スライド 1 - 国立大学法人 岡山大学

森林土壌学・土壌環境管理学
・土壌の固相部分
-材料と生成因子との関係-
-粒径組成による土性区分-
畑作土壌10aのバイオマス
= 約700kg
糸状菌(かび)450~525kg
細菌・放線菌 140~175kg
土壌動物 <35kg
固形物の粒径による土性区分(図5-1)
●粒径の区分(Particle size)
>2mm
礫(gravel)
2mm~0.2mm 粗砂(coarse sand)
0.2mm~0.02mm
細砂(fine sand)
0.02mm~0.002mm シルト(silt)
<0.002mm
粘土(clay)
砂(Sand)
土性(図5-2)
土を構成する粒子は、粒の大きさによって、粗砂、細砂、シルト(微砂)、粘
土に区分されるのですが、これらの含まれる割合によって”土性”が決まりま
す。土性の分類には、土性三角図表が用いられます。
砂土
S:砂土
LS:壌質砂土
壌土
SL:砂壌土
L:壌土
SiL:シルト質壌土
埴壌土
SCL:砂質埴壌土
CL:埴壌土
SiCL:シルト質埴壌土
埴土
SC:砂質埴土
LiC:軽埴土
SiC:シルト質埴土
HC:重埴土
砂 <0.02mm
シルト
粘土
40%
40%
20%
?
砂 <0.02mm
シルト
粘土
20%
20%
60%
?
土性
砂土
壌土
埴壌土
埴土
透水性
通気性
養分保持力
粘着性
土壌の材料
一次鉱物(Primary mineral)
・マグマが冷却される過程で形成されたもので(造岩鉱物Rockforming mineral)、天然鉱物3000種以上のうち数十種が程度を占
める。
・一次鉱物で重要なものは長石(57.8%)、石英(12.8%)、雲母
(3.6%)、角閃(せん)岩(16.0%)であり、これらで大陸岩石圏の約
90%を占める。(表4-1)
二次鉱物(Secondary particle)
・岩石の風化物起源で土壌中で生成された粘土鉱物のことを言う.
・粘土鉱物とは,一般に含水ケイ酸塩鉱物で,層状構造をもってい
る.基本構造は似ているが,SiとAl(あるいはMg),O,Hの組み合
わせ,および結晶の一部に取り込まれたFe,Kなどの元素の種類
と量によって区別される.(表4-3)
土壌から有機物を分解した残りの砂状粒子を
みると、1次鉱物の破片が混ざっている。
長石
アルミニウムとケイ素と酸素、そして、その
他の元素から構成されている。
その他の元素として一般的なのが、カリウム
とナトリウムとカルシウム、それぞれカリ長
石(KAlSi3O8)、曹長石(NaAlSi3O8)、灰
長石(CaAl2Si2O8)と呼ばれています
石英
化学組成がほぼ二酸化ケイ酸(SiO2)で構成
れ、多くの岩石に含まれている。
花崗岩などの酸性火成岩、変成岩や砂岩などの
堆積岩の主要構成鉱物となっている。
地殻の岩石の平均的な鉱物組成(『Nesbitt and Young, 1984』から引用、1534p)
A
B
C
D
E
石英(quartz)
21
25.4
24.42
23.2
20.3
斜長石(plagioclase)
41
39.25
39.25
39.9
34.9
0
0
0
0
12.5
21
4.57
8.6
12.9
11.3
黒雲母(biotite)
4
15.29
11.23
8.7
7.6
白雲母(muscovite)
0
9.77
7.61
5
4.4
緑泥石(chlorite)
0
0
3.31
2.2
1.9
角閃石(amphiboles)
6
0
0
2.1
1.8
輝石(pyroxenes)
4
0
0
1.4
1.2
0.6
0
0
0.2
0.2
2
1.37
1.37
1.6
1.4
0.5
4.7
4.7
3
2.6
ガラス(glass)
正長石(orthoclase)
かんらん石(olivines)
酸化鉱物(oxides)
その他(others)
A Wedepohl(1969, 表7-11)により概算された上部大陸地殻の平均鉱物組成
B カナダ楯状地のメソノルム(mesonorm)(Shaw et al., 1967)
C 緑泥石を含むように修正したカナダ楯状地のメソノルム(付記を参照)
D 上部大陸地殻の平均鉱物組成の概算値(計算方法の詳細は付記を参照)
E 露出した地殻の平均組成の概算値(計算方法の詳細は付記を参照)
1)地殻を構成する鉱物の大部分は酸素と他のイオンが結合した酸化物で、
地殻全体でも酸素の存在割合が最も高くなっている。
2)酸素を除くと、Siの存在量が最も高く、次いでAl、そしてFe、Ca、Na、K、
Mg の順に存在量が減少していく。
・これらのイオンが粘土鉱物の生成に関与してくることになるが、鉱物の溶
解速度の違い、個々のイオンの鉱物からの溶脱速度や溶液中での挙動の違い
が粘土鉱物の生成反応をきわめて複雑なものにしている。
Q:土壌成分と何が違うのか?
地殻を構成する主要元素の存在割合
土壌の材料
一次鉱物(Primary mineral)
・マグマが冷却される過程で形成されたもので(造岩鉱物Rockforming mineral)、天然鉱物3000種以上のうち数十種が程度を
占める。
・一次鉱物で重要なものは長石(57.8%)、石英(12.8%)、雲母
(3.6%)、角閃(せん)岩(16.0%)であり、これらで大陸岩石圏の
約90%を占める。(表4-1)
二次鉱物(Secondary particle)
・岩石の風化物起源で土壌中で生成された粘土鉱物のことを言
う.
・粘土鉱物とは,一般に含水ケイ酸塩鉱物で,層状構造をもって
いる.基本構造は似ているが,SiとAl(あるいはMg),O,Hの組み
合わせ,および結晶の一部に取り込まれたFe,Kなどの元素の
種類と量によって区別される.(表4-3)
風化作用とは・・・
『地表または地表付近で、大気、地表水などの関与の下で岩
石の色、組織、組成、固結度などが変化する作用』
1.物理的風化作用(physical weathering)、機械的風化作用
(mechanical weathering))
温度変化の激しい高山地方などで、熱膨張係数の異なる造岩鉱物の間に亀
裂を生じる作用、割れ目に浸透した溶液が氷結することで岩石が細粒化
する作用である。
2.化学的風化作用(chemical weathering)
ほぼ常温常圧で造岩鉱物が酸化、水和、溶脱で特徴づけられる化学変化
を受けることであり、特に水の働きが重要である。
化学的風化段階の進行は狭い地域内でも一様ではない。
(同じ断面では上位ほど、斜面上では上部ほど、母岩が塩基成分(Ca、Mg
など)に乏しいほど、進行が早い。
造岩鉱物 → (風化作用) → 二次鉱物(secondary mineral)
ただ細かく砕けたのではない!
① 一次鉱物から遊離した陽イオン成分が水溶液中の陰イオンと
結合して難溶性の沈殿物(水酸化物、硫酸塩、炭酸塩など)を生
成する。 ・・・方解石、ギブサイト
② 遊離した成分相互が結合し沈殿する。・・・ケイ酸塩粘土鉱物
造岩鉱物から溶けたケイ素やアルミ、鉄、マンガンなどが集積
して、酸素や水酸基(OH-)と再結晶した鉱物
③ 一次鉱物が結晶構造の大わくをそのまま残して粘土鉱物に変
化する。・・・雲母を出発点として、加水雲母→バーミキュライト→
モンモリロナイトへの変換
加水分解
AB + H2O → AOH + HB
カリ長石(正長石)=KAlSi3O8
鉱物中の水に炭酸塩が溶解して水素イ
オン濃度が高くなると鉱物中のカリウム、
カルシウムを溶解させる。
カリ長石
K2O・Al2O3・6SiO2 + 2H2O
水酸化カリウム
2KOH
アルミノケイ酸
+ H2O Al2O3・6SiO2
遊離したアルミノケイ酸は不安定であり、
さらにケイ酸が溶解してカオリナイトを
生成する。
H2O Al2O3・6SiO2 + 2H2O
アルミノケイ酸
2H2O・ Al2O3・2SiO2
カオリナイト
余談:カオリンは主として白色磁器の原料
+
4SiO2
ケイ酸
ケイ酸塩粘土鉱物はケイ酸と酸素が作る格子(ケイ酸4面体)とアルミ
ニウムと酸素(又は水酸基)が作る水酸化アルミ8面体が板状に1:1
ないし 2:1に重なっている。(図4-1、表4-3)
カオリン鉱物は4面体と8面体シートの2層構造(又は1:1層)から出来ており、イオンの
同型置換も少なく、電気的にもバランスが取れています。
陶器で有名な中国の景徳鎮で使われていた陶土の産
地、高陵(カオリン)村の名からカオリンと呼ばれていま
す。
ケイ素4面体
Silicon - Oxygen Tetrahedron (Si2O5-2)
水酸化アルミ8面体
Aluminum Octahedral (Gibsite Sheet)
Al(OH)6-3
4面体シート
OH
8面体シート
OH
OH
4面体シート
層間水
酸素
,
OH
シリカ
水酸基
アルミニウム、マグネシウム等
モンモリロナイト
結晶層
モンモリロナイトの結晶構造と層間水
Montmollironite and Interlayer water
四面体単位構造
酸素(O)
周辺の水
(自由水)
シリカ層(Si)
ケイ素(Si)
アルミナ層(Al)
シリカ層(Si)
八面体単位構造
水酸基(OH)
Si
層間水
Al
Si
アルミニウム(Al)、
マグネシウム(Mg)等
Si
Al
Si
粘土粒子はマイナス(負電荷)をもっている
1)Si-4面体のSiがAlに置換したり、Al-8面体のAlがMg
に置換している(これを同型置換という)。
Si-4面体内の同型置換に基づく負荷電は、Al-8面体内の荷電よ
りも、陽イオンに対する吸収力が強くなっている。この機構による負荷電
はまわりの溶液のpHの影響を受けない。
粘土粒子はマイナス(負電荷)をもっている
2)粘土の結晶格子の末端にあらわれる破壊原子価(O-H+)や(Si
O-H+)の水素イオンH+の解離によって発生する負電荷。
水素イオンの解離で発生する負電荷はpHが下がってまわりの溶液の水
素イオンが増えると、粘土や有機物中のH+ の解離度がさがって負電荷が
減少します。
陽イオン交換作用
施用された肥料成分の中の陽イオンが、あらかじめ土の表面にあるマイナス
電荷の手に保持されていた水素イオンH+やカルシウムイオンCa2+などと
交換され土壌に保持されること。
保持されるのはカルシウムイオン・マグネシウムイオン・カリウムイオン・
ナトリウムイオン・アンモニウムイオン・水素イオンなどです。
一定量の土壌が保持できる陽イオンの合計を陽イオン交換容量(CEC)と
いい、その量の多い土(CECが高い)ほど養分を多量に保持できる。
Specific surface
比表面積
(m2/g)
Cation exchange
capacity
陽イオン交換容量
(meq/100g)
Figure
(形態)
Mineral
Particle size
Kaolinite
(カオリナイト)
d=0.3~3mm
t=d/3~d/10
10~20
3~15
Hexangular plate,
(6角版状) Plate
(板状)
Halloysite
(ハロイサイト)
Outer D,0.07mm
Inner D,0.04mm
Length,0.5mm
40~100
10~40
Pipe Tube(中
空)
Vermiculite
(バーミキュライト)
d<2mm
t=d/10
150~200
Plate (板状)
Squamation(鱗
状)
5~400