1, 5HT2,・・・・
H1, H2, H3
ニコチン性, ムスカリン性
V1, V2
δ (デルタ) μ (ミュー) κ (カッパ)
オレキシン1, オレキシン2
神経毒
矢毒 (クラーレ)
・・・アセチルコリン受容体を阻害
ヘビ毒(ブンガロトキシン)
サリン・・・アセチルコリンの分解を阻害
キノコ毒(イボテン酸)・・・グルタミン酸受容体に結合
フグ毒(テトロドトキシン)・・・Naチャンネルを阻害
ニューロンの興奮のメカニズム
静止膜電位
活動電位
静止膜電位
(神経細胞の内と外の間に生じる電位差)
+ + + +
+ - - - - -
+ -
-
+
+ -
+
- - -
-
+ + + +
+
神経細胞は、細胞外に+
の電荷が多い
(60~80 mV)
細胞内液・外液の組成
(その他)
(~100)
細胞膜 (リン脂質の2重層)
親水部
疎水部
親水部
細胞膜には、さまざまな機能性タンパク質が
埋まっている
受容体
チャンネル
イオンポンプ
イオンチャンネル
細胞外
細胞内
静止膜電位の形成に関与する力
・ 拡散
・ 電気的な力 (+ と -)
静止膜電位の形成
(細胞内) (細胞外)
(1) 膜を隔てて細胞内に高い濃度の
K+とA-(マイナスイオン)
(2) 膜に存在するK+チャンネルを通って
(拡散によって)K+が細胞外へ移動
(3) 電気的な力によって、K+の移動が
妨げられる
(4) 細胞外が(+)になったところで、平衡に達する
平衡に達した時の細胞内外の電位差
=平衡電位
K+の平衡電位
= 61.54×log
PK[K+]o
PK[K+]i
= -80 mV
PK, : Kイオンの透過性
[K+]i : Kイオンの細胞内濃度
[K+]o: Kイオンの細胞外濃度
K+の平衡電位: -80mV
Na+ の平衡電位: +62mV
Cl-の平衡電位: -65mV
ニューロンの
静止膜電位
ニューロンの静止膜電位
Vm= 61.54×log
PK[K+]o+ PNa[Na+]o+ PCl[Cl-]i
PK[K+]i+ PNa[Na+]i + PCl[Cl-]o
= 約65 mV
PK, PNa, PCl : Kイオン, Naイオン, Kイオンの透過性
[K+]i, [Na+]i, [Cl- ]i : Kイオン, Naイオン, Kイオンの細胞内濃度
[K+]o, [Na+]o, [Cl- ]o : Kイオン, Naイオン, Kイオンの細胞外濃度
活動電位
静止膜電位
閾値
静止膜電位が脱分極→閾値を越えると活動電位
(細胞外が+)
(細胞内が+)
(1) 静止膜電位
(2) 膜電位の脱分極が閾値
を越えるとNa+チャンネル
が開く。
↓
Na+イオンの流入
(3) Na+チャンネルが閉じて
K+チャンネル開く
↓
K+イオンの流出
(4) 静止膜電位に戻る
活動電位
静止膜電位
Na+の流入
K+の流出
閾値
活動電位の発生
1) Na+チャンネル 少し開く → Na+イオンの流入
2) 膜電位が脱分極
3) 膜電位が閾値に達する → Na+チャンネルが全て開く
4) Na+イオンの急速な流入=膜電位の急速な脱分極(活動電位)
5) 活動電位によって細胞内に+イオンが溜まると、K+チャンネル
が開く
6) K+イオンの急速な流出 =膜電位がもとに戻る
興奮の伝導
神経の興奮
減衰しないでどこまでも伝わる
興奮の伝導
② 神経の細胞膜を電流
が貫通する(漏れる)
①神経軸索の中を電
流が流れる
興奮(活動電位の発生)
興奮の伝導
興奮部位
(活動電位の発生部位)
隣の部分が興奮する
神経の伝導速度
神経線維の直径∝伝道速度
神経細胞
(ニューロン)
跳躍伝導
ミエリン鞘
(髄鞘)
ランビエの絞輪
ミエリン鞘の切れ目(ランビエの絞輪)で活動電位が飛び
飛びに発生していく。
伝導速度が増加する
神経の伝導速度
有髄神経
有髄神経
無髄神経
カニ、イカの神経は太くても遅い
網膜の信号が側頭葉に届いてものが“見える”まで・・・
約0.06秒 (60ミリ秒)
100 m走:
• ピストルがなってから、脚の筋肉が活動を始めるまで
0.12秒 (120ミリ秒)
筋肉
音