「まち」「町」「街」のスクリプト分析 ー手法の説明と分析結果ー ソシオ・セマンティクス特論 川田 宇一郎 山中 章義 宇都宮 クララ 2002年7月14日 アジェンダ データの説明 データソース 採取手順 助詞(は・が・を・に・で)別 スクリプト集合の分析とその特徴 -「まち」 「町 」 「街」の比較- ソシオセマンティクス特論 2 1.データの説明 データソース 朝日新聞の投書欄「声」 まち」:825件・「町」:1000件 「街」:1019件 (町は6392件から1000件を指定) 採取手順 ターゲット語・件数・検索年を指定し、専用プログラムを用い、下記の データについて整理する。 ・投書情報(氏名、年齢、性別、職業、投書年月日、等) ・投書文全体 ・ターゲット語を含むセンテンス ・ターゲット語に関する意味図式 ・ 「まち」:2個・「町」:33個・「街」:48個 n回以上登場の意味図式をスクリプトとして採用 (n=2に設定) ソシオセマンティクス特論 3 助詞(は・が・を・に・で)別 スクリプト集合の分析による 概念特性の抽出 -「まち」「町」「街」の比較- 助詞「は」「が」のスクリプト ~まち・町・街はそれぞれどんなことをする存在と捉えられているか?~ 動詞 まち 個数 町 動詞 個数 なる 4街 受ける 2 育つ 2 変わる 2 ある 2 好きである 2 元気である 2 ソシオセマンティクス特論 動詞 個数 いる 6 きれいだ 6 なる 6 住む 2 ある 4 あふれる 2 思う 2 5 助詞「は」「が」のスクリプトの特徴 ~まち・町・街はそれぞれどんなことをする存在と捉えられているか?~ まち→スクリプトがひとつもない。 動作の主体にはならない。 町→変化を表す動詞をとることが多い。 街→状態を表す動詞をとることが多い。 ソシオセマンティクス特論 6 助詞「は」「が」スクリプト 具体例 町 町はバブル崩壊で変わる。 町は育つ 町はゴミ捨て場になる。 街 町がきれいだ 街は自動車であふれていた。 ソシオセマンティクス特論 7 「は」「が」のスクリプトから見えてくる 『まち・町・街』についてのイメージ 時間軸で捉えることが出来る。 「街」は過去・現在において存在しているものとして状態 を捉えることが多いのに対し、「町」は過去から現在にか けて変化する存在として捉えられている。「まち」は、未 来の漠然としたものとして捉えられている。 街 過去 町 現在 ソシオセマンティクス特論 まち 未来 8 助詞「を」のスクリプト ~人々は「まち・町・街」にどんな直接的働きかけをするのだろう?~ 動詞 まち 個数 町 動詞 歩く 二分する 選ぶ 知る 続く 支える する 個数 4街 3 2 2 2 2 2 ソシオセマンティクス特論 動詞 歩く 行く 走る きれいだ つくる する 散歩する 愛する 歩ける 行き交う ぶらつく 通る 彩る 変える 個数 54 6 5 5 5 3 2 2 2 2 2 2 2 2 9 助詞「を」のスクリプトの特徴 ~人々は「まち・町・街」にどんな直接的働きかけをするのだろう?~ まち スクリプトがひとつもない。 直接的働きかけの対象にならない。 街 「歩く」「散歩する」「ぶらつく」という歩く動作に関 係する動詞をとることが多い。 直接的に働きかけ、変化を表す動詞が多い。 ソシオセマンティクス特論 10 助詞「を」 スクリプト 具体例 町 町を選ぶ 町を二分する 街 街を歩く 街を散歩する 街を彩る まち(スクリプト外) まちを考える まちを描く まちを生み出す ソシオセマンティクス特論 11 「を」のスクリプトから見えてくる 『まち・町・街』についてのイメージ まち 漠然とした対象 町 客観的に捉える対象 街 生活の場 身近な対象 ソシオセマンティクス特論 12 助詞「に」のスクリプト ~まち・町・街とは場所として・働きかけの宛て先として どんな存在なのだろうか?~ まち 動詞 なる 住む 個数 2町 2 動詞 個数 なる 住む 出る ある 行く いる 入る 住めない する 戻る 5街 5 5 4 4 2 2 2 2 2 ソシオセマンティクス特論 動詞 出る あふれる なる 住む ある する 出かける 繰り出す 残る 流れる 暮らす 個数 22 19 11 9 6 4 3 3 2 2 2 13 助詞「に」 のスクリプトの特徴 「場所」としてのまち・町・街 まち 町 住む場所 「住む」場所 街 「暮らす」場所 →生活の場として捉えられる。 ソシオセマンティクス特論 14 「に」 のスクリプトの特徴 「動作の宛て先」としてのまち・町・街 まち 動作の宛て先にはなりにくい 町 出る場所 行く場所 街 出る場所 繰り出す場所 ソシオセマンティクス特論 15 助詞「に」スクリプト 具体例 まち 町 まちに住む 町に行く 町に戻る 街 街に出かける 街に暮らす 街に残る ソシオセマンティクス特論 16 「に」のスクリプトから見えてくる 『まち・町・街』についてのイメージ まち 住む場所 町 住む場所 行く場所 街 暮らす場所 人やものがあふれる 出かける存在 ソシオセマンティクス特論 17 「で」 のスクリプト ~まち・町・街とは物事の生起の舞台として何かをするにあたっての前提と してどのように機能しているのだろうか?~ 動詞 まち 個数 町 動詞 個数 起きる する ある 生まれる 困る 行われる 4街 3 2 2 2 2 ソシオセマンティクス特論 動詞 個数 見かける すれ違う なる 出会う 見かけない 会う する 困る 8 4 2 2 2 2 2 2 18 「で」 のスクリプトの特徴 ~まち・町・街とは物事の生起の舞台として何かをするにあたっての前提 としてどのように機能しているのだろうか?~ まち 町 意味図式をもたない。 無機的な事件・事柄の生起を表す動詞を多くと る。 街 人と人が関わることを表す動詞を多くとる。 ソシオセマンティクス特論 19 「で」 のスクリプト 具体例 町 町で事件が起きる。 町で行われる 街 街で出会う 街ですれ違う ソシオセマンティクス特論 20 「で」のスクリプトから見えてくる 『まち・町・街』についてのイメージ まち 漠然とした存在 街 町 事件・事柄が起きる舞台 無機的 コミュニケーションが 生起する場所 有機的 ソシオセマンティクス特論 21
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