名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 グラフのスペクトルと代数体 寺西鎮男 ( 数学科) グラフの隣接行列やラプラス行列は有理整数 を成分とする正方行列であるので、それらの行 列の固有値は代数的整数である。従って、固有 値の属する代数体の性質がグラフの性質に反映 されると予想される。しかしながら、現在まで のところ、それらの関係については、あまり知 られていない。著者によって得られた、いくつ かの結果を交えてグラフの固有値と代数体の関 係について解説する。 ����������������� ����� ����������� ユビキタスネットワークでは,暗号化通信,移動通信, エンドツーエンド通信を同時に実現することが重要であ る.本研究では安全性と柔軟性を両立させたネットワー クの概念として FPN を提唱し,これを実現するための通 信アーキテクチャとして GSCIP を提案してきた.本稿で は GSCIP の概要お よび提案アーキテク チャによる IPv4 ネ ットワーク特有の移 動透過通信システム について紹介する. 1 " ! 4 ����������� ������������� #$ e:,3C/ PARCOR +H, F(:^ JdTcH;D , V*R9 PK&, (a)26U=-bG, (b):`UI4BA YU. efW7# !" E<[X:`9PK&, =-bG =-a8\, :^efWNE <W\, F(:^'_cH-L, z?d$1).$S0 . >@,:^ ']cH, 1) #9PK&>@ L5MH プラズマ中に存在する微粒子がクーロン結晶を作り、 そのクーロン結晶が螺旋構造体を成す可能性があるこ とが報告されて,最近注目を浴びている.本研究では独 自に、プラズマ中のダストクラスターが形成するクーロ ン強結合構造およびその安定性の分子動力学シミュレ ーションを行い,外部閉じ込めポテンシャルの非等方性 の制御によって,微粒子クラスターが1次元鎖状の安定 構造となること,鎖状構造に揺らぎが発生するとこの構 造が不安定になり,2次元ジグザグ構造を経て3次元2 重螺旋構造が形成されることを見出した. QH,, 2) %9PK&>@ #> L5MH (LSP) ZO. 12 19 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 ���������������� ���������������� 上村鉄雄(情報工学科)ほか 実験室プラズマ中で微粒子の作るクーロン結晶が発 見されて以来,コンプレックスプラズマの分野でいろ いろな研究が行われている。最近では,結晶構造中を 格子音速で伝搬する波の存在が注目されている。 この論文では,格子音波がかかわる非線形現象とし て,超音速微粒子流体中の障害物が作る静電ポテンシ ャル障壁と微粒子の相互作用により生成される衝撃波 について報告する。 29 ��������� ��������� ������������� ������������� 私はこれまでコンピュータに学習や認識 私はこれまでコンピュータに学習や認識 能力を持たせるための研究を行ってきた.学習 能力を持たせるための研究を行ってきた.学習 したサンプルや環境と違いが少なければ現在 したサンプルや環境と違いが少なければ現在 の技術では高い認識精度を得ることができる. の技術では高い認識精度を得ることができる. しかし,実際の環境下では変動が含まれてしま しかし,実際の環境下では変動が含まれてしま い,こうした場合への対処が重要な課題となる. い,こうした場合への対処が重要な課題となる. 本稿では部分的な隠れに影響を受けにくい認 本稿では部分的な隠れに影響を受けにくい認 識法およびそれを建築材料からの自動アスベ 識法およびそれを建築材料からの自動アスベ スト検出に応用した例を紹介する. スト検出に応用した例を紹介する. 40 ������������� 筆者は,限流器と呼ばれる電力機器を電力系統に導入 した場合の効果について明らかにしてきた。本稿では, その成果の一部として,ウインドファーム系統に導入す る限流器の過電流抑制効果と同期発電機連系系統への限 流器導入による瞬時電圧低下の緩和について述べる。 36 名城大学での研究・教育生活46年間を回想 して 河村英昭(電気電子工学科) 本論文は筆者の名城大学における46年間の 研究・教育生活を回想したものである.電力ケー ブル用高分子絶縁材料の tree 破壊に関する研 究,太陽光発電システムの発電性能に関する研 究などに従事し,電力・エネルギー分野におけ る多くの工学的知見を得,それら研究成果の一 端を述べている.教育生活では「卒業研究」と いう一つの授業科目を通して,各時代の学生に 対する教育の取り組みを回想している. 45 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 生体用β型チタン合金の熱処理プロセスと 疲労強度の関係 赤堀俊和(材料機能工学科)ほか 近年、金属系バイオマテリア ルで構成された硬組織(骨)代 替インプラントを体内に埋入し た場合(写真参照)、摩耗を伴 う繰り返し負荷等による破断お よび骨と金属系バイオマテリアルとの弾性率の 相違による骨吸収あるいは骨の薄化などの不具 合が報告されており、最悪の場合、再手術を余 儀なくされる。そのため、金属系バイオマテリ アルにはさらなる高力学機能性が求められてい る。そこで、本研究では、低弾性率を有するβ 型 Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ)合金に着目し、 熱処理プロセスによる力学的特性、特に疲労特 性に優れた次世代型金属系バイオマテリアの創 出を目的とした。 ❅≀༙ᑟయ㠃Ⓨග࣮ࣞࢨࡢྍ⬟ᛶ ➉ෆဴஓ㸦ᮦᩱᶵ⬟ᕤᏛ⛉㸧 本報告では、今後筆者が研究を進めようと考えている窒 化物半導体面発光レーザの可能性について述べる。まず、 その応用先として、高効率・高出力・高速通信機能を実現 する次世代固体照明を紹介する。次に、この発光素子実現 を目指して、トンネル接合や、B や Sb を含む新規窒化物 半導体混晶を積極的に利用した多層膜反射鏡および電流 狭窄構造の実現について言及する。 53 �� ���� ��������������� �� �������������� 秒速 12km で伝播する高速衝撃波で発生する電離機構 を実験的に調べた。衝撃波背後の電子密度分布を調べた ところ、衝撃波直後の領域でも多量の電子の存在が示唆 され、熱化学モデルとの大きな差異が見られた。更にこ の差異について考察するために衝撃波前方の領域に着目 し、計測したところ、1018m-3 程度の電子が存在すること がわかった。衝撃波前方領域における電子の生成機構と して、衝撃波背後からの輻射光による光電離を考慮した 簡易モデルでその電子生成率や電子温度が説明出来るこ とがわかった。以上の考察から、衝撃波背後での電子密 度分布の予測精度向上には、前方での電子生成を考慮し たモデルの構築が必要であることが示された。 60 ⮬ື㌴㉮⾜㌶㊧䞉ጼໃゅィ 䛻㐺⏝䛩䜛 㻳㻼㻿㻙㻵㻹㼁 ⼥ྜἲ䛾◊✲㻌 ����������� 自動車の走行軌跡を計測するためには,計測データを 地上計測座標系へ座標変換する必要がある.GPS 測位値 と加速度,角速度から走行軌跡を求めるための座標変 換・融合アルゴリズムの研究の進展を述べ,最適な走行 軌跡・姿勢角計測方法を研究成果として導く . ~ ω ~ ~~ p, q , r Kalman Filter ~ W ~ ~ ~ , , + - ˆ w ˆ, ˆ, ˆ ~ a E-1 Kalman Filter ˆ A ˆ A Convert δφ,δθ,δψ specific force for vehicle trajectory Conception of Trajectory and Attitude estimation 68 76 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 ᑠᅵ⿕ࡾࢺࣥࢿࣝ᥀๐ࢧࢻࣃࣝᕤࡢ ᆅ┙ỿୗᢚไຠᯝ㛵ࡍࡿᩘ್ⓗ᳨ウ ᓲ⍛㸦ᘓタࢩࢫࢸ࣒ᕤᏛ⛉㸧 本研究の目的は,未固結地山に小土被りトンネルを掘 削する際,地盤沈下対策として採用されてサイドパイル 工の効果とそのメカニズムを解明するものである.本稿 では,実現場を対象とする数値解析により得られた,サ イドパイルの地盤沈下抑 制効果および長さがその 効果に及ぼす影響,また 都市高速道路の需要交通量の予測に関する 研究 松井 寛 都市高速道路の役割分担が増大するにつれ、 都市高速道路の渋滞対策やそのための交通管制 に交通需要量の正確な予測方法の確立が重要で ある.本研究は高速道路の潜在的需要交通量の 予測方法や、交通量配分の際に重要となるリン クコスト関数や高速道路転換率について研究し たものである. これらの結果から予想さ れるメカニズムについて 紹介する. 84 ������������������� ��������� ���������� 筆者の研究室では、これまで高齢者福祉施設や高齢者住 宅に関する研究を進めてきた. 人口減少社会を迎え、昨今、戦後に大量に供給された建 物ストックの再生・活用が検討されつつある.本稿では余 剰している他用途施設を、今後ニーズの高まる高齢者住宅 へ転用改修を行う研究について紹介する. 98 92 放射線化学反応法を用いた パーフルオロスルホン酸系イオン交換高分 子膜のプロトン伝導機構改良技術の開発 土屋文(教養教育)ほか 本研究では , 固体高分子型燃料電池の固体電 解質として使用されているパーフルオロスルホ ン酸系イオン交換高分子膜の水素吸収および水 素透過能力を放射線化学反応法を用いて向上さ せることを目指した . その結果 , 疎水性のラ ジカルおよび不飽和結合がわずか約 50kGy のガ ンマ線吸収線量だけで形成されると共に , 室温 および大気雰囲気におけるプロトン伝導度が未 照射高分子膜のプロトン伝導度の約 3 桁高い値 を示し , プロトン伝導機構の改良に成功した . 本稿では , その結果について紹介する . 106 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 シアノバクテリア時計蛋白質複合体と 蛋白質伸長因子 FusA の相互作用 景山伯春(教養教育) 1990 年代から,次々と時計遺伝子が同定され, 概日時計の分子機構が解明されつつある.本稿 では,筆者らの未発表データを中心に,概日時 計を持つ最も単純な生物であるシアノバクテリ アの概日時計機構の新知見を紹介する. 113 ⥅⥆ᑂᰝྥࡅࡓྲྀࡾ⤌ࡳ ᒣ୰ ୕ᅄ㑻㸦㟁Ẽ㟁ᏊᕤᏛ⛉㸧 電気電子工学科は去年 11 月 JABEE の継続審査を受審 した。本学科では今回の継続審査にあたって、最大のポ イントは PDCA のサイクルを使って恒常的に教育改善を 続けていることを審査員に納得させることに絞って、証 拠資料の収集および自己点検書の作成作業に入った。 その結果、今回の継続審査では証拠資料の不備等はあ ったものの、電気科の 5 年間にわたる恒常的な教育改善 の努力が認められて 6 年間の認定が得られた。 本報告では継続審査に向けた電気電子工学科の取り 組みを紹介する。 124 ࣂ࣐࢜ࢫศゎ᎘Ẽᛶ⣽⳦ Ruminococcus flavefaciens FD-1 ࡢࢭࣝࣟࢯ࣮࣒㛵ࡍࡿ◊✲ ⚄⸨ᐃ⏕㸦ᩍ㣴ᩍ⫱㸧 本 稿 で は バ イ オ マ ス 分 解 嫌 気 性 細 菌 Ruminococcus flavefaciens FD-1 株由来の植物細胞壁分解酵素複合 体、セルロソーム機構の新知見を紹介する。 119 WEB システムを用いた授業評価アンケー ト等による学生・教員支援システムの開発 新井 宗之(建設システム工学科) ここで開発した WEB システムは管理者用機能 を含め 9 つの機能を有している,(1) 授業評価 アンケート,(2) 履修閲覧,(3) レポート提出 管理,(4) 卒業研究活動時間管理,(5) 学生カー ド,(6) 学習状況確認,(7) 意識調査,(8) お知 らせ・質問,(9) 管理者用,である.(1) から (4) は教員・学生の授業に関する授業関係の機能で あり,(5) と (6) は学生の指導および学生の教 務支援の機能である.また,(7) および (8) は 学生の意見や質問等を収集する機能で,(9) は システムの管理用の機能である.平成 20 年度 から 22 年度が開発期間であるが,平成 22 年度 前期より全ての機能の運用が始まっている. 128 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 �� ����� �����3 ���������� ����� ᅽ⦰࣋ࣥࢺࢼࢺ⦆⾪ᮦࡢᦆയᐇ㦂 ඖᒣὈஂ㸦ᘓタࢩࢫࢸ࣒ᕤᏛᑓᨷ㸧 ��������������� 石油に代わる代替エネルギーとして水素エネルギー 高レベル放射性廃棄物の地層処分に用いる圧縮ベント システムに期待が寄せられている.このシステムを構築 ナイト緩衝材が,地殻変動等により損傷を受けた場合を するためには,水素デバイスに用いる電解質材料の特性 想定した性能評価試験を実施している.本研究では,供 向上が不可欠である.本稿では,プロトン伝導体を電解 試体密度および珪砂混合率を変えて作製した供試体のせ 質に用いた燃料電池セルを安価かつ簡便に製造するため, ん断強度特性を調べるとともに,損傷を受けた供試体の In をドープした SrZrO3 電解質膜をセラミックス基板上 内部構造変化を-X 線 CT を用いて観察した。 にスクリーン印刷法で成膜し,種々の作製条件が電気伝 導特性に与える影響を膜 と基板との界面反応とと もに検討した. (写真は、 電解質膜とセラミックス 基板の界面近傍の SEM 画像) 133 ������������ ����������������� 138 ������������������� ����������� 高塑性の鋭敏粘性土が堆積した自然粘土地盤の力学 �������������������� 特性を解明するため,各種室内試験を実施した.三軸試 本研究では,鋼製橋脚の隅角部を模擬した供試体を製 験と単純せん断試験の比較を通し,自然粘土が有する構 作し,実橋において発生応力が高く,完全溶け込み溶接 造の効果について検証するとともに,地震時の繰り返し が要求される梁・柱交差部に溶接未溶着を導入し,定振 せん断挙動について詳細に検討した. 幅変位載荷および 1 サイクルごとの漸増変位振幅繰り返 し載荷実験を行っている. A � B ����� ����� � (a) 梁・柱交差部切断面 146 (b) A 部拡大 梁・柱交差部切 154 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 高機能無補剛せん断パネルダンパーの復元 力特性に関する解析的研究 ������������������� 大場孝太(建設システム工学専攻)ほか ������������ 本研究では,高機能 SPD の開発に着目し,幅 ������������������ 本研究では,高機能 SPD の開発に着目し,幅厚比パラ 厚比パラメータが厚肉な鋼板からなる SPD につ メータが厚肉な鋼板からなる SPD について,修正 2 曲面 いて,修正 2 曲面モデルを用いた解析を実験と モデルを用いた解析を実験との比較を行い,その結果を の比較を行い,その結果を利用し,混合硬化則 利用し, 混合硬化則という概念を適用することによって, という概念を適用することによって,実験デー 実験データの復元力モデルをうまく模擬することができ タの復元力モデルをうまく模擬することができ る新たな復元力モデルの構築を行っている. る新たな復元力モデルの構築を行っている. 4 鋼部材のファイバーモデル解析における要 素と断面分割に関する一検討 萩野勝哉(建設システム工学専攻)ほか ������������������� 本 検 討 で������������� は, 単 柱 式 鋼 製 橋 脚 を 取 り 上 げ, は り 要 素 を������������������ 用いたファイバーモデルによる Pushover 解析を行い,ひずみ評価領域の終局時 本検討では,単柱式鋼製橋脚を取り上げ,はり要素を 用いたファイバーモデルによる Pushover 解析を行い,ひ 平均ひずみや終局時基部曲げモーメントなどに ずみ評価領域の終局時平均ひずみや終局時基部曲げモー 及ぼす分割の影響について調べて,分割数ので メントなどに及ぼす分割の影響について調べて,分割数 きるだけ粗いひずみ評価領域とひずみ評価領域 のできるだけ粗いひずみ評価領域とひずみ評価領域以外 以外の要素分割数,断面の層分割数に関する提 の要素分割数,断面の層分割数に関する提案を試みた. 案を試みた. 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 τ/τy 2 H6 KD-6 εm/εy 0 KD-5 -2 修正2曲面モデル 混合硬化則 -4 -50 0 γ/γy 50 KD-7-1 KD-10 M22 0 2 4 6 8 10 12 補剛板ウェブ方向の分割数 162 170 ������������������� �������������� ������������������� ���� ���������������� ������������������ 本研究では薄肉断面部材の局部座屈を考慮して材料 近年,気候変動問題が国際的な課題となっている.欧 特性(降伏点を座屈応力に置換したバイリニア型応力- 州諸国では,気候変動に対応した計画制度に改良してき ひずみ)を適切に設定し,はり要素を用いたファイバー ている.そこで,本研究では,欧州の中でも積極的に活 モデルのPushover 解析により終局点を精度よく解析する 動している英国に着目をして,交通,地域・地方計画体 系を調査し,我が国の今後の計画体系の在り方に関する 手法の提案を試みている. 示唆を得る. 4 2 -20% -10% +10% Hu,shell/Hy δu,shell/δy 国 +20% (2010) Region 1 0 1 2 δ u,beam /δ y 3 4 Local H u,beam /H y 2 177 Regional Transport Strategy SubRegion 0 0 Low Carbon Transport: A Greener Future (2009) Transport Carbon Reduction Delivery Plan 1 0 環境 (2008) 白書等の政策文書 2 1 地域・地方計画 Climate Change Act -20% -10% +10% 3 +20% 交通計画 The Carbon Budget Order(2009) Planning Policy Statement (2004) PPS1:Planning and Climate Change (2007) Regional Strategy (2009) Multi-Area and Local Area Agreements Local Transport Plan (2000) The UK Low Carbon Transition Plan (2009) Climate Change Taking Action (2010) EU SEA Directive(2001) Sustainability Appraisal Climate Change Action Plan Climate Change Strategies Local Development Framework (2004) 185 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 ����������������� ������� ����� ��� ���������� �������������� �������������� 本研究室では,過去に鋼製高機能 BRB の低サイク 近年,大地震の発生リスクが高まっており,橋梁 ル疲労実験を行っており,この実験結果から,十分 の耐震設計,耐震補強を行うことは非常に重要であ な低サイクル疲労性能を有していることが確認で ると同時に急務である.本研究室ではこれまで制震 きた.今回は,さらなる低サイクル疲労性能の向上 ダンパー(座屈拘束ブレース(BRB))についての を目的として,溶接止端部に仕上げを施した BRB を 研究を行ってきた.本論文では,この BRB を鋼トラ 製作し,実験を行った. ス模型に設置し,制震構造化したことによる耐震性 拘束材 能の向上効果を実験的に検証した. ブレース材 �ブ アンボンド材 ずれ止め フィラー 193 FRP グリッドの付着挙動に関する実験的研究 金光男,岩下健太郎(建設システム工学科)ほか FRP 格子筋(以下,FRP グリッドと呼称)を 吹付型のポリマーセメントによりコンクリート 表面に固定する増厚巻き立て工法は,トンネル 覆工コンクリートや橋脚,床版等の補修や補強 に広く用いられている。本研究では,低価格で 2.5%を超える伸度を有しながら,ある程度の 引張強度や弾性率を有しており,最近,中国や 欧米で盛んに研究が進められ ている玄武岩(バサルト)繊 維を用いた FRP(以下,BFRP と呼称)のグリッドに着目し て,高伸度繊維を用いた FRP グリッドのコンクリートに対 する付着挙動を実験的に検討 し,付着強さに関する既往の 評価式の適用性を検証した。 209 201 �������������������� ��� ������������������ 等辺山形鋼(アングル)は規格製品のため安定した形 状,品質が得られることから目的に応じた設計,製作が 容易である.本研究では,アングルを背合わせにしたブ レースを高力ボルトでガセットに接合し,引張および圧 縮軸力を作用させることでブレースの終局変形性能を確 認した. 217 名城大学理工学部研究報告 No.51 2011 690 ࢆ⏝࠸ࡓ㒔ᕷ㧗㏿㐨㊰࠾ࡅࡿᡤせ㛫 ࡢຍⓗሗࡢᥦ౪ྍ⬟ᛶ㛵ࡍࡿ୍⪃ᐹ ᪥ẚ㔝ு㸦ᘓタࢩࢫࢸ࣒ᕤᏛᑓᨷ㸧 ព㆑ࢹ࣮ࢱᇶ࡙ࡃ㥐๓ᗈሙᑐࡍࡿ ⏝⪅ࢽ࣮ࢬࡢᢕᥱ ᐑᆅ♸㯞㸦ᘓタࢩࢫࢸ࣒ᕤᏛᑓᨷ㸧 本稿では,都市高速道路において,所要時間情報に 本研究では,駅前広場の整備状況に対する評価を捉え 付加的な情報を与えることにより,より質の高い情報 るため,駅周辺住民を対象に意識調査を行った.その結 をドライバーに提供することを検討した. 果に基づき,施設規模・数などに対する満足度評価と総 ドライバーの到着時 における所要時間の変 合満足度の関係性を把握し,施設において改善が必要と [所要時間延長の場合] なる項目を明確にすることにより,今後の駅整備のあり 動を考慮した付加的情 報を新たに定義し, Support Vector Machine 方について考察していく. [所要時間短縮の場合] (SVM)を用いて予測モ デルを構築した. 223 ୕ᒱ㕲㐨ໃ⥺ࡢࣜࢽ࣮ࣗࣝᴗࡼࡿ ⏝㌿⪅ࡢ≉ᛶศᯒ ୰ᔱಇ㸦ᘓタࢩࢫࢸ࣒ᕤᏛᑓᨷ㸧 本稿では,近年,利用が 属性 増加傾向に ある三岐鉄 道 性別 職業 運転免許 と継続利用 者の特性の 把 目的 握を試みた.数量化理論Ⅱ 所要時間 多くが転換 者であるこ と などがわかった. 河川のもつ大気冷却効果に着目してきた.名古屋市の中 れている.本稿では,中川運河の暑熱環 手段 境緩和効果を評価するため,運河周辺で の現地観測結果を報告する. 乗車駅 降車駅 目的地 利用頻度 意識 期券以外に よる利用者 の 筆者の研究室では,ヒートアイランド緩和策として, 的効果と,開放空間としての風の道効果をもつと期待さ 条件 利用実態 類を用いた分析の結果,定 ��������������������� ���������������� 現��� 川運河は広大な水面域をもつことから,水塊としての熱 年齢 北勢線を取り上げ,転換者 229 選択理由 事業評価 0 2 4 6 レンジ 235 241
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