(4) 第 3983 号 (昭和 21 年5月 22 日第 3 種郵便物認可) 文化通信BB 2012 年(平成 24 年)1 月 16 日(月曜日)増刊 出版社・書店システムガイド特集 事例と活用 TAC 出版、早稲田経営出版両社を統合的に管理 担当者による商品の販売動向分析も 資格学校の TAC は、2009 年に早稲田経営出版の出版事業を譲 受し、 これに合わせて出版部門の基幹システムをリプレースした。 経理処理などの仕様を統一したほか、運用も容易になり、システ 京セラ丸善システムインテグレーション ムにかかる作業負荷が減ったことに加え、新たな分析ツールの導 ■システム/ grossa (グロッサ) 、Yellowfin ■ 入で、データの活用も容易になったという。今後も予実管理の徹 底に向けてさらなるシステムの進化を目指している。 ■資格試験書を多数刊行■ ■事業譲受で 現在は、TAC の事業部門である TAC 出版事業 新システムを導入■ 部(TAC 出版)と、別法人とした早稲田経営出 TAC 出 版 が 以 前 に 使 っ 版がグループとして活動している。法人が分かれ ていた基幹システムは、京 ているとはいえ、両社の従業員 45 人は水道橋の セラ丸善システムインテグ 事務所 1 フロアに集約。共通のシステムを運用 レーションの「PUBLIS(パ している。 ブリス)」。IBM のオフコン AS400 のシステムだっ 「当社は TAC 本体の経理システムにデータの仕 両社とも資格書、 実務書を中心に刊行しており、 た。 様を統一しなければならないので、TAC 出版と早 TAC 出版は会計系の資格試験を中心に改訂版を 導入から 10 年近く経過して老朽化していたこ 稲田経営出版の両方で使えるシステムが必要でし 含めて年間 420 点を刊行、稼働点数は 750 点。 ともあったが、早稲田経営出版との事業統合によ た。しかし、 『PUBLIS』では会社を分けた運用が 一方、早稲田経営出版は法律系資格試験を中心に り、両社で共通して利用できるシステムが必要に 出来ないなど、問題がありました」と推進部・杉 年間 160 点刊行しており、稼働点数は 280 点だ。 なったことで、リプレースを決めた。 山雅子氏は理由を話す。 なった。 ためだ。 「PUBLIS」の時代には、 「 各資格試験のカ 実際、 ■端末 20 台で運用■ 新たに導入したのは、やはり京セラ丸善シス テゴリーごとに売り上げを計上するといった処理 また、以前は限られた端末でデータ処理をして テムインテグレーションの PC ベースのシステム をしていますが、仕様の違いで伝票ごとに消費税 いたため、営業部門などの要望に迅速に対応する 「grossa(グロッサ) 」 。このシステムはもともと、 の端数に差が出たりしたので、カスタマイズが増 ことが難しかったが、いまは受注部門や営業部門 マスタを共通化して部門ごとに分けた管理が出来 えました」 (杉山氏)といい、この結果、システムご で端末 20 台が稼働。こうした端末にソフトをイン るなど、同社の要望に合っていた。また、PC ベー とに出力した帳票の端数確認などを手作業で行っ ストールするにも、 SE を呼ばなくても簡単にできる。 スになることで、導入や運用の負荷が軽減される ていたが、新システムはこうした作業が不要にな しかも、専用に PC 端末を用意する必要がない という効果も期待できた。選定にあたっては他社 り、管理部門の負担が大きく軽減された。 ため、導入コストは大幅に軽減。 「おかげでリプ ■ PC システムで導入・運用の負荷軽減■ システムも含めて検討したが、サポート体制や実 分析ツール のインターフェイス Yellowfin 績、ランニングコストなども同社を選ぶキメ手に 左から杉山氏、山中氏、河添敬幸顧問 ■更新時間が大幅に短縮■ レイスが容易になりました。この費用まで考えれ ば、システムのコストは以前と相当違ってくると 処理速度も向上し、 「以前は日次、月次の更新作 思います」と同・山中邦生部長。 業に 2 ∼ 3 時間はかかっていましたが、今は 30 端末は営業部門の社員と受注業務を行う派遣社 分から 1 時間に短縮されました。さらに 1 年分 員が使用するほか、物流業務を委託している出版 の実績データなどを出そうとすると半日がかりで 倉庫にも 1 台設置して入出庫などの情報を入力 したが、今は 5 ∼ 10 分です」(杉山氏)。これは する。 「grossa」はセキュリティーを強化されて 「grossa」の導入でデータベースの構造が変わっ いるため、このように複数端末で運用しても、権 たことと、日次処理をリアルタイムに行っている ■「Yellowfin」で自由な分析が可能に■ 限管理が可能になった。 実管理をさらに徹底したい」と話す。そのため、 製作原価管理や書店管理のシステム導入も検討し 分析ツール「Yellowfin」は、grossa にバンド ている。 ルされている Web ベースの製品で、データベー 現在も、紀伊國屋書店「PubLine」や日本出版販 同社が導入しているシステムは、販売管理、在庫 スを活用してデータマイニングや業務分析を支援 売「WIN +」など販売データを取得しているが、 管理、出版 VAN、取次請求、印税管理。このうち印 する BI(Business Intelligence)ツール。ユーザー 今後、こうした実売データと、販売、原価データな 税管理は「PUBLIS」の時代に「grossa」のシス が分析したいデータを選択するだけで、単なる帳 どを合わせて分析の精度を高めたいと考えている。 テムとして先行導入していたため、今回のリプ 票ではなく、各種グラフなどを自動的に作成する。 「いまはデータの繋がりが不十分で、人手をか レースでマスタを共有できるようになり、個別の スマートフォンやタブレットなどモバイル端末に けて分析していますが、今後はさらに精度を上げ マスタ管理のための手入力などが不要になった。 も対応している。この機能を使えば、各担当者が たいと考えています」 (山中部長)といった、営 自由に商品の販売動向などを分析できる。 業サイドの要望で、システムの構築を進めていく ■印税管理との連動も■ TAC 株式会社 所在地:東京都千代田区三崎町 3-2-18 tel:03-5276-9492 資本金:9 億 4020 万円 代 表:代表取締役社長 斎藤博明 従業員:849 名(2011 年 3 月末・連結) ■原価・販売データ連動して予実管理目指す■ という。 今後について山中部長は、「書籍 1 点ごとの予 京セラ丸善システムインテグレーション/ http://www.kmsi.co.jp
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