GCI Global View 2010 年 1 月 12 日 【目次】 ● アルファの源泉 P.1 ● Global Markets 1.オーバービュー P.5 【連絡先】 株式会社 GCI アセット・マネジメント 金融商品取引業者 ○住所:〒101‐0065 東京都千代田区西神田 3‐8‐1 関東財務局長(金商) 第 436 号 ○電話番号: 03‐3556‐5540(代表) 日本証券投資顧問業協会 加入 ○電子メール:[email protected] 当 資 料 は、株 式 会 社 GCI アセット・マネジメントが情 報 提 供 を目 的として作 成 したもので、投 資 家 に対する投 資 勧 誘を目 的 とす るものではありません。当 資 料 は、当 社 が信 頼 できると判 断 した情 報 データに基 づき作 成 しておりますが、その内 容 の完 全 性 、 正 確 性 について、当 社 が保 証 するものではありません。当 資 料 における見 解 は作 成 時 点 のものであり、今 後 予 告 なく変 更 される 場 合 があります。 ●巻頭レポート アルファの源泉 はじめに ファンドの評価にあたり、昨今オペレーショナルデューデリジェンスの重要性がクローズ アップされ、実際にファンドが破綻するケースの多くが運用そのものの問題よりも、ブロ ーアップやカウンターパーティリスクの顕現化など、しっかりとしたオペレーショナルデ ューデリにより、未然に防ぐことが可能なケースが多くを占めていることからもそのよう な傾向は肯けるものです。このプロセスはある程度パターン化が可能なものといえますが、 一 方 で 運 用 そ の も の の 評 価 に つ い て は 、 い わ ゆ る 4 P( philosophy, people、 process、 portfolio)などの類型化された観点もありますが、特にヘッジファンド運用についてはリ ターンを産み出すアルファの源泉を見極めることがその中心となります。これについては ヘッジファンドと一括りにいっても、イベントドリブン戦略やアクティビスト戦略から CTA まで、そのスタイルによって様々な中、類型化が難しいところでもあります。 三つのポイント アルファ創出は、一般には銘柄選択とマーケットタイミングのスキルに依存するものとい われ、昨今ではヘッジファンドのリターンが市場ベータ、あるいはオルタナティブベータ に依存し、純粋なアルファによるリターンは減少傾向にある(あるいはアルファ以外に依 存したヘッジファンドが増加した)との指摘もありますが、個人的には以下の 3 つのスキ ルの把握に努めることがアルファ創出能力を見極めるプロセスの重要度の 9 割以上を占め ていると感じています。 「価値の分析」 「需給の把握」 「エクスポージャーのコントロール」 このうち最初の二つの「価値の分析」と「需給の把握」が投資のアイディア創出につなが ります。三つめの「エクスポージャーのコントロール」がそのアイディアを具体化し、リ スクをリターンに転換する実行力ということになりますが、この「エクスポージャーコン トロール」は、そのタイミングを含めてリスクテイクとリスク回避を包含したものであり、 複数銘柄となれば(通常そうなりますが) 「ポートフォリオマネジメント」と呼ばれるもの でもあります。これについてはまた別の機会にふれるとして、ここではアイディア創出の 源である、「価値の分析」と「需給の把握」について簡単にふれておきたいと思います。 価値の分析 「価値の分析」といった場合には、例えば株式ロングショート運用において、定性判断や 定量評価を交えながら「企業の本源的価値を推定する」として、ある特定の理論株価水準 を算出するようなイメージがありますが、本来は、 「リスク」すなわち将来の不確実性の度 合いも含めて評価を行うものであり、具体的なイメージとしては、将来の変動の「分布」 -1- を推定することに近く、その期待値に相当するものがある一つの価値水準となります。こ の「分布」について、過去の実際の価格変動については算出可能ですが、ここではあくま で将来の、そして本来あるべき価値の推定についてであり、数値として定量的に分布を算 出するようなものではなく、多面的な切り口からのアプローチを通じて大枠としてそのよ うなとらえかたをし、将来の変動性やその偏りも含めて価値の推定を行っているのかどう かに注目します。また、複数の資産間、銘柄間での同時分布を想定することが、将来のこ れらの相関関係をイメージすることにつながります。 需給の把握 このように推定された「価値」と実際の市場の「価格」との乖離を、その変動性も含めて 捉えることがまさにアルファ創出につながるものですが、「需給の把握」は、この「価値」 と「価格」の乖離が何故起きているのか、そしてその乖離が今後どのような動きとなるこ とが推測されるのかを裏付ける材料となります。往々にして市場で強制的に売買せざるを 得ない市場参加者が存在するときに(例えばロスカットにより強制売却を強いられるプロ ップトレーダーなど)、市場にこの乖離が生じて、他の市場参加者が効率的にアルファを産 み出すことが可能となります。ただし、バブルが生成される過程で、それがバブルだと認 識できたとしてもそれがどこまで到達するのか、そしてどこで崩壊するのかを予測するの がほとんど不可能に近いように、一般的にはその需給動向の全貌を 100%の確信を持って 判断することは困難であることが多いと思いますが、その信頼度を少しでも強めるための 材料を追求する姿勢が問われます。 乖離 価値 市場価格 何故? 金融・投資ビジネスの根幹 - 投資銀行業との比較を交えて - これらの「価値の分析」と「需給の把握」は、投資運用業の核心でありますが、もっと幅 広くビジネスのあり方を俯瞰してみると、この両者が先の「ポートフォリオマネジメント 力」を基盤として金融や投資に関わるビジネスの根幹をなすものといえます。 -2- 金融・投資ビジネスの根幹 価値の分析 需給の把握 ポートフォリオマネジメント力 <リスクテイクとリスク回避> 投資運用業は、価値の分析を武器として市場の需給を見極めながら顧客のために市場から 超過リターンを獲得することを目指すという構造にあり、その対峙する相手は唯一「市場」 となります。一方で、投資銀行業も同様に、 「価値の分析」を武器としますが、顧客と市場 との間で、またあるときは顧客と顧客との間で、リスクや資金の仲介を行うというのが投 資銀行のビジネスモデルであり、市場のみならず顧客のニーズや需給の把握がより重要な ものとなります。ただし、投資運用業、その中でも特にアルファ創出を目指すヘッジファ ンドマネジャーが対峙する相手が市場のみであり、その需給の動向を見極め、歪みを見出 し、市場から超過収益を奪いとることに専念しているのに対して、投資銀行業は、本来は 顧客に便益を提供すべき存在でありますが、市場のみならず顧客とも対峙しながら場合に よっては顧客から超過収益を奪うこともあり得る構造といえます。特に情報の非対称性が 顧客との間に存在する場合(往々にして存在し、存在するからこそ投資銀行の存在意義が あるのですが)には、投資銀行にその動機付けが働きやすいという宿命にあります。 需給の把握という観点では、顧客の需給と直に接している投資銀行に比較優位があるとも いえますが、過去の経験に裏打ちされた情報収集力と分析力により、ヘッジファンドマネ ジャーがそれらに対抗して純粋に市場というフィールドで打ち勝っていくことは十分に可 能であると考えています。 -3- 市場とのみ対峙する投資運用会社 顧客 市場 投資運用会社 顧客と市場と対峙する投資銀行 顧客 顧客 投資銀行 市場 最後に 実際のファンド評価にあたっては、過去の事例のヒアリングなど多面的なインタビューを 通じて行われることになると思いますが、これらの「価値の分析」と「需給の把握」とい った観点を意識しながら、運用評価に取り組まれることを是非ともお勧めいたします。 (末永) -4- Global Markets (1 月 4 日~1 月 8 日) オーバービュー 緩和早期解除懸念は一旦落ち着いた中、株式市場は比較的小動きながら堅調な推移が続いた。 【各国株価インデックスの 2008 年末からの変化率の推移】 2.00 ブラジル BOVESPA指数 1.80 インドNIFTY指数 1.60 香港ハンセン指 数 1.40 シンガポールST 指数 ドイツDAX指数 1.20 米SP500指数 1.00 英FT100指数 0.80 東証株価指数 20 09 /1 2/ 31 20 09 /9 /3 0 20 09 /6 /3 0 20 09 /3 /3 1 20 08 /1 2/ 31 0.60 米国雇用統計をきっかけに緩和長期化期待が再び強まりドルは調整モードに、ドル円も 92,3 円台で足踏み。 【各国通貨の 2007 年末からの対ドルでの変化率の推移】 1.50 ブ ラ ジルレアル 1.40 カ ナダドル 豪ドル 1.30 日本円 1.20 スイ スフラ ン ユーロ 1.10 英ポン ド 1.00 シン ガポールドル 韓国ウォ ン 0.90 南アフリカ ラ ン ド 0.80 ドルイ ン デックス -5- 20 09 /1 2/ 31 20 09 /9 /3 0 20 09 /6 /3 0 20 09 /3 /3 1 0.70 20 08 /1 2/ 31 1. 米国では雇用の改善が市場の予想に反して進んでいないことから、短期セクターで意識されてきた緩和解除 への警戒感はひとまず落ち着き利回りは低下したが、長期債は入札の警戒感とスティープ化トレードの活発 化からもみあいが続いた。 3.00 5.0 2.50 4.0 2.00 3.0 1.50 英10年国債 独10年国債 米10年国債 日10年国債 (右軸 スケールを2倍に拡大して表示) 2.0 2 7 00 /1 /1 2 7 00 /4 /1 2 7 00 /7 /1 20 0 1 7/ 0/ 1 2 8 00 /1 /1 2 8 00 /4 1.00 /1 2 8 00 /7 /1 20 0 1 8/ 0/ 1 2 9 00 /1 /1 2 9 00 /4 /1 2 9 00 /7 /1 20 0 1 9/ 0/ 1 2 0 01 /1 /1 ソブリン物 CDS は高スプレッド国では若干縮小する動きとなった。 主要先進国ソブリン5年物CD Sス プレ ッド 推移 350 CDS スプレッド(bp) 300 Italy Japan United Kingdom United States Germany Greece 250 200 150 100 50 -6- 20 09 /7 /1 0 20 09 /1 0/ 10 20 10 /1 /1 0 20 09 /4 /1 0 20 09 /1 /1 0 20 08 /7 /1 0 20 08 /1 0/ 10 20 08 /4 /1 0 20 08 /1 /1 0 0 日本10年国債利回り(%) 利回り(%) 各国1 0年国債の利回り推移 6.0 原油は欧米での厳しい寒波も材料に反発。 商品市況の推移( 2 0 0 6 年末からのドルベース で の騰落率) 2.50 2.25 原油(WTI) 金 CRB 2.00 騰落率 1.75 1.50 1.25 1.00 0.75 0.50 20 /1 07 /1 2 7/ 00 1 4/ 20 /7 07 /1 0 20 / 10 7/ 1 / 08 20 1 1/ 2 8/ 00 1 4/ / 08 20 1 7/ 20 /1 08 1 0/ 20 / /1 09 1 20 /4 09 /1 20 / /7 09 1 0 20 10 9/ /1 20 /1 10 /1 緩やかながら英米で拡大傾向が続く。 各国ブレークイーブンレートの推移 4.0 ブレークイーブンレート(%) 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 英国債2017年満期 米国10年債 フランス国債2015年満期 日本国債2016年満期 -4.0 -5.0 20 0 1 7/ /1 20 0 4 7/ /1 20 0 7 7/ /1 20 07 0 /1 /1 20 0 1 8/ /1 20 0 4 8/ /1 20 0 7 8/ /1 (末永) -7- 20 08 0 /1 /1 20 0 1 9/ /1 20 0 4 9/ /1 20 0 7 9/ /1 20 09 0 /1 /1 20 1 1 0/ /1
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