停滞する国内LCC ~変革すべきビジネスモデルとその課題~ 佐々木ゼミ 1 動機 • 2012年より、日本にLCCが相次いで就航し たが、現在遅延や人員不足などの問題が浮き 彫りになってきており、ニュースなどにも なっている 実際のLCCの実態はどうなっているのだろ う? 2 はじめに LCC とは =Low Cost Carrierの略 • LCCは既存の大手航空会社とは異なり、徹底したコストカット と効率的な運営により低価格の運賃を実現した格安航空会社の こと FSAとは =Full Service Airlineの略 • 充実した多様なサービスを提供する航空会社のこと LCCは従来のFSAに代わり、国内外において、 近年急速に台頭してきている 3 国内での台頭 国内6路線の運航開 始 寡占による低廉化 を打開し、利益者 便益の向上に資す る目的で設立 国内初のLCC路 線 運 航開始 4 国内2路線の運航開始 ビジネスモデル サービス の 簡素化 単一機材 チケット 直販 ターミナ ルの活用 5 サービスの簡素化 • 機内サービスの廃止・有料化 →(機内飲食、機内誌、毛布etc・・・) • 個人モニターなど娯楽システムの廃止 →席ごとのビデオや音楽放送、機内誌・新聞・雑誌 などの 機内エンターテインメントを省く • 座席指定を廃止し自由席とする 6 →座席位置により価格差を設ける、座席指定を有料 化する サービスの簡素化 • シートピッチを狭め、座席数を増加 →身体にハンディキャップのある人には苦痛 緊急時の避難に支障が出るのではない か? 7 単一機材 • 小型の単一機材を用いることで多頻度運航が可能と なる • パイロットやスタッフの育成を効率化 • 機材メンテナンスが容易となり、整備の安全性が向 上とコスト低減が見込まれる • 新しくできたばかりで機体が新しい 8 運航形態(ターミナルの活用) Point to Point system • 路線の接続性を考慮せず、2空港間を単純往復する 手法郊外のセカンダリー空港や地方空港を使用する ことで航機の発着時間の短縮と空港使用料の低減が 期待できる Multi Tasking • 客室乗務員が機内清掃や搭乗手続きを兼務すること により発着時間の短縮と人件費の削減が期待できる 9 チケット直販 LCC 旅行会社を介さず販売 顧客 手数料等がかからな い! LCCでは、一度予約したらキャンセル料が100%発生して いた ex)航空券代金補償サービス「Peachチケットガード」 運賃に応じる保険料を支払うと、一定の事情で搭乗できな くなった場合、航空券代金が返還される 10 LCC利用による消費活動・行動の変 化 国土交通省航空局作成アンケートは、ピーチアビエーション、エアアジアジャパンの成田、関空発の国内線利用者を対象に2013年9月に実施。回収率は約40% 11 LCC利用による変化 LCC就航によって飛行機の利用回数が増えた客は6 0%存在し、航空業界の活性化へとつながる またLCC利用により、浮いたお金を食事やお土産購 入などの消費活動に充てる客は多く存在し経済活 動の活性化につながる事が分かる 国内のLCCを推し進めることによ り 航空業界は活性化し、国内経済は 12 LCCの課題 • ディレー(遅延)が多く発生する • 機材故障等の理由によるフライトのキャンセル • パイロット不足 • インターネットの利用のみの予約 13 ディレーの発生理由 定時発着率 国土交通省 航空局(H25年 10月30日) 「我が国のLCCの現状と課題」 14 LCCで遅延やフライトキャンセ ルの 起きる理由 • 機材の故障が起こると、同じ会社内の他 の飛行機にも同じ機材が使われているた めすべての機材の安全確認が必要となる • 機材の故障時の代替機の準備ができない のでどんどん遅延が増えていく 15 パイロット不足の原因 パイロットになるためには、時間と費用が 必要 短距離の直行便に特化している パイロットの高齢化問題 経済のグローバル化による航空需要の拡大 16 パイロットになるために は? 小型機操縦の訓練で2年 機体の種類に応じた、航空会社での実務的な訓練 副操縦士としての7年以上の経験を経て初めてエアラインの機長 パイロットになるためには、最低でも10年が必要 最低でも数千万円必要 17 短距離の直行便に特化している LCCパイロット • 短距離路線で、1日に4回までの飛行が可能 • LCCの路線は片道4時間以内の直行便が一般的 多くの操縦士が必要となる! 18 LCCの利用客層と予約方法の許容 率 19 インターネットのみの予約による 利用者の制限 年齢層が上がるにつれインターネット予約の みという予約方法に不満を持つ傾向にある インターネットをうまく活用できる人に制 限される 20 海外の動向 21 米国LCC LCC参入 拠点空港 ユニットコ スト •1971年にLCC参入 •セカンダリ空港他、拠点空港にも進 出 •FSAに対しコストの優位性が低下し てきている 22 FSAとの競合 LCCが増えると既存 のFSAが減っている →競合している! 23 欧州LCC LCC参入 拠点空港 ユニットコ スト •1985年にLCC参入 •セカンダリ空港をメイン •他キャリアが利用しないセカンダリ空港を利用し ているためFSAに対しコスト面での優位性がある 24 FSAとの共存 LCCが増えてもFSA は減少せず 共存関係にある! 25 米国と欧州の比較 欧州のLCC参入は米国に対して浅い 米国は拠点空港にも参入しているが欧州はセカンダリ 空港のみを使用している 米国のLCCとFSAは競合している一方で、欧州のLCCと FSAは共存関係にある →日本では高速鉄道網が発達しているため欧州に近 い欧州のモデルを参考にすべきである 26 日本のLCC LCC・FSA共に増減は 同じ傾向にあるため 共存していると言える。 27 航空旅行客の現状 日本国内のFSA・LCCを見ると増減が同調しており 共存関係にあるといえる 日本のLCCをもっと伸ばすためには? 28 推進すべき方針 方針 •新たな顧客の取り込み •差別化の推進 •新規航路の開拓 •計画的なパイロットの確保 29 新たな顧客の取り込み あなたはLCCを利用したことがありますか? ※単一回答/20歳以上の1年に1回以上航空機を利用する人(n=1500) 30 新たな顧客の取り込み 利用料金は安くても予約の手段が浸透してお らず飛行機は利用しない人が多い バスや電車と同等の利用しやすさを実現する →スマートフォンアプリによるLCC予約手段の拡充 31 差別化の推進 FSAとLCCの共存のためにそれぞれを差別化する 差別化することにより利用者のニーズに答えてい 大阪・福岡(博多)間の各交通手段の比較 く 交通手段 片道運賃 大手航空 21,900円 LCC 2,490円~17,690円 LCCの利用者は料金の安さで選択 32 FSAの利用者は質の良さで選択する 新規航路の開拓 33 新規航路の開拓 小松空港 •年間旅客数ランキングでは18位 •金沢へのアクセス手段としての利用率が高い •地元含む周辺地域から各地へ観光旅行の際に使用されやすい 函館空港 •年間旅客ランキングでは20位 •観光資源が豊富!! 34 パイロットの年齢層 35 計画的なパイロットの確保 15~20年後FSAの40代パイロットが定年退職する その退職者の中でも安全に運行できる技術や体力がある 人たちをLCCパイロットへとスライドさせる パイロット不足が軽減される 36 まとめ FSAとLCCの共存を前提にLCC市場を拡大す ることにより買物額・宿泊費に充てる金額 の上昇による経済効果の期待がもてる 新規航路の開拓によりLCC路線の拡充・ス マートフォンアプリによる予約サービスな どを利用した浸透を推し進める必要性があ る 37 まとめ パイロット不足は少子高齢化現象の一端のあらわ れでもあり計画的なパイロットの確保・現役パイ ロットの有効活用とともに航空大学校の新設/改革 による新たなパイロット獲得手段が必要ではない かと考えられる 38 参考文献 • 国土交通省 航空局(H25年 10月30日) 「我が国のLCCの現状 と課題」 • 住友信託銀行 調査日報 2008年7月 • LCCの台頭が日本航空市場にもたらす影響 • 格安航空会社 LCCガイド http://lcc-airline.com/lcc/ • チケットガード少額短期保険株式会社 https://www.ticketguard.jp/web/resource/peach_001.html • リサーチバンク 格安航空会社(LCC)に関する調査。LCCを使いたくな い理由、62%が「安全性に不安があるから」 • http://research.lifemedia.jp/2014/05/140521_lcc.html • なぜパイロット不足が起きたのか? http://www.travelvoice.jp/20140508-20851 39 参考文献 芝柏空港 http://www.ka.shibaura-it.ac.jp/shiba-air/lcc.html 国土交通省 平成25年度 空港別乗降客数順位(1~30位) http://www.mlit.go.jp/common/001057758.pdf SKYMARK AIRLINES http://www.skymark.co.jp/ja/ AIR DO http://www.airdo.jp/ap/index.html Solaseed Air http://www.skynetasia.co.jp/ SFJ http://www.starflyer.jp/index.html JetStar http://www.jetstar.com/jp/ja/home Spring Japan http://j.springairlines.com/jp Peach http://www.flypeach.com/jp/ja-jp/homeJP.aspx 40 参考文献 国土交通省 航空局(平成25年11月18日)「我が国における乗員 等に係る現状・課題」 総務省|平成25年版 情報通信白書|インターネットの利用状況 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc243120.h tml LCCに関する調査 | ライフネット生命保険 http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2012/3734.html#anchor1 41
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