複製(replication

DNAの複製(replication )
・Proof readingについて
・PrimerのTm値について
DNAの複製
この範囲を複製すると・・・
5´
3´
3´
5´
複製フォーク
5´
3´
3´
5´
複製開始点
複製フォークの拡大
3´
RNAプライマー
複製フォーク
の進行方向
5´
リーディング鎖
合成は連続的
5´
3´
岡崎フラグメント
5´
ラギング鎖
3´
5´
合成は不連続
RNAプライマー
3´
5´
DNA合成が進んで先にあるRNAプライマーのところ
までくると、RNAを分解しながら、合成は進み、さらに
DNAのところまで到達するとリガーゼでつながる。
5´
3´
3´
5´
リーディング鎖
ラギング鎖がつながる
複製の正確さ
DNAポリメラーゼには5´から3´へのポリメラーゼ活性(鋳型DNA
に合う正しいヌクレオチドを選択し、取り込み、つなげて行く)のほ
かに、3´から5´へ向かうエキソヌクレアーゼ活性(付いたばかりの
ヌクレオチドが誤っていれば切り出して修正する)があります。この
誤りを修正する機能を校正活性(Proof reading)といいます。
A
5´
3´
5´
5´
T
A
3´
5´
T
ポリメラーゼ活性
G
G
5´
5´
3´
T
5´
3´
エキソヌクレアーゼ活性
T
5´
正しいヌクレオチドが選択された時
ポリメラーゼ活性
>
<
エキソヌクレアーゼ活性
誤ったヌクレオチドが選択された時
不適正塩基修正酵素(mismatch correction enzyme)
新しくできたDNAのなかから、誤った塩基対を探し出し、誤った
塩基を除去して正しい塩基に入れ替える酵素。
どちらが誤っているのか何故わかるのか?
A
G
どちらが
誤り?
1.鋳型鎖の近傍のメチル化されている塩基を見つけ、合成され
たばかりで、まだメチル化されていない方の鎖の方を新生鎖と
認識して新生鎖のヌクレオチドを除去して修正する。
2.新生鎖(ラギング鎖)には必ずニック(切れ目)があるので、
それがあるほうを新生鎖として認識して修復する。
ミスマッチ
ニック
DNA誤対合修復
タンパクが結合
新生鎖の方を除去
再び複製
Tm値を求める方法
I.最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)
Tm =
1000ΔH
-273.15+16.6log[Na+]
-10.8+ΔS+Rxln(Ct/4)
ΔH:ハイブリッドにおける最近接エンタルピー変化の合計(kcal/mol)
ΔS:ハイブリッドにおける最近接エントロピー変化の合計(cal/mol・k)
R:気体定数(1.987cal/deg・mol)
Ct:プライマーのtotalモル濃度[mol/l]
Na+:Buffer中のNa+のモル濃度[mol/l]
最近接塩基対パラメータ
Interaction
ΔH[kcal/mol]
ΔS[cal/mol・K]
AA/TT
-9.1
-24.0
AT/TA
-8.6
-23.9
TA/AT
-6.0
-16.9
CA/GT
-5.8
-12.9
GT/CA
-6.5
-17.3
CT/GA
-7.8
-20.8
GA/CT
-5.6
-13.5
CG/GC
-11.9
-27.8
GC/CG
-11.1
-26.7
GG/CC
-11.0
-26.6
※表の見方
Interactionは次のように表記しています
5'→3' 3'←5'
AT/TA
例えば、AC(5'→3')のΔHは、GT/CAのΔH:-6.5[kcal/mol]となります
Ex)
5´末端
計算方向
3´末端
A G C T A T G C
AG GC CT TA AT TG GC
-7.8 -11.1 -7.8 -6.0 -8.6 -5.8 -11.1
ΔH=-7.8-11.1-7.8-6.0-8.6-5.8-11.1=-58.2kcal/mol
同様にしてΔS=-148.7cal/mol・k
1000x(-58.2)
Tm=-10.8-148.7+1.987 In{(0.5x10 -6)/4}
= 9.83
-273.15+16.6log(0.05)
例として、Ct:プライマーのモル濃度を0.5μM、Naイ
オンのモル濃度を50mMとして計算
II .Wallace法
Tm= 2x(A+T)+4x(G+C)
A、T、G、C:各ヌクレオチドがプライマー中に含まれる数
III.GC%法
Tm = 81.5+16.6log[Na+] + 41( XG + XC ) - 500/L
XG,XC:プライマー中のGおよびCのモル分率
L:二本鎖を形成する部分のオリゴヌクレオチドの長さ(mer)
Ex)以下の塩基配列のプライマーを用いて各計
算式で計算してみますと・・・
24mer
5´
3´
CGACGTTGTAAAACGACGGCCAGT
便宜上すべて[Na+]=50×10-3、プライマー濃度Ct=0.5×10-6で
計算します。
I.最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)
ΔH=-192.7[kcal/mol]
Tm=
ΔS=-481.4[cal/mol・K]
1000x(-192.7)
-273.15+16.6log(50x10 )
-10.8-481.4+1.987 ln{(0.5x10 -6)/4}
= 73.2℃
II .Wallace法
Tm= 2x(7+4)+4x(7+6)
= 74℃
-3
III.GC%法
Tm= 81.5+16.6log(50x10-3) + 41(7/24+6/24) - 500/24
= 61.3℃
それぞれの計算方法の違いにより、Na+濃度等を統一
してもTm値は異なります。特に 10mer以下の短鎖、50
~60mer以上の長鎖、GC%が大きく偏る配列において
は この差が顕著になります。
参考文献等
分子生物学講義中継part 1(羊土社)
GENOMES second edition(MEDSI)
http://www.genosys.jp/whatsnew/tm/tm_syosail.html#tm_tmkeisan