近代女性思想 第4回 - 南山大学 瀬戸

ルソーが批判した産着
ジェンダーと文明
第5回
ルソー継承と批判
– ルソーの継承者:デピネ夫人
– ルソー批判:ウルストンクラフト
悪い母親
1自分の子供を愛さない、つまり優しさの欠如
2エゴイスト、子供のために自分を犠牲にしな
い
3労働する女性
知識人の女性を非難(献身、犠牲がない)
ルソーの女性論は現代から見ると
アンチ・フェミニスト
『エミール』第5編(ソフィーについて)1762年
女性の教育
「女性教育のすべては、男性に関係するもの
でなければならない。男性に喜ばれること、
男性の役に立つこと、男性に自分を愛させ、
尊敬させること、男性が幼い時には養育をし、
成人したら世話を焼き、男性の相談相手にな
り、男性をなぐさめ、男性の生活を心地よく楽
しいものにすること、これが女性のあらゆる時
期の義務なのであり、子供のときから女性に
教えなければならないことである。」
バダンテール『ふたりのエミリー』
学問に生きたシャトレ侯爵夫人(1706-49)
ヴォルテールの恋人、ニュートンの翻訳者
子供の教育に熱心なエミリー(デピネー夫人)、ルソー
の影響
三つの従属
子供に服従する母性
夫に服従する結婚生活
社会規範に従属する社交界生活
女性解放の主体
ルソーの人間解放の中心:小生産者層(自然
状態に近い、自由・独立の生活の原型)
経済的自立を基盤とする
中産階級の女性に焦点
エルベシウス
Helvetius
1715-71
すべての人間は、生得的素質において平等であり、
個性の差はただ経験と教育と社会環境の結果にす
ぎない。
同じ大脳-同等の思考力
無神論者
富の適切な配分
封建的な法と統治形態を批判
72年、『人間論』
靴下のマニファクチュア(ボレ)
コンドルセCondorcet
本物のフェミニスト
コンドルセ(1743-94)
女性の欠陥ー教育や生活条件により形成
92年、「公教育の総組織に関する報告と布告の草
案」-女子にも男子と同水準の教育を男女共学で
行なうべき
95年、「人間精神進歩の歴史的素描」-フランス革
命を人類進歩の最高の到達点と見る。楽観的歴史
観、人間の無限の完成可能性、ヨーロッパ世界に特
殊な思想
リセの創立(アリストテレスの学校リュケイオンから)
男女共学
イギリスのオーエン
ウィルダースピン(1792-1866)
1870年代
– 男女共学、義務教育、無償、宗教的に中立の小
学校の設立
イギリス市民革命と女性
市民革命から18世紀末までのイギリス
地主的市民階級が主導
家父長制
ロックLocke(1623-1704)
「最終決定権、すなわち(家庭のなかで)命令
権がどこかに置かれなければならないが、そ
れは有能で強力な者としての男性の手にお
のずから帰する。」
矛盾
ルソー、ロック
政治原理=民主主義(自由、平等):公
家族制度=家父長制(強者の論理):私
イギリスの女性教育
市民階級の上昇の手段は娘の結婚
寄宿学校
– ダンス、音楽、フランス語(男性とつきあい、男性
の気を引く趣味的教養。知的教育は無視された)
1739
ソフィア『女性は男性より劣等ではない』
反論として無署名
『男性は女性よりすぐれている』
紳士
地主的市民階級の理想の紳士(庶民を支配
する階級の呼び名)
家柄ではなく、土地を持っていること
地方行政の担当者(治安判事)か
中央の国会議員、上級官吏、外交官、軍人
紳士
学問的知識を拒絶
経験的知識、礼儀作法、しつけのよさを尊重
→女性=社会で活動する男性に休息の場と
しての家庭を提供(「棚の上に飾られた陶
器」)
→ウルストンクラーフトによる批判の対象