08年度応用行動分析学 応用行動分析(3) 対人援助の方法としての応用行動分析 「人を助ける」という目的で、応用行動分析 を捉えると? 望月昭 ブログ:「対人援助学のすすめ」 コンテンツ 1.「助ける」とは? 「学」とは? 対人援助の共有ミッション 2.そのために必要な3つの機能(援助・援護・教授 ) 3. なぜ行動分析の枠組みが求められるか? 対人援助とは? Human Services 「知る(測る)」「教える」「治す」ではなく 「助ける」 「助ける=援助」のキモ Service 御主人(当事者)が、好きな方向(自己決定)へ打 つために最適なボールをあげる。 対人援助は、独立した 「学」として成立するか? ・学=科学は、何かを人に伝えるための 言語行動が公共的であるための「書式設定」であ る。 ・対人援助を「学」とするとき、 誰が誰に何を伝えようとするのか? (それによって書式が決まる) ・そもそも「伝える必要があるのか」という 大前提も考える必要あり 「たすける」 • 「助ける」は普遍的か:行為の起源は? • 「助ける」は本能的な行為か? • 「過不足なく助ける」とは? • そのように「助ける」のありかたや、 方法を「表現すること」はなぜ必要か? 「助ける」(直接の支援行為)だけじゃダメか? 対人援助の3つの機能 • 「当事者がやりたい(続けたい)行動を維持さ せたり、新しい「やりたい」行動を「できる」よう にする。そのために、何ができるか? 「援助」「援護」「教授」 対人援助実践の3つの機能 1)「障害 impairment」があっても先送りすることなく 社会参加を可能にする人的・物理的援助システムの 設計・設定(援助的アプローチ) 2)それを環境に定着させるために周囲に要請する作業(援 護的アプローチ)、 3)援助設定を前提にして諸行動を可能にするための 教育・訓練する作業(教授的アプローチ) 新たな「対人援助」の学とよべるもの 3つの機能的アプローチの連環的「連携」が可能な実践と研 究(=言語表現化)を行う。 対人援助作業の3つの機能の連環的発展 個人の行動(反応)形成 3 治療・教授 2 Instruction 1 援助 援護 assist advocate 行動成立のための 新たな環境設定 援助設定の定着のため の要請 「助ける」は表現してナンボである 1)誰かが何か「できる」ようになるには、多くは社会へ の要請(援護=言語行動)が必要条件である。 2)援助・援護・教授という3つの仕事は、単独では行い きれない(連携が不可欠) であれば、共通言語を持つ必要がある。 3)「助ける」は、本来、人が自然に行う行為ではない かも知れない。であれば絶えずチェックしていないと アカン。 4)本当に、当事者が望んでいることなのか? それをどのように確認するか方法(=表現として)を 示す必要がある。 「できる」表現の内容 • 通信簿の点数? 発達年齢? IQ? (個人属性や状態) ・“トータルな”人格的成長? ・将来の社会生活に必要な行動? 当事者(個別の個人)にとって、やりたい(正の 強化で維持される)行動が成立しているか 「学」の特徴として • 「当事者が「やりたい」行動の選択肢を拡大す る(できる)」プロセスを表現する • 当事者の「個人属性の記述」ではなく、 「これがあれば『できる』という条件についての 公共的な表現を追及する 「根性」「やる気」:すでに公共的表現ではない 「発達」や「能力」といった一般的な個人属性 と同じである。「人は発達するために生まれて きたのではない」 「できる」は発見されるもの? • ある条件があれば「できる」を発見する 「ある条件」(これが対人援助の内容となる)には 個別の個人や状況で無限に近い方法がある。 つまり「できる」は創造していくことである。 「できる」を点で評価するな • できるは「点」では表現できない(通信簿じゃ ない) ●(ピンでとめられる)標本じゃなくて生きて 生活している人間なんだから・・・ • 対人援助の作業には、環境との連続的な 「関わり」の中で、「できる」ができているか、 「やりたい」が増えているかが表現できないと ダメ 「 で き る 」 の 変 遷 今 実践 上方修正 実践からの確認 時間(年月) 移行支援 「これ」があれば「できる行動」の表現 先行事象 反応(行動) 結果事象 この3つで表現 ゆえに基本枠組みは「行動分析学」採用 対人援助は「進歩」しているか注意し ないとダメ • 当事者個人の努力に一方的に負わずに、その個人 の求める行動の成立とその選択肢が拡大するように なったか? • ミクロな臨床行為(治療・教育)とマクロな支援(社会 福祉)の対立として捉えてないか(とかく医療モデル と社会モデルが往復するだけ) • 個人への対応において、「今」行動が成立するため に、具体的環境設定(援助)を優先し、その定着(援 護)を前提とした教授になっているか? 可能な限り定量化して確認しないとバックする ●既存学範:心理学、臨床心理学、教育学、 社会福祉学、社会学 ●職制:臨床心理士、社会福祉士、 精神保健福祉士、ケースワーカー、 PT、OT、教員、看護師 いったん、既存の学範や職制を離れて 実践現場で必要な「対人援助」の機能を 分析し、共通言語をもって、連携あるい は再編成を考える。 ★「対人援助学」(Science for Human Services)として表現していく 対人援助は絶えずPDSC:学校の場合 アセスメント 長期プラン 評価 (プランの) 実行プラン 実践遂行 短期プラン 対人援助に関わる諸学・諸職制の融合と連携 対人援助学会 2009 START! Japanese(International?) Association of Science for Human Services
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