スライド 1

081026 きょうと福祉ネットワーク「一期一会」
スタッフの「人間力」を高めるための研修
「自
分を知ること」
R
RITSUMEIKAN
立命館大学 応用人間科学研究科
望月 昭
ブログ:「対人援助学のすすめ:日々是新鮮」
HP :
望月昭のホームページ
コンテンツ(午前中)
1.「自分を知ること」
職業的自分を知ること
・目的が明らかか?
・自分の仕事の意味と評価を表現できるか?
★自分の職業的行動を「励ます環境」をつくれるか?
2.「対人援助学」:援助職者の連携のための新しい枠組み:
・対人援助の共有ミッション
「当事者の『やりたい』と思いで維持される行動の選択肢の拡大」を果たす
われわれは3つの仕事をしている(援助・援護・教授)
3. 「個別の支援計画」を、自分を知るためのツールとしても
有効利用しよう。
・個別の支援計画は、福祉であれ教育場面であれ
「FA宣言した野球選手のキャリアアップ」のためのマネージャー資料
4. 施設利用者におけるキャリアアップが、援助者のキャリアアップに
連動するためには?
1.自分を知ること
• 自分を知ることとは、自分と社会との関係性
について表現できること
• 自分の「行動」が評価されるのは、どんな基
準や根拠に照らしてのことか、表現できるか
• 自分で「評価」できる職業行動を、励まし勇気
づける手段を持っているか?
これまで、上記のような事を表現したり実現するた
めの方法を学べてきたかだろうか?
これまでの学問領域の問題
• 対人援助に関わる諸学問領域
●心理学・教育学・社会学・社会福祉学
(ミクロな)個人の属性を「知る」学問
個人を「変えたり・治療したりする」学問
社会制度(マクロ)を批判する学問
「対人援助者」を励ます学問だったか?
2.対人援助学とは?
Science for Human Services
1)対人援助とは・・・・・
「知る(測る)」「教える」「治す」ではなく
「助ける」
「助ける=援助」のキモ
Service
御主人(当事者)が、好きな方向(自己決定)へ打
つために最適なボールをあげる。
2)「学」としての対人援助
• 「過不足なく助ける」とは?
• 助ける行動のありかたや方法を、どのように
表現するか?
・ マンツウマンの「助ける」(直接の支援行為)
だけじゃなぜダメか?
表現方法って?
・学=「科学」とは、何かを人に伝えるための
公共的な「書式設定」。
・対人援助「学」では、何を伝えようとするのか? (
それによって書式は決まるだろう)
伝達したい内容は?
• 一般論(「認知症の高齢者は・・・自閉症の子どもは」)で
はなく
「個別の個人」において、 (「欠陥」「できない」ではなく
)、
「今できること」や
「今」に続く「できる」可能性
(キャリアアップ)を伝える
元気の出ない学問もある
• 「できない」を中心に記述する学問(医療カル
テ)
• 「できない」理由を、本人の属性のせいにする
学問
元気が出る学問:
「できない」のは、われわれの側に、まだやり残
したことがある、と思える枠組み
「できる」とは、何ができる?
• 通信簿の点数?
発達年齢?
IQ?
(個人属性や状態)
・“トータルな”人格的成長?
・ 社会生活に必要な行動?
★当事者(個別の個人)にとって、「やり
たい」と思える「行動」が成立し、維持され
る状況
「学」の特徴として
• 「当事者が『やりたい』という気持ちが維持され
る行動の選択肢を拡大する(できる)」プロセス
を表現する
• 当事者の「個人属性の記述」ではなく、
「これがあれば『できる』という条件についての
表現を追及する
「できる」は発見されるもの?
• ある条件があれば「できる」(本人が「やりた
い」と思ってやれる行動が成立する)
・「ある条件」(これが対人援助の内容と
なる)には無限に近い方法がある。
「できる」は、創造していくものである。
「これ」があれば「できる行動」の表現
先行事象
行動
結果事象
この3つで表現
基本枠組みは「行動分析学」から採用
われわれの3つの仕事
• 「当事者が『やりたい』という思いで維持され
る行動の選択肢を拡大する」ために必要な
対人援助者の3つの仕事
「援助」「援護」「教授」
対人援助実践の3つの機能
1)「障害 impairment」があっても先送りすることなく
社会参加を可能にする人的・物理的援助システムの
設計・設定(援助的アプローチ)
2)それを環境に定着させるために周囲に要請する作業(援
護的アプローチ)、
3)援助設定を前提にして諸行動を可能にするための
教育・訓練する作業(教授的アプローチ)
対人援助作業の3つの機能の連環的発展
個人の行動(反応)形成
3
治療・教授
2
Instruction
1
援助
援護
assist
advocate
行動成立のための
新たな環境設定
援助設定の定着のため
の要請
表現することで「進歩」を明確にしよう
• 当事者個人の労力を最小限にして、その個人
の求める行動の成立とその選択肢が拡大す
るようになったか? 振り返れるか?
• 個人への対応において、「今」行動が成立す
るために、具体的環境設定(援助)を優先し、
その定着(援護)を前提とした教授になってい
るか?
• ミクロな臨床行為(治療・教育)とマクロな支援
(社会福祉)の対立として捉えない
●既存学範:心理学、臨床心理学、教育学、
社会福祉学、社会学
●職制:臨床心理士、社会福祉士、
精神保健福祉士、ケースワーカー、
PT、OT、教員、看護師
いったん、既存の学範や職制を離れて
実践現場で必要な「対人援助」の機能を
分析し、日常的に、連携あるいは協働
作業の方法を考える。
★そのためにも表現することが必要
3.「表現活動」として
「個別の支援計画」を
利用できないか?
利用者の直接支援を通じて、自分だけがわか
る形で(あるいは当該施設内のみで)完結する
ことでは不十分である。
この変容を周囲が認めることで、初めてその
支援は意味を持つ
「連携する」ために表現する
FA宣言とキャリア・アップ
という発想
• 障害のある個人は、FA宣言をした野球選手のよう
なものである。
• 支援(対人援助)とは、選手のキャリアアップをは
かるマネージャーと専属コーチの作業である
• 個別の包括支援プランとは、「選手」を高く売り込
むための、そして異動後のキャリア・アップを促進
する「売り込み書類」である
キャリア・アップの指標
• 利用者の属性的能力
(ability;IQや偏差値)ではない。
• 年に1回の“定点観測”である「通信簿」のよう
な点数でもない
• 現時点までに、どんな支援があれば
「できる・やりたい行動」が成立し、その
選択肢の数が増えるか?
「できる」を関係としてとらえる
○具体的な対応の中で、職員(や環境
設定)と利用者の行動との「関係」に
おいて「できる」が連続的に生じてい
る様子を記述することが必要。
●「できる」の記述内容は、次の次の人に、
引き継げるもの、であることを念頭に・・・
4.利用者のキャリアアップが、支援者の
キャリアアップにもつながるような仕組み
• 「支援プランの書き換え」
○施設でどれほど、当該利用者の「できる」を丁寧
に辿れたかの証明である。
○支援者自身、保護者、そして移行先の関係者(
同じ施設の中でも)、当該利用者に対して、さらな
る
キャリア・アップのための行動を
勇気づけるには?