日本とドイツの比較

ある外国の人質事件
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軍部の抑圧的な体制と反政府テロのどちらがマシか?
おい
よく
びつ
そか
のの
後補
に論
つ、
い
て
1
ドイツとロシアの比較
↓
全体主義という概念の変遷
2
ドイツの日本の比較
3
戦前と戦後の連続・不連続
4
ふたつの反ユートピア小説
1
エンツォ・トラヴェルソ『全体主義』(平凡社新書)2002→2010
全体主義という概念の変遷の歴史について
ドイツ
資本主義の土台の上に成立
選挙をつうじて権力へ
大衆社会の支持
ヒトラー=絶大なカリスマ
ニヒリズム、文明の破壊者
生存闘争理論
敵=ユダヤ人(外部)
社会内部の問題は保存、放置
絶滅収容所
ロシア
資本主義不在の上に成立
暴力革命
支持なき民を一方的に支配
スターリン=無個性
ヒューマニズムのタテマエ堅持
階級闘争理論
敵=ロシア人(内部)
社会内部の改造を試みる
強制労働、人格改造
文明と野蛮の結託
文明の野蛮への転落
1-2
概念の変遷・・・4つの段階
① ナチス以前・・・イタリアで原型が誕生
個人より全体を優先する軍国主義
人種主義はまだ登場せず。
② 第二次大戦の前後(アメリカにて)
・・・(1) ナチスからの亡命知識人による議論
近代の行き着く先で原始的な野蛮が回帰(歴史的視座の登場)
・・・(2) 共産主義からの転向知識人による議論
アメリカの敵=ドイツ+ロシア=全体主義
③ 戦後の冷戦期
・・・(a) アメリカの反体制派=ソ連を理想化(のちに幻滅)
アーレントたちは批判される
・・・(b) ソ連批判、強まる
全体主義=ソ連のスターリニズム
(全体主義概念のプロパガンダ化=敵はすべて全体主義)
④ 冷戦以後
・・・(1) だんだん使われなくなっていく
ひとびとの関心: 全体主義(過去?) < 植民地 < 官僚制(先進国)
・・・(2) 学生反乱の時代
アーレントの議論などは抵抗の根拠にならないから使えない・・・
・・・(3) 「ベルリンの壁」崩壊以降
自由主義の勝利、全体主義はもう論じる必要がない・・・
第1次世界大戦=総力戦、全体戦争
↓
自由主義的伝統の限界が露呈
その1つのリアクションとして
ロシア革命
:平等主義の理想
今日、全体主義論は歴史を
分析するにあたってのみ意
味がある。(トラヴェルソ)
↓
われわれの社会に何が起きり
えたかを知るのは大切だろう
リアクションへのリアクション
イタリア
:ナチズムのモデルのひとつ
:革命に対する革命
ナチスドイツ
:行政の専制、社会の工場化、
監獄社会、徹底した人種主義…etc
:あらゆるもののネガ
2
日本とドイツの比較
(アーレントの図式による)
ドイツ
日本
反ユダヤ主義
朝鮮人差別?組織化不徹底
大正デモクラシーは初期段階
大衆社会
満洲国の実験
ブーメラン効果
アジアの少数者としての日本民族
汎民族主義運動
天皇万歳?
ウソが現実を侵食する
難民収容所から絶滅収容所へ
南京大虐殺はそれほどシステマ
ティックなものではなかった…
(ハンセン病収容施設)
独
都
市
型
改
造
主
義
反宗教
(1)国民国家の成り立ちの異同
日
独:地域の多様性→ハードな強制必要
日:同質的→ソフトな心理的誘導
農
村
的
リ
ア
リ
テ
ィ
ー
の
持
続
(2)戦間期におかれた状況の異同
独:敗戦国→ニヒリズム蔓延
日:戦勝国→ニヒリズム弱い
(3)権力を批判する抵抗勢力の異同
独:徹底的弾圧
日:むしろ支配層の内部に浸透
破壊の
システ
ム化
宗教的
(4)≪全体≫への結合様式の異同
独:テクノロジー主義
日:技術への関心が弱い
個人
の抑圧
断
絶
?
3
戦前と戦後
戦後、東側(ソ連陣営)をべつにすれば、西側諸国では、
ナチズムは否定され、戦争は反省され、
平和な時代がやってきたようなイメージがある。
しかし・・・
アメリカ・イギリス
:戦勝国は「ナチスとの正しい戦争」に勝ったのだから、戦争を反省
する必要などないという立場
連
続
?
イスラエル
:国家を持たなかったから虐殺されたという意識から、自分たちの
国家を建設したが、そのためにパレスチナのひとびとを虐殺
ドイツ
:「アメリカによる平和」のもとで武装解除、第2次世界大戦以前の
プロイセン時代への回帰を志向する
日本 : 総力戦下でつくられた管理体制を戦後の経済成長システムに再構築
(1940年体制)
福祉国家の優等生と目された北欧諸国でさえ、戦時中はナ
チズムの影響をうけ、戦後まで優生政策をつづけていた。
健康帝国ナチス、ナチズム第3の層は戦後に生き残る
日本では近代化にともなってハンセン病の隔離が始まった。
が、終戦後、半世紀たっても彼らに帰る場所はなかった。
世
界
で
も
稀
な
強
い
差
別
意
識
医
学
的
根
拠
が
な
い
の
に
優
生
手
術
を
強
制
日本に絶滅収容所はなかったがハンセン病の収容所が存在した。
ベストセラー、村上春樹『1Q84』でも宗教的な管理社会
が登場するが、その元ネタとなったのが・・・
近未来を舞台にした
4
ふたつの反ユートピア小説
オルダス・ハクスレー『すばらしい新世界』
生物学的管理社会を描く
ジョージ・オーウェル『1984』
情報管理社会を描く
後者は、ノーベル賞作家のソルジェニーツィンが「収容所群島」と形容したソ連
をモデルにし、そのソ連では実際に小説以上のことが起こった。そういう意味で
リアルだが、アメリカの評論家・F.フクヤマによれば、今この時点で実現の危機
にあるのは後者ではなく、イギリスをモデルにした前者だという。近代の暴走も
危機的だが、近代の着実な歩みのなかにも危機は孕まれているということか?
まとめ
古代の哲学者・アリストテレス
「等しいものは等しく、等しくないものは等しくないように」
→ 正義の原理
「ドロボーには窃盗の罪を、殺人犯には殺人の罪を、
ひき逃げ犯人にはひき逃げの罪を」
→ 講義のコンセプト
量刑
アーレントの全体主義論それ自体は今日あまり役に立たないかもし
れない。だが、民族差別とは異質の人種主義、政治とは異質の官僚制
による支配、専制政治とは異質の植民地経営という経済的支配、そし
てそれらが積み重なって、それらすべてと異質な全体主義的支配なる
ものが登場してきた歴史、あるいはそれを分析する方法論を学ぶと、
問題の諸相、<<悪>>の諸相と諸類型がみえてくるのではないか。それ
はまた問題にどう正確に対処するかという課題につながってくるだろう。