42~57 - エコプラザさばえ

視察研修に参加して
上坂崇重
◎ ストラスブール(フランス)
都市交通政策
1989年に長期視野に立ち、政策を立て実行した。その柱は
・ 車の通行と駐車を管理・削減すること
・ 公共交通と自転車を優先し、マイカーの代替手段を推進する。
・ 公共空間に手を入れ美化することによって、歩行者に最も優しいまちづくりをすること。
増え続ける車によって都心部に通過車両を制限し、都心部の衰退を食い止めることができたわけです。
94年から公共交通機関として「トラム」と呼ばれるLRT車の導入し中心市街地へは列車、トラム、
またはバス、自転車等乗り継ぎして都心部に入って来ることにより、騒音から開放されました。
LRT車は近代的なハイテク交通機関であることを世界に印象付けました。
流線型の車体、大きな窓とドア、静かな走行と低床式、グリーを基調にした斬新なデザインは町並み
と調和している素晴らしいものです。
パークアンドライド
「P+R」(とも呼ばれる)は駐車すると往復切符がもらえる。
車に乗って来た人全員
15フラン(1∼2時間駐車料金)で何時
間駐車しても良いものです。A線に 3 箇所設置してありますが、
B線 4 箇所を予定しています
・ 第三セクター方式で広域共同体で管理開発した
・ 自転車利用を推進している
・ 都市計画の中に公共交通機関を組み入れ小さくまとまったコンパクトティをめざした。
・ 人口 25 万
地域の中核都市
・ 車道と歩道の段差が少ない
・ 全面低床式だから乗り降りしやすい(乳母車、年寄り等)
・ 予算A線・B線
35億フラン
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◎カールスルーエ市のビオトープ
生物・生活の場所を提供することがビオトープの意味です。 そのため
自然を提供する方針の下で施策をとっています。
・庭園局市予算 2%
・自然に帰すこと
護岸工事の後も蛇行を取り戻すことも行いました。
土・砂利で岸辺の植物にて再生する方策を取っています。柳の木が1
5年でこれだけ立派に生長しました。高速道路トンネル入り口に土を
覆って自然を取り戻す対策も取りました。再自然化を行なった
ものです。人間が便利さを追求する弊害・加えすぎないことが必要ですので、
芝生刈り込み回数も年 2 回
しか行ないません。
◎ クラインガーデン
・
首都ベルリンで考えが発生
市民に緑を提供する
土地を所有してない人に、市が土地を提供して貸し農園を行なう
二階・三階に住んでいる人にも野菜つくりの楽しみを提供する
通りかかる人も見て楽しむ人が居る
・
都市計画に組み込まれている
・
会員制で親子の継続も出きる(1 ㎡当たり 10 セント)
・
市は一区画 9,000 ㎡を 60 区画の土地を当てている
・
焚き火禁止
建物禁止
社会福祉の面で価値(安く貸し出す)
水道設備あり
地球環境の保全・改善は人類共通の最重要課題であるといわれているこの時期に、その取り組みに成功してい
る世界の注目されているフランス・ドイツの都市を、直接この目で見ることが出来ました。このことを生きも
のが仲良く暮らせる街づくり・自然を大切にする市民の一人となれる様誓うものです。さらに同行された方々
とともに積極的に取り組める機会を活かしてまいりたいと思います。
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ドイツ視察研修で学んだこと
湧口洋子
ドイツの国の人々は、質実性に富み環境意識が高く環境教育の充実や、環境保護活動など各地
にしっかり根づいています。
フライブルグ市は環境の首都と言われ、20 万人の市民がそれぞれに地域プランニングにそっ
て、エコ活動・ボランティアをしています。また、ドイツ一番の学園都市であり、フライブルグ
大学 3 万 6 千人(学生 2 万 5 千人、その関係者 1 万 1 千人)を中心に生物学やハイテクノロ
ジーその他専門家など環境都市保全の為の研究開発促進につなげている。
ドイツ・フランス・スイスの三カ国間の国境地域統一政策 Regio(レギオ)ドイツ環境自然
保護連盟 Bund(ブンド)の拠点地でもあり NGO 活動も盛んである。
フラウンホーファー物理研究所をはじめ、エコ研究所自然保護団体など国境を越えた協力体制
がとれています。
※
フライブルグ市ゴミ廃棄物処理対策
ゴミは出さない、作らない、家庭に持ち込まない習慣である
スーパーマーケットでは、ショッピングバックは有料で買い物袋は持参
過剰包装せず、生鮮野菜はばら売り、量り売りである
ビン類はデポジット制。マーケットで買収し、1 本のビンを 18 回位再利用している
使い捨て食器の使用禁止
各家庭では回収バケツ 3 つと1つの袋の分別導入
1. 灰色のバケツ・・・家庭より出るリサイクル不可能なゴミ
2. 緑のバケツ ・・・紙類(新聞紙・ダンボール・雑誌等)
3. 茶色のバケツ・・・生ゴミ・庭木類
4. 黄色の袋
・・・リサイクル出来る可能な資源ゴミ
・ 委託業者が回収専用車で各戸住宅を回り全て有料収集
である
・ 個人契約で週一回又は二回、バケツの容量によっても
異なるが、目安的に四人家族で週一回で約月額130
∼140ユーロである。ゴミを減量すれば安くなる
システムである
・薬物、塗料シンナー、オイル等は別途料金収集。
・大型ゴミは市のリサイクルセンターへ収集依頼(無料)。
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・庭木の収集は年 2 回
・生ゴミコンポスト(堆肥)は肥料や埋立地で有機ガスを発生させて
エネルギーの有効再利用である。
・大型ゴミ廃材のリサイクルシステム整備
・フライブルグゴミカレンダーの作成や、ゴミ処理に関する財政面
での費用など市民に報告されている
・行政、学校、住民と環境団体の連携を基にゴミ減量化を目指している。
・現在は焼却処理を行っていないが今後将来を見越し、2005 年に向けて近郊都市と共に焼
却炉を建設中で、焼却炉の環境汚染研究も充分なされている。
・廃棄物管理公社や Fischer(フィッシャー)などリサイクル分別業者が活躍をしている
ドイツ連邦局そしてフライブルグの人々は、自然と共生して環境を守り、次の世代に正しく動
植物が育ち、環境が汚染されないように受け継ぐ努力を重ねている事が充分理解することが出来
ました。
鯖江市に於いても、私たちの研修が市の施策として、積極的に取り組んでいただき、早急に実
現できる事を望みます。
私たちは‘’住みよい環境の町鯖江 “のために市民の意識改革・広報活動啓蒙運動に参加し
行政と市民が一体化となり、ファッションタウンにつなげたいと思います。
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環境国際交流研修を終えての所感
葛野
§1
昭
まえがき・・・
この地球環境悪化に対する切迫感にかられて、今すぐ行動しようと・・・平成15年度鯖江市環境国際事業
に一般公募として応募することにしたのである。とにかくドイツなどヨーロッパの環境先進都市の研修ができ
て、非常に喜んでいる。
最近のご時世では、関係図書や視察報告やインターネットでこれらの情報はいくらでも手にすることは出来
るが、これは知ったかぶりに過ぎない。実際にこの眼で見たり、現地市民と接したりした、いわゆる足でかせ
いでこそ本物といえよう。
実際、私はストラスブール市での早朝・・・トラムに並行した自転車道を約40分ランニングしてみて、寒
さと共にこれの素敵さを体感できました。
研修を終え、一歩日本の日常生活に戻ると、ともすれば忘れ去りがちであるが、今まで以上に研修で得たこ
とをベースに行動しようと思っている。そして、私が住む鯖江市を環境
国際都市または日本における環境首都とするべく微力を捧げたいもの
である。
そして、「快適さにひそむ悪魔」・・・自動車に乗ることは自由だが、
孫または孫の時代の環境に想いをはせて・・・次世代環境の姿を知る
べきだろう。これは自分を変えることで、今後の自分を変える努力が
要求されています。
§2
環境都市のスタンダードモデル
①都市への自動車乗入禁止
②市民参加の制度化
(trafic cell)
トラフィックセル
(consaltation)コンセルタシオン・・・フランス 法律・(ドイツ
③トラムは環境都市の必須条件(必要以上に自動車を街に入れない)
④大学都市(ストラスブール・フライブルグ・カールスルーエ・ハイデルベルグ)
(10万人以上の学生が市民として生活)(有名出版社が多い)
(ゲーテ・ハイデッカーその他を輩出)(国際レベルのコン
サート・オペラ・バレーその他の催物が多い)
⑤知識層(インテリ)が約10%前後生活
(古い大学都市であることも関係)
⑥広域化した都市連合で問題処理
(場合により役割分業処理)
⑦緑の党関係の指導者・プロデューサーが多い
⑧NGO が環境改善の推進力
(ドイツ・・・BUND)
⑨モラルと我慢を求める作戦は取っていない。
(必ず経済的還元がある)
⑩自転車道が整備されている。
⑪街づくりコーディネーターに適任者が配置
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連邦法)
(既存組織では改善は難しいようだ)
(形式だけの参加は最後になって最初の提案が受け入れないことが多い)
以上が研修先都市の公約数又は共通項の様である。少なくともこれの半分くらい満たされないと環境都市と
呼ばれるには資格不足ではないだろうか。目標を決めてこれを達成する努力してこそ、環境首都が転がり込ん
でくるはずである。ローマは1日にしてならず!!
§3
都市計画及び環境政策の具体化手順
①.フランス(ストラスブール----consaltation---住民参加)
ストラスブールの様な街づくりを可能としたのは、行政と住民の
パートナーシップである。フランスでは都市計画について---最初の段階から市民に対し徹底した情報公開と広報活動が義務付け
られており、計画案を市民が充分に理解し、夫々の意見を反映できる
権利を有すると云う仕組みになっている。
このニュートラム(電車)導入の場合でも多数の市民の意見を汲み
上げて計画案を具体化していった様である。(計画----3年、
建設----2年)
この結果、当初は反対であった人々の 85%が賛成に転じたと云う。我々がまのあたりにした乗車率は、この
ことを雄弁に物語っている。市民のためのニュートラムと云う現実は素晴らしい。これがコンサルテシオンで
ある。
この結果、パブリックな考えを持った市民(バブリーナシビリアン)が育ち、LRTの導入前に猛反対して
いた中心街商店主たちも,街の活性化による売上高増化を実現できて、今では自動車の乗入れを制限するトラ
ンジットモールの継続に大賛成である。
②.ドイツ(フライブルク---連邦法---住民同意)
フライドブルクでは環境問題は勿論のこと都市計画関連のものは、ドイツ連邦法で行政は住民の同意無しで
は計画実施は出来ないことになっている。この場合,同意レベル水率はケースバイケースで良く、環境問題に
ついてはブント(BUND)の同意が絶対条件となっている様だ。即ち、ブントとの協議でブントの提案を受
入れて決着し実現している様だ。即ち,行政とブントとの共同作業で問題解決に当たっている様だ。
③.BUND(NGO---NPOではない)
BUNDはグローバルに考え,ローカルに行動することを活動のモットーとしている。だからこの地域で危
機に瀕している問題はどんな小さなことでも真剣に取組み挑戦し
ている。又---政党を超え公益的環境問題に専門家集団として参画
するため、あらゆる分野の多くの市民の参加を求めています.この
参加を求める努力は大変な様です。又,各地域に置かれているブン
ト支部では,---支部の問題は支部で解決するのが原則---だから支
部毎に違ったテーマで活動している---現在のテーマは車の無い社
会の実現をめざすとなっている。
この様なブントの環境問題提言が受入られ多くのボランティア
参加者を得て,行政との共同作業が出来る社会基盤は何といっても文化大学都市フライブルグがかもしだす知
性の様な気がしてならない。
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(ブント支部)構成
支部長
<専門分野>
(専門家) (専門家) (専門家) (専門家)
自然保護団体
NGO
<参加者>
§4
ボランティア(市民)
環境交通都市の実現は市民参加の結晶
1. 都市活性化の取組
都心に人が集る魅力や動機づけ、そして市民が必要としている品物を買うこが出来なければ、何にも自動車
を捨ててまでして,とラムに乗って都心に集ろうとはしない筈である。都心とは美しく魅力的でなければ都心
の資格が無いとでも主張しているのです。
<ストランスブール
トランジットモール商店街>
トランジット商店街へ有名ブランド店を誘致し郊外大型店の買物で代替できないものを持っている。郊外
店は生活用品のみで経営が成立っている。
2. マイカー放棄のまちづくり
これは車の使いにくい街づくりである。市民の参加が無ければ実現不可能である。
a.都心への自動車の乗入禁止
b.ニュートラム優遇策・・・・・モラルと我慢作戦では駄目、生活費の削減が目に見えることだ。
c.自動車を放棄した人への報償・・・・・フライブルグでは住宅団地の購入割引がある
(フオーボー団地・リーゼルフウエルト団地)
d.路上駐車スペースの廃止
e.市内制限速度---30km以下ゾーン拡大
f.石だたみは残している・・・・・速く走れない
3. 自転優先政策
a.自転車関係施設づくり
1. 自転車専用道路の延長
2. 自転車専用道路標識の整備
3. 自転車駐輪場の整備
b.自転車への交通規制緩和
1. 自転車の一方通行の緩和
2. 右折禁止などの解除
c.自転車通勤への補助
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§5
個別都市別交通対策
1. ストラスブール(フランス)
ストランスブールで我々は持続可能な発展を断固選択した。我々のユートピアは経済と社会の発展
と環境の永続性の両立することだ。そのためにはまず何よりも一貫性のある交通政策が必要である。
ストラスブール市長・広域共同体主長
ローランリーズ
ストラスブール広域共同体のストラスブール交通(CT3)は第 3 セクターで筆頭株主はストラスブー
ル広域共同体である。
(過半数の議決権を持っている。)そしてCT3 は工事発注主体としてトラム専門部を創
設している。
現在進められているトラムB線の施工はストラスブール都市圏近代
交通研究企業連合(GETAS)と景観設計事務所の連合体である。
次に現在進められている一貫性のある交通政策の実現を述べる
ことにする。
a.トラフイツセル(traficcall)
1. 都心への車の通り抜け禁止
2. パークアンドライド(P+R)
3. バスアンドライド(B+R)
4. ニュートラムとトランジットモールの実現(2010 年を目指して路線拡大)
5. LRTの導入(モダンな低床車)
6. 都心の歩行者,自転車のための空間拡大(市街部のトランジットモール)
7. 歩行者優先徹底、車の速度制限、歩道の舗装材、交通弱者対策?(点字タイル・特殊信号)
8. 交通目的税(9 人以上の企業より賃金の 1.5%徴収)
b.自転車先進の都市
現在の市内自転車道の線延長は 300KM で道路整備に際しては連続性と一貫性のある自転車対応
がとられてきている。
この結果よく整った標識のある自転車道ネットが構築されていた。今後これの延長は云うまで
もない。(これは私の早朝ランニングで身をもって体感した次第である)
以上の如く,自動車に割くスペースの削減を実現し歩行者,自転車優先の安全な移動手段のある街づくり
が,目標の様である。即ち自動車に代わる代替移動手段として自転車を提供していると考えられる。
2.フライブルグ(ドイツ)
フライブルグ市内の主要道路以外,住宅地域内道路は速度 30KM ゾーンとして速度と共に車両規制
なども行っている。これで市民の生活空間の快適さの確保を可能とした。結局,自動車を捨てたら得ですよ!!
を推奨しているのである。
a.公共交通機関の奨励
1. 路面電車、路面バスの拡充
2. 定期券「REGIO環境カード」の発行・・・・・
3. 路面電車の延長
4. 路面緑化
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他に様々の割安乗車券の発行
5. パークアンドライド施設整備
6. 低床型連車両の導入
7. その他
b.自転車の奨励
大学都市でもあり市民の 30%が利用していると云われている。
1. 自転車専用道路を総延長・・・・・163KM
2. 自転車駐輪場の増設
・・・・・自動車駐車場の転用で実施している。
3. 自動車駐車場乗入制限のために従前の駐車場を廃止した(上述転用に直結)
4. 路面駐車の料金アップ
料金をアップして短時間利用を促している。
5. 環境局に専門スタッフを配属
以上の如く自動車利用の機会を減して、これの代替近距離交通手段として,自転車を活用しているのであ
る。そして市民がこれによくぞ参加している素晴らしいことだ。
§6省エネルギーと新エネルギー対策
ここでは、フライブルク市の実施状況の説明である。フライブルグ市環境局はあらゆる分野の研究者・専
門家で組織されている。
1. 再成可能なエネルギー源の開発促進
これの中心はソーラー研究でソーラーシティを目指し 2005 年には現在よりも 10%アップを目
指している。
2. 新エネルギーテクノロジーの研究
これの中心はコージエネレーションで発電と熱利用を期待している様だ.これで市役所のエネルギ
ーの 90%確保をめざすと云う。又これの促進地域も指定している。
3. ローカルエネルギー(自前エネルギー)の 50%アップが目標
これの中心は天然ガス(バイオコーゼネレーション)
4. ソーラー発電
ソーラー発電の売電価格の安定でこれの参加
世帯が 10%までに拡大された
売電価格---47 セント/Kwh(60 円/kwh)
日本20円/kwh
5. 太陽パネル,ソーラーファブリック製造
6. 風力発電機---6 基(風力不足で駄目)
7. アウタルキハウス(自給自足住宅)の建設
8. 省エネルギー住宅建設
ドイツ国内の達成度水準率より 30%UP
9. フライブルク市内の研究機関
1.国際太陽エネルギー学会(ISES)
2. 国連研究機関(ICLEI)
3. エコ研究所
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鯖江市環境国際交流事業(フランス・ドイツ 9 日間)に参加して
佐飛康央
海外旅行は新婚旅行以来の 2 回目、9 日間という日程であるためそれまでに仕事を片付けないと思い、出
発まで仕事でバタバタとし、十分な事前勉強をすることなく出発の日を迎えました。行きの飛行機の中で目的
地での勉強を始めたのですが、時すでに遅し・・・。参加者の皆さんの事前勉強を含め、環境問題に取り組む
熱意を強く感じ、自分の未熟さを感じました。しかし負けてはならぬ、参加団員の中で一番若いということで、
その若さゆえにできる内に秘めた情熱をぶつけようと思い、何事にも積極的に取り組みました。
特に関心・興味があった部分として、「エコステーション」の視察がありました。
なぜなら、私自身が現在「エコプラザ
さばえ」(鯖江環境情報
学習センター)に所属しており、今後NPO法人として活動の幅を
広げていく今まさに正念場におかれているからです。
ドイツ最大の環境保護団体の一つであり、ドイツ環境保護連盟
(BUND)の中の環境教育センターであるエコステーションは、
頭の中でイメージしていたものよりこじんまりとしており、建物を
見た瞬間こんな小さい所で何ができるんだろう?と正直感じました。
しかし、レクチャーを受けていくうちにそんな考えをしていたことが
恥ずかしくなり、建物の大きさや人数の多さではなく中身が思っていたものより数倍も充実していました。
年間に 300 イベントを行い(週にすると 6 日くらい)参加者も延べ 10,000 人以上ということで、学外の
教育施設として活用されています。建築様式も珍しく八角形のド
ーム型になっており資材も地元ドイツの黒い森の材料を使用し、
内装も建築廃材を利用しています。
また設備としては、太陽熱温水器・太陽光発電・雨水利用やハ
ーブ園など学習プログラムとしては十分すぎるくらいの充実振
りです。
来年度より、鯖江市にハード面(建物・設備)は予算を頂き、
市民が中心となってプランしていくこととなりますが、ハード面
も然ることながらソフト面の充実が大事であると思われます。出
来上がった後の運営や、イベントの充実(回数ではないと思うが、中身の充実を)そして教育施設としての発
展など、いかにして「環境学習」「環境教育」を中河の地から県内へ、全国へそして全世界へ発信していける
かが懸案事項ではないかと思います。
また、ストラスブールの交通体系も関心を持ちました。あれだけのことを思い切って実践できるというのは、
住民・市民の声もあるでしょうが、やはり行政の改革手腕に外なりません。
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この福井の地においては、雪の問題があり難しいと
言われますが、雪が降るからこそ、利用者も増えるだ
ろうと思いますし、車の運転も控えるであろうと思われ
ます。もしもこの鯖江でトラム網が実現できたなら、
神明地区の発展も、また本町商店街の発展も望めるよう
な気がしてなりません。このことについては夢のような
話かも知れませんが、事あるごとに自分の目で見たもの
を提案し、形になるように今後更に勉強していきたいと
思います。
いろいろな土地、また視察に行った都市それぞれで感じるものは多く、書き出せばカールスルーエやハイデ
ルベルグ、フランクフルトなどきりがありませんが、全体を通して「観光(かんこう)」ではなく「環境(か
んきょう)」にどっぷりと浸かった 9 日間であったと思います。長いようであっという間の 9 日間でしたが、
ここで学ばせていただいたことはいろいろな場所や、これからの活動の中で生かしていきたいと思います。
参加させていただきまして本当にありがとうございました。
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ドイツ環境国際事業団に参加して
藤田久子
ドイツ連邦の環境行政機構が基本にあり、州・都市・郡の議会が環境保全型政策が立てられていて、担当者,
スタッフ,専門者,学術者が揃って行政にたずさわっている。
そして経済も環境優先にまわっていることがわかった。
この度、4市訪問の機会に恵まれたが、
▼各市での公共交通機関対策では中心部の商店街へは、主にトラム(公共交通)利用し、車乗り入れ禁止、又、
観光地では歩行者天国にしている。
街の中へ大学を取り入れ、自転車交通の促進をし、CO?削減の為、独自の施策が市民と共に築き上げられて
いる。ハイデルベルグ市では pm10:00 以後は働く女性の為のウーマンタクシーがある。鯖江市公共バスに
も是非このシステムを入れていただき働きやすい環境作りが出来ればと思う。
▼ごみ箱の色は国で統一されているが形は各市独自である。ごみ減量,リサイクルに対しての市民意識は高い。
事業者も責任を持って回収している。これは当然ではないでしょうのか。
日本でのごみ処理は全て地方自治体で負担しており、財政を圧迫しているが、今さらビンにも、デポジット
PET ボトルにも戻れないだろう。しかし、自販機を減らす事やそれにごみを出さない工夫等など、対策があ
るはずである。単にごみ有料を唱えてもしっかりしたシステムの上に載らないと市民の理解は得られないので
はないでしょうか。
▼環境教育は州の文部省が責任を持って『価値観の持てる人』を育てている。日本のように総合学習の一部で
は手遅れでは?そして市民運動として BUND(ドイツ環境自然保護連盟)や国際環境 NGO(非営利組織)
の地味なボランティア活動が育った。特に BUND は会員 40 万人で環境に大きな力を発している。こういう
まとまった力が国を動かし、自治体をまとめている。 日本では過去に NGO 排除がニュースで流れていたが
この様な時代ではなく、先進国では市民のまとまった力が重要であろう。
そこで気付いた点を述べてみると
◎ まちづくりでは
地震がないヨーロッパでは中世の赤石建物景観&伝統を守り続けて
いること。
建物の維持管理は並大抵のものではない。又街の中は看板なく、広告は
広告塔に貼ってあるのみ。もちろんジュース類の自販機は全くないし、
すっきりしている。
歩行者優先では雨水の浸透を考慮しての地下排水している。又街中には、
水路(巾 30 ㎝)があり水が流れているそうな。(今年は水不足で残念)そして石ダダミのうつくしさ!
(自然石が多かった)
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◎ 自由市場では
広場には自由市場があり多くの生産者・小売店が出店,有機野菜だけのお店も
並んでいました。全て計り売りであり、袋なし、ごみの出る葉菜類なし、あって
もサラダ系のみ、みてくれ悪くても大小混合でも平然と並べられていた。こちら
では束ねたり、小袋に入れたりしているが、・・・又、お花のお店が多く鉢物、
切花、束にしたアレンジ花がめだった。市役所やビルの
窓には花が飾られていたが、ビルの前や歩道には何にも
なしである。青空市場の多くの花を、家の中に飾るので
あろうか?本当にお花好きな市民である。
◎クラインガーデン(市民農園)では
どの区画にもお花と果実の木が植えられていて、野菜
の農園はめずらしかった。市民農園=家庭菜園と思われがちであるが、ライフスタイルの違いであろうか、穀
物自給率 UP を担っていると言われていたので不思議な気がした。
◎ 持ち家では
ドイツは 20%程度が持家である!街の中、広場にも公共トイレはなく、レストランやデパート等でトイレ
を借りると必ず地下にある。地下水位が高いらしいのであるが、湿度工夫は大丈夫?
建物は外断熱で省エネである。日本はようやく外断熱が(一部の地方を除き)注目されだした所である。
◎ エコステーションでは
フライベルグでエコステーションを見学。黒い森の地元産丸太で
八角形に組まれた建物である。自然の光がサンサン注ぎこまれていて、
新エネも充分賄っていた。辻市長が今、環境教育支援センター(仮)
建設に力を入れられているが、まさに環境教育が一番である。そこで
新設センターは限られた場所、建物であるので、中河地区全体を取り
入れ、中河小学校舎敷地内での小さいビオトーク等ではなく、浅水川を
利用し、元の姿の生態に戻すようなことは可能でなかろうかと考える。
イベント的な体験に終わらずゆとりある生活が送れる様そして五感を使って自然を体験させるなど、ソフト面
のサポート体制を充実させ、これからのセンターの環境教育に期待したい
鯖江市でも 1992 年(平成 4 年)4 月より分別回収が始まり、今ではその他プラッチック回収も加わり循
環型リサイクルが出来上がってきている。
ドイツのスーパーマーケットではさすがビンは多いし、デポの1?PET ボトルもあるが、使い捨てペット
のミネラルウォーター類も結構並べられていてこの国へも浸透するとは??又、紙箱パッケージにはグリーン
マークを付けて回収システムを徹底させている。日本のような「プラ」は少ない。環境に配慮したライフスタ
イルへの意識の違いが大きい。又ハイデルベルグの生ごみ回収工場では回収ルートや臭気,堆肥化後のシステ
ムなど質問してみた。最近、三重県の生ごみ燃料化とイオン(旧ジャスコ)の生ごみ処理機の事故が起きてい
る。これでは回収に難色を示す自治体が多いのはうなずける。
ドイツに学んで国民性が違うとかたずけていいものか疑問である。市民にごみ減量を訴える前にごみを出さ
ない努力が必要である。
視察研修した事を環境まちつくり委員として「環の国先進都市フォーラム」プレイベント環境フェア 2004
をはじめ市民参加型の充実と環境国際都市目指し、生かして行きたいと思います。
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ドイツにおける交通体系と市と市の街づくり そして環境へ
酒井芳徳
各地で学んだことと体感をもとに述べます。
ドイツの 1 日目はウィーンよりシュツットガルトに夜着いた。街は明かりはほの暗く街の商店街は店を閉め
ウインドショッピングしか出来ない街で人々はレストランや家庭においてくつろいでいる様だった。せっかく
来たのだからと数人で初めての列車に乗り、近くの遊園地で行われているビール祭に行く。市電は自販機にて
切符を買い,持って乗り込むだけで日本の改札が無い。駅員さんがいない?どうして切符をチェックするのか
と云うと車掌が時おり来て調べるのだそうだ。そのときに切符がないと無賃乗車として多くの金額を支払わな
ければならないとの事で皆さんきちんと切符を買って乗る様です。そして驚いたことは,あちこちにタバコの
吸殻の多いこと多いこと。遊園地は寒かったけれど多くの人が集い楽しく祭りだなっと感じました。
シュツットガルトをバスにてストラスブールへ高速は三車線あるけれどスピードは 100 キロ程にて走行で,
日本と違いただなのです。ドイツも日本にならい,利用金を取ろうかと検討しているようです。フランスの街
ストラスプールに来るのに国境は無かった。今ヨーロッパはヨーロッパ国となっていた。
この街は観光の市としても有名で街の中に一般自動車の乗り
入れ制限がなされ,通り抜けも出来ない様に都市計画や市条例
により行っている。その条例をつくるに当たり市民の理解を
得る努力があり、その結果人々の足として市電を中心とした
交通体系が作られた。福井の市電みたいな高床ではなく地上
20cmの低床式なのでプラットホームも低く出来ている。
この市は市電を基に交通体系がつくられている。
街づくりは伝統を保ち外観は古い形とし、中は住み良い建物
としている観光都市となっている。
フランスドイツ
視察地における交通体系と市と街つくりと環境
フランスドイツ共に第2次世界大戦には戦場となり多くのものが破壊された。
戦後人々は復旧に向けて努力を重ねて来たが、その中で最も多くの人たちが再築にあたり建物は中世ヨー
ロッパの形を残す、又市内道路も石畳の路とするなどの復旧に努めてきた。そして何より自然の大切さを知り,
共存の道をはかる為に市民と行政がそれぞれの意見を出し合い融合し,街づくりを進めてきている点にある。
1.交通体系
古くは市内は電車中心の街であったがフランスのストラプスル市は中心地より車を乗入れさせないた
めに低床式市電を郊外まで敷き,人々は郊外に車をおき、市電により入る方式にし市民に不自由なく使用でき
る街つくりをしてきた。結果,街の環境は良くなっている。
石畳とゴシック建築があり又観光市と大学があり,人々が集う街,トリムと云う市電で街をつなぎあう街。
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ストラスブールよりフライブルグへ、道路国境はなかった。ドイツのアウトバーンは無料で三車線あり、時
速 100km で車種によりスピード制限時速が決まっていた。
ドイツフライブルクは強く中世都市を残した街で自然環境を大切にする所であった。
石畳の道,建物は中世風であり,都市計画に市民のNPO等の活動がさかんである。この街も市電を中心
として車の乗入れを規制している。一般の道路は 3∼4m巾程だが歩く人が中心となっている。ここにも大学
があり人が集っていた。道路は石畳横にはむき出しの側溝がある。日本の求める街並みとは一味違う(バリヤ
フリーではない)環境があった。しかし市民や行政の環境省エネの推進は強く、官舎と住宅においては省エネ
用材の普及,太陽熱を利用したソーラーパネル設置などの推進がなされていると説明をうけた。
フライブルグよりバスにてバーデンバーデンへそして市電でカールスルーエへ向かう。
カールスルーエは公園のビオトープ化がはかられ又市民提供
型のクラインガーデンを視察した。この街は車が周囲を通り抜け
ている。ハイデルベルグは近くの市町村と共同的にごみなど分別
を行っている所でこの市担当は生ゴミ処理で工場を見学したが
現場においての臭いは強かった。この堆肥の最たるものは生ゴミ
+ブドウ畑によりでる木材や植物が多く処理後は畑に返されるの
だそうだ。
ハイデルベルグもまた世界の観光地であり,ハイデルベルグ城や古い石橋そしてここでも大学という観光
市である。例によって床は石畳,巾3∼4mの歩道など人のためにある街である。
街並みは今まで見てきた所とあまり変化は無いが,中世ヨーロッパ建築を表に出している。ドイツ気質が
うかがえるが今の市民の考えはドイツでもなくフランスでもなく(戦いのたびに国の替わる街)ユーロ統一後
はヨーロッパ市と考えているようである。
ハイデルベルグよりフランクフルトへ
ここは都市と呼ぶのにふさわしい所で,人があふれ又道も車に
より行来がなされている。日本と変わらない所であった。
以上都市計画の点から述べれば,どの視察市も住民市民の意見を取り入れ(NPOなど)官民一体となっ
た街づくり,形作りをしている所であった。日本もようやくマニュフェストを掲げ立候補する議員が出てきて
いるが,市民と共に街づくりを考えたりする行政まではほど遠い現実が落胆を招く。NPOと云う形は出来つ
つあるがドイツ並に人々が一つの問題について審議し意見を出し合い官民一体となった街づくりはまだまだ
先?の様に思う。100 年単位で自然や環境を考えるヨーロッパに対し日本は何事も急ぎすぎているようであ
る。ただ見た目を追うのではなく今後何が必要かをじっくり考えれば
おのずと街づくりは見えてくるのではなかろうか。むやみやたら再開発
を進める市は虫食いだらけの街となり環境の劣化はもちろん自然破壊
にもつながっているとつくづく感じた旅だった。
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鯖江市環境国際交流事業に参加して
八田
宏
企画実行委員会のお手伝いという形で参加しました。海外の異文化を直接体験して、自分自身の見識や感性
を深めたい気持ちがありました。
いっしょに参加された皆さんは地球環境保全への意識がとても高く、今回の研修への意欲がひしひしと伝わ
ってきて、いい加減な私の気持ちも自然と引き締まるように思いました。
研修した都市はすべてに特色があり、学ぶところがたくさんありました。特に環境保全への意識の持ち方に
は考えさせられました。たとえば、ごみや資源物の分別は鯖江市とそれ
ほど変わりありません。場合によっては鯖江市のほうが進んでいます。
環境首都で有名なフライブルグでも心無い人によって街中にごみが捨
ててあります。しかし缶ジュースの自動販売機はこれらの都市にはあり
ません。(何故かタバコの自動販売機はどの都市でもとても多く目に付
きました。)地球環境保全のため循環型社会の形成推進において「空き
缶をリサイクルしようではなく、缶ジュースは飲まない・デポジットの
瓶ジュースを飲もう」この意識の差です。この差はどこからくるのでし
ょうか。国民性の違いとも考えられますが、私は次のように考えています。今回訪問して研修した都市はすべ
て中世からの歴史と伝統という地域環境があります。王侯が「まち」を築き、人が集まり大学の開講や交通機
関が発達したことで「まち」が形成発展しました。この先人の残してくれた「まち」の機能や伝統を引き継ぎ
「まち」をはじめ国・地球を未来に向けて後世に継承していくために環境保全を取り入れているのだと思いま
す。一番の目的目標が「まち・国・地球づくり」であり、その手段のひとつが環境保全活動なのです。
地球環境保全の意識も時代とともに変遷していきます。活動の効果が「まち」に溶け込み、人々に自然な行
為として抵抗なく受け入れられるようになるには時間がかかります。しかしその経緯こそが大切なものである
と思います。
「まちづくり」は行政や市民が単独でできるものではありません。パートナーシップを取りあってこそでき
上がるものです。
環境国際都市を目指すのならば、環境保全活動への意識の高揚
は不可欠であり、現在活動している市民や団体・研究者ばかりで
なく、次代を担う人々を育成する環境教育学習の整備も必要で
あると思いました。
最後に、参加された皆様にはいろいろなところで大変お世話に
なり本当にありがとうございました。とても楽しく有意義な研修
の時間を皆様と共有できましたことを幸せに思っております。
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