基本情報技術者 講評

平成26年度秋期 情報処理技術者試験
基本情報技術者
【総
講評
評】
午前試験は,前半のテクノロジ系で計算や事例系の問題が前回より多く出題されました。過去問題の流用は
例年のように多くみられましたが,全体として聞き方を変えた問題や初出題のテーマの問題などもやや多めで
した。
午後試験では,問 8 のアルゴリズム(必須問題)の処理内容が難解であり,前半のプログラムの穴埋めで時間
を使い過ぎてしまう危険性の高い問題でした。セキュリティ及び選択問題(問 2~7),プログラム言語(問 9~
13)に関しては,標準的な問題の比率が高かったようです
総合すると,午前試験は標準的~やや難であり,午後試験は必須問題のアルゴリズムの難易度が高めでした
ので,アルゴリズム以外の問題でどれだけ正解を導けたかが合格のためには重要と言えます。
【午前】
今回の午前試験の出題内訳は以下のとおりです。
内訳
テクノロジ系:50 問
基礎理論:8 問
コンピュータシステム:15 問
技術要素:22 問
開発技術:5 問
マネジメント系:10 問
ストラテジ系:20 問
午前のテクノロジ系は,計算や事例系の問題が前回より多く,過去問題も含まれてはいましたが,全体とし
て比較的手間のかかる計算問題が多く出題されていました。また,ハッシュインデックスやコピーレフトなど
の新用語や,聞き方を変えてきた問題などが後半の技術要素にやや多く見られたようです。そのため,やや難
しめな印象が残ります。
後半のマネジメント・ストラテジ系では,サービスマネジメントに考えさせられる問題が目立ち,ストラテ
ジ系にスマートグリッドやワークシェアリングなどのトレンドな新用語が見られます。しかし,それ以外は,
各分野の用語知識を確実に抑えていれば解き易い問題が多かったと思われます。
午前全体で見ると,テクノロジ系がやや難,マネジメント・ストラテジ系が標準的でしたので,全体的には
「標準~やや難しめ」の難易度といえるでしょう。ただし,過去問題の流用も例年どおり多くみられましたの
で,テキスト学習及び演習を積んできた方ならば,時間内に合格に必要な正答数を確保できたでしょう。
この講評の著作権は TAC(株)のものであり、無断転載・転用を禁じます。
Copyrights by TAC Co.,Ltd.2014
【午後】
午後試験の選択問題(問 2~7)では,次の分野から出題され,今回はネットワークが出題されませんでした。
問 2:ハードウェア
問 3:ソフトウェア
問 4:データベース
問 5:ソフトウェア設計
問 6:サービスマネジメント
問 7:システム戦略
必須問題の問 1(情報セキュリティ)は,“ネットワークセキュリティ”として,パケットフィルタリング及
び SSL の公開鍵認証方式が主論点となる問題であり,前回のリスクアセスメントと比較すると,技術系の内容
をテーマとした出題でした。今後も,セキュリティ技術及びセキュリティマネジメントのどちらにも対応でき
る力を養っておくべきでしょう。
選択問題では,難易度のばらつきは少なく,全体としてバランスの良い問題構成と言えます。手間のかかる
設問などもあり,各問題の時間的難易度はやや高めではありましたが,全体としては標準的な難易度の問題が
多かったようです。
特徴的なテーマをいくつか挙げてみると,問 2(ハードウェア)は JK フリップフロップの出題でしたが,設問
3 で問題文の例をヒントにして別の構成案を三つ考えるという,ややパズル的な問題となっていました。ここ
で時間がかかった方もいたのではないでしょうか。問 5(ソフトウェア設計)は,今回の選択問題の中では最も
難易度が高かった問題です。テーマこそオブジェクト指向という定番ではありましたが,後半の設問で“イン
タフェース”や“オーバライド”といった用語が登場したため,プログラム言語に Java を選択していない受
験者には厳しい内容です。最近の傾向をみると,ソフトウェア設計は今後も要注意といえるかもしれません。
必須問題のアルゴリズム(問 8)は,エディットグラフの最短距離取得の考え方を用いているのですが,この
グラフとプログラムで扱っている 2 次元配列の対応を理解するのが難しく,設問 1 のプログラムの穴埋めで時
間を大きくロスする危険性がありました。むしろ,後半の設問 2 のトレースの方が理解しやすいため,解く順
番を変更するといった柔軟な対応が出来たか否かによって,得点率に影響がでたでしょう。難易度は高めです。
後半のプログラム言語及び表計算は,C,COBOL が若干易しめで,その他は標準的な難易度であり,選択
した言語による差は少なかったといえます。
午後全体では,必須問題のアルゴリズムが難しめであったため,それ以外の情報セキュリティ,選択問題及
び後半のプログラム言語の正答率が重要といえるでしょう。
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【予想配点】
【午前】
各 1.25 点
【午後】
問1
(配点 12 点)
設問 1
2点
設問 2
a,b-各 3 点
設問 3
2点
設問 4
2点
問2
(配点 12 点)
設問 1
a-1.5 点
設問 2
b,c-各 1.5 点
設問 3
d~f-各 2.5 点
問3
(配点 12 点)
設問 1
2点
設問 2
2.5 点
設問 3
a~c-各 2.5 点
問4
(配点 12 点)
設問 1 3 点
(完答)
設問 2
a-3 点
設問 3
b-3 点
設問 4
3点
問5
(配点 12 点)
設問 1
a~d-各 2 点
設問 2
e,f-各 2 点
問6
(配点 12 点)
設問 1
1.5 点
設問 2
a~d-各 1.5 点
設問 3
e~g-各 1.5 点
問7
(配点 12 点)
設問 1
2点
設問 2
a~e-各 2 点
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問8
(配点 20 点)
設問 1
a,b-各 4 点
設問 2
c~f-各 3 点
問9
(配点 20 点)
設問 1
a~d-各 3 点
設問 2
e,f-各 4 点
問 10
(配点 20 点)
設問 1
a,b-各 3 点,c-3.5 点
設問 2
d~f-各 3.5 点
問 11
(配点 20 点)
設問 1
a,b-各 2.5 点,c~e-各 3 点
設問 2
f,g-各 3 点
問 12
(配点 20 点)
設問 1
a,b-各 3 点
設問 2
c,d-各 3 点
設問 3
e,f-各 4 点
問 13
(配点 20 点)
設問 1
a~d-各 3 点,e-2 点
設問 2
f,g-各 3 点
以上
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