漁業管理におけるリスク評価と合意形成のための社会

東京大学海洋研究所共同利用研究集会
漁業管理におけるリスク評価と合意形
成のための社会経済学的アプローチ
主催:東京大学海洋研究所
共催:日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(C)
(企画調査)「生態リスク管理の行政事例研究と管理手法の統合」
東京大学21世紀COE「生物多様性・生態系再生研究拠点」
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2006/061122ORI.html
1
リスク評価
• 未来を一通りに予測するな
– ABC資源評価における「資源回復確率」
• 「だろう運転」より「かもしれない運転」を
• 将来成否が判定できる具体的目標を
– 2003年、ミナミマグロの数値目標の見直し
→これらのリスク評価を実行している自然環
境政策はごくわずか(自然再生事業、・・・)
2
順応的環境リスク管理の基本手順
社会的合意
形成手続き
社会
科学者
0. 問題提起
科学的
手続き
1. 問題点の吟味
2.管理範囲の絞込みと利害関係者の招待
3.協議会・科学委員会などの設置
情報公開
合意できないと
きは再設定
4.「避けるべき事態」の定義
5. 定量的評価指標の列挙
6. 影響因子の分析と予測方法の構築
7. 放置した場合のリスク評価
8. 管理の必要性と目的の合意
9.数値目標の仮設定
10.モニタリング項目の決定
11.制御可能項目・手法の選定
リスクコミュニケーション
13.リスク管理計画と目標の合意
リスクコミュニケーション
12.目標達成の実現性の評価
14.管理とモニタリングの体制決定
15. 管理とモニタリングの実施・継続
必要に応じ改訂
順応的管理
16.目的・目標の達成度の評価
管理計画終了
3
非
現
実
的
な
ら
目
標
の
修
正
Logistics 事務連絡
•
•
•
•
•
お茶は各自、随意
昼食は各自(要旨集末尾の地図参照)
懇親会は三々五々
テープ録音 (後日、報告書作成)
積極的な議論をお願いします
4
総合討論
•
•
•
•
•
•
科学・水試の役割と問題点
自主管理
経済条件
長期計画(グランドデザイン)
合意形成
漁獲可能量(TAC)制度
5
信頼関係を築く(Build Trust-- Simon Levin)
科学・水試
• 豊凶の科学的根拠を(漁業者のリーダーに)わ
かりやすく説明する
• 順応的なMPA設定(不必要な規制は不信のも
と)
• 管理に適した魚、シミュレーション研究の説得力
• 水試研究者の後継者問題は?(愛知に船越・冨
山、大学研究者の協力は?、相互の研修は?)
• 資源回復計画は「負担の公平」に議論あり
• 管理効果・補助金効果を評価する
6
自主管理
• 自主管理における漁業者の説明責任は?
• 漁業者参加型の資源調査(意識的に取り込む)
• 漁業者がやれることをやる (順応的管理=
Learning by Doing)
• 自主管理だから税金で支援できる?
• 地域コミュニティーの結束(持ち帰りはあるが多
数決で決めない)、ハタハタは鰰(神の魚)
• 合意形成期間は半年、漁業種ごとに頻繁に会合
• 漁協単位の配分は水試・行政が関与せず、漁業
者の自主決定
7
経済条件
• 漁業者が困ったときに助け舟を出す
• 他に儲かるものがあれば、自主管理を実行でき
る、管理主体の実感(激減と高騰)、
• 漁業者はハタハタの現状を悲観していた
• 兼業を増やす、新生産システムへの移行
• 円とトン両方で見ることで合意点を明確に
• 3-5年先の需給関係予測を踏まえた管理
• 現在の規制を補償し、成魚中心の漁獲へ
• TACを過剰に設定すると高価格誘導効果がない
8
グランドデザイン(望ましい漁業像)
• グランドデザインの漁業管理への生かし方
• 遊漁との関係
• 経路問題(数値目標)の議論に終始し、望
ましい漁業像(グランドデザイン)の議論が
不足
• 世界の資源枯渇宣伝への対応
• 海洋基本法への働きかけ
9
合意形成
• TACの合意形成は乱獲の事後承認。摩擦
回避型でなく目標達成型の合意形成を
• 資源学的複数案→経済的評価→行政・漁
業者の合意
• 漁業者、消費者、流通 (行政・科学者?)
10
漁獲可能量(TAC)制度
• 沖合でも自主管理は有効か?
• ABCで毎年Flimit,Bban,Blimitなどを計算し直す
• リスク許容度、不確実性の考慮は合意できる
か?
• 始めから社会経済要因を考慮したTACを決めよ
(制約条件付最適化)
• TAC(出口管理)は不確実性に対して脆弱、非効
率。入口管理(ITFQ案)
• 価値判断を伴うYPRよりも加入管理だけのほう
が定着しやすかったのでは?
11
• 出口管理の特徴=安定性+実行誤差に頑健