堆積学

堆 積 学
Sedimentology (& Stratigraphy)
地球惑星科学科2年目講義(選択2単位)
レジュメ
Sedimentology & Stratigraphy
Ⅰ.地球表層部における物質再配分の
初期ステージ -砕屑物の形成
【砕屑性堆積作用(clastic sedimentation)】:
地球 の 表 層部 に お け る
もっとも重要な地球科学的
プロセスの一つ.表層物質
の可動化 ⇒ 移動 ⇒ 定着,
というシークエンスで表現
される.
その結果として形成され
るのが,砕屑粒子の集合
体である砕屑性堆積物
(clastic sediments)・砕
屑岩(clastic rocks)であ
る.
Sedimentology & Stratigraphy
A.砕屑粒子 (sedimentary particle) の定義(?)
“Essential feature of particles is their
physical transport as solids prior to final
deposition.”
『物理的に運搬され,最終定着以前に固体物質
であった粒子』
* なにがなんだかわからない...
要するに定義不能概念に近い(と思う).
* 定義(の困難さ)の問題とは独立に,
砕屑粒子は地球上で現実に生成され
・運搬され・堆積し,地層を形成している.
Sedimentology & Stratigraphy
B.砕屑粒子の成因分類
グループ1:
既存の岩石・地層の分解によって
生じた粒子
・鉱物,ガラス,およびそれらの複合物質
・有機物質(石炭,琥珀,天然アスファルト...)
形成要因
風化:
物理的風化(温度変化・凍結現象)
+物理的な破壊:
波・風・雨・水流...
化学的風化(酸化・加水・溶解...)
Sedimentology & Stratigraphy
形成要因(続き)
地すべり・崩壊:
*北海道の地すべり(大きさ50 m以上のもの)
総数12,843 個
総面積2,916 km2(北海道の全面積の約3.7 %)
*要因 -岩盤強度の低下+重力的な不安定
氷河: 物理的な破壊に近い.流下する氷による
岩盤の削り出し-取り込み.
Sedimentology & Stratigraphy
グループ2:
グループ1に該当しないものすべて
・火山砕屑性噴出物: 火山灰,火山弾
・生物起源のもの: 貝殻,骨,植物組織
・化学的な沈殿によるもの: 石膏,岩塩,海緑石
形成要因
・火山噴火: マグマから冷却
によって直接形成された火山
灰(・噴出物)の放出
・最初から粒子として生成した
もの: その多くは生物起源.
Sedimentology & Stratigraphy
C.砕屑粒子のサイズによる分類
mm
粒子サイズは一般に
φ(ファイ)値
という特殊な単位で表現さ
れる.
φ = - log2D
D: Diameter in mm
φ
256
-8
64
-6
4
-2
2
-1
1
0
1/2
1
1/4
2
1/8
3
1/16
4
1/32
5
1/64
6
1/128
7
1/256
8
砕屑粒子区分名
巨礫 boulder
大礫 cobble
礫
gravel
中礫 pebble
細礫 granule
極粗粒砂
very coarse sand
粗粒砂 coarse sand
砂
中粒砂 medium sand
sand
細粒砂 fine sand
微粒砂 very fine sand
粗粒シルト coarse silt
中粒シルト
medium silt
シルト
silt
泥 mud
細粒シルト fine silt
微粒シルト
very fine silt
粘土 clay
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D.砕屑粒子の生産量
正確な見積もりは行われていないが...
・全世界の河川による全運搬量
12,696 x 106 tons / year
(=年間百億トン以上)
・アジア大陸の河川のケース:
260 tons / km2 / year
・南極の大陸氷河のケース
2500 - 3570 tons / km2 / year
*河川の単位面積当り運搬量の約10
倍
Sedimentology & Stratigraphy
E.最後に -ラフなまとめ
『砕屑粒子は...
山で作られ,川によって運ばれ,海に堆積す
る』
山:
砕屑粒子の起源物質(場所)
川:
砕屑粒子の運搬経路・媒質
川’=氷河
海:
砕屑粒子の定着場所
海’=平野
* ただし,例外はいくつでもある
- 砂漠,サンゴ礁,火山噴火...
* 山・川・海の関係の階層性(フラクタル性)
- 重層的な構造を持っているが,究極的にはすべて地球表層部でもっとも
低いところ,海,へ向かう.
* 低いところへ“落ち込んだ”砕屑物質がその後どうなるのか?
→ さらにダイナミックな地質学的プロセスへと巻き込まれていく.