航空機のしくみ

航空機のしくみ
半田利弘
理学部物理科学科
予告
▶ 7/10の授業は休講にします。
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代講は予定していません。
▶ 夏休みに見学会を検討中
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鹿児島市電車庫 or JR九州鹿児島車両所
先方へ申し込んでOKが出たら実施
所要1時間程度を想定
希望者は、出欠簿に「見学希望」と記入のこと
 実施が決定したら授業ないしメールで通知
 先週記入した5名は重複記入不要
航空機
▶ 地表を離れて空中を移動する乗り物
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大きく、2つに分類
▶ 軽航空機:平均密度が空気より軽い
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浮力による飛行
気球、飛行船
▶ 重航空機:平均密度が空気より重い
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揚力による飛行
飛行機、ヘリコプター
軽航空機
▶ 気球
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熱気球:加熱空気を溜める
 1783年モンゴルフィエ兄弟
 世界初の有人飛行
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ガス気球:水素を溜める
 1783年シャルル&ロベール兄弟
 10日遅れの有人飛行
「ボイル=シャルルの法則」のシャルル
気球
▶ 軍事利用:主に偵察用
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係留気球
▶ 気球に乗り物の機能を
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動力を搭載して移動可能にする
蒸気機関を搭載
 世界初の動力飛行
 ジファール1852年
飛行船
▶ 気球+内燃機関動力
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硬式飛行船:骨組み+気嚢
 流線型に近い形状を保つ工夫
 ジュラルミン(アルミ合金)の開発
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ディーゼルエンジンの搭載
ツェッペリン飛行船 ヒンデンブルク(ドイツ)
グラーフツェッペリン(ドイツ)
硬式飛行船
▶ 第2次世界大戦前までは盛んに建造
ヒンデンブルク(ドイツ)
USSロサンゼルス(米国)
現在の飛行船
▶ 半硬式飛行船
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水素は爆発の危険が大ヘリウム
ヘリウムは高価なのでガスの放出はしない
平均密度を空気と同じにして推進力で上下する
ツェッペリンNT(ドイツ日本)
浮力
▶ 周囲の物質より密度が低い物質
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アルキメデスの原理
浮力=押しのけた体積中の水(や空気)の重量
浮力の理由
▶ 一定の体積の空気
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落ちずに留まっているのは圧力差のため
 圧力差による力
S(P下-P上)
 空気に加わる重力 r0Vg=mg
釣り合っている
▶ 物体で押しのける:圧力差は同じ浮力
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f= S(P下-P上)=r0Vg=mg
重航空機
▶ 重航空機≒飛行機
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フライヤー
 1903年ライト兄弟
 世界初の有人飛行
飛行機
▶ 飛行機が発明される前提
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軽量かつ強度がある部材や構造の開発
▶ 実際に飛行機が発明できた2大要素
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軽量で強力な動力源
 ガソリンエンジン
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固定翼の使用羽ばたく飛行機は作れない
 向かい風を受けて揚力を得る
▶ 多くの人が忘れている点
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操縦できる飛んだ後のことを考えていたか。
初期の飛行機
▶ 複葉機:箱形にして翼の強度を確保
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日本での初飛行は1910年、フランスから購入
ブレリオXI(フランス)
初の英仏海峡横断機
サントスデュモンの14bis(フランス)
アンリ・ファルマン(フランス日本)
ベノイストXIV(米国)
世界初の定期航空便に使用
第1次世界大戦時の飛行機
▶ 偵察・攻撃兵器として急速に発達
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1910~1919年:第1次世界大戦
 リヒトホーフェン「レッドバロン」深紅のフォッカー3葉機
フォッカーDr.Ⅰ(ドイツ)
スパッドⅦ(フランス)
ゴータGⅣ(ドイツ)
ニューポール(フランス)
複葉機から単葉機へ、単発から双発・3発へ
ソッピース キャメル(英国)
ユンカース Ju52-3m(ドイツ)
ダグラスDC-3(米国)
フォードトライモーター(米国)
第2次世界大戦時
零式艦上戦闘機(日本)
スーパーマリン
スピットファイアー(英国)
2式大型飛行艇(日本)
B29爆撃機(米国)
初期ジェット機(軍用)
ハインケル He178(ドイツ)
グロースターミーティア(英国)
メッサーシュミット Me262(ドイツ)
橘花(日本)
民間航空用ジェット機
デハビラントDH106 コメットⅣ旅客機(英国)
ダグラスDC-8旅客機(米国)
イリューシンIL62旅客機(ソビエト)
ボーイング707旅客機(米国)
ちょっと前の飛行機
ボーイング747
コンコルド
日本航空機製造YS-11
エアバスA320
現代の飛行機
ボーイング787
エアバスA380
ボーイング777
ボンバルディアDHC-8-Q400
揚力
▶ 翼に空気が当たることで生じる
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流体からの反作用
 抗力:進行後方向きの力
 揚力:(上流での)流れの向きと垂直方向の力
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流速が増すほどどちらも増加する傾向
「上面の方が遠回りなので気流が速く…」という説明は誤り
実用的な翼
▶ 抗揚比:抗力と揚力の比
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翼の形状で大きく変わる
 仰角でも変わる
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揚力は減らさず、抗力をなるべく小さくする
迎角a
迎角a
失速
▶ 迎角と抗力、揚力の関係
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迎え角過大抗力ばかりが増える
翼上面で流れが剥がれて乱流が生じる
下面の気流も上に戻ってしまう
河内啓二 ながれ21(2002) 323-329
揚力を増やす策
▶ 同じ翼形状で揚力が増す要因
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気流が速い低速時には揚力が不足する
翼面積が広い
迎角を増やす
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速度に応じて翼断面を変化させる
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高揚力装置
▶ 速度が低くても揚力を増やす
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曲率を増す
面積を増やす
気流の剥がれを防ぐ
▶ フラップ
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主翼から展開する
隙間から漏れる気流で翼上面の気流乱れを抑制
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高揚力高速時には抗力が増える
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プロペラ
▶ プロペラも揚力利用
回転による相対気流
■ 回転運動と垂直な揚力
プロペラによる推進力
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揚力
▶ プロペラのピッチ
半径に比例して対気速度が増す
■ 半径ごとに仰角を変える
プロペラの“ひねり”
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プロペラ回転方向
二重反転プロペラ
▶ プロペラ推進
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気流が渦状になる回転運動の分だけ損!
反動トルクが機体に加わる
▶ 逆回転する2枚のプロペラを重ねて解決!
アントノフ An-22
推進装置
▶ レシプロ機:内燃機関+プロペラ
▶ ターボプロップ機:ガスタービン+プロペラ
▶ ジェット機:ガスタービン
コンコルド
ブリテンノーマンBN-2
アイランダー
ボンバルディアDHC-8-Q400
レシプロ機・ターボプロップ
レシプロ機:ピストンエンジンの回転力でプロペラを回す
ターボプロップ:タービン回転力でプロペラを回す
ジェットエンジン
ターボジェットエンジン:燃焼ガスの反動で進む
ターボファンエンジン:燃焼ガス+圧縮空気流の反動で進む
ジェットエンジン
▶ ターボジェットエンジン
GE J79
ブリストル オリンパス
▶ ターボファンエンジン
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バイパス比
P&W JT9D(B767)
P&W JT9D-7A
機体+取込外気
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基礎方程式:推力
噴流
機体+噴流
運動量保存則 (M+Dm)(v+Dv)-Dm u = (M+Dm) v
ここから、推力 f =
Δ𝑣
M
Δ𝑡
=u
対気噴流速度
Δ𝑚
=
Δ𝑡
(vj-v)
Δ𝑚 噴射流量
Δ𝑡
噴射流量 対機体噴流速度
流量が大きいほど、噴射速度が大きいほど推力大
 低速時:vj-vが大、高速時:Dm/Dtが大推力変化小
経過時間Dt
機体+取込外気
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基礎方程式:推進効率
噴流
機体+噴流
エネルギー保存則
1
2+ 1Dm u2= 1(M+Dm) v2+DE
(M+
D
m)(v+
D
v)
2
2
2
 先ほど得た
f=M
Δ𝑣
Δ𝑡
 必要なエンジン出力
生成エネルギーDE
経過時間Dt
=u
Δ𝑚
Δ𝑡
を代入すると
DE =f Dt(v+ 12 u)
基礎方程式:推進効率
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推進力(エンジン)が機体に対してする仕事DW
DW= f Dx = f vDt
ここから、推進効率 h =
h=
𝑓𝑣 Δ𝑡
𝑓
1
Δ𝑡(𝑣+ 𝑢)
2
=
2
𝑢
2+
𝑣
Δ𝑊
Δ𝐸
=
機体速度を単位とした対気噴流速度
を求めると
2
1+
𝑣𝑗
𝑣
機体速度を単位とした対機噴流速度
u が小さい(vjが小さい=vに近い) ほど高効率